ボトルネックの発生原因と対策。TOCの実践で業務の停滞を解消
ボトルネックの発生を放置すると、さまざまなリスクが生じます。発生原因や解消法を理解し、企業として対策を講じることが重要です。ボトルネックの意味や発生する理由、業務の停滞を防げるTOCの手順について詳しく解説します。
ボトルネックの基礎知識
英語で「bottleneck」と表記するボトルネックは、「瓶の首」や「狭い通路」などと訳されます。ビジネスにおけるボトルネックとは、どのような意味を持つのでしょうか。
ボトルネックとは
ビジネス用語のボトルネックは、業務の工程で停滞や生産性の低下を招いている部分のことです。また、物事の制約やうまくいかない原因をボトルネックという場合もあります。
例えば、配送業の分野では、荷物の仕分けに時間がかかりすぎていると、その後の配達工程全体が遅れることになります。また、ドライバーが不足している場合や配送トラックの手配が追いつかない場合もあるでしょう。これがボトルネックとなって配送がスムーズに進みません。
なお、日常会話でも「〇〇がネックになる」という表現を使いますが、このネックはボトルネックが由来です。
ボトルネックによる企業リスク
ボトルネックが発生すると、業務の進捗が停滞します。他の工程がスムーズに進んでいても、最終的にはボトルネックがあることで、生産性や品質が低下する懸念も心配されます。
またボトルネックの存在によって、仕事が一向に進まなくなることもデメリットです。例えば、承認フローで稟議がいつまでも決裁されなければ、企画立案をスムーズに進めても実行に移せません。
ボトルネックは当事者の精神的な余裕もなくしてしまいます。業務の停滞が発生すると不安や焦りの感情が生じやすくなるため、従業員が十分なパフォーマンスを発揮できなくなる恐れがあるためです。
ボトルネックの発生原因
ボトルネックはさまざまな理由により生じます。どのようなことが原因で業務の停滞を招くのかを見ていきましょう。
リソース不足
ボトルネックの発生原因の1つがリソース不足です。ヒト・モノ・カネのいずれか1つでも不足すると、ボトルネックが生じやすくなります。
例えば、全工程の中で専門的な知識を求められる工程がある場合、専門家がいれば進捗はスムーズです。しかし、専門家がいない場合は進捗が停滞しやすくなり、外部リソースを利用するケースでもある程度の手間がかかってしまいます。
製造の現場でも、資金や物資が不足すると工程がストップすることがあります。1台しかない設備が故障した場合も、全体の生産速度は低下するでしょう。
業務のブラックボックス化
業務のブラックボックス化とは、ある業務の内容や進め方を特定の担当者しか把握していない状況のことです。業務の属人化ともいいます。
業務がブラックボックス化していると、担当者の不在時に特定の業務が進まなくなります。ブラックボックス化している業務が多ければ、複数の工程が停滞することもあるでしょう。
業務のブラックボックス化はあらゆる職種で起こりうるため、業務の可視化や権限の分散化、ナレッジマネジメントの推進などで防ぐことが大切です。
プロセスの非効率性
他者との連携が必要な仕事でアナログ業務が多い場合、プロセスが非効率的になりボトルネックが生じがちです。
例えば、承認フローで紙とハンコを使った業務があるケースでは、承認者がいなければ次のステップへ進めません。転記ミスなど手作業によるエラーが発生した場合も、業務の停滞を招きやすくなります。
非効率なプロセスを減らしたいなら、プロセスをデジタル化しましょう。業務効率化につながるシステムやツールの導入により、業務フローをよりスムーズに進められます。
コミュニケーション不足
ボトルネックが生じる原因としては、コミュニケーション不足も挙げられます。従業員同士の意思疎通がうまくできていない場合、さまざまなミスが発生しやすくなるのです。
特に、リモートワークを導入している企業は、コミュニケーション不足に陥りやすいため注意する必要があります。社内のコミュニケーション不足を解消するためには、チャットツールやプロジェクト管理ツールを導入するのがおすすめです。
ボトルネック解消法「TOC」の手順
TOC(Theory of Constraints:制約条件の理論)とは、著しくパフォーマンスが低下している工程を改善し、最小限のコストと時間で効果を出すマネジメント手法です。TOCの具体的な実践手順を紹介します。
手順1.制約を見つける
TOCで最初に行うのは、ボトルネック工程の制約条件を見つけることです。停滞している業務を特定した上で、なぜ停滞しているのかを考えます。制約条件の例は次の通りです。
- 担当者のスキルが低い
- 業務が複雑または高度である
- 作業量が多い
人による観察では、そもそもボトルネックを見つけられない恐れもあります。ITを活用すれば、データに基づいた分析でボトルネックを特定しやすくなるでしょう。
手順2.制約の最大活用法を検討する
ボトルネック工程の制約条件が見つかったら、次に制約の最大活用法を検討します。とりあえず制約のみにフォーカスし、制約条件が持つ最大限の能力を引き出すプロセスです。
例えば、担当者のスキルが低いことが制約条件なら、スキルが高い人材に変えて当該業務の処理能力を高めます。資源不足が原因で業務が進まない場合は、必要な分だけ常に資源が使える状況を整えるとよいでしょう。
制約を最大限に活用する際のポイントは、新たな人員を投入したり設備に投資したりしないことです。今のリソースで解決できないか検討します。
TOCでは無駄なコストや時間をかけないことがポイントになっているため、現状の工夫による改善を意識しましょう。
手順3.制約以外を制約に従属させる
ボトルネックにおける制約の最大活用法が決まった後は、全工程を制約に従属させます。制約の改善を集中して行える環境にするために、他の工程を調整します。
ボトルネック工程の前後を見直すだけでなく、全てのプロセスを見直す点がポイントです。また、人員を新たに採用したりコストをかけたりすることは、この工程ではNGです。人員配置や管理体制の変更といった対応が考えられるでしょう。
TOCのプロセスの中でもこの工程が最も難しく、ここで挫折するケースも少なくありません。なぜなら、全工程を見直すと一時的に利益が減る恐れがあり、それを良しとしない企業が多いためです。
手順4.制約を強化・改善する
手順3を行っても大きな効果を得られない場合や、さらなる向上を目指したい場合は、ボトルネックの制約を強化・改善します。
制約以外を制約に従属させて改善を図る手順3では、人員採用や設備投資を行いません。従って、手順3でボトルネックを解消するのが理想です。
ただし、手順3でボトルネックの改善が見られた場合も、他の部分でロスが発生していることがあります。人員採用や設備投資を行った方が、結果的にプラスになるケースもあるため、手順3と手順4のどちらが効果的か比較してもよいでしょう。
手順5.同様のプロセスを新たな制約に適用する
手順4まで進めて実際に工程が動くと、新たなボトルネックが発生することがあります。手順3で制約以外を制約に従属させる際、コストをかけずに全工程を見直すためです。
新たにボトルネックが発生したら手順1に戻り、制約を見つけるプロセスから始めます。ここで注意しなければならないのは、最初に改善した制約をできるだけ崩さないようにすることです。
手順1~4を繰り返し、人員採用や設備投資を行わずにボトルネックを解消し続けられれば、最小限のリソースで最大限のパフォーマンスを発揮するTOCがうまく機能しているといえます。
ボトルネック解消に役立つ「TUNAG」の機能
ボトルネックの発生原因の多くは、デジタルツールの導入で解消することが可能です。業務DXから社内交流まで幅広くカバーするTUNAGを導入すれば、ボトルネックの解消に大きく貢献してくれるでしょう。
ここでは、業務停滞の回避に役立つTUNAGの機能について解説します。
アナログをデジタルへ「ワークフロー」
アナログ業務が多い組織では、業務フローが見えにくいことや承認に時間がかかりやすいことから、ボトルネックが発生しやすくなります。この問題の解消に役立つのが、TUNAGのワークフロー管理機能です。
従来は見えにくかった申請の進捗状況も、TUNAGのワークフロー管理機能を活用すれば可視化されます。また、承認作業はスマホでどこでも行えるため、次のステップになかなか進まないという状況も生まれにくくなります。
アナログデータを電子化できることから、紛失により情報が分からなくなることもありません。情報アクセスの迅速化により、意思決定も大幅にスピードアップするでしょう。
コミュニケーションを促進「チャット」
部門間や階層間のコミュニケーションが不足すると、情報が滞ったり認識のずれが生じたりするため、業務の遅延や品質低下を招くことがあります。
社内のコミュニケーション不足は、TUNAGのチャット機能で改善することが可能です。テキスト以外に画像・動画・ファイルも送信でき、リアルタイムなやりとりをスピーディーに行えます。
グループチャットを設ければチーム間で情報を共有することも可能です。ログ機能を活用すれば、過去にさかのぼって重要な情報をチェックできます。
社内ルールの統一・共有「マニュアル」
ボトルネックの発生原因の1つに、業務のブラックボックス化が挙げられます。特定の従業員のみしか業務を行えないため、他の従業員が担当した場合に業務が停滞しかねません。
業務のブラックボックス化は、TUNAGのマニュアル機能で解消できます。テキスト・動画・画像でマニュアルを作れるほか、従業員はスマホから簡単にアクセス可能です。
対象者の閲覧制限を設定すれば、必要な人にのみ必要な情報を提供できるため、セキュリティも維持されます。
「TUNAG」の導入でボトルネックを解消
ボトルネックが発生すると、組織全体のパフォーマンスが低下する恐れがあります。コストをかけずにボトルネックを解消したい場合は、TOCの実践が効果的です。
また、ワークフローシステムの導入もボトルネック解消の有効な手段となります。TUNAGのようなオールインワンシステムを活用し、持続的な改善を図りながら効率的な組織運営を実現しましょう。
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