デジタルワークフローとは?始め方やシステム選定のポイントを解説

業務効率化や社内のDX推進を目指し、デジタルワークフローの導入を検討している方は少なくありません。

デジタルワークフローは、オンラインでの各種申請や承認・決裁など従業員の作業効率を向上させ、これまで紙で行っていた一連の手続きをデジタル化するために多くの企業で採用されています。

しかしながら、デジタルワークフローの活用にはメリットだけではなく、デメリットもあります。

デジタルワークフローのメリット

  • 申請から決裁までの業務効率化が図れる
  • 承認ルートを見える化できる
  • 各種フォーマットを常に最新のものに保てる
  • 記載事項を設定することで、申請時の誤入力や入力漏れを防げる
  • ペーパーレス化につながる

デジタルワークフローのデメリット

  • システム利用料などのコストが発生する
  • 紙の書類と電子化した書類が混在し、管理が煩雑になることがある
  • 操作が難しい場合、活用されない可能性がある

デジタルワークフローの導入を検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自社に最適なワークフローの導入をすることが重要です。

しかし、実際にデジタルワークフローを構築しようとすると、「どのように始めればいいのか?」と迷うこともあるでしょう。

この記事では、デジタルワークフローの概要や始め方、システム選定のポイントを具体的に解説していきます。デジタルワークフローを成功させるためのポイントを押さえ、ぜひ参考にしてください。

デジタルワークフローとは

デジタルワークフローとは、業務に関する申請→承認→決裁までの一連の手続きを、従来の紙ベースからデジタル化することを指します。

有給休暇の申請で考えてみると、これまで書面で有給休暇申請書の作成→上司の承認・決裁の捺印→総務部へ提出という流れだったものが、申請から提出までオンラインですべて完結するといった具合です。

デジタルワークフローによって、紙とハンコが削減されます。オンラインで申請するため、決裁権者がその場にいない場合であっても、外出先からパソコンやスマートフォンを使い承認作業を進められるようになります。そのため、決裁までのリードタイムが短縮され、業務をより効率的に進めることが可能です。

各種申請や稟議は契約締結・経費精算・勤怠管理・人事評価など、さまざまな場面で発生することから、業務効率を上げるために多くの企業でワークフローシステムが活用されています。

クラウド型人事労務システムを提供するjinjer株式会社が2024年1月に企業の人事・情シス担当者を対象に行った「社内申請に関連するワークフローシステム利用」によると、ワークフローシステムの利用数は2~3つが多く、複数利用する企業が70%弱という結果となりました。

デジタルワークフローの始め方

ここからはデジタルワークフローの始め方として、以下の3つの方法を紹介していきます。

ビジネスチャットの中で実施する

自社で利用中のビジネスチャットや社内コラボレーションツールにデジタルワークフローの機能があれば、手始めにそちらを利用してみるのも良いでしょう。すでに慣れ親しんだユーザーインターフェースや操作性のため、利用する従業員の心理的ハードルを下げることができ、スムーズな導入へつなげることが期待できます。

ただし、複雑な申請フローを構築できなかったり、別途費用がかかることもあるため、事前に確認するようにしましょう。

自社開発する

デジタルワークフローを自社開発することで、要件定義にあうシステムで運用することが可能です。また、ExcelやGoogleフォーム、オープンソースなどを使って作成すれば、予算をかけることなく無料で利用できるのは大きなメリットといえます。

ゼロからすべてを自社で作成する場合は、そのような開発を手がけられる人的・時間的リソースが必要となるため、自社の状況に合わせて導入を検討すると良いでしょう。

ワークフローシステムを活用する

あらかじめ設計されたワークフローシステムの活用は、コストこそかかるものの、何かあってもベンダーやサービスの担当者に相談したり支援してもらえたりするというのは、コスト以上の安心感を得られるはずです。

ワークフローシステムには、「オンプレミス型」と「クラウド型」の2種類があります。オンプレミスは、サーバーや通信回線、システムなどを自社内で構築・運用する形態で、クラウド型は、オンラインのサーバーで提供されているサービスを、インターネット経由で利用する形態です。

以下で、それぞれの形態のメリット・デメリットを確認していきましょう。

オンプレミス型

メリット

・自社内ですべてをまかなうことから開発の自由度が高い

・セキュリティ強度を独自に管理し、情報漏洩のリスクを下げる

デメリット

・導入コストが高額になりがちで、構築までに時間と手間がかかる

・知識やスキルを持った保守やメンテナンスを担当する人材が必要

クラウド型

メリット

・コストを抑えて利用できる

・更新、保守、メンテナンスをベンダーに任せられる

デメリット

・カスタマイズが制限される

・自社でセキュリティ強度を管理できない

デジタルワークフローシステムを紹介

TUNAG

社内ポータル・社内SNSとしても使えるカスタマイズ性に優れたワークフローシステム

X-point Cloud

直感的な操作が魅力のワークフローシステム

SmartDB

大企業特有の複雑な承認ルートを実現できるワークフローシステム

コラボフロー

Excelから申請フォームの作成ができるワークフローシステム

バクラク申請

AI読み取り機能で手作業を自動化するバックオフィス一体型のワークフローシステム

サイボウズOffice

中小企業のチーム力を強化するグループウェア一体型のワークフローシステム

デジタルワークフローの導入を検討するにあたっては、自社が抱える課題や予算、利用する従業員のITレベルなど多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

また、大企業と中規模・少数精鋭企業では求める要件もかなり異なってくるため、システムごとの特徴を捉えることも重要です。

紹介したシステムは、数あるデジタルワークフローの中の一部です。自社に適したデジタルワークフローを採用するには、資料請求をして比較検討することはもちろんのこと、デモンストレーションや無料お試しを利用して実際に画面を見ながら操作してみると良いでしょう。

デジタルワークフローの選定ポイント

jinjer株式会社のワークフローに関する実態調査(2024年1月)によると、複数のワークフローシステム運用で課題を感じている企業は70%強であり、課題のTOP3は「他システムとのデータ連携に時間・手間がかかる」「セキュリティへの不安」「システムごとに操作性が違うため使いづらい」となっています。

導入後にこのような課題をできるだけ減らせるよう、ここからはデジタルワークフローシステムの選定ポイントを4つ紹介していきます。

申請・承認ルートの柔軟な設定が可能である

申請・承認のルートには申請から承認まで部署内で完結するシンプルなルートや条件分岐するルート、部署を超えて複数人の承認を得ながら進むルートなど、さまざまな種類があります。

自社で運用している承認ルートがシステム導入後でも問題なく利用できるのか、また導入後にルートの追加や修正が合った場合でも対応可能なのか、あらかじめ確認しておきましょう。

他のシステムとのデータ連携がスムーズにできる

既存システムと連携できないワークフローシステムだと、データ連携ができないため、システムごとの設定や新たなデータ入力作業が発生してしまいます。導入したはいいが手間と時間が増えてしまっては、効率化とは逆行してしまい元も子もありません。

可能な限り多くの外部システムと連携でき、汎用性のあるシステムを選んで効率化を図るようにするのが無難です。

セキュリティ基準を満たしている

ワークフローシステムでは、従業員の個人情報や企業の機密情報などがデジタル形式で管理されることになります。そうした重要なデータに第三者がアクセスできてしまっては、企業の信用を失うだけではなく、対応を誤れば企業経営に大きな損害を及ぼす事態にも発展しかねません。

重要情報には一部の従業員しかアクセスできないよう権限設定や2段階認証の設定が可能なのか、いつ・だれが・どこから情報にアクセスしたのか追跡できるのか。システム選定時にはこのようなセキュリティ基準にも目を向けるようにしましょう。

直感的に操作でき、全従業員が使いやすい画面になっている

機能が豊富で高価なワークフローシステムを導入したものの、従業員に受け入れられず使われなくなってしまっては導入までにかけた労力がすべて無駄になってしまいます。

そうならないためにも、直感的に操作でき、全従業員が使いやすい画面になっているかは大切なポイントです。わかりやすくシンプルな画面構成か、パソコンに不慣れな従業員でも直感的に操作可能か、動作スピードは快適でストレスを与えないか。

ワークフローの製品によっては、デモだけでなく30日間無料で利用できるものなどもあります。実際に操作して使用感や操作性を確認しておくと、従業員が利用するイメージがつかみやすくなり、安心できるでしょう。

デジタルワークフローシステムの運用事例

ここからはデジタルワークフローシステムの運用を実際に開始した、3社の成功事例を紹介していきます。

有給申請のペーパーレス化で約90%の時間を削減した事例


「東洋で一番輝く企業」を目指し、札幌・仙台・関東を中心に約50店舗の飲食店を展開する株式会社イーストン。

正社員・契約社員・パート・アルバイトを合わせて約1,150名の従業員が働く同社では、4つの情報共有ツールが混在していたため、情報共有の抜け漏れや紙ベースによる各種申請の煩雑さに課題を感じていました。

そこで、情報の一元化と各種申請の簡素化を目指し、「TUNAG」を導入。バラバラになっていた情報を一元化し、紙で行われていた各種申請をデジタルで運用することに舵を切りました。

導入後、情報にアクセスしやすくなった結果、従業員の有給申請件数が5.8倍にアップしています。有給の申請時間は5分から30秒へと約90%削減され、申請件数が増えたにもかかわらず、集計にかかる時間も軽減されました。

また「営業日報」や「QSC改善報告」で店舗の取り組みも共有できるようになり、店舗を超えた情報のやりとりが活性化されることとなりました。

導入事例記事はこちら>>
有給申請のペーパーレス化で約90%の時間削減:申請承認・チャット・掲示板を1つのアプリにまとめたイーストンの事例

申請・承認の作業時間を月あたり108.5時間の短縮に成功した事例

日本全国に約200店舗(2024年3月現在、米軍基地店舗を含む)を構えるサンドイッチチェーン「サブウェイ」。その日本法人となる日本サブウェイ合同会社は、毎年店舗数を伸ばし順調な発展を遂げてきました。

そんな同社の課題は、店舗拡大に伴う業務負荷の増大でした。店舗からFAXで受け付ける各種申請の処理は特にわずらわしく、備品発注申請や各種届出など10数種類におよぶ申請書のFAXは月間200枚以上もあり、記入漏れによる書類の差し戻しや担当者不在による承認の遅れなどが常態化していました。

この状況を打開すべく、申請・承認業務の効率化、早期化の実現へ向けてワークフローシステム「X-point Cloud」を採用。各店舗からFAXにより行われる各種申請作業と、本部内における承認作業をワークフローシステムに置き換える運用を開始しました。

その結果、FAX送信の失敗や記入漏れ、書類紛失はゼロに。月あたりの申請報告関連作業時間は152時間から43.5時間と大幅に削減され、劇的な業務効率化を実現しました。

関連記事はこちら>>国内約450店舗にワークフローシステムを導入 申請・承認手続きのシステム化により、店舗およびフランチャイズ本部の生産性向上を実現

複雑なワークフローをデジタル化で3割の工数を削減した事例

スポーツ用品の製造・販売やゴルフ場の運営なども手がけるヨネックス株式会社。「独創の技術と最高の製品で世界に貢献する」を経営理念に掲げ、日本を代表するスポーツブランドとしてこれまで成長を遂げてきました。

しかし、組織が大きくなるにつれて稟議書や報告書の申請、承認プロセスの確認に大幅な時間が割かれてしまっていました。ワークフローの汎用システムは導入していたものの、細かい対応まではカバーできず、手作業での管理が発生していたのです。

そこで、全社的な業務効率化を目的にワークフロー基盤として「SmartDB」を導入。業務部門が主体となり、情報システム部との連携でスピーディーに全社へと展開していきました。

その結果、従来の申請ルートは5分の1に整理され、紙の報告書は7分の1まで削減されることとなりました。さらに、3割以上の工数と数百万円のコスト削減に成功し、これまで以上に業務のスリム化を達成できました。

関連記事はこちら>>複雑なワークフローを、現場主導のデジタライゼーションによって工数3割削減

まとめ | デジタルワークフローの活用で社内申請を効率化

今回はデジタルワークフローの概要や具体的な商品を紹介してきました。

デジタルワークフローを導入することで、これまで紙の運用でかかっていた余計な手間・時間・コストを削減し、社内申請の効率化が期待できます。そのためには、どの書類の申請フローをデジタル化していきたいかの要件や、システムそのものの特徴やシステムの使い勝手、自社の状況・環境などを考慮しながら検討を進めていく必要があるでしょう。

本記事で紹介したシステム選定のポイントや実際の運用事例をぜひ参考にして、デジタルワークフローシステムの活用で自社の業務効率をアップさせましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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