業務分担表とは?作成するメリットや作り方、業務分担のコツを解説
チーム内での連携がうまくいっていないと感じているなら、業務分担表を作るのがおすすめです。各従業員の作業範囲が明確になるため、業務効率の改善につながるでしょう。業務分担表を作成するメリットや方法、作る際のポイントについて解説します。
業務分担表の基礎知識
業務分担表とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。求められる背景と併せて見ていきましょう。
業務分担表とは
業務分担表は、業務を従業員ごとに割り振った表のことです。どの業務が誰の担当になっているのかがひと目で分かるため、プロジェクトの全容を把握しやすくなります。
業務分担表がない場合は、基本的に自分の担当業務しか分かりません。メンバー同士やタスク間での連携を取りにくくなり、非効率が発生するリスクが高まります。
何らかの理由でメンバーが不在となった場合も、業務分担表がなければサポートしにくいでしょう。大規模なプロジェクトでは、業務分担表の用意が必須といえます。
業務分担表が求められる背景
働き方が多様化している現代においては、かつてに比べチーム管理が難しくなっています。全てのメンバーがプロジェクトの開始から完了までフルコミットできるとは限らないのです。
また、リモートワークを導入するケースが増えたことで、業務へのアプローチに物理的な制限がかかることも少なくありません。離れた場所のスタッフとスムーズに連絡を取れないのなら、前もって業務をきちんと割り振っておく必要があります。
このように、時間的・物理的制約が多い場合は、業務分担表を作るのが効果的です。労働環境の変化が進むにつれ、業務分担表の重要性も増していくでしょう。
業務分担表を作成するメリット
プロジェクトの全容を見える化できる業務分担表には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。業務分担表がチームにもたらす効果を紹介します。
業務範囲が明確になる
業務分担表の用意がないままプロジェクトをスタートさせると、自分の担当する業務範囲が分からなくなる従業員が出てきます。仕事がスムーズに進まなくなり、業務効率の低下につながりかねません。
一方、業務分担表を作成しておけば業務範囲が明確になるため、仕事におけるロスが発生しにくくなります。自分のすべきことがはっきりと分かっている状況では、従業員のモチベーションも向上しやすいでしょう。
業務の属人化を避けられる
業務の属人化とは、特定の従業員しかその業務の進め方や進捗が分からないことです。同じ業務を1人の従業員が担当し続けた場合、業務が属人化しやすくなります。
特定の従業員に業務が依存しているケースでは、その担当者がいなければ業務を進められません。プロジェクト全体の進捗が停滞する恐れがあります。
業務分担表を作成すれば各業務の担当者を把握できるようになり、特定の担当者に仕事が偏るのを防げるため、業務の属人化を避けることが可能です。
責任感が強まる
業務分担表を作成するメリットの一つに、従業員の責任感が強くなることが挙げられます。自分が担当する業務と他の業務とのつながりが分かりやすくなり、「自分の仕事が遅れて周囲に迷惑をかけるわけにはいかない」と思うようになるためです。
メンバー全員が自分の仕事に対して強い責任感を持てば、チーム全体の最適化を考えて仕事に取り組むため、プロジェクト自体がスムーズに進みます。
従業員同士が助け合える
業務分担表があると各メンバーの進捗度が可視化されます。業務の遅れも把握しやすくなるため、従業員同士が助け合える環境をつくれます。
業務分担表を作成しないプロジェクトでは、基本的に管理者しか全体の進捗を把握できません。余裕のある従業員がサポートに回りたいと思っても、管理者から連絡がなければ誰をサポートすればよいのか分からないのです。
業務分担表の作り方
業務分担表を作る際は、無料のテンプレートを活用するのがおすすめです。自社に適したテンプレートをダウンロードして使えば、作成にかかる時間や手間を抑えられます。
ただし、自社のプロジェクトに合うテンプレートが必ず見つかるとは限りません。業務分担表をゼロから作成しなければならないケースでは、以下で解説する作り方に沿って作成しましょう。
全ての業務を洗い出す
業務分担表の作成で最初に行うのは、全ての業務の洗い出しです。プロジェクトを完了させるために必要な全ての業務を、まずは簡易的にまとめておきましょう。
分担表の作成者が全ての業務を把握しているとは限らないため、洗い出しの段階ではメンバーからのヒアリングも実施し、プロジェクトの全容を捉えておく必要があります。
また、最初から業務を一覧に固定してしまうと、作成中の変更が面倒になりがちです。洗い出しの段階では業務を一覧に反映せず、修正しやすいメモに書き出しましょう。
業務を一覧化する
全ての業務を洗い出したら一覧化の作業に移ります。業務の一覧化で必要な情報は、業務名・作業時間・連携部署です。主にこの3つを項目として設けます。
業務分担表の作成では、業務ごとの情報をできるだけ詳細に把握しましょう。一覧の項目にする情報以外の情報も、従業員を割り当てる作業で役立ちます。
業務量が多い場合は、業務をカテゴリに分けるのがおすすめです。メンバーごとに業務を色分けすれば、より見やすい一覧に仕上がります。
従業員を割り当てる
日程や業務範囲を決めて一覧を作成したら、最後に従業員を割り当てます。次のポイントを意識して人員を配置しましょう。
- メンバーのスキルに見合った業務を割り当てる
- 特定のメンバーに業務が偏らないようにする
- メンバーのスケジュールや希望を反映させる
人員配置のポイントは、適材適所とリソース最適化です。作成後は各メンバーに見てもらい、無理のない分担になっているかチェックしてもらいましょう。
業務分担表を作る際のポイント
業務分担表の作成自体は、それほど難しいことではありません。しかし、単に業務を分けてメンバーを振り分けるだけでは、スムーズな運用につながらない恐れがあります。
業務分担表を適切かつ継続的に運用するためには、ポイントを押さえて作成することが大切です。業務分担表を作る際に意識したいポイントを見ていきましょう。
計画に余裕を持たせる
メンバーのスキルを考慮して仕事を割り振っても、実際にスケジュール通りの運用が実現するとは限りません。特に、メンバーにとって初めて取り組む仕事は、設定した期間内に終わらないケースもあります。
また、プロジェクトではイレギュラーな業務も発生します。当初の予定にはなかった業務であっても、プロジェクトの進行上必要なものなら、誰かが追加で担当しなければなりません。
このようなリスクをあらかじめ想定し、余裕を持った計画を立てることが重要です。メンバー同士のサポートが難しい場合は、チーム外からのサポートも受けられる体制を整えておきましょう。
PDCAを回す
業務分担表の運用中はPDCAを回しましょう。PDCAとはPlan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字を取った言葉であり、業務改善や目標達成のために使われるフレームワークです。
分担表に沿ってプロジェクトを進めていくと、問題が発生することがあります。PDCAを回して問題の改善に努めれば、業務分担表をブラッシュアップしていくことが可能です。
最初から完璧な業務分担表を作れるケースはほとんどありません。しっかりと作り込んだつもりでも、想定外の問題は発生するものです。PDCAを回しながら改善を図っていきましょう。
業務を細かく分ける
分担表の作成時に業務を洗い出す際は、業務をできるだけ細かく分けるのがおすすめです。一つの業務が半日~1日で終わる設定にするとよいでしょう。
数日~1週間程度かかる業務があると、時間設定にずれが生じやすくなるほか、進捗も遅れやすくなります。問題が発生した場合も気付きにくいでしょう。
業務を細分化した結果、同じメンバーが連続で担当することになっても、そのまま運用した方がさまざまなケースに対応しやすくなります。
雑務も担当を決める
プロジェクトではさまざまな雑務が発生します。基本的に雑務は誰でも対応できるため、分担表に反映しないケースが多いでしょう。
しかし、雑務も誰かの時間を割いて行われることになります。空いた時間に誰かがやればよいと考えるのではなく、スケジュールに組み込むべきです。
また、全メンバーが忙しくて誰も雑務に対応できないケースも考えられます。雑務を放置するとさまざまな悪影響を及ぼし、チームの士気低下も招きかねません。
業務分担表では雑務の担当も決め、誰かが対応できるようにしましょう。
優先順位を設定する
業務分担表はリスクを考慮して作成する必要があります。重要なリスク管理として挙げられるのが優先順位の設定です。
分担表に割り振った全ての業務が、設定期間内に終わるとは限りません。達成度が100%にならなかった業務も、プロジェクトを完遂するためには達成度を100%にする必要があります。
業務ごとに優先順位を決めておけば、終わらなかった業務について、どれから対応すればよいのか判断しやすくなるでしょう。優先順位は運用中に考えるのではなく、あらかじめ設定しておくのがおすすめです。
業務分担表で組織力を強化
プロジェクトの進捗管理が難しい場合や、チーム内の連携がうまくいかない場合は、業務分担表を作成しましょう。業務範囲が明確になるため、ロスが生じにくくなります。
従業員の責任感が高まることや、メンバー同士がサポートし合えることも、分担表を作るメリットです。各業務の担当者が分かるため、業務の属人化も防ぎやすくなります。
作り方やポイントも理解した上で適切な業務分担表を作成し、組織力を強化してプロジェクトをスムーズに進めていきましょう。