フリンジ・ベネフィットとは?福利厚生との違いや導入するメリット

働く環境の改善を図るための施策を調べている中で「フリンジ・ベネフィット」という言葉を目にしたことはありませんか?福利厚生と似ているようですが、具体的にどのような違いがあるのか、導入するとどのようなメリットがあるのか気になる方も多いでしょう。本記事では、フリンジ・ベネフィットの基本的な知識から具体的な導入例、企業と従業員双方のメリットまで、人事担当者が知っておくべき情報を詳しく解説します。

フリンジ・ベネフィットの基礎知識

フリンジ・ベネフィットを効果的に活用するために、まずは基本的な概念と福利厚生との違いを理解しましょう。

フリンジ・ベネフィットとは

フリンジ・ベネフィット(Fringe Benefit)とは、企業が給与や賞与とは別に、従業員に提供する金銭的・物的な便益を指す言葉です。「フリンジ」は「周辺の」「付随的な」という意味があり、基本給に付随して提供される各種手当や制度全般を表しています。

フリンジ・ベネフィットは、従業員にとっては実質的な収入増加となり、企業にとっては人材確保と定着率向上の重要な施策となります。

フリンジ・ベネフィットと福利厚生の違い

フリンジ・ベネフィットと福利厚生は密接に関連していますが、厳密には異なる概念です。

項目

フリンジ・ベネフィット

福利厚生

定義

給与以外の経済的利益

従業員の生活向上支援制度全般

法的位置付け

企業の任意提供

法定福利厚生と法定外福利厚生

範囲

経済的メリットに特化

経済的・非経済的支援を含む

税制

条件下で非課税

法定は社会保険料、法定外は条件により変動

広義にはフリンジ・ベネフィットも福利厚生に含まれますが、特に給与外の経済的メリットに特化している点が特徴です。

フリンジ・ベネフィットのメリット

フリンジ・ベネフィットの導入は、企業と従業員の双方にとって多くのメリットをもたらします。どのようなメリットがあるのかを、詳しくみていきましょう。

税制上のメリットがある

フリンジ・ベネフィットが企業に選ばれる大きな理由のひとつが、税務上の優遇措置です。企業側は、支給した福利厚生費を損金として計上できるため、法人税の課税対象所得を減らすことが可能です。

また、現金支給と異なり、一定の福利厚生費は社会保険料の対象外となるため、保険料負担を抑える効果も期待できます。

消費税についても、条件を満たせば仕入税額控除が適用され、コスト面でのメリットが明確です。

一方、従業員側にも恩恵があります。一定の範囲内であれば所得税・住民税が非課税となるため、実質的な手取り増につながるのです。

従業員のモチベーション向上につながる

フリンジ・ベネフィットは、従業員の満足度を高める重要な要素です。給与以外の部分で生活のサポートを受けられることで、企業への信頼や帰属意識が強まり、仕事への意欲向上につながります。

特に、住居手当や交通費補助、食事補助といった日常生活に密接に関わる制度は、生活コストの軽減だけでなく、働きやすさの実感にもつながります。

さらに、健康診断や人間ドックの提供、自己啓発支援といった制度があれば、従業員は自らの健康や成長に対する安心感を得られるでしょう。

採用活動でアピールできる

フリンジ・ベネフィットの充実は、求職者にとって企業選びの重要な判断基準となっています。給与水準だけでは比較が難しい中、住宅補助や食事補助、健康支援などの制度が整っている企業は「働きやすさ」や「将来の安心感」を訴求することができ、結果的に応募者の増加につながります。

特に、企業文化として従業員を大切にする姿勢が伝われば、企業イメージの向上にも寄与します。

具体的な制度内容や活用実績を積極的に開示することが、他社との差別化につながる大きなアドバンテージとなるのです。

フリンジ・ベネフィットの代表例

実際にどのような制度をフリンジ・ベネフィットとして導入できるのか、代表的な例を詳しく見ていきましょう。

通勤手当

通勤手当は最も一般的なフリンジ・ベネフィットの一つです。

特に都市圏においては交通費の負担が重いため、その実費を企業が支給することで従業員の経済的負担を軽減できます。

制度としては、1カ月あたり15万円までの通勤手当が非課税とされている点が大きなメリットであり、定期券を現物で貸与する方法や、給与に上乗せして支給する方法が一般的です。

社宅

社宅制度は、特に住宅費が高騰している都市部で非常に効果的な制度です。企業が所有する住宅を貸し出す「社有社宅」、外部の賃貸物件を企業が借り上げて従業員に提供する「借上社宅」、あるいは住居費の一部を補助する「住宅手当」など、形態はさまざまです。

税制面では、企業が提供する住居が無償または低額である場合、一定の基準を超えると現物給与と見なされ課税対象になるため、適正な家賃設定が重要です。

健康診断

従業員の健康管理は企業にとって生産性維持の土台であり、健康診断制度の拡充は非常に意義のあるフリンジ・ベネフィットです。

法定の一般健診に加え、がん検診や人間ドックの補助制度を導入する企業も増えています。中には従業員だけでなく家族も対象に含めるケースもあり、健康への配慮を示す取り組みとして高く評価されています。

食事補助

日々の食費支援は、従業員満足度を高める身近な施策の一つです。社員食堂の設置や弁当の補助、食事券の支給などがあり、特に働く場所が固定されている製造業や事務職などで導入されやすい制度です。

制度設計においては、従業員が食費の半額以上を自己負担し、企業の補助額が1人あたり月3,500円以下であれば、福利厚生費として非課税扱いが可能とされています。

慶弔金

従業員の人生における節目、たとえば結婚や出産、あるいは不幸があったときに企業から支給される慶弔金も、重要なフリンジ・ベネフィットです。

この制度は、従業員が会社からの思いやりや支援を実感できる機会であり、企業文化の表現にもつながります。

制度を設計する際には、支給のタイミングや金額、適用対象などを明文化し、全従業員に平等に適用されることが求められます。過度に高額な支給は避けつつ、社会通念上妥当な範囲での設計が重要です。

出張手当

通常の交通費や宿泊費とは別に支給される出張手当は、出張時の不便や時間外労働の負担を補うための制度です。

非課税の範囲で支給されるため、手取り増につながる点が特徴です。出張中の実費を超える部分に関しても、「日当」として認められる場合があり、税務上の取り扱いにも配慮した設計が求められます。

社員旅行

社員旅行は、従業員間の交流や士気向上、心身のリフレッシュを目的とした古くからの福利厚生制度の一つです。

近年では廃止される企業もある一方で、再注目する企業も少なくありません。福利厚生費として税務上認められるには、「全従業員の50%以上が参加」「旅行日数が4泊5日以内」など、国税庁が定める条件を満たす必要があります。

フリンジ・ベネフィットを導入しよう

フリンジ・ベネフィットは、従業員のモチベーション向上と人材確保・定着に大きく貢献する重要な施策です。税制上のメリットも活用しながら、企業と従業員の双方にとってメリットのある制度を構築することができます。

導入を検討する際は、従業員のニーズを的確に把握し、自社の事業特性や予算に応じた制度設計を行うことが重要です。また、税制上の要件を満たす適切な運用により、コスト効率的な福利厚生の充実を図ることができるでしょう。

「TUNAG(ツナグ)」は、フリンジ・ベネフィットの導入から運用、効果測定までを包括的にサポートします。

具体的には、従業員のニーズ調査を通じて最適な福利厚生制度を設計し、その利用促進のためのコミュニケーション機能を提供。

さらに、制度の利用状況や従業員の満足度を可視化することで、継続的な改善が可能となります。

フリンジ・ベネフィットの効果的な導入と運用を検討されている企業にとって、TUNAGは強力なパートナーとなるでしょう。

TUNAGベネフィット

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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