コンセンサスの正しい意味とは?重要性や施策について解説

リモートワークの常態化と働き方の多様化が進む中、組織内のコンセンサス形成がこれまで以上に重要になっています。本記事では、コンセンサスの本質的な意味から、デジタル時代における効果的な合意形成の方法まで、組織に必要なコンセンサスについて解説します。組織の意思決定力を高め、生産性向上につなげましょう。

ビジネスにおけるコンセンサスの意味とは?

「コンセンサス」という言葉はビジネスシーンでよく用いられますが、使用されるシーンはあまりに多く、また意味も広いことから本来の意味について、実は曖昧なまま使っている人も多いのではないでしょうか。

まずは、コンセンサスの言葉としての意味について解説します。

コンセンサスの意味は「同意」

「コンセンサス」は、英語の「consensus」が由来になっている片仮名語です。「同意」「総意」といった意味があります。相手の同意を得るときによく用いられますが、ビジネスで使われる場合、それ以上の意味を持つこともあります。具体的には、「全員が納得して受け入れられる合意点を見いだすこと」を意味します。

例えば、新製品の開発会議でデザインや機能について議論する場面を想像してみてください。各部門の意見が完全に一致することはまれですが、それぞれの立場や懸念事項を理解し、妥協点を見出すことで最終的な決定に至ります。この過程こそが、コンセンサスの本質です。

近年、リモートワークやハイブリッドワークが一般化する中、オンライン上でのコンセンサス形成がより重要になっています。ビデオ会議ツールやコラボレーションプラットフォームを活用し、非言語コミュニケーションの不足を補いながら、効果的な合意形成を行うスキルが求められているのです。

コンセンサスとアグリーメントの違い

コンセンサスとアグリーメントは、しばしば混同されますが、重要な違いがあります。コンセンサスが、会議やチーム内で複数人に対して同意を得るのに対し、アグリーメントは一人に対して同意を得る場合に用います。

例えば、あるプロジェクトで上司一人に対して許可を求める場合はアグリーメントですが、チーム全員の同意を求める際にはコンセンサスを用います。相手の人数によって言葉を使い分けてください。

コンセンサスがなぜ重要なのか

ビジネスでは、コンセンサスを取ることはとても重要です。その理由について、主に3つの要因から解説します。

目的と認識を統一する

ビジネスシーンにおいて、人数が多い場面での意思決定はマイノリティの意見が無視されがちです。その結果、納得がいかないままプロジェクトが進むことに不満を持ったメンバーのモチベーションが下がるかもしれません。

しかし、コンセンサスを取ることで全員の意見を尊重し、協力を促せます。また、コンセンサスはチームビルディングにも有効です。メンバーが意思決定に参加することで、帰属意識や責任感、信頼が高まり、コミュニケーションが活性化します。

関連性のあるメンバー全員が目的と認識を統一して仕事に当たるために、コンセンサスは重要な役割を果たします。

トラブルを未然に防ぐ

コンセンサスを形成することは、将来的なトラブルや衝突を未然に防ぐ効果があります。全員が納得して決定に至ることで、後になって「聞いていない」「知らなかった」といった問題が発生するリスクを大幅に減らすことができるのです。

具体的な例を挙げてみましょう。社内の新しい評価制度を導入する際、事前に十分なコンセンサスを形成することで、制度の目的や運用方法について全社的な理解を得ることができます。その結果、制度導入後の混乱や不満を最小限に抑えることが可能になります。

特に、現在のようなハイブリッドワーク環境下では、対面でのコミュニケーション機会が限られているため、こうした事前のコンセンサス形成がより重要になっています。オンラインツールを活用し、透明性の高い議論と合意形成のプロセスを確立することが、スムーズな組織運営の鍵となるでしょう。

チーム全体のパフォーマンスを共有する

コンセンサスを重視する組織文化は、チーム全体のパフォーマンスに対する共同責任意識を醸成します。全員が意思決定プロセスに参加し、その結果に納得していれば、成功も失敗も全員で共有する意識が生まれるのです。

例えば、四半期ごとの事業計画を立てる際、各部門の代表者がコンセンサスを形成することで、目標設定や戦略の妥当性について全員が当事者意識を持つことができます。その結果、計画の実行段階でも、部門間の協力が円滑に進み、全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。

特に現在の環境では、急速な市場変化やテクノロジーの進化に対応するため、組織の柔軟性が求められています。コンセンサスベースの意思決定は、一見時間がかかるように思えるかもしれません。しかし、全員が納得して決定に参加することで、実行段階でのスピードと効率が大幅に向上します。結果として、組織全体の俊敏性と競争力の強化につながるのです。

コンセンサスの課題と弊害

コンセンサスを実際に運用するためにはさまざまな課題があります。コンセンサス形成における主な課題と潜在的な弊害について解説します。

人数が増えるほど達成が難しい

組織の規模が大きくなるほど、全員の意見を聞き、納得のいく合意点を見出すことは困難になります。これは、単純に意見の多様性が増すだけでなく、コミュニケーションの複雑さも増大するためです。

例えば、10人程度の小規模チームであれば、全員で話し合いを持ち、比較的短時間でコンセンサスに達することができるでしょう。

しかし、100人規模の部門や、1,000人以上の大企業全体でコンセンサスを形成しようとすると、プロセスが非常に長期化し、効率が低下する可能性があります。

調和を意識した非合理な結論に至ることがある

コンセンサス重視の文化が行き過ぎると「調和」や「全員の満足」を優先するあまり、最適とは言えない決定に至ってしまう可能性があります。これは特に、日本企業で見られがちな問題です。

具体例を挙げてみましょう。新製品の価格設定を議論する際、マーケティング部門は高価格戦略を、営業部門は競合に対抗するための低価格戦略を主張しているとします。この場合、「両者の中間の価格に設定する」というコンセンサスに達するかもしれません。しかし、この「妥協の産物」が本当に市場で競争力を持つ価格なのか、疑問が残ります。

こうした中途半端な決定が企業の競争力を低下させる要因となりかねません。選択すべき責任を曖昧に回避した結果、本来出すべき結論から大きくズレてしまうことが起こり得ます。

コンセンサスを得るための効率的な方法

スピードと柔軟性が求められる現在のビジネスにおいて、コンセンサスを軸にしたワークフローの難易度は高いといえます。それでは、上記で紹介したような課題を解消して適切にコンセンサスを得るためには、どのような方法を選択するべきでしょうか。

議題の論点と目的を共有する

効率的なコンセンサス形成の第一歩は、議題の論点と目的を明確に共有することです。現在のビジネスシーンでは、情報過多がしばしば意思決定の障害となります。そこで、議論の焦点を絞り、参加者全員が同じ方向を向いて議論できるよう準備することが重要です。

例えば、新しい顧客管理システムの導入を検討する会議を想像してみましょう。事前に「現状の課題」「導入の目的」「主な検討事項」をクラウド上のドキュメントで共有し、参加者があらかじめ目を通せるようにします。AIを活用した議題分析ツールを使用すれば、過去の類似案件から重要なポイントを抽出し、議論の土台を効率的に準備することも可能です。

論点と目的を明確にし、事前に共有することで、限られた時間内で効率的にコンセンサスを形成できるだけでなく、参加者全員が当事者意識を持って議論に臨むことができます。

話し合いの内容は記録する

コンセンサス形成プロセスの透明性と継続性を確保するためには、話し合いの内容を適切に記録することが不可欠です。参加者が内容を見返せるとともに、後で言った言わないの水掛け論にならないためにも必要なプロセスになります。

記録を取る際は、単に決定事項だけでなく、その背景にある理由や検討過程も含めるようにしましょう。例えば、「案Aを採用」だけでなく、「案Bと案Cも検討したが、〇〇の理由で案Aが最適と判断」といった具合です。後から振り返った際に、コンセンサスに至った経緯をより深く理解することができます。

また、記録はクラウド上で共有し、タグ付けやカテゴリ分けを行うことで、必要な情報に素早くアクセスできるようにしましょう。これは、新しいメンバーのオンボーディングや、類似案件の検討時に非常に役立ちます。

ツールを導入して意思決定を図る

議題によっては、関係者全員で集まって会議を開かなくても、デジタルツールを活用してコンセンサスを採ることができます。

例えば「TUNAG」には、社内チャットやワークフローの機能が備わっており、TUNAGを通して議題を確認し、同意・承認を得ることが可能です。この方法の最大のメリットは、参加者が任意の時間に資料や議題を確認してアクションを行えるため、全員の時間を調整する必要がないという点です。

TUNAGには、他にもオンライン上で活用できる機能が多くあります。DXの推進を検討している場合、TUNAGを活用してみてはいかがでしょうか。


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コンセンサスの取得で円滑に業務を進める

コンセンサスを形成することで、組織の目的と認識を統一し、多様な意見を尊重しながら効率的な意思決定を行うことができます。

現在のビジネス環境では、AIやデジタルツールを活用しつつ、メンバー同士の協力と理解を深めることが不可欠です。議題の明確化、内容の適切な記録、そして最新のツールの導入により、リモートワーク環境下でも効果的なコンセンサス形成が可能になります。

コンセンサスを重視する文化を築くことは、短期的な効率だけでなく、長期的な組織の持続可能性にも大きく寄与します。本記事で紹介した方法を参考に、組織のコンセンサス形成におけるプロセスを見直してみてはいかがでしょうか。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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