強い組織を作るためには?具体的な取り組みや成功事例を解説

強い組織とは?

強い組織とは、社員に共通の理念があり、全社一丸となって企業の目標に向かい邁進している組織です。強い組織には、基本となるスタイルが存在します。

つまり、専門的なスキルをもった専門家の部署を編成することで、各専門家の機能が十分に発揮できるのが強い組織です。

例えば、経理や広報など、それぞれの専門職の担当者が所属する部署で業務をこなし効果的な業務が可能になります。さらに、各専門家の指揮系統が明確で、部下を10名程度の少人数で形成されています。業務の報告・連絡・相談を徹底すると、必要な情報を共有できる組織形成ができ、これらは強い組織となります。

強い組織の特徴

アメリカの組織論学者であるチェスター・バーナードが提唱する強い組織には3つの特徴があり、どの業種の強い組織にも共通しています。

例えば、強い組織はオープンな社風であったり、組織内で活発に意見交換が行なわれる、などです。それでは、強い組織に共通する3つの特徴について解説します。

社内で円滑なコミュニケーションが取れている

オープンで社員同士が活発にコミュニケーションを取っている強い組織では、社員同士が積極的に意見交換をして、双方の考えをシェアします。意見は食い違った際には、どのように解決するのかを考えて、適切な方法を模索して実行します。

社内のコミュニケーションが円滑に取れると、伝えるべき事柄が相手に正確に伝わります。そうすると信頼関係を築くことができるので、組織として強くなれるのです。

さらに、上司と部下の関係が明確なことも大切な秘訣だといえるでしょう。常に報告、連絡、相談をすることで無駄がない業務を遂行することができるのです。

協働意欲がある

協働意欲がある組織では、個々の社員が高いモチベーションを示し、お互いにサポートをして足りない部分を補うように自律して動くため、組織力が高まります。

有名な戦国武将、毛利元就の言葉に「3本の矢を重ねることで折れにくくなる」という三矢の訓は有名ですが、同じ毛利元就の言葉に「百万の人が心を一つに」という一致団結の重要性を謳った言葉があります。

この例えからも分かるように強い組織は協働意欲があり、ひとり1人の能力を組織として1つに束ねる事で何倍にも強い組織になると考えられます。

組織全体が共通の目標に向かっている

強い組織であるためには、全社一丸となって組織全体が同じ目標に向かっていて、目標達成のために「ビジョン」と「企業理念」を共通の認識として設定し、2つの側面により日々邁進していきます。

この2つの側面とは、「組織としての側面」と「主観的側面」です。「組織としての側面」では、既に述べたように組織で働く社員が、それぞれのスキルを活用して組織に貢献して組織を強いものにします。

もう1つは社員個人としての側面で、自分の理想や家族のために自分自身の能力を高め、組織で活躍することで強い組織ができます。

強い組織を作るための具体的な取り組み

このように、強い組織を作るためには3つの特徴に対してそれぞれの取り組みがあります。その取り組み方法は、具体的に次の通りです。

コミュニケーションを活性化させる取り組み

組織内で活発なコミュニケーションをする方法にはいくつか方法がありますが、組織内や社内などで特定部署だけでなく、他部署の人や同じ組織内でも多数の人とコミュニケーションができるような工夫が必要となります。

例えば、営業職など業務内容によっては組織内のデスクを個別に設定せずに、自由にどのデスクを使えるようにして多数の社員と接触する機会を増やす。ミーティングスペースを設けることで積極的に発言しやすい雰囲気を作るなど、誰もが気兼ねせずに自分の考えや意見を述べるための取り組みが重要です。

その他にも

  • リフレッシュスペースを設ける
  • 組織内のイベントの開催
  • 社内SNSやチャットの活用など

いつでも、すぐにコミュニケーションできる環境を整備しているのがポイントです。

協働意欲を高めるための取り組み

協働意欲を高めるには、相互理解の促進や心理的安全性の向上などの取り組みが挙げられますが、人事評価制度の見直しからのアプローチも可能です。例えば、年功序列の古いタイプの人事評価ではなく、社員個人の能力や業務遂行力、目標に達成できたかなど個人のパフォーマンスなどに応じて適正に評価する人事制度の導入です。

つまり、社員の組織への貢献度や本人の職務遂行能力を適正に評価され、収入や昇進につながる制度を示します。社員のモチベーションにもつながり、組織としての信頼になり、目標達成のために貢献できる社風につながるためです。

その他にも、社員のライフバランスを重視した働き方ができるような組織作りなども協働意欲を高める取り組みとして活用されています。

全従業員が同じ目標を目指すための取り組み

強い組織は、全社員が共通の目標を達成するために効率的に自分の業務をこなすことに専念しています。そのためには、3つの取り組み方法があり、実践をしています。

■明確で具体的な目標設定をする

 モチベーションを高めて目標達成をするためには、出来るだけ明確で具体的な目標設定を定めることです。出来れば目標達成の時期についても、いつ頃までに達成するのかを具体的な方法と共に設定することが重要になります。

■目標設定は達成が可能なものを設定する

 組織全体のモチベーションを高く保つためには、目標設定は達成困難なものではなく、達成できるものである必要があります。一方、目標達成を重視するあまり、低い目標を設定すると組織としての成長が見込めません。

 つまり、目標達成は社員が難しいことにチャレンジでき、達成できる内容で設定されていま す。

■組織の目標は個人の目標とリンクしている

 強い組織の目標設定は、組織としての目標と社員個人の目標がリンクしていることが求められます。つまり、社員がチャレンジできる目標設定になっていることで、会社への貢献度と組織が成長するために、この取り組みは重要になります。

強い組織を維持するための5つのポイント

実際に強い組織にするための取り組みをしたら、その状態を維持する必要があります。社員が組織の一員となって強い組織を構築する取り組みをしても、長期にわたり維持しなければ強い組織とは言えないのです。

強い組織は、各役割、機能に応じて業務分担を細分化し、担当ごとの専門性を高めて業務と生産性の向上を図っています。強い組織を維持するには5つの原則に基づいた対策をする必要があります。

責任と義務を全うするための権限を付与する

強い組織は、部下と上司の関係が明確で部下からの連絡・報告・相談を徹底しています。上司は、部下から業務に関する連絡や相談を受けた場合には、どのようにするかを決定する権限があります。

また、社員全員の職務に対しても、責任・義務・権限の3要素は、全てイコールの関係で与えられています。

つまり責任=義務=権限となり、社員は自分の職務権限の範囲内で能力の活用と、創意工夫をしながら業務を行ないます。強い組織では、個人の能力を十分に活用できるので、責任と権限のバランスが取れているといえるでしょう。

業務指示を一元化する

強い組織では、業務の指示が一元化されているため明確です。部下は1人の上司から指示や命令を受けて、それに従います。部署内の混乱や無駄がないため、効率的に業務を遂行することができます。

このことは命令一元化の原則ともよばれますが、強い組織では命令一元化と業務の効率化を行なっています。

適切な統制範囲を設定する(スパン・オブ・コントロール)

強い組織では、1人の上司に対して部下は多くて10人までの小グループで構成しています。これは、統制範囲(スパン・オブ・コントロール)の原則とよばれ、上司1人に対する部下の数を制限することで業務が効率的に遂行するための方法です。

この原則によると、部下の数は一般的に企業において5~10人、工場の製造ラインにおいては20~30人程度が適切であるとされています。そのため、強い組織では統制範囲の原則に基づいて組織形成をしているため、強さを継続しています。

専門スキルを活かす人材戦略を行う

強い組織で、専門的なスキルがある社員により高度な専門業務の生産性を高めるため、機能毎に業務を細分化しています。専門化の原則により人員配置を行うことで、業務のトラブルやミスが減少して専門性の熟練度が高くなり、社員の自分の業務に対する責任感が強くなります。

業務の権限委譲を進める

業務で発生する定型書類の作成などのルーティン業務は、より専門性が必要とされる組織の上司が行なわず、部下などが行なうことで上司はルーティン以外の業務に専念できます。

この方法を権限委譲の原則といい、ルーティンワークの権限を部下に委譲することで、それぞれの人員に対して適切な業務分担が行なえるため効率化が図れます。

強い組織づくりに成功した事例

実際に、社内活性化の取り組みや社内制度を整備して強い組織づくりに成功した事例を紹介します。

現場社員を含めたコミュニケーションを活性化させた事例

株式会社ヤマハミュージックマニュファクチュアリング様は、静岡県に本社を置く楽器・音響機器メーカーです。

同社は、約1,500人いる社員の大半は工場勤務であり、日常的にパソコンを使用するスタッフと使用しない生産現場との間で情報伝達量・速度に差があることに課題を抱えていました。その他にも、部署を超えた交流が生まれにくく、他の従業員がどのような仕事をしているかが見えづらい状態でした。

そこで、全従業員へのタイムリーな情報伝達を目的として「TUNAG」を導入しました。取り組んだ施策としては、生産現場で働く社員のために社内からの情報をスマートフォンでいつでも閲覧できるようにし、生産現場の方たちがいつでも情報を得られるように配慮しました。また、社内の仲間や自社製品についての情報も発信するようにしています。

結果として、生産現場と間接業務者の情報格差が解消され、各自のスマートフォンで情報が平等に伝わるようになりました。

取り組み事例はこちら>>「組織として固まっていきたい」 現場職にも間接業務者にも平等に情報を届ける、楽器音響機器メーカーのTUNAG活用法

事業拡大の中でも、経営と従業員の距離を縮めた事例

株式会社Eグループ様は、「みんなが笑顔になる介護の実現」を経営理念に掲げ、愛知県に有料老人ホーム、訪問介護・看護、障がい者グループホームなどの事業展開しています。

同社では、強い組織を作るために理念経営を推進していたものの、事業が拡大するにつれて、経営理念の浸透や事業所間のコミュニケーションが困難になっていることが課題でした。

そこで、経営と現場の距離が近づき、全スタッフに想いを伝えられるツールとしてTUNAGを導入します。導入後は、申し送りなどの業務上の情報共有から事業所同士のコミュニケーションをTUNAGで実施しています。

TUNAGの活用により事業部ごとの取り組みが可視化されただけではなく、経営メンバーからダイレクトに想いを伝えることができ、「ほったらかしにされているわけじゃないんだ」「見てくれてるんですね」と、良い意味で距離が近づいているとのことです。

取り組み事例はこちら>>「みんなが笑顔になる介護」を目指して:代表とスタッフの距離を埋めた、Eグループの社内コミュニケーション

社内研修・教育の場を提供し、自律的な組織づくりを実現した事例

コンテンツマーケティング事業・自社メディア事業を展開するサムライト株式会社様では、コミュニケーションが生まれる社内イントラとして「TUNAG」を活用しています。

同社の特徴的な取り組みとして、「CHALLENGEに成長あり。CHALLENGEに失敗なし。」という方針に関連して、メンバーの成長支援の制度「サムカレッジ」を運用しています。サムカレッジとは、社員が自ら手をあげて講師となり、社員同士で専門知識を身につけるための勉強会です。受講後はTUNAGの仕組みを利用して「単位」を獲得でき、単位が一定以上貯まったら、自己研鑽のために活用できる支援金がプレゼントされるというものです。その他にも書籍購入補助の制度を設けています。

これらの取り組みによって、従業員が楽しく自律的に学ぶ場が生まれただけではなく、他部署とのコミュニケーションも活発になったといいます。

取り組み事例はこちら>>行動指針が浸透する“サムカレッジ”の取り組みとは。社員の自発的な学びを楽しく促す「社内イントラ」として活用

まとめ | 強い組織を作るためには

強い組織は、「社内で円滑なコミュニケーションが取れている」、「協働意欲がある」、「組織全体が共通の目標に向かっている」の3つのと特徴があり、それぞれに対する取り組みをしています。さらに、強い組織作りを実行後には5つの原則に基づいて運営をしています。

強い組織は、社員全員に共通の認識があり、目標達成のために組織に貢献をしてくれます。この記事を参考にして、強い組織作りのために課題を解決してください。

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