組織力強化で企業はどう変わるのか?事例や組織力が高い企業の特徴を解説

従業員一人ひとりが持つ強みが重なり合うと、組織は想像以上の力を発揮します。

組織力を強化することは企業の持つ潜在能力を最大限に引き出し、市場の変化に対応するために欠かせません。本記事では、組織力を高めるための具体的な方法、成功事例、そして人材育成やコミュニケーションを重視した強化法を解説します。

組織力とは?

組織力とは、企業などの組織に属するメンバーが、共通の目標を達成するために協力し、人や情報の連携によって発揮される力のことです。組織運営においては、会社全体の力部署・チームの力の2つに分けて、それぞれの特徴を捉えるとわかりやすくなります。

会社全体の組織力は、異なる部門や拠点が、経営理念やビジョンのもとで同じ方向に動ける状態を指します。会社の方針が全社員に行き渡り、部門間の壁を超えて連携できることで、市場変化にも素早く対応できます。

一方、部署・チームの組織力は、メンバー同士の信頼関係や心理的安全性、日々のコミュニケーションによって支えられます。1on1や情報共有、目標と役割の明確化などを通じて、一体感を持って動けるチームであるかどうかがポイントです。

種別

理想状態

強化するための取り組み例

会社全体の組織力

会社や他部署のことを理解したうえで、一貫した指針に基づき、事業が進んでいる状態

社長メッセージ

社内報 

ナレッジ共有

部署・チームの組織力

実務で、スムーズなコミュニケーションや連携が取れている状態

1on1、定例MTG

ランチ会 など

生成AIの台頭による急速な技術発展、人材の流動性が増し、先の読みにくい世の中で、こうした会社全体とチーム単位の両方の組織力を高めておくことが、企業が成長し続けるためにますます重要になっています。

組織力が高い企業の特徴

組織力の高さは抽象的な概念ではなく、具体的な特徴として現れます。実際に高い成果を上げている企業に共通する5つの特徴を理解することで、自社の組織力強化の方向性が明確になります。これらの特徴を参考に、自社の現状と照らし合わせてみましょう。

人間関係が良好で心理的安全性が高い

組織力が高い企業の特徴には、良好な人間関係と高い心理的安全性が挙げられます。心理的安全性とは、チーム内で対人リスクを取っても安全だと感じられる状態を指します。心理的安全性が確保されることで、失敗を恐れずに新しいアイデアを提案したり、建設的な批判を行ったりすることが可能です。

リーダーや上司が従業員の意見や提案を積極的に受け入れ、尊重する文化があり、従業員自身も失敗を恐れずに新たな挑戦を行える風土が確立されています。

このような環境は、創造性やイノベーションを促し、従業員のモチベーション向上や働きやすさに寄与します。結果として、離職率の低下や組織全体の生産性、成果の向上につながります。

コミュニケーションが活発に行われている

組織力が高い企業では活発にコミュニケーションが行われ、従業員がお互いに意見やアイデアを自由に交換し、互いに刺激を受け合う文化が醸成されます。その結果、社内の雰囲気はポジティブに保たれ、働きやすい環境が形成されます。

重要なのは、経営層も積極的に現場とコミュニケーションを取り、双方向の対話を実現することです。このような環境下では、問題の早期発見と迅速な解決が可能となり、組織の機動力が大幅に向上します。

経営ビジョンや目標が共有されている

共有されたビジョンは、社員一人ひとりの行動基準となり、全員が同じ目的を持って業務に励むことができます。

多くの成功企業では、経営層が定期的に全社集会を開催し、ビジョンの背景や意図を直接説明しています。さらに、各部門でビジョンを具体的な行動指針に落とし込み、個人の目標設定にまで連動させる仕組みを構築しています。

例えば、四半期ごとの目標設定時に、個人目標と企業ビジョンの関連性を明確にすることで、従業員の当事者意識が高まります。このような取り組みにより、組織全体が同じ方向を向いて進むことができ、戦略実行力が格段に向上するのです。

適材適所な人材配置が行われている

適材適所の人材配置は、個人の能力を最大限に発揮させ、組織全体のパフォーマンスを向上させる重要な要素です。従業員の強みや志向性を的確に把握し、それぞれが最も活躍できるポジションに配置することで、モチベーションの向上と生産性の最大化を実現できます。

実務においては、定期的なキャリア面談やスキルアセスメントを通じて、従業員の能力と希望を把握することが重要です。また、ジョブローテーションやプロジェクトベースの配置転換により、新たな能力開発の機会を提供している企業も増えています。

人事部門だけでなく、現場マネージャーも積極的に関与し、チームメンバーの特性を理解した上で役割分担を行うことが求められます。このような丁寧な人材マネジメントにより、組織の潜在能力を最大限に引き出すことができるのです。

関連記事:適材適所で定着率や生産性の向上を図る!実現させるポイントや方法

人材育成の環境が整っている

組織力の高い企業では、体系的な人材育成プログラムが整備され、従業員の継続的な成長を支援する環境が構築されています。

単発の研修だけでなく、目標設定から実行、評価、フィードバックまでの一連のサイクルが確立され、個人の成長と組織の発展が連動する仕組みとなっています。

この循環的なプロセスにより、企業が目指す組織像や人材像に沿った成長を促し、個々の従業員が自身のキャリアパスを明確にしながらスキルアップできる環境が整備されています。

また、このような人材育成体制は、企業内で次世代のリーダーや専門家を継続的に育成することに貢献し、組織の安定と持続的な成長を支えます。

組織力を強化するためのアプローチ

組織力強化は適切な方法を選択し、計画的に実行することで、確実に成果を上げることができます。ここでは、多くの企業で効果が実証されている3つの基本的なアプローチを紹介します。自社の状況に応じて、優先順位をつけて取り組んでいきましょう。

経営理念・ビジョンを浸透させる

経営理念やビジョンの浸透は、組織力強化の出発点となる最重要施策です。理念やビジョンが単なるお題目ではなく、従業員の日々の判断基準として機能することで、組織全体の方向性が統一され、自律的な行動が促進されます。

経営理念・ビジョンを浸透させるためには、まず経営層が率先して理念に基づいた行動を示すことが不可欠です。

定期的な全社集会での発信に加えて、各部門での対話集会を開催し、理念と業務の関連性を具体的に議論する機会を設けることが効果的です。

また、理念に基づいた行動を評価制度に組み込み、人事考課の基準とすることで、従業員の意識と行動の変化を促すことができます。

このような多面的なアプローチにより、理念が組織文化として定着し、強固な組織基盤が形成されるのです。

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経営理念を浸透するには?成功事例7社から考える具体的な取り組みを解説

コミュニケーションを活性化させる

効果的なコミュニケーションによって、情報共有がスムーズになり、信頼関係や連携が深まるため、組織全体の一体感とパフォーマンスが向上します。

実践的な取り組みとしては、定期的な1on1ミーティングの制度化が挙げられます。上司と部下が月に1〜2回、30分程度の対話時間を持つことで、業務上の課題だけでなく、キャリアや個人的な悩みも共有できる関係性が構築されます。

他にも、社内SNSなどを導入することによって意見交換や情報発信など、社員同士のコミュニケーションの取りやすい環境を整えることができるでしょう。

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社内コミュニケーション活性化!おすすめツール12選と導入時の注意点

人材育成制度を充実させる

人材育成制度の充実は、組織の持続的な成長を支える基盤となります。従業員一人ひとりの能力向上が組織全体の競争力強化につながることを認識し、体系的かつ継続的な育成プログラムを構築することが重要です。

効果的な人材育成には、階層別研修やスキル研修といった集合研修だけでなく、OJTやメンタリング、eラーニングなど多様な手法を組み合わせることが重要です。

特に、学習したことを実践する機会を提供し、上司からの定期的なフィードバックを通じて成長を実感できる仕組みを作ることです。

また、キャリアパスを明確にし、将来の成長イメージを持てるようにすることで、学習意欲の維持向上を図ることができます。このような包括的な人材育成体制により、組織の知的資本が蓄積され、イノベーション創出力が高まるのです。

組織力の強化に成功した事例

多くの企業が多様な組織課題に直面する中で、組織力強化に成功を収めている企業があります。ここでは、組織課題を解決した企業の事例をいくつか取り上げ、具体的な取り組みを解説します。

各店舗へのビジョンの共有と情報ツールの一元化で、帰属意識を向上

株式会社ピーアンドエムは、アパレルとインポート寝具の事業部を持ち、約300名の従業員が在籍しています。

同社は、従業員間の情報共有が個人SNSを介して行われ、セキュリティの懸念と帰属意識の欠如が課題でした。

これを解決するためにTUNAGを導入し、情報共有を一本化。これにより、店舗間や事業部を超えたコミュニケーションが活性化し、スタッフは自身が組織の一部であるという意識を強く持つようになりました。

また、各店舗がTUNAGを通じてビジョンを共有することで、組織全体の一体感と帰属意識が向上しました。このように同社ではTUNAGの導入により社内コミュニケーションを効果的に改善し、組織力の強化に成功しました。

事例記事はこちら>>情報共有から帰属意識の醸成まで、TUNAGに一本化:ピーアンドエムが挑むコミュニケーション改革

相互の情報共有の精度向上により組織力を強化

多慶屋は、シフト制勤務による社員間のコミュニケーション課題と情報共有の不十分さに直面していました。300名以上の従業員が異なるシフトで働く同社では、新型コロナウイルスの影響で社員間の直接的な交流が一層困難になりました。

これらの課題に対処するため、多慶屋は情報共有プラットフォームTUNAG(ツナグ)を導入しました。TUNAGを利用することで、社員は異なるシフトにもかかわらずリアルタイムで情報を共有し、相互にコミュニケーションを取ることが可能になり、社員間の関係性が強化されました。

また、店舗ごとの成果や成功事例の共有により、全社的なパフォーマンスの向上が見られ、組織全体の一体感が生まれました。この取り組みは、特に新型コロナの影響下で社内コミュニケーションを維持し、社員のモチベーション向上に寄与しました。

事例記事はこちら>>「小売業ならではのコミュニケーションの課題を解決」社員相互の関係性と情報共有の精度が向上した多慶屋様のTUNAG活用事例

組織力強化に向けて管理職が求められるスキル

人材育成に関する制度や、コミュニケーションを取りやすい環境を整えても、それらを実際に動かすのは現場の管理職です。施策を形骸化させず、日々のマネジメントの中で定着させられるかどうかは、管理職一人ひとりのスキルにかかっています

柔軟で丁寧な人材マネジメント力

人材マネジメント力は、メンバーの能力と意欲を最大限に引き出し、組織の成果につなげる力です。個々の特性を理解し、適切な動機付けと育成を行うことで、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

具体的には、定期的な1on1ミーティングを通じて、メンバーの業務状況だけでなく、キャリア志向や個人的な課題も把握することが重要です。日常的な承認や感謝の言葉により、メンバーの貢献を認識していることを示し、モチベーションの維持向上を図ります。

また、それぞれの成長段階に応じた適切な業務アサインを行い、段階的に責任と権限を委譲することで、自律的な人材を育成します。さらに、チーム内での知識共有や相互学習の機会を設けることで、組織全体の能力向上を実現できるのです。

経営層と現場を橋渡しするコミュニケーション能力

管理職は経営層と現場をつなぐ要の存在であり、双方向のコミュニケーションを円滑に行う能力が不可欠です。単なる情報伝達にとどまらず、相手の立場に立った共感的なコミュニケーションを行うことで、組織の一体感を醸成することができます。

具体的には、経営方針を現場の言葉に翻訳して伝える力と、現場の声を経営層に的確に届ける力の両方が求められます。

会議やミーティングでは、参加者全員が発言しやすい雰囲気づくりを心がけ、多様な意見を引き出すファシリテーション能力も重要です。

また、対立や摩擦が生じた際には、感情的にならず建設的な対話を促進する調整力も必要となります。

デジタルツールを活用した非対面コミュニケーションにおいても、相手の状況を配慮した適切なコミュニケーションを行うことで、組織の結束力を高めることができるのです。

組織力強化を効率的に進めるには

組織力をすぐに強化することは難しいかもしれませんが、連携力を効率的に高めていくことは十分に可能です。そして、その第一歩となるのが相互理解を深めることです。

なぜなら、連携先の特徴や現状を知らないままでは、「何を連携すべきか」「どう連携すべきか」が定まらず、議論が宙に浮いてしまうからです。場合によっては、認識のズレから関係が悪化してしまうリスクすらあります。

例えば、他拠点で働くメンバーの特性や業務内容を知っていれば、自拠点のどのようなナレッジを共有すべきかの判断がスムーズになります。また、チームメンバーの経歴や性格、趣味などを知ることで、日々のコミュニケーションが自然と増え、関係構築もしやすくなります。

このように、相手を知ることを起点にコミュニケーションや情報共有の質・量が高まれば、連携力が強化され、一体感が育つポジティブな循環へとつながっていきます。

ツールもうまく活用しよう

組織力の強化は、一朝一夕に達成できるものではありません。組織の文化や一体感を変えるには時間がかかり、継続的な努力と長期的な視点が必要だからです。

また、組織課題は企業によって様々、100社あれば100通りの改善アプローチがあります。このように、組織力強化する道のりは長く、企業としても組織課題に本気で向き合うことが求められるでしょう。

そこで、組織力強化のためのツールの活用がポイントになります。ツールをうまく活用することで、取り組みを最大化したり、効率的かつ円滑に組織力強化を進めることができます。

たとえば、次のようなツールがあります。

  • エンゲージメントサーベイ
  • タレントマネジメント
  • 社内SNS
  • 目標管理ツール
  • 人材育成・研修管理ツール

私たちが提供する社内SNS「TUNAG(ツナグ) 」も、組織力強化に必要な機能を包括的に提供しています。

例えば、代表メッセージ機能により、経営層の想いやビジョンを全社員にダイレクトに届けることができ、組織の方向性を明確に共有できます。また、社内SNS機能を活用することで、部門や階層を超えたコミュニケーションが活性化し、情報共有のスピードと質が向上します。さらに、社内ポイント制度により、従業員の貢献や協力行動を可視化・評価することで、組織に望ましい行動を促進し、エンゲージメントの向上につながります。

組織力強化は継続的な取り組みであり、一度の施策で劇的な変化を期待するのではなく、小さな改善を積み重ねながら組織文化として定着させることが重要です。TUNAGのような統合的なプラットフォームを活用することで、施策の実行から効果測定、改善までのPDCAサイクルを効率的に回すことができ、着実な組織力向上を実現できるでしょう。

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著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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