OJTとは?現場任せの教育を脱却して育成の質を高める方法を解説
新人研修や人材育成に関わる中で、現場任せの教育体制に課題を感じている担当者も多いのではないでしょうか。OJTの基本やほかの手法との違い、よくある課題、成功に必要な取り組みを整理しながら、「TUNAG(ツナグ)」を活用したOJTの改善方法も紹介します。
OJTとは?
OJT(On the Job Training)は、社員のスキルアップや新人の即戦力化を目的に、多くの企業で導入されてきました。OJTの基本的な意味や対義語として扱われる教育手法との違い、注目される背景について解説します。
実践を通じて人材を育てる教育方法
OJTは職場での実際の業務を通じて、社員に知識やスキルを身に付けさせる教育手法です。多くの場合直属の上司や先輩が教育担当となり、日々の業務の中で「仕事のやり方」「考え方」「判断基準」を伝えていきます。
現場で起きるリアルな判断や対応を通じて学べるため、座学では得られない実践力を育てられるのが特徴です。即戦力として活躍できるようになるまでの時間を短縮できることから、新入社員や異動者の育成によく用いられます。
OFF-JTとの違い
OJTの対義語として扱われるのが、OFF-JT(Off the Job Training)です。OFF-JTは職場から離れた場所で行う集合研修や、講義形式の研修を指します。理論や制度・業界知識などを体系的に学ぶ場として有効です。
一方、OJTは実務に直結したスキルを育てる場です。例えば、クレーム対応や店舗運営の判断など、現場の臨機応変な判断はOJTでこそ身に付きます。OFF-JTで知識の土台をつくり、OJTで実践力を強化するといった組み合わせが理想的です。
OJTが求められる背景
OJTのルーツは、第1次世界大戦中のアメリカにあります。短期間で多くの人材を育成する必要に迫られた軍需産業で生まれたOJTは、戦後日本にも導入され、高度経済成長とともに拡大していきました。
現代の日本でも、人的資本の活用や即戦力化が求められる中で、OJTは再び重要性を増しています。マニュアルや研修ではカバーしきれない「現場ならではの判断や工夫」を、実務の中で学ばせる手法として注目されるようになりました。
OJTのメリットと課題を把握
OJTは実務に直結した学びを得られる手法として、多くの企業で取り入れられています。一方で、思うような成果につながっていないという声も少なくありません。OJTを導入することによって得られる効果と、現場で生じやすい課題について整理します。
OJTで得られる効果
OJTには多くのメリットがあります。特に中小企業や店舗ビジネスなど、現場単位で人材育成を行う企業にとっては、次のような利点があります。
- 実務を通じて、業務に必要なスキルを効率的に習得できる
- 新人のスキルや理解度に合わせた柔軟な指導が可能
- 指導する側との関係が密になるため、現場のコミュニケーションが活性化する
- 指導する側のマネジメント能力やリーダーシップも向上する
- 外部研修に比べてコストが抑えられる
「学んだことがすぐ現場で生かせる」「分からないことをその場で聞ける」など、即時性・実践性のある教育手法といえるでしょう。
現場任せのOJTが抱える課題
OJTを現場任せにしてしまうと、以下のような課題が起きがちです。
- 教育の質が指導者の能力に依存し、バラつきが生じやすい
- 体系的な知識の習得が難しくなる可能性がある
- 指導者の業務負担が増加する
- 場当たり的な指導になりやすい
このような問題が重なると、せっかくのOJTが「個人任せの非効率な習慣」として形骸化してしまう恐れがあります。育成の質を安定させるには、属人化を避けるための仕組みが必要です。
OJTを成功させるために必要なこと
OJTの成果を最大化するためには、単に「現場に任せる」だけではなく、仕組みの設計が欠かせません。誰が指導者でも一定の成果が出せるようにするための準備や、運用のポイントを紹介します。
目標と指導内容を明確化して共有する
OJTがうまくいかない原因の一つが、「何を教えるか」が人によって違うことです。教える内容が異なり、教わる側が混乱してしまうケースもあります。
このようなバラつきをなくすには、OJTの目的やゴール・指導内容を事前に明文化しておくことが重要です。例えば「OJT開始から2週間で○○の操作を習得する」といった目標や、「レジ業務→商品管理→接客対応」のような指導順序を文書化して共有します。
これらのポイントを押さえた結果、どの拠点でも一定の水準でOJTが進められるようになり、新人も「次に何を求められているか」が明確に分かるでしょう。マニュアルやチェックリストの形にしておくことで、指導する側の負担も軽減されます。
指導役の選定と育成で教える力を高める
OJTの成果を左右する大きな要因は、「誰が教えるか」です。現場では、「ベテランだから」「時間が空いているから」という理由で適当に指導者が選ばれてしまうケースも見られます。
指導役に必要なのは業務スキルだけではありません。新人の習熟度を見極めて教える力、質問しやすい雰囲気をつくる対人スキル、成長を支えるフィードバック力など幅広い能力が求められます。
そのためにはまず、OJTに適任の人材を選定しましょう。OJTトレーナーに向けた簡易研修や「こういう教え方が望ましい」といったガイドラインの整備も必要です。任せるだけでなく、教える側を育てる視点がOJT全体の質を底上げします。
定期的なフィードバックとフォロー体制を整える
OJTを進める中で、「一度教えただけで終わってしまう」「教えた内容が定着しているか確認していない」という課題もよく見られます。ここで重要になるのが、定期的なフィードバックとフォローの仕組みです。
例えば週1回の面談で進捗を確認し、「ここまでは理解できている」「この部分はもう一度説明が必要」といったやりとりができれば、教わる側の安心感も大きく変わります。教える側にとっても、気付かないうちに教え漏れが発生するリスクが減るでしょう。
また、成長が見えにくいと教わる側のモチベーションが下がりやすくなります。「これができるようになった」「前よりも反応が早くなった」など、丁寧でポジティブなフィードバックも欠かせません。
TUNAGでOJTの効果を向上させよう
OJTを組織全体で支える体制に変えていくには、ナレッジの共有や進捗の可視化、目標の明文化といった仕組み化が重要です。改善策の一例として、「TUNAG(ツナグ)」を使ってOJTを属人化させず継続的に改善できる仕組みのつくり方を紹介します。
社内ポータルでOJTの目標を確認できる状態に
OJTがうまくいかない背景には、「何をどこまで教えるか」が明確になっていないことがあります。特に複数の拠点やチームで教わる側を育成する場合、OJTの方針が浸透していないと、指導内容にバラつきが生じやすくなるでしょう。
TUNAGの外部リンク機能を活用した社内ポータルを作成することで、OJTの目標や評価基準・手順などを一元的に公開できます。誰でもアクセスできる状態にしておけば、新人・指導者の両者が「何を基準に進めていけばいいのか」を共通認識として持つことが可能です。
OJTの開始前や途中で改めて確認する機会をつくると、行き違いや進捗のズレも防げます。
指導マニュアルを社内で分かりやすく共有する
「教え方が人によって違う」「言い方や伝え方が曖昧」といった課題の解消には、マニュアルや手順書の整備も求められます。
TUNAGでは、画像や動画も活用したマニュアルの作成・更新、社内での共有が可能です。例えば「レジの操作手順」「接客の基本フレーズ」などを動画付きで説明すれば、言葉だけでは伝わりにくい細かな動きも共有しやすくなります。
マニュアルは日常的に使える状態にしてこそ意味があるものです。TUNAG上に投稿しておけば、スマホやタブレットでも簡単に確認できるため、実務中の「ちょっと分からない」を即時に解消できる環境が整います。
タイムラインにOJTのナレッジを蓄積する
指導者個人に蓄積されたOJTノウハウは属人化しやすく、ほかの社員に伝わりにくいという問題があります。
TUNAGのタイムライン機能を活用すれば、OJTの実践事例や工夫を投稿・共有し、制度一覧でカテゴリごとにストックしておくことが可能です。「新人が初日で現場に溶け込めた声かけの工夫」「習得に時間がかかった作業の教え方」などのナレッジが日々共有されることで、ほかの現場にも展開しやすくなります。
こうした情報が蓄積されることで、OJTの質が拠点をまたいで平準化され、「どの指導者に当たっても一定の水準が担保される」状態に近づけられます。
1on1で行ったフィードバックを共有する
OJTでは、定期的なフィードバックが新人の成長を左右します。とはいえ、どのようなフィードバックが有効か、どう伝えるかが分からず不安を抱える指導者も少なくありません。
TUNAGでは、1on1の内容を投稿として記録して共有することが可能です。「どのような質問をしたか」「どのような反応が返ってきたか」「どう答えたか」などを可視化することで、ほかの指導者の参考になります。
良いフィードバックの事例が集れば、OJTの質的向上につながります。教える側が孤立しない、学び合える文化の醸成も進むでしょう。
OJTを現場任せにしない仕組みづくりを
OJTは、現場での実務を通じて即戦力を育てる有効な教育手法です。ただ、現場任せにすると指導内容のバラつきや質の低下といった課題に直面しやすくなります。OJTを「仕組み」として捉え、誰が担当しても一定水準の指導が行える体制づくりが求められます。
OJTの基本やメリット・課題を理解した上で、自社にとってベストな改善方法を模索しましょう。TUNAGのようなツールを活用し、OJTの目標共有・マニュアル整備・ナレッジ蓄積・フィードバックの質向上といった取り組みを仕組み化するのも1つの方法です。
指導する側・される側の双方が迷わず動ける環境を整えることで、OJTの価値は初めて本領を発揮します。人材育成を現場任せにしない仕組みをつくり、組織としての力を高めていきましょう。