Z世代の特徴や行動パターンは?コミュニケーションや人材育成のポイント
Z世代はデジタル環境と共に育った世代であり、それ以前の世代とはさまざま点で違いがあります。価値観や行動パターンを理解することは、効果的なコミュニケーションや人材育成に不可欠です。Z世代の特徴や行動、育成に必要なポイントを知っておきましょう。
そもそもZ世代とは?
Z世代とは、1990年代の中盤から、2010年代の前半に生まれた世代を指します。インターネット環境やスマホの普及と共に成長した世代であり、オンラインでの活動が日常化しています。まずはZ世代の概要と、他の世代との主要な違いを知っておきましょう。
デジタル・ソーシャルネイティブな世代
一般的にZ世代は、1996年から2012年の間に生まれた世代とされており、子どもの頃からデジタル技術に囲まれている人々です。「デジタルネイティブ」とも呼称される世代で、SNSを中心に情報を取得し、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になっています。
従来の世代に比べて、情報の受け取り方や発信のスピードが速いとされており、画像や動画などの視覚的コンテンツを日常的に消費しています。また、オンライン上でのネットワークが、リアルな場面での人間関係にも強く影響を与えている世代です。
他の世代との違い
Z世代の前の世代は「ミレニアル世代」と呼ばれ、1980年代から1990年代半ばにかけて生まれた人々を指します。「Y世代」とも呼ばれており、これは1960年代の半ばから、1980年にかけて誕生した「X世代」の次の世代であることを示す言葉です。
X世代は昭和の時代を生きてきた人々で、基本的に成人してからインターネット環境やスマホが普及し始めた世代です。情報収集の手段はテレビや新聞が中心で、情報を一方向的に受け取るスタイルでした。
一方、ミレニアル世代(Y世代)は子どもの頃にIT技術が大きく発展し、インターネットの利用が日常的になった世代です。メールや初期のSNSを活用し、情報を双方向でやりとりする習慣が生まれました。
ただし、子どもの頃から動画プラットフォームが日常化しているZ世代とは異なり、テキスト中心のコミュニケーションが主流で、ビジュアルコンテンツの活用は限定的だったといえます。行動や価値観が異なる部分もあるため、Z世代とはコミュニケーションの仕方に工夫が必要です。
Z世代のさまざまな特徴
Z世代は、他の世代と共通するところもありますが、行動や価値観の面において、大きな違いがあるといわれています。働き方やキャリア志向をはじめ、消費・購買行動、情報の収集・発信の仕方などの観点から、代表的な特徴を確認しておきましょう。
求める働き方・キャリア
Z世代は柔軟な働き方や、バランスの取れたライフスタイルを重視する傾向があります。いわゆるワークライフバランスを大切にするため、プライベートの時間が削られることを忌避し、自分の時間を大切にできる働き方を好みます。
そのため、テレワークやリモートワークを歓迎する人が多く、時間や場所に縛られない働き方にスムーズに適応できるのが特徴です。
一方、仕事のキャリアにおいては、成長機会や自己実現を重視する面もあります。給与や地位のみならず、仕事を通じて何を学び、どのように社会に貢献できるかを重視する人も少なくありません。
消費・購買行動
Z世代の消費行動はインターネットが中心で、商品の購入前にオンラインでのレビューや、SNSの口コミを参考にする人が多くいます。いわゆる「コスパ」「タイパ」に注目する世代ともいわれており、価格だけでなく時間や労力に対して、どれだけの価値が得られるかを重視します。
また、モノ自体の消費よりも、体験型の商品・サービスに対して、強い関心を寄せる人も珍しくありません。ライブイベントや旅行・各種アクティビティなど、思い出や感動を得られる体験を大切にする傾向があります。
情報の収集・活用・発信
Z世代は複数の情報源を比較した上で、自分に合った媒体を積極的に活用する傾向があります。情報処理に関するリテラシーは個人で差があるものの、全体の傾向として、必要な情報を効率良く選び取る能力に長けています。
さらに、情報を自分なりにアレンジして発信することで、自己表現の場としても活用する人が多いのも特徴です。SNSや動画での発信を通じて、自分の価値観や考えを共有し、他者とのつながりを深めようとする人が多くいます。
人間関係
Z世代は子どもの頃からスマホでコミュニケーションを取っている人がほとんどで、リアルとオンラインの両方で関係を築く傾向が強くあります。SNSを通じて多様なコミュニティに所属し、趣味や興味を共有する相手とつながることを楽しむ一方で、プライベートな時間を大切にする姿勢も特徴的です。
リアルでの友人や家族だけではなく、自分と価値観が近い人々とのつながりも重視し、深い信頼関係の構築を望む人が多くいます。ただし、無理に多くの人と交流を持つよりも、心から安心できるつながりを持つことを優先する人も少なくありません。
Z世代のとのコミュニケーション戦略
Z世代と効果的にコミュニケーションを取るには、オンラインツールを活用した戦略や、一人一人のニーズに合わせたアプローチが必要です。特に人材採用において、意識すべきポイントを確認しておきましょう。
オンラインプラットフォームの活用
Z世代とのコミュニケーションには、オンラインプラットフォームの活用が欠かせません。彼らは日常的にSNSや動画共有サイトを利用しているため、オンラインでの情報発信や対話は必須です。
SNSや動画で情報を発信する際には、短く魅力的なコンテンツやストーリー性のあるコンテンツの提供を意識しましょう。また、コメントやリアクションを通じた双方向のやりとりも重視し、できる限り多くの人と、1対1でコミュニケーションを取ることも大事です。
パーソナライズと双方向性の重視
Z世代は画一的なアプローチよりも、個人の興味や関心に応じたメッセージが響く傾向にあります。従って、人材採用にかかる広告や情報発信においても、できるだけパーソナライズされた内容で、特定のニーズに応える提案をするとよいでしょう。
例えば、一人一人に合わせてカスタマイズしたメッセージを発信するとともに、特定の興味に関連する限定イベントを開催するといったアプローチが効果的です。さらに、積極的に意見を交換できる場を提供することも重要です。双方向性のある取り組みが、関係性を深める鍵となるでしょう。
Z世代を育成するポイント
Z世代の人材を育成するには、これまで説明してきたような価値観や、世代の特徴を踏まえたアプローチが必要です。以下のように自ら考える機会を積極的に提供したり、傾聴重視のコミュニケーションを重視したりすることで、信頼関係の構築を目指しましょう。
自ら考える機会の提供
Z世代は指示に従うだけの働き方を好まない傾向があります。自ら課題を見つけ、解決策を考える機会を提供することで、主体性を引き出すようにしましょう。自分の裁量で進められる仕事を任せたり、意見を自由に発言できる場を設けたりするのが効果的です。
また、小さな失敗でも自信を失ってしまう人も多いので、失敗を恐れず挑戦できる環境づくりも重要です。失敗に対してポジティブに向き合い、学びの一環として捉えられるようにサポートすることで、自己成長を促しましょう。結果だけではなく、プロセスを評価する仕組みの導入も必要です。
傾聴重視のコミュニケーション
人材教育の場面では、相手の話をよく聞いて、理解を促すアプローチを取ることが大切です。一方的に答えを提示するのではなく、原因について考えさせたり、何をしたいのか問いかけたりすることで、経験として消化できるようにサポートしましょう。
まずは傾聴の姿勢を示すことで、相手が安心して意見や悩みを話しやすくなります。また、相手が発言した内容をしっかりと受け止め、整理しながら返答することで、教える側も問題解決の糸口を見つけやすくなるでしょう。
継続的なフィードバックと成長支援
定期的なフィードバックも、Z世代の人材の成長を促すポイントです。評価点や改善点を小まめに伝えるようにしましょう。具体的で現実的なフィードバックをすることで成長を促し、自己改善の意欲を高めることが大事です。
ただし上記のように、一方的に考えを押し付けるのではなく、相手に考えさせるアプローチが求められます。特にポジティブなフィードバックを強調し、相手が成功体験として、その後に生かせるように工夫しましょう。
効果的なフィードバックをするために、上司と部下が1対1で話し合える場を用意したり、一人一人にメンターをつけたりするのも効果的です。さまざまなアプローチを試しつつ、育成する人材の特性や価値観に合った方法を探しましょう。
Z世代を理解して人材育成を進める
Z世代の価値観や行動を理解することは、今後組織の目標を達成するために、不可欠なテーマといっても過言ではありません。これからZ世代が会社の中心となるため、特徴を踏まえた人材育成の方法を確立する必要があります。
柔軟な働き方の提供やキャリア支援、共感を重視したコミュニケーションなどは、Z世代の能力を最大限に引き出すポイントです。自己成長を促す環境づくりにも注力し、一人一人の力を生かせる組織体制を目指しましょう。