月末月初の給与計算や勤怠集計に追われ、採用活動や人事制度の企画・検討まで手が回らないとお悩みではありませんか。その原因は個人の作業スピードではなく、業務構造そのものにあります。人事における業務効率化とは、ペーパーレス化やシステムの統合、外部委託(アウトソーシング)などを活用し、定型作業の負担を削減していく取り組みを指します。本記事では、効率化を図るべき業務の選定方法をはじめ、具体策や実践に向けた最適なステップを分かりやすく解説します。
この記事を読んでる方必見!おすすめ資料

本資料では、少数精鋭・非エンジニアで構成される当社バックオフィス部門が実際にAI活用を進める中で直面した5つの失敗と、そこから生まれた3つの対策をご紹介しています。きれいな成功談ではなく、泥臭い現場のリアルな試行錯誤をお届けします。
▼本資料でわかること
・経理・総務・人事労務領域における業務へのAI活用事例/詳細
・実際に起きた5つの失敗と、そこから生まれた3つの対策
・非エンジニアでも安全にAIツールを内製・運用するための仕組みづくり
人事の仕事は幅広く、全てを一度に効率化することはできません。まずは成果が出やすい領域を見極めることが出発点になります。
見極めの基準はシンプルです。作業内容があらかじめ決まっている定型業務ほど、システム化や外部委託の効果が大きくなります。逆に判断や対話が必要な非定型業務は、人が担うべき領域です。
代表的な四つの業務について、効率化の余地を整理しました。
自社でどこに時間を取られているかを、この表に当てはめて確認してみましょう。

採用業務は、面接の日程調整や応募書類の管理など、細かな作業が積み重なる領域です。人手不足と採用チャネルの多様化により、担当者の負担は増え続けています。
採用管理システムを導入すれば、応募者情報の管理や面接案内、選考状況の可視化をまとめて行えます。オンライン面接を取り入れれば、選考スピードが上がり交通費の削減にもつながります。
募集から内定通知までのプロセスを採用代行に委託する方法もあります。評価基準を標準化しておくと、委託先との認識のずれも防げます。
勤怠管理は定型業務の割合が高く、効率化の効果が分かりやすい領域です。タイムカードの打刻やExcelでの集計は、作業が煩雑な上にミスも起こりやすくなります。
雇用形態の多様化やリモートワークの普及で、正確な勤怠把握はさらに難しくなりました。そこで進むのが、クラウド型の就業管理システムへの移行です。
クラウド型であれば、パソコンでもスマートフォンでも打刻できます。位置情報やカメラ認証、生体認証を組み合わせれば、不正打刻を防ぎながら管理側の確認作業も減らせます。
給与計算は定型作業の塊です。多くの企業が何らかのシステムを使っていますが、それでも手作業が残っているケースは珍しくありません。
原因は、勤怠システムと給与システムがつながっていないことにあります。集計結果をExcelに書き出し、別システムへ入力し直すといった転記作業が工数とミスを生み出しています。
実際、統合型の人事システムを導入して定例計算業務を自動化した例では、大きな成果が報告されています。明治安田生命保険相互会社では、統合HCMソリューションの導入により半年間で約2万5,000枚の書類と約3,000時間の業務時間を削減しました。
人事評価は属人化しやすく、透明性にも課題が出やすい業務です。紙やExcelシートを個別に配布し、回収して集計する運用では、担当者の負担が大きくなります。
オンラインの評価システムを使えば、評価基準と進捗を一元管理できます。誰の提出が遅れているかもひと目で分かるため、督促の手間も減らせるでしょう。
評価結果を人材データとひも付ければ、配置や育成の検討にも活用できます。評価基準の明確化が、作業時間の短縮と納得感の両立につながります。
効率化しやすい業務が見えたら、次はどう手を入れるかです。手段は大きく四つに整理できます。
いずれか一つを選ぶ必要はありません。組み合わせることで効果は高まります。ただし着手の順番には意味がありますので、順を追って見ていきましょう。
最初に取り組みたいのが業務フローの標準化です。担当者の頭の中にだけ手順がある状態では、システムを入れても効果が出にくくなります。
第一歩は、手順を書き出すことです。誰が、何を、どの順番で行うのかを一枚の図に落とし込みます。ここで重複作業や不要な承認が見つかることも多いはずです。
この段階では、システム導入を急がないことが重要です。課題の理解が浅いままツールに頼ると、非効率な作業を含んだまま置き換えてしまいます。まずは業務そのものを「やめられないか」「簡単にできないか」という視点で見直しましょう。
人事の仕事は、社員から情報を集めるところから始まります。だからこそ紙のやりとりが発生しやすい構造です。
紙が起点に残っていると、後工程をいくら整えても手作業は消えません。回収して、内容を確認して、システムに入力する。この流れが工数とミスの温床になります。
改善の方向性は明快です。最初からデジタルデータだけを扱う形に移行することです。入社手続きや年末調整の書類、各種申請をオンライン化すれば、回収と転記の作業がまとめて不要になります。
どうしてもExcelを使う工程が残る場合は、RPA(パソコン上の定型作業を自動化するツール)で補う方法もあります。「紙ベース」と「転記作業」をなくすことを、判断の基準にしてみましょう。
システムが部門ごとに分かれていると、同じ情報を何度も更新することになります。管理する場所が増えるほど、人的ミスも増えていきます。
一元管理の利点は、情報が一か所に集まることです。従業員が住所変更を申請し、担当者が承認すれば、そのままデータベースに反映されます。二重入力そのものがなくなります。
選定時は、既存システムとの連携のしやすさを必ず確認しましょう。データを何に使いたいのかを先に決めておくと、導入後の活用も進みやすくなります。
社内のリソースだけで抱え込む必要はありません。定型業務は外部委託との相性が良い領域です。
給与計算や社会保険手続きは、法令知識が求められる業務でもあります。専門の事業者に任せることで、法改正への対応漏れというリスクも抑えられます。委託に向くのは、頻度が高く手順が固まっている業務です。
一方で、注意点もあります。非効率な手順をそのまま外に出しても、コストが移るだけで改善にはなりません。廃止と簡略化を検討した上で、残った業務を委託するという順番を守りましょう。
方法が分かっても、どこから着手するかで結果は変わります。ここでは五つのステップに分けて進め方を整理します。
この流れは業務改善の進め方として広く用いられています。順番通りに進めれば、効果の出ない施策に時間を使わずに済みます。
この五つを一巡させることが、効率化を継続させる土台になります。

出発点は業務の棚卸しです。人事部で発生している業務を、漏れなく書き出しましょう。
書き出す項目は、業務名だけでは足りません。担当者、発生頻度、1回当たりの所要時間まで記録しましょう。月次で何時間かかっているかが見えると、議論の土台ができます。
例えば「勤怠締め後のExcel集計に毎月6時間」と数値化できれば、優先度の判断がしやすくなります。併せて、定型業務か非定型業務かの印も付けておきましょう。
部門をまたいで洗い出すこともおすすめです。総務や経理と重複している作業が見つかることもあります。
洗い出した業務全てに手を付けることはできません。優先順位をつける基準が必要です。
判断の軸は「工数の大きさ」と「実現のしやすさ」の二つです。工数が大きく、かつ定型化されている業務が最優先の候補になります。逆に、判断が必要な非定型業務は後回しで構いません。
小さな成功体験を早めに作ることも意識しましょう。全社的な大規模改革から狙うと、合意形成に時間がかかります。一つの業務で成果が出れば、次の提案も通りやすくなるはずです。
着手する業務が決まったら、ゴールを数値で決めます。「効率化する」という表現のままでは、達成したかどうかを判断できません。
設定すべき数値の例を挙げます。
これらを決めておくと、施策の効果を後から検証できます。
数値目標には、社内の合意を得やすくする効果もあります。「毎月20時間を削減し、その時間を採用活動に充てる」と示せば、投資判断もしやすくなるでしょう。
目標が決まってから、ようやく手段の検討に入ります。ツール導入から考え始めないことが、この手順の要点です。
業務改善では、次のような視点で手段を選びます。
上から順に検討すると、無駄な投資を避けられます。
特に「廃止」と「簡略化」の議論は欠かせません。誰も見ていない集計資料を作り続けていないでしょうか。まず不要な業務を止め、それでも残る作業に自動化や委託を当てる。この順番が効果を左右します。
導入して終わりにしないことが最後のポイントです。設定した目標に対して、実際にどれだけ削減できたかを測定します。
測定は導入から3カ月後と半年後を目安にすると良いでしょう。運用の定着には一定の時間がかかるためです。
期待通りの結果が出ないこともあります。その場合は、原因が運用にあるのか設計にあるのかを切り分けます。現場が使いこなせていないだけなら、マニュアル整備や説明会で改善できるはずです。
測定結果は社内に共有しましょう。成果が見えることで、次の改善に協力を得やすくなります。
効率化は、それ自体がゴールではありません。生まれた時間を何に使うかが本当の論点です。
人事のコア業務は、経営目標の達成に向けて人材を生かす仕組みを作ることです。採用戦略の設計、育成計画の見直し、現場の声を踏まえた制度改善。いずれも人にしかできない仕事でしょう。
とは言え、効率化の推進には壁もあります。システムを入れても現場が使わない、という悩みは多くの企業が経験するものです。特に、パソコンを日常的に使わない現場社員が多い職場では顕著でしょう。
こうした課題に対して、社員が毎日使うアプリの中に業務機能をまとめるという考え方があります。「TUNAG(ツナグ)」は、社内掲示板やチャット、ワークフロー、日報、社内アンケートなどを一つのアプリに集約できるサービスです。
スマートフォンから利用できるため、会社メールアドレスや社用端末を持たない従業員にもアカウントを発行できます。各種申請や報告をアプリ上で完結させれば、紙の回収と転記の作業を減らせるでしょう。ワークフローはノーコードで設計でき、記入式や選択式、ファイル添付などを自由に組み合わせられます。
導入企業では、現場社員も含めた業務効率化や各種手続きのペーパーレス化といった成果が生まれています。飲食、小売、運送、介護、製造など、現場を多く抱える業種での活用が進んでいる点も特徴です。
まずは自社の業務を洗い出し、紙が起点になっている作業を一つ見つけてみてください。そこから着手することが、組織課題に向き合う時間を取り戻す第一歩になります。