ICT(情報通信技術)とは何か。DX・IoTとの違いや活用事例を紹介

デジタル化が進む現代のビジネス環境において、ICT(情報通信技術)の活用は、企業の競争力を高める重要な要素です。本記事では、ICTの基本概念から具体的な活用方法、さらにDXやIoTとの違いについて詳しく解説します。ICTを活用して、生産性向上や組織改革を実現しましょう。

ICTとは

ICTは、情報を扱う技術と通信技術を組み合わせた概念です。これには、インターネット、クラウドサービス、データベース、通信ネットワークなどが含まれます。企業はICTを活用することで、業務の効率化や生産性向上を図ることができます。

日本語では「情報通信技術」

ICTは「InformationandCommunicationTechnology」の略で、日本語では「情報通信技術」と訳されます。情報処理や通信に関する技術の総称で、コンピュータやネットワーク、ソフトウェアなどを含む幅広い概念です。

例えば、社内で利用しているグループウェアやビジネスチャットツール、さらにはクラウドサービスなども、全てICTのカテゴリーに入ります。ICTは単なる技術ではなく、情報をどのように活用し、コミュニケーションを円滑にするかという視点を含んでいるのが特徴です。

DXとの違い

ICTとDX(デジタルトランスフォーメーション)は密接に関連していますが、その焦点は異なります。ICTが情報通信技術そのものを指すのに対し、DXはその技術を活用して企業の事業や組織を根本から変革することを意味します。

例えば、社内にグループウェアを導入することはICTの活用といえますが、そのグループウェアを使って業務プロセス全体を見直し、新しい働き方や事業モデルを生み出すことがDXです。

DXを成功させるためには、まずICTの基盤をしっかりと整備することが重要です。自社のICT環境を見直し、どのような変革が可能か、経営層を巻き込んで検討してみてください。

IoTとの違い

IoT(InternetofThings)は、さまざまなモノがインターネットにつながることを指す概念です。

IoTは情報技術の中でも特にモノとインターネットの接続に焦点を当てています。工場の生産設備にセンサーを取り付けて稼働状況をリアルタイムで把握するシステムはIoTの一例です。このデータを分析し、生産性向上につなげる仕組み全体がICTの活用と言えるでしょう。

IoTデバイスの導入を検討する際は、単にモノをつなげるだけでなく、そのデータをどのように活用し、業務改善につなげるかという視点が重要です。ICTの枠組みの中でIoTを位置付け、全体的な戦略を立てましょう。

ICTの活用例

ICTはさまざまな分野で革新的な変化をもたらしています。教育、医療、防災など、社会の重要な領域でICTがどのように活用され、どのような価値を生み出しているのか、具体例を交えて見ていきましょう。

教育分野

教育分野でのICT活用は、学習効果の向上や教育機会の拡大に大きく貢献しています。例えば、オンライン学習プラットフォームの導入により、時間や場所の制約なく学習できる環境が整備されました。

企業の人材育成においても、eラーニングシステムの活用が一般的になっています。新入社員研修や資格取得支援など、社員のスキルアップを効率的に進められるようになりました。

また、VRやARといった先端技術を活用した体験型学習も注目を集めています。危険を伴う作業のトレーニングや、複雑な機器の操作訓練などに活用することで、安全かつ効果的な学習が可能です。

医療分野

医療分野では、ICTの活用により診断精度の向上や医療サービスの効率化が進んでいます。電子カルテシステムの導入により、患者情報の共有や管理が容易になり、医療ミスの減少にもつながっています。

また、遠隔医療システムの普及により、地方や過疎地域でも専門医の診断を受けられるようになりました。最近ではAIを活用した画像診断支援システムなども開発され、医師の診断をサポートしています。

企業の健康経営の観点からも、ICTの活用は注目されています。社員の健康データをデジタル化し、分析することで、効果的な健康管理施策の立案が可能になっています。

防災分野

防災分野でのICT活用は、災害予測の精度向上や迅速な情報共有に貢献しています。例えば、気象センサーネットワークと高性能なデータ分析システムを組み合わせることで、より正確な災害予測が可能になっています。

SNSを活用した災害情報の収集・共有システムも開発され、リアルタイムでの状況把握に役立っています。さらに、避難所や救援物資の管理にもICTが活用され、効率的な災害対応が可能になっています。

ICTを活用するメリット

ICTの活用は、業務効率化や生産性向上だけでなく、多様な働き方への対応など、さまざまなメリットをもたらします。ここでは、具体的な事例を交えながら、ICT活用のメリットを詳しく見ていきましょう。

業務の効率化

ICTの活用により、多くの業務プロセスが自動化・効率化されます。例えば、RPAの導入により、データ入力や請求書処理といった定型業務を自動化することができます。

他にもWordやGoogleドキュメントなど、クラウドベースの文書管理システムを導入することで、情報共有がスムーズになり、検索時間の短縮にもつながります。社員間のコミュニケーションも活性化し、協業がしやすくなるでしょう。

自社の業務プロセスを見直し、ICTによる自動化や効率化が可能な領域を特定してみましょう。小さな改善から始めて、徐々に範囲を広げていくアプローチが効果的です。

生産性の向上

ICTの活用は、個人の生産性向上だけでなく、組織全体の生産性アップにもつながります。例えば、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールを導入することで、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。

例えば、小売店においてPOSデータと気象データを組み合わせて分析することで、雨具の在庫管理の最適化や発注数を変えるなどが該当します。

また、プロジェクト管理ツールの活用により、タスクの進捗状況がリアルタイムで把握でき、問題の早期発見・解決が可能になります。その結果、プロジェクトの成功率が向上し、組織全体の生産性アップにつながるでしょう。自社の課題に合わせて、適切なICTツールを選定・導入することが重要です。導入後の効果測定も忘れずに行い、継続的な改善につなげましょう。

ダイバーシティへの対応

ICTの活用は、多様な働き方を支援し、ダイバーシティ推進にも貢献します。例えば、テレワークシステムの導入により、育児や介護と仕事の両立が容易になります。あるIT企業では、クラウドベースのコラボレーションツールを全社的に導入し、在宅勤務を推進しました。その結果、女性社員の離職率が大幅に低下し、優秀な人材の確保にもつながっています。

また、多言語翻訳ツールの活用により、言語の壁を越えたコミュニケーションが可能になります。グローバル展開を進める企業にとって、これは大きなメリットとなるでしょう。自社のダイバーシティ推進策とICT活用を連携させることで、より効果的な施策を展開できる可能性があります。社員のニーズを把握し、適切なICTツールを選定していくことが重要です。

ICTを導入するポイント

ICTの導入は、単にツールを導入するだけでは十分な効果を得られません。ここでは、ICTを効果的に導入し、活用するためのポイントを具体的に解説します。

導入目的を明確にする

ICT導入の第一歩は、その目的を明確にすることです。「なぜICTを導入するのか」「どのような効果を期待するのか」を具体的に定義しましょう。

例えば、「営業部門の生産性を20%向上させる」「社内のペーパーレス化率を80%にする」といった具体的な目標を設定します。これにより、導入するICTツールの選定基準や、導入後の効果測定の指標が明確になります。

また、経営層を含めた社内の合意形成も重要です。ICT導入の目的と期待される効果を全社で共有することで、スムーズな導入と定着が期待できます。

ITリテラシーに対する教育と周知を行う

ICTの効果を最大限に引き出すためには、新しいツールやシステムの使い方だけでなく、情報セキュリティの重要性や、デジタル時代の働き方についても教育を行いましょう。

例えば社内の情報をクラウド化した場合、社員のセキュリティ意識が低いと情報漏洩につながる可能性があります。また、導入したシステムを使いこなせず生産性が低下するという問題もよく起こり得ます。そうならないために、社員のITリテラシー向上が不可欠です。

例えば、eラーニングシステムを活用して、全社員向けのICT基礎講座を開設する方法があります。また、部門ごとに「ICT推進リーダー」を選出し、日常的なサポートを行う体制を整えるのも効果的です。自社の社員のITスキルレベルを把握し、適切な教育プログラムを設計しましょう。継続的な学習機会の提供が、ICT活用の成功につながります。

ツールを導入する

適切なICTツールの選定と導入は、成功の鍵となります。自社の業務プロセスや組織文化に合ったツールを選ぶことが重要です。

例えば、社内のコミュニケーション改善を目的とする場合、SlackやTeams、Chatworkといったビジネスチャットツールの導入が効果的です。プロジェクト管理ならTrelloやAsana、文書管理ならGoogleWorkspaceやMicrosoft365など、目的に応じて適切なツールを選びましょう。

ICT化の促進で企業の生産性をアップ

ICTの活用は、もはや企業の成長に欠かせない要素となっています。しかし、ツールの導入だけでは十分な効果は得られません。ICTを活用して「何を実現したいのか」「どのような価値を生み出したいのか」を常に考え、戦略的に推進していくことが成功の鍵となります。

自社の現状を見つめ直し、ICTをどのように活用すれば競争力の向上につながるか、具体的に検討してみることが重要です。小さな一歩から始めて、着実にICT化を進めていくことで、必ず企業の成長と発展につながるはずです。ICTの力を最大限に活用し、新たな時代を切り開いていきましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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