会社名 |
FSX株式会社 |
従業員規模 |
101名〜300名 |
事業内容 |
おもてなしの表現を通じて感動を創造する“製造サービス業”として、国内のおしぼり産業に貢献しておられます。 |
会社HP |
http://www.fsx.co.jp/ |
POINT
- 課題:社員同士がお互い何をしているか見えづらかった
- 課題:帰属意識が低く、若い社員の離職率が高かった
- 運用:サポートメンバー制度で社員を巻き込んだ
- 運用:プロジェクトを開き、リーダー層を仲間にした
- 効果:リーダー層の意識が変わった
- 効果:社員に帰属意識が高まってきていると実感
FSX株式会社様では、おしぼりのレンタル事業や会社・店舗で使用する資材の販売事業などを行っています。
営業・事務など内勤のスタッフと、配送など外勤のスタッフ、工場でおしぼりなどを生産する生産スタッフと、業務に従事する環境が複数にまたがっている同社では、社員同士の顔が見えにくいという悩みを抱えていました。
「社員の帰属意識が低く、若手の離職率が高かった」。そんな状況をTUNAG(ツナグ)で変えようとしているのが、情報システム室 室長 瀬尾竹蔵様と営業部メンバーの野口春花様です。どんな取り組みをされているのか、お話を伺いました。
導入前に課題に感じていたこと
勤務状況がバラバラで社員同士の顔が見えづらかった
※情報システム室 室長 瀬尾竹蔵様
〜TUNAG導入前、FSX様ではどのような課題を感じていたのでしょうか〜
瀬尾:1つは、社内コミュニケーションです。弊社の社員の構成は、営業を含む事務スタッフなど社内で勤務している人が30%、配送など外に出ている人が30%、社屋とは別の工場で生産に携わっている人が40%。勤務場所や勤務時間がバラバラですれ違いがあり、部署によってはお互いにまったく知らない人もいるような状況でした。
そんな中、社員ひとりひとりが会社に所属しているんだという意識が生まれるような対策が必要だと感じて、あるグループウェアを導入してコミュニケーションを図っていました。しかし、テキストだけでのコミュニケーションで果たしてうまくいっているのかどうか、悩んでいたんです。
野口:社内コミュニケーションともう1つ、20〜30代の比較的若い社員の離職率が高いことも課題でした。弊社はおしぼり屋という業界柄なのか、ベテラン社員には職人気質なところがあります。特に、営業部にはもともと配送で外回りをしていた人たちが多く、新人に対して仕事を教えるというよりも、「見て覚えろ」という雰囲気で接しているところがあったんです。これから新卒採用を強化していこうとする中で、この状況を変えたいと思っていました。
瀬尾:野口さんが新卒で入社した当時、一緒に飲みに行っては会社に対する想いを話していましたね。私自身も中途入社で外から入ってきた人間なので、若い社員の気持ちはわかるつもりでいました。
彼らの離職率が高い背景には、帰属意識の低さが関係していると考えています。例えば、おしぼりの配送を担当している社員からすると、毎日ただおしぼりを配って家に帰ることの繰り返しで、本社で何が行われているのか、経営者が何を考えているのか、見えないんです。そういった人は会社を辞めようかと考えたとき、何も感じずに判断してしまっている可能性があります。
TUNAGアワードに参加して他社の取り組みに刺激を受けた
〜TUNAGを導入するきっかけにはどんな背景があったのでしょうか〜
瀬尾:社内でのコミュニケーションについて悩んでいるときに、TUNAGの担当の方から電話があったんです。その後、TUNAG導入企業が表彰される「エンゲージメントアワード」に参加させていただいたのですが、そこで他社の取り組みに刺激を受けました。
トークセッションで株式会社TABIPPOさんが語っていた、「ツールを与えただけでは誰も動かない。ツールを使いながらも、自分たちが動かなければいけない」という話が響いたんです。
TUNAGはツールを提供して終わりではなく、サポートも充実しているという点がポイントとなって、導入を決めました。
※TUNAGエンゲージメントアワードとは、弊社が主催するエンゲージメント経営についての表彰パーティです。表彰の他に、TUNAG導入企業の経営陣による「エンゲージメント経営」についてのトークセッションも行われます。また、TUNAG導入企業様同士が交流することもできます。
TUNAGの運用方法
「会社を変えるおもしろさ」を感じてもらうため若手を起用
※営業部メンバー 野口春花様
〜TUNAGの導入はどのように進められたのでしょうか〜
野口:当時はグループウェアで「こんな問合せがありました」「こんなお客様と成約に至りました」といった日々の報告やFAQページ、マラソンが趣味の人が集まっている部活のようなグループの投稿など、特に内容に決まりはなく投稿が行われていました。それをTUNAGに引き継ぐところからスタートしたんです。
また、グループウェアを使っていた当時はアカウントを持っているのが本社の営業、情報システム、仕入れなど、本社にいる人に限られていました。配送など外に出ている人はアカウントを持っていなかったので、そうした社員に対してもアカウントを付与しました。
瀬尾: TUNAG導入にあたっては、私と野口さんと、当時新卒で入った2人の社員で、プロジェクトチームを立ち上げました。
若い社員をメンバーに選んだのは、「若い人が頑張っているから自分たちも」という雰囲気が社内に生まれればというシンプルな発想でした。また、プロジェクトメンバーになって一緒に活動することで、「会社を変えることができるかも知れない」というおもしろさの中に巻き込み、離職を防ぐという意図もありました。
私は離職や転職すること自体が悪いとは思っていません。ただ、当時は社員が辞めていくことを周りが知らされることなく、気がついたらいなくなっているということが普通でした。辞める理由も分からず、何も話すことがないままいなくなってしまうことが多かったので、若手の声を吸い上げるという意味でも、新卒の方達に声をかけたんです。
サポートメンバー制度でサンクスカードの利用率が60%から90%に
野口:現在は、プロジェクトチームのメンバーに加え、月次定例会に中間管理職などリーダー層の人たちに参加してもらっています。TUNAGに対する想いをさまざまな部署から直接ヒアリングするような機会を増やしたんです。
定例会の前にプロジェクトメンバーで1週間の振り返りをして認識を擦り合わせ、各部署から参加してもらったリーダー層の社員にそこでまとめたことを共有し、意見を伺っています。
瀬尾:なぜそうしたかというと、「プロジェクトチームでは定例会を開いているが、何をやっているのか分からない」という声が出たためです。私たち自身も情報を発信をしていなかったという反省があり、プロジェクトでやっていることをシェアするために、プロジェクトを開けたものにしたんです。
一方で、リーダー層だけでなく、一般の社員を巻き込むような取り組みも必要だと考えました。そこで、TUNAGサポートメンバーという制度を作ったんです。各部署から無作為にメンバーを10人ほど抽出し、ミッションを与えるというものです。
自分の部署のメンバー全員にサンクスカードを書いてもらう、というミッションに取り組んでもらったときには、毎月のサンクスカードの利用率が60%から90%まで上がりました。
野口:もう1つ、朝礼をTUNAG上で行うようにしました。朝礼は以前は部署単位で行っていましたが、コロナ禍になり、三密を避けるために工夫する必要があったんです。
朝礼を対面で行っていた当時は、14項目ある会社のバリューの中から1つを選び、それに基づいた話を社員持ち回りでしていました。それをTUNAG上で「朝礼リレー」という形で再現しました。
1ヶ月に一度自分の順番が回ってきたら、「子どもの運動会に参加した」「仕事でこんなお客様ができた」など、どんなテーマでもいいので投稿するんです。この朝礼リレーを続けているうちに、だんだんと投稿に対して他の社員からコメントがつくようになりました。投稿によって社員の人となりが見えるようになり、業務的に関わりがなかった人との話のきっかけ作りになったんです。
※FSX様の実際のサンクスメッセージです。こちらは誰にでも感謝の気持ちを伝えることができる制度です。入力は相手の選択とメッセージ、場合によっては写真の添付も可能になっており、投稿しやすい、シンプルな項目になっています。
「自分が動かなければ」アツい想いで突っ走った2年間
〜社内にTUNAGの活用を浸透させるために苦労されたことはなんでしょうか〜
野口:TUNAGの導入当初は、他のグループウェアでやっていたことのうち「今日のつぶやき」や「FSXニュース(全社向けのお知らせ)」「ホットトピック」「サンクスカード」を移行しました。ツールの操作に慣れていないうちからいろんな機能を作ると使ってもらえないのではないかと思ったためです。
そのうちに、社長や専務ら経営者層のコラムなども配信するようになりました。先ほども述べたように、弊社は本社、外回り、工場と部署ごとに勤務地が分かれているため、全社員が集まることは年1回ほどしかありません。経営者層との物理的な距離もあるので、TUNAGで経営者層の想いを配信することにしたんです。
このように、「あれがあったらいいね」「この機能が欲しいね」といったアイデアから機能を増やしていったというよりは、必要に迫られて都度追加してきたというのが実際のところです。
瀬尾:TUNAG導入の決め手となったアワードで、TABIPPOの方が「強い想いを持って取り組み続けなければ人は動かない」とおっしゃっていたのが印象的で、自分が動かなければダメだというアツい想いで2年間突っ走ってきました。
社員から投稿があったら、すべてにスタンプや絵文字を押したり、「1on1をやろう」「飲みに行こう」「一緒に走ろう」といったコメントを付けていたら、野口さんから「流れ作業に見えるからやめてください」とたしなめられたこともあったほど……。今振り返ると、無理やり盛り上げようとしていましたね。
自分ばかりが突っ走りすぎてしまうと、ついていきたい人もついてこられなくなる。そう思って、今は無理せず、やんわりと浸透させていこうと思うようになりました。
野口:いろいろ苦労はありましたが、TUNAGの運用に関しては、瀬尾さんがすべて矢面に立ってくれました。経営陣や中間管理職のみなさんに、「若手はこういうものを求めているからこれが必要です」「こういう取り組みがしたいんです」と布教活動してもらった成果が少しずつ実を結んでいるのではないかと思います。
※FSX様のFSXニュース制度です。会社から現場に向けて伝えたい情報をタイムラインに表示させることができ、リアルタイムで共有することができます。また、発信する重要度に合わせて必読機能の追加など情報の濃淡をつけることができます。
TUNAGの効果について
プロジェクトに巻き込むことでリーダー層の意識が変わった
〜TUNAGを導入して、コミュニケーションや社員の意識に変化はありましたか?〜
野口:TUNAGによって情報が共有しやすくなったという点では効果を感じています。ただ、社員みなさんの身に染みるまでは少し時間がかかりました。私自身は普段からSNSを使っているので、コミュニケーションツールが変わっても違和感なく移行することができます。
しかし、営業部で20代は自分だけで、あとは40代以上の社員ばかりです。ツールが変わったことで緊張したようですが、TUNAGのカスタマーサクセスのサポートがあり、なじむことができました。
今までこうしたツールを活用して情報を受け取ったり、発信したりしてこなかったからこそ苦手意識があるように感じますが、みなさん少しずつ試行錯誤してくださっている感触がありますね。
また、社内全体で見ると意識が変化してきていることを感じます。一番変わってきているのは、リーダー層の意識なのではないでしょうか。
瀬尾:当初、リーダー層が部署内など下のメンバーに呼びかけてくれればこと足りるだろうと思っていましたが、それが簡単にはいきませんでした。リーダー層の社員が部下からどう思われるだろうと、発信をためらい、すれ違いが生まれていたんです。
ですが、定例会に出席していただくなどの取り組みをするようになって、私たちプロジェクトメンバーがどういう想いでTUNAGを運用しているか伝えることで、リーダー層が少しずつ仲間意識を持ってくれていることは感じます。
※FSX様のリーダーからメンバーに向けてメッセージを発信するリーダーズホットトピックス制度です。TUNAGでは共有したい内容に合わせて制度を作成し、写真や動画を使い目的に沿った投稿ができます。また、オリジナルスタンプや絵文字を用いてカジュアルなコミュニケーションを手軽に取ることができます。
今後TUNAGで実現したいこと
経営者層の想いをTUNAGで伝えたい
〜今後、TUNAGでどんなことを実現されたいですか?〜
野口:現在、TUNAGの他にもうひとつ、グループウェアを使っています。最近TUNAGにチャット機能を追加したので、基本的な連絡はTUNAGで行うようにしていますが、もう一つのグループウェアの回覧機能も併用している状態です。
しかし、ツールが2つある状況で、社内メッセージをするときにどちらを優先すればいいのか迷ってしまったり、確認のライムラグが発生したりという問題が起こっています。
できればTUNAGに統一してしまいたいのですが、すべてチャットに移行すると物足りなさを感じてしまうので、悩ましいところです。業務の報告だけでなく、さまざまな情報を広く伝えられるように活用方法をブラッシュアップしていけたらと思います。
また、会社のミッションやバリュー、ビジョンなど、経営者層のメッセージをTUNAGで発信していきたいと考えています。こうした理念を浸透させていくのは時間がかかりますが、ひとつの手段としてTUNAGをうまく活用しきたいですね。
瀬尾:野口さんが言うように、トップメッセージを伝えていけるのがTUNAGの中の大きな機能だと思っています。そこを活用しきれていないのが、いまの課題といえるでしょう。とはいえ、投稿を一番見てくれているのは社長なんです。私たちがTUNAGを通してやろうとしていることを理解してくれていると思うので、経営者層から会社のミッションやバリューを伝えていただけるよう、今後も働きかけていきたいですね。
また、テキストだけで発信しても伝わらないことを、今後は動画コンテンツとして伝えるような取り組みをしていきたいと案が出ています。配送部門に動画を編集できる社員がいて、彼が動画を投稿すると反響が大きいんです。
弊社では障害者雇用で働いていただいている社員もいます。生産の現場にいるそうした社員に向けて、TUNAGを活用することで何かしらコミュニケーションを開ける場が設けられたらという想いもあります。
先日、こんなことがありました。自分から投稿をしたことがないパートさんがいるのですが、管理画面で利用状況を見ていたら、誰よりも投稿への既読数が多いんです。そこで、そのパートさんにサンクスカードを送ってみたら、「サンクスカードを送ってくださってありがとうございます」という言葉が返ってきました。
プロジェクト側からしてみたら、積極的に投稿しない人はコミュニケーションに参加していないように見えますが、実はこうして会社のことを見てくれています。TUNAGを利用することで、「自分はこの会社にいるんだ」と意識するようになってくれていると感じたできごとでした。
社内コミュニケーションツールとして、TUNAGには今後も期待をしています。
〜瀬尾さん、野口さん、ありがとうございました!〜