POINT
- 課題:思うように組合員にメッセージが届いていなかった
- 課題:コロナ禍でコミュニケーション不足を感じていた
- 運用:組合の情報を、従業員の私用スマホやタブレットへ直接発信
- 運用:一部の申請をTUNAGで行い、ペーパーレス化へ
- 運用:TUNAG上でフォトコンテストなど一体感の醸成を図る
- 運用:TUNAGでコミュニティ運用し交流の機会を作りたい
約3万8千人の組合員を抱え、全国に九つの支部を構える本田技研労働組合様。100年に一度といわれる自動車産業の大転換期において、「人・組織の活性化による生産性向上」を掲げてさまざまな取り組みを行っています。
九つの支部のうち本社全国支部では、組合員一丸となって大きな波を乗り越えるためにTUNAG(ツナグ)を導入されました。
今後組合活動を通じて、会社や産業全体にどう貢献されるのか、その中でTUNAGをどのように活用されるのか、本社全国支部執行委員長の児玉真二様にお話を伺いました。
TUNAG導入前に感じていた課題
「自動車産業の大転換期」という認識が組合内で共有できていなかった
〜本田技研労働組合様では、「人・組織の活性化による生産性向上の取り組み」というテーマを掲げています。具体的にはどういった取り組みをされていますか?〜
児玉:近年、電動化やカーボンニュートラルといったキーワードが聞かれるようになりましたが、いま自動車産業は非常に厳しい転換期を迎えています。そういった中、企業に集う従業員1人ひとりがモチベーション高く、やりがいを持って働くことで持てる能力を最大限発揮し、仕事の生産性を向上させることが求められています。
労働組合では職場環境を改善したり、会社の置かれている状況から将来の方向性を共有することで、組合員の一体感を高めようとしています。
具体例を挙げると「out/in(イン分のアウト)」の取り組みです。ムダを削るという「イン」の部分と、従業員自らが「職場を良くしたい」との想いで自身の仕事に付加価値をつけていく「アウト」の部分。そういったチャレンジの後押しをする取り組みをしています。
〜そういったさまざまな取り組みをされる中で、どのような課題を感じていたのでしょうか〜
児玉:生産性向上の面では、まず自分たちの置かれた状況を正しく認識する必要があると考えていました。現在は100年に一度の自動車産業の転換期。その中で働く者として、より生産性を高めていかなければなりません。こうしたメッセージを会社からだけでなく、労働組合からも伝えていく必要があります。
しかし、メールだけのアナウンスではそもそも読んでもらえなかったり、内容が正しく伝わらないといった課題がありました。また、コロナ禍で在宅勤務が常態化し、チームのメンバーと顔を合わせる機会がなくなったことも影響して、コミュニケーションに課題を感じていました。
TUNAG導入のきっかけ
組合活動において自分たちが求めていたものが網羅されていた
〜TUNAGを知ったきっかけを教えてください〜
児玉:組合からの情報共有であったり、発信に対して組合員がどう感じているかも含めて、スマホやタブレットに直接アプローチできるエンゲージメントツールがほしいと思っていたときに、取引先の中央労働金庫の支店長さんからTUNAGをご紹介いただきました。
一度話を聞いてみる価値がありそうだと思い、TUNAGの担当の方と話をしたところ、誠意ある説明をいただいて。私たちが求めていたものがひととおり網羅されていると感じましたね。
〜TUNAGを導入するにあたって、ITに慣れていない方々からの反対意見はありませんでしたか?〜
児玉:コロナ禍で思うように情報が伝わらない中、一緒に活動する役員たちのあいだには受け身で待っていてはいけないという気持ちがありました。弊社の企業文化はチャレンジ精神です。責任は私が持つからということで役員を説得しましたね。
職場にどう展開していくかはこれから発信していきますが、イベント募集やイベント開催後の写真の共有をタイムラインでするなどして、TUNAGのメリットを全面に出しながら展開していこうと思っています。
TUNAGの導入に対して後ろ向きな方に対しては、役員がレクチャーしたり、導入実績、好事例などをPRしながら進めていこうと考えています。
〜TUNAGを導入するにあたって、セキュリティの条件に問題はありませんでしたか?〜
児玉:弊社では過去に大規模なハッキングに遭っていまして、セキュリティが強固になっています。そのため、書類の審査等のやり取りが多くありましたが、導入に問題はありませんでした。
TUNAGの運用について
業務時間外に見られるよう私用スマホやタブレット上で活用
〜TUNAGの管理体制について教えてください〜
児玉:TUNAGのメインの管理者は10名ほどです。専従者が4名、2拠点ある組合事務所に常駐している職員が1人ずつ、あとは広報戦略を担当している執行委員が4名です。
TUNAGの利用対象者は、基本的には正規従業員。いわゆる組合員です。本社全国支部の2,800名ほどを対象としています。
〜どういったデバイスでTUNAGを利用する予定ですか?〜
児玉:私用スマホやタブレットですね。労働協約で定められているとおり、組合活動は業務時間外で行う必要があります。みなさん、お昼休憩や仕事が終わった後などのタイミングでスマホを見ますので、その辺りをターゲット時間として検討しています。
〜組合員のみなさんにはどのようにTUNAGを周知されますか?〜
児玉:会社から従業員1人1台PCが貸与されており、1人ずつにメールアドレスが付与されています。このメールアドレスには組合の広報誌を発信してもいいルールになっているので、TUNAGを導入する際もこのメールアドレス宛にニュースを送信して告知しようと思っています。
〜ここまでの弊社のサポートはいかがでしょうか〜
児玉:TUNAGの営業担当の方の誠意ある対応と、カスタマーサクセス担当の方の迅速なレスポンスで不自由なく進めることができています。ポジティブな印象を持っていますし、これからも支えていただきたいですね。
TUNAGの活用方法
各種申込みやニュースをTUNAGで。ペーパーレス化や一体感の醸成を実現
〜組合活動の業務の中で、TUNAGをどのように活用する予定ですか?〜
児玉:まず、ふだん発行しているニュースはすべてTUNAGに落とし込んでいきたいと考えています。福利厚生制度や労働協約といった規定などもそうですね。また、貸出備品の受付や他社様と提携して発行している優待チケット、イベント募集などもTUNAGを活用してできればと思っています。
毎年1回の組合イベントと称して、過去には鉄道博物館やテーマパークなどいろんなイベントを企画してきました。募集にあたっては組合事務所に来て用紙に記入してもらい、代金と引き換えでチケットを渡していましたが、TUNAGを使えばイベント募集についての発信も、応募フォームへの入力もしてもらえます。
組合イベントの目的である一体感の醸成をするうえでも、イベント後に写真をアップしてみんなに閲覧してもらったり、フォトコンテストなどもできそうですね。
ほかにも、TUNAGを導入したことで新しく生まれたアイデアもあります。弊社では毎年新人が入ってきますが、事業所が違うとなかなか顔を合わせる機会がありません。たとえば、若手組合員やグループリーダーといった特定のメンバーを対象に、TUNAGで小さなコミュニティを作って交流してもらうといった構想も考えています。いろんな使い方ができそうで、夢が広がりますね。
ただ、議案書の説明をしたり、採決をとることが必要なものに関しては、対面で続けていきたいと思っています。リアルとTUNAGのハイブリッドで組合活動を進化させていきたいですね。
〜従来のイベント募集のように、組合へのさまざまな申請は紙で受け付けることが多いのでしょうか?〜
児玉:慶弔金関係など、紙での申請は多いですね。組合本部には全国9支部から毎月たくさんの慶弔金の申請書が届いていると思います。慶弔金に関しては本田技研労働組合として統一フォームで申請する必要があるので電子化は難しいかもしれませんが、支部に裁量のある活動についてはTUNAGに移行していきたいと思っています。
組合員にとって「使い勝手がよい」ツールを目指す
〜TUNAG運用についての目標を伺いたいのですが、どのようなKPIを設定されていますか?〜
児玉:KPIで言うと、まずは2,800人全員に登録してもらうことを入り口の指標としています。その後は運用面で、利用満足度80%を目指してやっていきたいと考えています。
ほかの労働組合さんと情報交換をさせていただいた中で、自分たち組合本部のエゴでコミュニケーションツールを導入したものの、使い勝手がよくないといった声を聞いたこともあります。
TUNAGにはアンケート機能もあるので、その機能を駆使しながら、マイルストーンを立てて運用していけたらと思います。
数値目標以外には、組合員が欲しい時に欲しい情報が手に入る状態を作る。組合側からも発信したい内容をタイムリーに発信する。そんな状態を目指しています。
今後の展望
組合員と組合員をつなぎ合わせる「接着剤」のような存在に
〜今後、組合としてどんなことに取り組んでいきたいと思われますか?〜
児玉:先ほど述べたように、当支部では組合員1人ひとりが1台ずつPCを持っていて、業務上1人一役を担っているような状態です。横とのつながりがなくても1人だけで仕事が完結してしまうんですね。1人ひとりの力を最大限発揮するのはもちろんなのですが、マンパワーを高めた状態でチーム力を掛け合わすことで、より能力が最大化する。そんな状態を組合活動で実現したいですね。
私は、組合は組合員と組合員をつなぎ合わせる接着剤のような存在になるべきだと思っています。1人で仕事が完結している人でも、仲間からの知恵を拝借することでさらに力が大きくなる。これは実際に経験しないとわからないことです。そうした場を組合で作り出して、つなぎ合わせていくことで、企業としての生産性を上げていくのが夢ですね。
コロナ禍で対面での活動が難しい中で、TUNAGにはスキマを埋めてくれるような仕組みがあると思っています。組合が接着剤のような存在になる。そんな展開を実現するツールとして期待しています。
やりがいや価値を感じて働くからこそ、人も組織も活性化する
〜自動車業界はいま、大きな変革期だとおっしゃっていました。ほかの自動車関連の労働組合様がこの記事を見たときに、参考になるようなメッセージがあればお願いします〜
児玉:自動車産業で一番大切なのは、実際にものづくりをする現場です。現場には1人1台PCが貸与されているわけではなく、日々、工程ラインに張り付いて作業に従事しています。こうした人たちに対してどのタイミングで情報発信するのかと考えたとき、やはり私用スマホへのアプローチが有効なのではないでしょうか。
TUNAGを使えば、昼食時間や通勤時間、帰宅後など、発信内容を効果的に組合員さんに届けることができるのではないかと思っています。ですから、本社管轄の組合員よりも、製造現場の組合員に対するアプローチがより有効に行えるのではないかと思っています。
組合員がやりがいや価値を感じて働くこと。それを「人・組織の活性化」と呼んでいますが、人が活き活き働くことで組織が活性化し、生産性が向上する。それが一番重要なことだと思っています。
上流の研究開発から下流の販売までの間のどの部分に自分がいるのか、自分たちが誰の為に、何の為に、何をやるべきなのか、が明確になれば、次の工程をお客様だと思って仕事に従事できます。そうしたモチベーションを高めるための発信をしていくべきですし、それがどこまで伝わっているかを追求する姿勢も大切だと考えています。
我々、本田技研労働組合は設立から70年の歴史があります。古くからの慣習がいいときもあれば、進化を阻害するときもある。常に現在にとっての最上位の価値は何なのか?を考えたときにモバイル戦略が労組活動のプレゼンスを上げるための一つの武器になると思っています。
効率的にスマートに活動を展開できれば組合に対する見方が変わって、役員をやってみようかなと考える人も出てくるかも知れません。そんな副次効果にも期待しています。そうした意味でTUNAGの運用は非常に重要ですし、成功させたいですね。
〜児玉様、お話いただきありがとうございました!〜