デスクレスワーカーにはDXが必要!デジタルツールの効果や事例も紹介

現代社会において、労働市場の大きな割合を占めているのが、デスクレスワーカー(ノンデスクワーカー)です。彼らはオフィスの外で活動し、建設現場から医療現場、小売業まで、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。

この記事では、デスクレスワーカーのDX化に焦点を当て、働きやすい環境を築くための取り組みやデジタルツールの活用方法について解説します。

デスクレスワーカーとは

デスクレスワーカーは「ノンデスクワーカー」と同義語で、 オフィスのデスクから離れ、現場で活動する労働者のことです。デスクレスワーカーには幅広い業種や業界が含まれますが、主な例として以下のようなものがあります。

製造業

工場での作業員、ライン工、エンジニアなど

建設業

大工、鳶職、電気工事士、建築士など

運輸業

トラックドライバー、バス運転手、タクシー運転手、配送員など

小売業

販売員、レジ店員、在庫管理担当者など

サービス業

介護士、看護師、保育士、飲食店員、ホテルスタッフなど

医療・介護業

看護師、介護士など

一般的に、肉体労働を行う労働者をブルーワーカーと表現する場合があります。ブルーワーカーはデスクレスワーカーと重なる部分もありますが、特に工業や建設などの分野に焦点を当てた用語として用いられています。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った調査「職業別就業者数2023年平均」によると、日本では、就業人口の約60%がデスクレスワーカーとなっています。また、総務省が行った「日本の産業別実質市場規模(国内生産額)の推移」によるとデスクレスワーカーの市場規模は試算方法により異なるものの、主要な建設業、運輸業、小売業だけでも100兆円を超える規模(*2)になっています。

デスクレスワーカーが抱える課題

ここでは、デスクレスワーカーが直面している課題について解説します。

深刻な人手不足

デスクレスワーカーが働く多くの業界では、深刻な人手不足に直面しています。労働者数の過不足について、「不足(やや不足、おおいに不足)」と回答した事業所の割合から「過剰(やや過剰、おおいに過剰)」と回答した事業所の割合を差し引いた「労働者過不足判断D.I.」という指標があります。厚生労働省が2023年に調査したデータによると、特に正社員採用における、建設業、製造業、運輸業、サービス業などのデスクレスワーカーが活躍する業界において、人手不足を強く感じている状況です。

この人手不足の状況は、時間外労働の上限規制によってさらに深刻さを増すことが、懸念されています。

従業員全体に情報が行き届かない

多くのデスクレスワーカーは、インターネットに常時アクセスしにくい環境で働いています。そのため、現在でも多くの情報が、紙媒体で伝達や共有されている状況です。

しかし、紙媒体での情報共有には、以下のような課題があります。

  • 情報の更新に時間がかかり、最新の情報が従業員に共有されるまでに時間がかかる
  • 必要な情報を探すのが困難で、時間と労力がかかる
  • 紛失や破損のリスクがあり、重要な情報が失われる可能性が高い

実際に、スタメンが実施した調査「ノンデスクワーカーの働き方実態調査2024」によると、デスクレスワーカーの6割以上が「情報共有に抜け漏れがある」と回答しています。このような状況は、業務プロセスの透明性を低下させ、チームワークの構築にも影響を及ぼすため、早急な情報のデジタル化と共有化が求められている状況です。

新人教育が効率化できていない

デスクレスワーカーの職場は、伝統的に職人の技が重んじられるケースなどもあり、属人性の高いことが特徴です。そのため、新人教育はしばしば担当者に依存してしまい、教える人によって内容が異なるという問題が生じています。

「ノンデスクワーカーの働き方実態調査2024」によると、デスクレスワーカーの5割以上が新人教育に課題があると感じています。その主な要因は「教育内容の不統一性」「マニュアルの未整備」「教育プロセスの曖昧さ」という回答です。

今後、若年者のさらなる減少により、ますます新人採用が難しくなっていくことが予想されます。デスクレスワーカーの労働力確保を図るには、新人教育の効率化は重要な課題です。

コミュニケーションが上手く取れない

デスクレスワーカーは、現場での作業が中心であるため、少人数での作業が一般的です。この状況は、部門間や上司、部下間でのコミュニケーションを難しくしています。特に、異なる部署や拠点とのコミュニケーション不足は、デスクレスワーカーにとって大きな課題です。

「ノンデスクワーカーの働き方実態調査2024」によると、デスクレスワーカーの6割以上が、他部署や他拠点との情報共有が不十分であると感じており、これが業務の効率性やチームワークの構築に影響を与えています。コミュニケーション不足は、誤解やミスの原因となり、結果的にプロジェクトの遅延や品質の低下を招く可能性があります。

デスクレスワーカーにはデジタル化(DX)が必要!!

これまでデスクレスワーカーの現場では、オフィスと比べてIT環境が整っていないことや、業務内容が複雑であることなどが原因で、デジタル化がなかなか進んでいませんでした。

しかし、近年は通信環境の整備やスマートフォン・タブレットの普及により、デスクレスワーカーの現場でもデジタル化が進みつつあります。特に、SaaS(Software as a Service)ツールの導入によって、業務の大幅な効率化を達成しているケースが増えています。

今後、現場作業の効率化や業務のスムーズな遂行を図るためには、デスクレスワーカーのデジタル化を早急に推進することが重要です。

デスクレスワーカーのDXを進めるメリット

DXは、デスクレスワーカーにとって革命的な変化をもたらす可能性を秘めています。デジタルツールの導入による業務の効率化は、これまでのアナログな作業環境から脱却し、大幅な生産性向上へとつなげることが可能です。

ここでは、デスクレスワーカーのDXを進めることによる具体的なメリットについて、解説します。

業務効率化による生産性向上

デスクレスワーカーのDX化を進めることで、業務に関する情報管理は紙媒体からデジタルへと大きく変わります。これにより、情報の伝達や共有が容易になり、抜け漏れや遅延の防止に繋がります。その結果、業務の効率化やトラブルの予防を図ることが可能です。

また、教育カリキュラムや業務マニュアルをデジタル化することで属人化された教育から脱却し、より計画的かつ効果的な新人教育を実施できます。加えて、従業員間での知識共有やスキル向上も促進され、個人やチーム全体の生産性向上に繋がります。

エンゲージメント向上で離職率改善

デスクレスワーカーのDX化は、従業員のエンゲージメントを大きく向上させる効果があります。DXによりコミュニケーションが活性化され、従業員の頑張りが可視化されると、個々の成果が明確になるとともに適切な評価やフィードバックの促進が可能です。

エンゲージメントの向上は離職率の低下に直結し、企業にとっては人材の確保と育成におけるコスト削減へとつながります。

また、会社や経営者の目指す方向性を従業員一人一人にしっかりと伝えられることで、従業員が自分の果たすべき役割を理解し、自身の目標を設定しやすくなる効果も期待できます。

デスクレスワーカーがデジタルツールを活用するまでの流れ

デスクレスワーカーの業務は、デジタルツール活用によって大幅な効率化が可能です。しかし、デジタルツールを効果的に活用するためには、現場の状況に合わせて導入することが重要です。

ここでは、デスクレスワーカーがデジタルツールをスムーズに活用するまでの流れを解説します。

デジタルツール導入の体制づくり

デスクレスワーカーへのデジタルツール導入を成功させるためには、組織内にどのような課題があるかを明確にすることが大切です。社内アンケートや関係者インタビューを通じて現場の声を集め、具体的な課題を把握しましょう。これにより、デジタルツール導入の方向性が定まり、必要な機能やサポート体制を明確にできます。

また、経営陣がDX化推進に対して強い意思を持ち、その姿勢を社内に示すことも重要です。経営陣がデジタルツール導入を後押しすることで、導入プロジェクトへの信頼と期待が高まり、組織全体が導入を受け入れやすくなります。

さらに、デジタルツール導入の担当部門や担当者の明確な体制づくりを行うことで、計画的かつ効率的な導入が可能です。担当者が導入への高いモチベーションを持つことで、プロジェクトの進捗管理や課題解決、関係者間の調整などが迅速に進められるようになります。

運用ルールの決定

デジタルツール導入における大きな障害の一つは、従業員からの「面倒くさい」という感覚です。そのため、新しいツールの利用を現場に定着させるには、抵抗感を与えない運用ルールの策定が重要です。初期段階では必要最低限の機能だけを導入することで、新しいツールの操作をできるだけシンプルにして従業員の抵抗感をできるだけ下げることを意識しましょう。

デジタルツールを導入後、一度、従業員がその利便性を体感すれば、デジタルツール活用は自然と定着します。様々な機能の追加は、その後に進めるのが賢明です。

また、アクセス権限の管理やデータのセキュリティ保護は、運用ルールの基本となります。近年では、セキュリティ管理不足による情報の外部漏洩が、大きな社会問題となっています。このような事態を避けるためにも、従業員が安心してツールを使用でき、情報漏洩のリスクを最小限に抑える運用ルールを決定することが大切です。

本稼働〜活動定着

事前準備を十分に行っていても、デジタルツールの本稼働が始まると、現場に適合しない問題が生じる場合があります。そのため、本稼働を開始したら、早急に現場での問題点をヒアリングすることが大切です。対応可能な問題については迅速に改善すれば、現場のメンバーに「自分達の意見が反映される」という認識を与えられます。

また、稼働後の成果はできるだけ数値化し、組織全体にその効果をアピールすることが大切です。その効果を分かりやすく知らせることで、デジタルツール活用の利便性を浸透させられます。さらに、利用者の声を紹介することも、現場の理解を広げる有効な手段です。

これらの情報開示を行ったうえで、経営陣がDX化の方針を示せば、組織全体に活動が定着しやすくなります。経営陣と現場の目指す方向性が一致することで、組織のDX化がさらに進行していきます。

デスクレスワーカーのDX化の事例

実際に成果を上げているDX化の成功事例を紹介します。

ここでは社内ポータル「TUNAG(ツナグ)」を導入した事例を紹介しますので参考にしてください。

【情報共有・コミュニケーション改善】ホイテクノ物流株式会社

ホイテクノ物流株式会社は、大型トラックを用いた輸送と倉庫業務を事業とする企業です。東北から関西まで13拠点を展開し、製品の保管から配送までを行っています。

同社は、従業員の約6割がデスクレスワーカーのドライバーです。そのため、ドライバー一人ひとりへ直接的に情報を伝達する手段がないとともに、トップダウンで一方通行の情報伝達になっているという課題がありました。

同社ではこの課題を解決するために、双方向の意思疎通を可能にして全従業員間での情報共有や支店間の情報交流を促進する目的で、DXツール「TUNAG」を導入しました。

全従業員が情報を共有できるように「ここに来ればすべてが分かる」というモットーのもと、会社からの通達や案内は、ほぼ全てを「TUNAG」に集約。支店間のつながりを強化するために、各拠点から「こんなことやってます」というような投稿も、「TUNAG」で発信しています。

その結果、ドライバーへのダイレクトな情報伝達が可能となり、事故防止の情報や会社の方針がドライバーや各拠点に効果的に伝わるようになりました。さらに、ドライバーの危機管理意識が高まり、中期的には事故件数の減少傾向が見られています。

今後、同社はさらなるDX化によって全従業員の情報共有を行い、様々な事態へスピーディーに対応できる体制づくりを目指しています。

事例記事はこちら>>>「見える化・効率化で従業員満足度向上を目指す」ホイテクノ物流のTUNAG活用事例

【新人教育】株式会社木曽路


株式会社木曽路は、しゃぶしゃぶ・日本料理の「木曽路」をはじめ、焼き肉店や居酒屋など、関東から九州まで約190店舗を展開している企業です。同社は「よろこびの食文化の創造」を経営理念に掲げ、外食事業を通じて社会への貢献を目指しています。

同社での店舗で働く従業員の多くは、調理や盛り付け、接客を担当するノンデスクワーカーです。そのため、職人気質の従業員が新人教育を担当することもあり、口頭や実際の作業を通して新人教育を行い、属人性が高くなってしまうケースがありました。

また、1店舗に50〜60名のメンバーが在籍することや勤務日やシフト制などにより、新人への情報伝達が上手くいかず、コミュニケーション不足によるトラブルなどにもつながっていました。

同社ではこの課題を解決するために、DXツール「TUNAG」を導入。「TUNAG」を通じて、営業エリアごとに会社からの情報が発信されています。従業員は自分のスマートフォンで業務に関する情報を確認できるため、新人が現場で働く際にも「知らない」情報が減少しました。

さらに、動画や写真を用いたマニュアルを配信することで新人社員の業務指導を分かりやすく行い、教育のスピードアップを実現しています。

今後も、同社では「TUNAG」を活用して従業員との情報共有や連帯感強化を図ることで、長期間にわたって一緒に働ける企業風土づくりを目指しています。

事例記事はこちら>>>「不規則なシフトでも情報が行き渡る」木曽路が実践する、パート・アルバイトを含めた情報共有

まとめ|デスクレスワーカーが働きやすくなるために

ここまで、デスクレスワーカーのDX化の重要性とその進め方について解説しました。

デスクレスワーカーは労働市場の半数以上を占める大きな存在です。そのため、デスクレスワーカーの業務効率化は、企業にとって大きなメリットをもたらします。DX化への取り組みは、業務プロセスの改善だけでなく、デスクレスワーカーの満足度向上にも寄与し、結果として企業の競争力を高められます。

デスクレスワーカーが働きやすい環境をつくるためにも、効果的なDX化を推進していきましょう。

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