今更聞けない小売業界とは?代表例や卸売業との違い、現状と今後の展望などを解説

小売業界は日常生活に欠かせない食品や、衣料品などの商品を提供する重要な業界です。小売業界の概要から卸売業との違い、代表的な業態などを解説するので、基本知識として押さえておきましょう。業界の抱える課題や今後の展望なども解説します。

小売業界とは?どういう仕事?

小売業界とは、消費者が日常的に購入する商品を提供する業種であり、食品や衣料品・家電製品など、多岐にわたる商品を取り扱っています。まずは小売業の基本的な役割や仕事内容について、基本的なところを押さえておきましょう。

消費者が購入するさまざまな商品を販売する業種

小売業界とは、消費者が直接購入する商品を提供する業種であり、さまざまなジャンルの企業が該当します。生鮮食品や日用品をはじめ、ファッションや家電製品など、幅広い商品が小売業者によって取り扱われており、生活をする上で欠かせない存在です。

消費者のニーズに合わせた商品を仕入れ、適切な価格で提供する役割を担っています。消費者との距離が近いため、トレンドの変化や顧客ニーズに迅速に対応しなければいけません。また、接客や販売にかかるサービスの質も重要で、多くの企業が顧客の購買体験の向上を目指す取り組みをしています。

小売業の市場規模

日本の小売業界は非常に大きな市場を持っています。経済産業省のデータによると、2023年の小売業の総販売額は163兆340億円で、GDPにも大きなインパクトを与えている業界です。消費者向けに提供される商品やサービスの量も膨大です。

もともと市場規模が大きな業界でしたが、近年はコロナ禍を経て、EC(電子商取引)の成長が目立っており、従来の店舗販売と併用するハイブリッド型のビジネスモデルも増加傾向にあります。今後もデジタル技術の進化に伴い、さらなる市場拡大が期待される一方で、企業間の競争もますます激しくなるでしょう。

※出典:2023年小売業販売を振り返る|その他の研究・分析レポート|経済産業省

小売業と卸売業の違い

小売業と卸売業は、消費者に商品を提供する点で共通していますが、その役割や販売の仕組みは大きく異なります。両者の具体的な違いや、商社との関係についても理解しておきましょう。

販売形態が大きく異なる

小売業と卸売業の最大の違いは、販売の対象や形態です。小売業者は消費者に直接商品を販売しますが、卸売業者は小売業者や他の事業者に対して、商品を大量に供給する役割を果たしています。

また卸売業者は役割上、小売業者よりも規模の大きな取引をするのが一般的で、流通の中間に位置しています。一方で小売業者は、商品を最終的に消費者に届ける存在です。消費者のニーズに応じた商品ラインアップを構成する必要があるのに加えて、直接顧客一人一人に対応して商品を販売する必要があります。

小売業にとっては卸売業は必要不可欠

小売業者が消費者に商品を届けるためには、卸売業者からの品物の供給が不可欠です。卸売業者は、生産者やメーカーから大量の商品を仕入れ、小売業者に対して供給する役割を担っています。

このサプライチェーンにおいて、卸売業は重要な中間役として機能し、商品が円滑に市場に流通するための橋渡しをしています。特に規模の小さい小売業者にとっては、複数の仕入先と交渉する手間を省き、効率的に商品を入手できるため、卸売業は欠かせない存在です。

商社との違いは?

卸売業者と商社の違いは、業務内容と取り扱う商材の範囲にあります。卸売業者は主に商品を大量に流通させる役割を担っていますが、商社は商材の取引だけではなく、物流や金融に加えて、情報提供など多岐にわたるサービスを展開しているのが特徴です。

また、商社は国の枠を超えてビジネスを展開しているケースも多く、原材料から製品まで広範な範囲で取引を行います。一方で、卸売業者は特定の市場や商品分野に特化しているのが一般的です。

【形態別】小売業の代表例

小売業には多くの形態があり、消費者のニーズやライフスタイルに応じて、多様なサービスが提供されています。ショッピングセンターや百貨店・スーパーマーケットなど、代表的な小売業の形態と主な特徴を押さえておきましょう。

ショッピングセンター

ショッピングセンターは、複数の小売業者が集まった商業施設で、多彩な商品を同じ敷地で提供する形態です。

食品や衣料品・雑貨など、消費者の日常生活に必要な商品を幅広く取り扱っており、便利な買い物スポットとして人気があります。特に、地方ではショッピングセンターが、その地域の住民の生活を支えているケースが珍しくありません。

近年では、エンターテイメント施設や飲食店なども併設され、単なる買い物の場にとどまらず、家族や友人と過ごす場としての機能も果たしています。

百貨店

百貨店は高級感のある商品ラインアップと、幅広い商品カテゴリーが特徴の店舗形態です。特に都市部に多く展開しており、ブランド品や高級ファッション品、化粧品・食品などを取り扱っています。

商品の豊富さに加えて、きめ細やかな接客も特徴的で、消費者に付加価値の高いサービスを提供しているのが特徴です。近年はECの台頭により、一時的に業績不振に陥った店舗もありましたが、オンラインストアとの連携を強化し、顧客体験を向上させる取り組みにも注力しています。

スーパーマーケット

スーパーマーケットは、日常的に消費される機会の多い商品を中心に、さまざまな商品を取り扱う小売店です。生鮮食品や飲料をはじめ、幅広い商品を手頃な価格で提供することが強みです。家庭用品や雑貨など、幅広い商品を提供しているのが強みです。

近年では、健康志向やエコ志向の消費者に向けたオーガニック商品や、エシカル商品なども多く取り扱う店舗も増えており、消費者にとっては選択肢の多様化が進んでいます。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアは、24時間営業の店舗が多い点や店舗数の多さ、利便性の高い立地などが特徴の形態です。食品や日用品をはじめ、公共料金の支払いやチケットの購入、宅配便の受付など、生活に密着したさまざまなサービスを提供しています。

特に日本では、都心から地方まで広範囲に展開しており、短時間で必要な物がそろう場所として高い需要があります。また独自ブランドの商品展開や、食品の品質向上も進んでおり、地域限定の商品も数多くリリースされているのも特徴です。

専門店

専門店は、特定のカテゴリーに特化した商品を取り扱う店舗です。ファッションやスポーツ用品・電化製品・書籍など、さまざまな分野の専門店があります。

専門知識を持つスタッフが顧客に対して丁寧なアドバイスをすることで、個別のニーズに応えられるのが強みです。一人一人に細やかなサービスをするのも特徴で、品質やサービスにこだわりたい消費者に支持されており、独自のアフターサービスを提供している店舗も多くあります。

小売業界の抱える課題

小売業界はほかの業界に比べて規模が大きく、日々進化し続けていますが、以下のような課題にも直面している状況です。慢性的な人手不足や労働環境の改善が急務であり、デジタル技術の導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れも指摘されています。

慢性的な人手不足の企業が多い

小売業界は、長時間労働やパート・アルバイトを主体とした事業運営などの影響で、慢性的な人手不足に陥っている店舗が多くあります。

特に、接客や販売スタッフの確保が難しい状況にあり、新規の人材採用に難儀している企業は珍しくありません。さらに採用難により既存スタッフの負担が増し、離職率が高まる悪循環に陥っている場合もあります。

この問題を解決するため、業界全体で労働環境の改善が求められているのに加え、既存の労働力を補うためのテクノロジーの導入も、積極的に進められています。

DXの遅れも目立つ

上記のように、人手不足を解消するため、テクノロジーを活用する企業が増えている一方で、業界全体では、いわゆるDXの遅れが指摘されています。特に、個人事業で運営している店舗などは、いまだ商品の受発注を電話でこなしているなど、アナログ的なやり方が主流のケースも少なくありません。

また、大手の小売企業でも顧客データの活用が十分に行われていないケースもあり、DXの推進が求められています。企業間や店舗間の競争が激化している現状において、ECサイトやモバイルアプリなどのデジタル技術を効果的に活用することが、今後の成長を左右する重要なポイントとなります。

なお、DXの実現に役立つシステムは多くありますが、スマホを使って組織全体のDXを推進できる「TUNAG」を導入すれば、組織のさまざまな課題の解決が可能です。

豊富な情報共有機能とワークフロー機能をはじめとして、マニュアルの作成やサンクスカードの配布といった機能が充実しています。スタッフの業務効率化に加えて、社内コミュニケーションの活性化にも役立つので、この機会に導入を検討してみましょう。小売業界への導入例も多くあります。

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小売業界の現状を把握する

小売業界は、さまざまな商品・サービスを提供している業界であり、消費者の生活に深く関わっています。市場規模は膨大で多種多様な店舗があるのが特徴で、EC(電子商取引)やIT技術の進展により、急速に変化している業界でもあります。

一方で、人手不足やDXの遅れなど、業界全体として解決すべき課題も少なくありません。今後は積極的なテクノロジーの活用や消費者体験の向上が成功のポイントとなり、顧客ニーズや環境の変化に対して、柔軟に対応できる企業が成長を遂げるでしょう。

これから小売業界に進出する企業や、小売業界での起業を考えている人は、現状をよく把握した上で、きちんと成長戦略を立てることが重要です。DXの推進に役立つツールや、各種システムの導入も検討してみましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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