人手不足が企業に与える影響とは?解消のためにすべきことをあわせて解説
日本では少子高齢化が進む中、さまざまな業界で人手不足が深刻な問題となっています。この情勢は企業経営にどのような影響を与え、どのような解決策が考えられるのでしょうか。本記事では、日本における人手不足の現状と原因、企業への具体的な影響、そして解消に向けた取り組みを詳しく解説します。
人手不足の現状と原因
少子高齢化や労働力人口の減少が進む日本では、人手不足が深刻な社会問題として浮上しています。本章では、現状とその背景にある原因を詳しく探ります。
日本における人手不足の現状
日本における人手不足は、労働人口の減少による構造的な問題です。厚生労働省の統計によれば、中小企業での人手不足感が高まっており、雇用人員判断の推移も、人手不足に年々傾いています。
特に介護、建設、小売業などの業界では、必要な労働力を確保できない状況が続いています。このような状況は、企業が業務を正常に運営する能力を大きく制約しています。
参考:第Ⅱ部第1章 我が国を取り巻く人手不足等の現状 | 厚生労働省
人手不足の主な原因
人手不足の原因は多岐にわたりますが、主には「少子高齢化による労働力人口の絶対的な減少」「労働市場における地域間の不均衡やミスマッチ」「働き手のニーズの多様化」という3つが挙げられます。
少子高齢化による労働力人口の減少は、特に地方で顕著であり、都市部との人口移動がその影響を加速させています。
また、労働市場のミスマッチとして、企業が求めるスキルと求職者の能力が一致しないケースが増加しています。
働き手のニーズの多様化によって、柔軟な働き方やキャリア志向を重視する人材が、従来の固定的な労働環境を敬遠する傾向も原因の一つです。これらの要因が複合的に絡み合い、人手不足が深刻化しています。
業界別の人手不足状況
業界ごとに見ると、介護業界では超高齢化社会を背景に需要が急増していますが、過酷な労働環境が要因で離職率が高い傾向があります。
同じく厚生労働省のデータによれば、特に正社員の不足を感じているのは製造業・建設業で、パートタイムの不足が顕著な業種が生活関連サービス業や金融保険業となっています。慢性的にどの業界もすべて「人材が不足している」という調査結果となっています。
建設業では、若手労働者の不足が慢性的な課題となっており、技能継承が進まない事例が増えています。また、小売業や飲食業では長時間労働が敬遠され、人材確保が困難な状況が続いています。
参考:第Ⅱ部第1章 我が国を取り巻く人手不足等の現状 | 厚生労働省
人手不足が企業に与える影響
人手不足が企業に与える影響は深刻で、業務効率やサービス品質、さらには企業の存続そのものにまで及びます。本章では、具体的な影響について掘り下げます。
労働環境の悪化と従業員の負担増
人手不足が続くと、既存の従業員にかかる負担が増加します。長時間労働や休日出勤が常態化し、労働環境の悪化を招きます。
その結果、従業員の健康を害し、さらに離職者が増えるという悪循環に陥るケースが多々見られます。
また、若手社員が辞めていった結果、従業員の平均年齢が上がるという問題が浮上する企業もあります。少子高齢化により若手の獲得が困難となっており、どの業界でも未来を担う若手の採用に関しては課題を感じているのが現状です。
人手不足による倒産
深刻な場合、人手不足は企業の存続を脅かします。特にコロナ禍による景気悪化のあおりを受けて、倒産件数も増えています。
厚生労働省の公表したデータによれば、人手不足が原因で倒産する企業の割合は、全体の7.5%にも上っているというデータもあります。
これには、人材確保ができないことで新規受注を断念したり、既存業務が滞ることで収益が減少したりすることが背景にあります。また、会社の後継者がおらずに倒産している企業件数も少なくありません。
少子化に伴い、人手不足が原因で倒産する企業はさらに増えるとの見込みもあるようです。
参考:人口減少社会への対応と 人手不足の下での企業の人材確保に向けて
サービス品質の低下と顧客満足度への影響
従業員不足は、サービス品質にも直結します。たとえば、人手不足によって従業員の教育やマネジメントが行き届かないことで、飲食業界では調理や接客のミスが増え、顧客満足度の低下を招く企業が増えています。
別の業界としてIT分野では、納期遅延や品質低下がクライアントの信頼を損なう事態につながっています。これらの問題は、企業のブランド価値の低下を引き起こし、長期的な経営にも悪影響を及ぼします。
人手不足解消に向けた企業の取り組み
人手不足を乗り越えるためには、企業が主体的に対策を講じることが不可欠です。ここでは、働き方改革、デジタル技術の活用、外部リソースの取り入れ、そして若手人材の確保といった多岐にわたる取り組みについて具体的に解説します。
働き方改革と人事制度の見直し
現代の企業では、働き方改革を軸に従業員がより快適に働ける環境づくりが進められています。
リモートワークの導入は、通勤時間を削減し、働き手のライフスタイルに柔軟性をもたらします。また、時差出勤やフレックスタイム制度の採用により、個々の生活に合わせたスケジュール調整が可能となりました。企業によっては副業を解禁し、従業員のスキル向上やキャリアパスの多様化を促進しています。
これらの試みは離職率低下の効果が見込めると同時に、採用の幅を広げることにもつながります。リモートワークが一般的になれば、出社にこだわる必要がなく、遠方の地域からでも人材採用が見込めるためです。
業務効率化とDX推進
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、現代の企業にとって人手不足解消に効果的です。
AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入により、ルーティン業務を効率化し、従業員が創造性を求められる高付加価値業務に注力できる環境が整っています。
AIツールを導入すれば、例えば事務やカスタマーサポートでは業務の一部を自動化し、人がいなくても業務が回るようになるでしょう。製造業などでは単純作業をRPAに任せることで、こちらも必要従業員数を減らすことができます。
アウトソーシングの活用
外部リソースの利用は、コスト効率と業務品質を同時に追求する手段として注目されています。特に専門知識や高度なスキルを要する業務では、アウトソーシングが有効です。
事務職や経理の人材が不足している場合、バックオフィス業務を専門とするBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業の支援を受けることで、人件費を削減しながらも、正確かつ効率的な業務遂行を実現している企業が増えています。
プロジェクト単位で人手が必要になるエンジニアや、特定の時期のみ人手を増やしたい運送業などでは、人を増やしたい時期のみアウトソーシングを頼ることで、閑散期の人件費を減らすことにもつながります。
こうした取り組みは、限られたリソースを効果的に活用する一助となるでしょう。
若手人材の採用と定着率向上
若手人材の育成と定着は、企業が長期的に競争力を維持する上で欠かせない要素です。多くの企業では、新卒採用時にインターンシップや職場見学のプログラムを導入したり、学生が職場環境や業務内容を直接体験したりできる機会を設けています。
その結果、職場との適性を事前に確認し、ミスマッチを防ぐ取り組みが進められています。
また、入社後の育成では、OJT(On-the-Job Training)を中心に据えた教育プログラムや、経験豊富な社員が若手を指導するメンター制度を導入する企業も増えています。若手社員が早期に実務スキルを習得し、業務に自信を持たせて早期離職を防ぐことが目的です。
このような具体的な支援策により、従業員の定着率向上やスキル向上が確認されており、結果として、企業全体の生産性や業績の向上にも寄与しています。
人手不足の解消はDXがカギを握る
DXの推進は、初期投資のハードルが高い一方で、適切なITツールを導入することによる効率化の効果は非常に大きいです。
例えば、「TUNAG」のようなエンゲージメントを向上させるツールの導入はコミュニケーションを活性化し、職場の雰囲気を良くしたり業務効率化につながります。
現在はAIが日々進歩し、ますますDX化による人手不足の解消に期待が持てるでしょう。社内で人材を育成できる環境を整えつつ、DX化の促進が、人手不足の解消に大きく貢献します。