新入社員研修を有意義なものにするには
“新入社員”には、社会人未経験の状態で入社する新入社員と、転職等で入社する中途入社社員(新入社員)の二通りあります。しかし、“新入社員研修”と聞くと、前者を想像する方が多いのではないでしょうか。
新卒入社社員を受け入れる際、どの会社でも新入社員研修を実施することが当たり前になってきました。
ユニークな新入社員研修を行っている会社は、ニュースなどでも紹介され、会社ごとに工夫を凝らしてプログラムを組んでいるところが多くなっています。
新入社員研修を「受けてよかった」と思ってもらい、配属後の現場の社員が「しっかり研修で学んできたんだな」と思ってもらえるものにするには、どうすればよいのでしょうか。
そのヒントについて、新入社員研修の計画、実施を行った経験もある筆者からご紹介していきたいと思います。
新入社員研修の目的
社会人として身につけるべき基本のスキル・知識を学ぶ
どの職種であっても、身につけるべき社会人としての基本のスキルは、新入社員研修の間に見につけておくことが必要です。主にビジネスマナーや社会人としての基本の行動、会社によっては会社が求める行動指針などを学ぶことがが当てはまります。
社会人の自覚を持つ
社会人未経験の新入社員が社会人としての自覚を持たないまま現場で仕事をしても、うまく対応できなかったり、これまでとの生活とのギャップを感じてしまったりします。
脅す必要はありませんが、社会人としてこれまでとは求められることが違うということは、最初にしっかりと自覚を持てるように指導していく必要があります。
同期同士のつながりを持つ
離職を防ぐ対策の一つに、“同期とのつながり"があります。
入社した新入社員が早期に離職してしまう前に、悩みを相談したりできる仲間づくりを意識することも新入社員研修の目的の一つといえます。
※参考記事:
社員の離職を防ぐ「リテンションマネジメント」の施策とは?〜青山学院山本教授インタビュー(前編)〜
社員の離職を防ぐ「リテンションマネジメント」の施策とは?〜青山学院山本教授インタビュー(後編)〜
新入社員研修の計画の立て方
1.目的とゴールを定める
新入社員を実施した後、どうなってほしいのかを明確にしましょう。
「基本的なビジネスマナーを習得している」「会社の事業内容を理解できている」などがありますが、会社として新入社員をどんな風に教育していきたいのかは、経営陣を含めて意識を統一しておくことが重要です。
新入社員研修だけを計画するのではなく、新入社員で入社した後の1年後、3年後の姿も想像し、長期的なプランを立てていきたいですね。
2.現場担当からヒアリングする
事前に現場の管理職の方などからの意見をヒアリングしておくことも重要です。
各事業部ごとで新入社員に求めることは変わるかもしれませんが、新入社員研修で行っておくべきことは何なのか、どこまで習得したうえで現場配属すればよいのか、事前にすりあわせておくと配属後の業務もスムーズに進みます。
プログラム内容によっては、現場の方に講師になってもらうこともあると思いますので、その研修内容の調整など、前もって計画的に進めておきましょう。
3.具体的なプログラムを検討する
設定したゴールに向けて、具体的にどんなことを行わなければならないのか、具体的にプログラムを検討していきましょう。
まずはざっくりと「ビジネスマナー研修」「各事業部の理解」……などとカテゴリを分け、各カテゴリで達成したいゴール(ビジネスマナーなら基本的なマナー習得など)を設定します。
そのゴール達成のために必要なコンテンツをより具体的に検討していきます。
・研修内容(ビジネスマナーなど)
・ゴール(基本的なマナーの習得)
・講師(社内なのか外部講師なのか)
・時間(1時間なのか2時間なのか)
・実施時期(研修の初期に行うのか、後に行うのかなど)
・コンテンツ、資料(どんな資料を使うのか)
・達成度の測定(習得状況をどうやって測定するのか)
このカテゴリが増えれば増えるほど、新入社員研修の期間は長くなります。
なるべく短い期間で済ませたい場合は内容を工夫する必要があります。また、外部の専門家などに研修を依頼する場合はかかる費用やスケジュールを前もって検討しておく方が良いでしょう。
参考:なぜ。社内制度は続かないのか?活用されるためにとるべき7つのステップ
新入社員研修に取り入れると良いカリキュラムとは
>社会人としての心得
社会人と学生の違い、会社とは何かなど、まずは社会人としての自覚を持てるように解説する時間があると良いでしょう。
>ビジネスマナー研修
ビジネスマナーがなぜ大切なのか、挨拶や名刺交換、なかなか後では教えてもらえないようなマナー、敬語の復習など、現場の方が「そんなことも知らないのか」とならないよう、基本的な知識は得ておきたいですね。
とはいえ、ビジネスマナーは1日では身につきませんので、後で振り返ることのできるテキストや図書を用意しておくと良いでしょう。
>自社を知る研修
会社によって異なる内容になるのがこちらです。
まず、自社がどのような経営理念で会社を経営しているのか、社員に求めることは何なのか、会社のことを知ってもらうための場が必要です。ここは社長など経営陣の方が説明する時間にしても良いかもしれません。
>自社の事業を知る研修
会社のことが分かったら、次は自社の事業を知るための時間を設けます。自社のサービス・製品の理解をしっかりすることは、会社への愛着や、自分の自信にもつながります。
また、これから色々な部署に配属になり、バラバラになるため、自分の部署以外の事業のことを知ることができる機会は減ってしまいます。是非各事業部の部長などから自社の事業の現状やこれからのことなどを理解できる機会を設けましょう。
>チームビルディング研修
新入社員の絆、つながりを深めることを目的としたチームビルディング型研修を入れておくと、同期同士での仲間意識やライバル意識が醸成されます。外部研修機関に依頼する形や、自社で企画する形など様々な実施方法があります。
※参考記事:
チームビルディングとは?すぐに始められるゲームやアクティビティ例をご紹介
>社会人の基礎知識を得る研修
事業や職種によって異なりますが、社会人として身につけておきたい基本的な経済の知識、決算が読めるようになる知識など、改めて学んでおきたい知識を得られる機会を設けると良いでしょう。
最近であれば、個人情報の扱いに関する知識や、コンプライアンス、パワハラ、セクハラ、SNSの利用についてなどの研修も行っている会社が多いようです。
ただ、座学形式が多くなってしまうため、新入社員研修のタイミングで行わず、月に1度集合研修を1時間設けて実施したり、e-learning形式で行うような形をとっても良いかもしれません。
ユニークな新入社員研修事例
基本的な新入社員研修の内容をこれまでご紹介してきましたが、それだけではなく、現在はユニークな研修を取り入れいている企業が多くあります。
1)トヨタ自動車も導入した「暗闇研修」
トヨタ自動車や、清水建設、他大手金融関係の会社など、500社以上が導入したという「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という暗闇研修をご存知でしょうか?
生まれはドイツ、世界各国で開催されているというこの研修は、真っ暗闇の環境の中でメンバーが一緒に作業をするという内容。
実際には視覚障害者の方がスタッフとして対応します。
視覚を失った環境の中でコミュニケーションをするにあたり、お互いが助け合うことや状況の把握のために自分から働きかけることの重要性に気づくのだそうです。新入社員研修だけでなく、チームビルディングや管理職向けの研修としても導入されています。
※参考:
ダイアローグ・ジャパン・ソサエティ
2)社長と新入社員の仲を深める研修
株式会社ラクーンでは、『社長と行く!ダーツの旅』として、社員と1泊2日の旅を行っています。社長とともに旅をし、新入社員との仲を深め、役職などにかかわらず自分の意見を言えるようにすること、会社の価値観を理解してもらうことを目的として実施しています。
※参考:
ラクーン、新入社員研修の一環で『社長と行く!ダーツの旅』を2018年度も実施
同じように社長と新入社員の仲を深める研修例として「社長のかばん持ち制度」があります。
面白法人カヤック、株式会社武蔵野、GMOインターネットなどで実施されているこの研修は、1日社長のかばん持ちを体験し、社長が考えていることや言動を直接吸収する機会として活用されています。
社長についてまわるだけでなく、自ら企画を社長にプレゼンしたり、現場の社員が参加できない重要な会議に参加できたりなど、新入社員にとっても刺激的な研修となります。
3)団結力を高める「チャンバラ合戦」研修
以前、
こちらの記事でもご紹介したことがあるチャンバラ合戦。新入社員研修として取り入れられることも多いそうです。
初対面でも盛り上がり、嫌でもコミュニケーションをとることになるこの研修は、新入社員のチームビルディング研修としてピッタリの内容です。
※参考:
チームビルディングに「チャンバラ」!? 社内イベントのマンネリ化を防ぐアクティビティとは
4)男性向け身だしなみ研修
「人の印象は肌でも決まる。肌マネジメント研修 by uno」ということで、資生堂ジャパン株式会社は男性の正しいスキンケア方法や重要性の理解を促進することを目的に、男性のスキンケアに特価した「肌マネジメント研修」を株式会社サイバーエージェントの新入社員向けに実施しました。
「スーツの着こなしだけでなく、爪、鼻毛、口臭などのケアも最低限のマナー」とお話があり、服装や髪型だけでなく、肌も身だしなみの重要な要素であるということを理解してもらう研修となりました。
※参考:
~企業向け男性スキンケアセミナー第1弾~ 「人の印象は肌でも決まる。肌マネジメント研修 by uno」 株式会社サイバーエージェントの新入社員研修にて実施
5)ボランティアや清掃を行う研修
株式会社ロッテでは、新入社員研修の一貫として、銀座でガム取り清掃活動を実施しました。
地元の賛同・支援を得ながら行うこのようなボランティア研修は、自社の商品・事業に対する責任感や自覚を強くすることにつながるのではないでしょうか。また、自社のブランディング、業界のイメージアップにもつながる事例です。
※参考:
~ 新入社員研修の一環として銀座のガムを取り除きます ~『2015年度ガム取り清掃活動』2015年4月4日(土) 東京・銀座4丁目交差点付近にて実施
新入社員研修は目的を明確に、「受けて楽しい」「有意義だ」と思えるものを
一方的に厳しい環境に追い込む研修など、昔はよく耳にすることがありました。
しかし、働く方の多様性や職種や能力の違いがより明確になる今、新入社員研修というだけで、ただ厳しい体験や辛い体験をさせるだけの研修を行うことはおすすめできません。
この研修を通して新入社員のみなさんにどうなってもらうのが成功なのか、目標を明確にして計画しましょう。新入社員が研修を受けて楽しかった・有意義だったと感じられるものは、長く記憶に残ります。
新入社員のタイプをよく見極めたうえできめ細やかな対応が求められるということも忘れてはいけないポイントではないでしょうか。
TUNAG(ツナグ)は、新入社員研修の運用・実施を支援します!
TUNAG(ツナグ)では、新入社員研修の実施状況を社内にシェアしたり、研修のテストやアンケートを行うことで、従業員同士のコミュニケーションを活性化することができます。
新入社員研修でどんなことをしているのか、どんな新入社員がいるのかを社内にアナウンスすることは、会社に新しい風をおくるとてもいい機会の一つです。
現場の従業員の受け入れの気持ちを高め、より会社として一致団結していくためにも、新入社員が入社したタイミングこそ、意識して情報発信をしていくことが重要です。
そのようなコミュニケーションに、TUNAG(ツナグ)をお役立てすることができます。
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『TUNAG(ツナグ)』では、会社として伝えたい理念やメッセージを、「社内制度」という型として表現し、伝えていくことができます。
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