社員定着率を高める方法とは?離職の原因と具体的な改善施策を解説
採用コストや教育コストをかけたにもかかわらず、短期間で離職されてしまうのは、組織にとって大きなダメージです。この記事では、社員が定着しない根本的な原因を明らかにしながら、定着率を高めるための具体的な施策を解説します。自社の現状を正確に把握し、改善すべき課題の優先順位を明確にしていきましょう。
日本企業における社員の定着率の現状
社員定着率の改善に取り組む前に、日本全体の雇用の動きを把握することが重要です。厚生労働省が毎年公表している雇用動向調査では、入職率や離職率、業界別の動向などが示されており、自社の状況を客観的に位置づけるための基礎データとして活用できます。
厚生労働省データで見る最新の離職動向
「令和6年雇用動向調査結果の概要」によると、2024年(令和6年)の離職者数は約719.5万人(7,195.3千人)となっています。前年から大きな変動はなく、近年は同水準で推移しています。
なお、本調査は常用労働者5人以上の事業所を対象とした推計値であり、日本全体の雇用の流動性を把握する代表的な指標の一つです。
業界別では、宿泊業・飲食サービス業や生活関連サービス業で離職率が高い一方、製造業は全産業平均と比べてやや低い水準、金融・保険業は相対的に低い水準にあります。
ただし、離職率は業界特性に大きく左右されるため、自社の評価にあたっては同業種・同規模の企業との比較が重要です。
一般労働者とパートタイム労働者で異なる離職率の実態
就業形態によって、離職率には大きな差があります。厚生労働省の調査によると、一般労働者の入職率は11.8%、離職率は11.5%となっています。これに対してパートタイム労働者の離職率は一般労働者を大きく上回っており、雇用形態によって定着施策を分けて考える必要があります。
パートタイム労働者の離職理由には「労働条件への不満」が多く挙げられます。一般労働者では「職場の人間関係」や「キャリアの見通し」が主な要因となる傾向があります。自社の雇用形態の構成に応じて、それぞれに適した対策を検討することが定着率向上への近道です。
社員が定着しない原因とは?
定着率を高めるためには、まず離職の根本原因を正確に把握することが欠かせません。対症療法的な対策を繰り返しても、根本的な課題が解消されなければ離職は止まりません。ここでは、多くの企業に共通する離職の主要因を整理します。
採用段階のミスマッチ
「思っていた仕事と違った」という理由による離職は、採用段階でのミスマッチが原因です。求人票の内容と実際の業務内容にギャップがあると、入社後早期に失望感につながります。
特に入社後3カ月以内の離職は、採用プロセスに問題がある可能性が高いです。採用基準や選考時の情報提供が不十分な場合、早期離職が繰り返されます。採用段階でのミスマッチを減らすことが、定着率改善の第一歩といえるでしょう。
給与・労働時間・休日への不満
労働条件への不満は、離職の根本的な原因の一つです。給与水準が市場相場と乖離していたり、残業が常態化していたりすると、社員のモチベーションは徐々に低下していきます。
特に若い世代では、ワークライフバランスへの意識が高まっています。給与だけでなく、休暇の取りやすさや残業時間の適正化も求められています。働き続けられる環境かどうかが、長期在籍に直結する時代です。
キャリア成長の見通しが持てない
「この会社にいても成長できない」という閉塞感は、優秀な社員ほど強く感じやすいものです。明確なキャリアパスが示されていない職場では、将来への不安から転職を検討するケースが増えます。
昇進・昇給の基準が不透明だったり、研修や自己啓発の機会が少なかったりする場合も同様です。成長実感が持てない環境では、社員が会社にとどまり続ける動機が薄れていきます。
社内コミュニケーション不足
職場の人間関係に問題がある場合も、離職率を高める大きな要因になります。上司との関係性が悪化していたり、チーム内の連携が取れていなかったりすると、職場への帰属意識が低下します。
特にリモートワークが普及した現代では、意識的にコミュニケーションを設計しないと孤立感が生まれやすくなっています。日常的なコミュニケーションの質と量が、社員の定着に大きく影響しています。
社員定着率を高める具体的施策
原因が明らかになったら、次は具体的な施策の実施です。採用・育成・職場環境の三つの視点から、実行可能な改善策を紹介します。場当たり的な対策ではなく、組織全体で継続的に取り組むことが重要です。
採用基準の見直しと明確化
まず取り組みたいのが、採用したい人材像の明確化です。「どんな価値観を持つ人が自社に合うか」を言語化し、選考基準に落とし込むことで、ミスマッチを大幅に減らせます。
「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」と呼ばれる手法では、業務内容・職場の雰囲気・課題点まで含めた正確な情報を候補者に提供します。耳障りの良い情報だけを伝える従来の採用手法と比較して、RJPは入社後の期待値ギャップを縮小し、早期離職の防止に効果的とされています。
入社後のギャップを事前に縮めることが、早期離職の防止につながります。
スキル向上やキャリアアップの支援を行う
社員が成長実感を持てる環境づくりは、定着率向上に直結します。以下のような取り組みが効果的です。
- 研修制度:階層別・職種別に体系化した学習機会を提供する
- 資格取得支援:費用補助や学習時間の確保で意欲を後押しする
- 1on1ミーティング:定期的にキャリア目標を刷り合わせる
- 社内公募制度:異なる職種・部門へのチャレンジ機会を設ける
- ジョブローテーション:幅広い経験を通じて視野を広げる
これらの施策を組み合わせることで、「この会社なら成長できる」という実感が生まれ、長期在籍の動機付けになります。
フレックスや在宅勤務など働き方を多様化する
多様な働き方の選択肢を用意することも、定着率向上に貢献します。フレックスタイム制や在宅勤務を導入することで、育児・介護などライフステージが変化した社員も継続して働ける環境が整います。
重要なのは、制度を導入するだけでなく実際に活用できる文化を醸成することです。利用しやすい雰囲気づくりや、管理職の意識改革も同時に進めましょう。柔軟な働き方が認められている職場は、社員の満足度が高まりやすく、離職抑止につながります。
エンゲージメントを向上させる
エンゲージメントとは、社員が会社や仕事に対して感じる主体的な関与や貢献意欲のことです。エンゲージメントが高い社員は、仕事への満足度が高く、離職率も低い傾向があります。
エンゲージメント向上には、日常的な感謝・承認の文化が効果を発揮します。上司からの適切なフィードバックや、同僚間での感謝の言葉が、職場への帰属意識を育てます。定期的な従業員満足度調査を実施し、結果を施策に反映させる仕組みも重要です。
エンゲージメント向上ならTUNAGの活用を
エンゲージメント向上のための施策を、効率的に推進できるツールとして注目されているのがTUNAGです。組織全体のコミュニケーションや情報共有を一元化することで、定着率の改善をサポートします。
定着率を高めるTUNAGの機能を紹介
TUNAGは、社員の定着率向上に役立つ複数の機能を提供しています。
マニュアル機能では、業務手順を一元管理できます。新入社員の立ち上がり支援や業務標準化が容易になり、「分からなくて不安」という入社初期の離脱を防げます。
福利厚生機能では、社員向けの各種サービスや特典をTUNAG上で提供できます。生活面での支援が充実することで、会社への満足度が高まります。
サンクスメッセージ機能では、社員同士が日常的に感謝や称賛を伝え合える環境がつくれます。承認文化が自然と醸成され、職場への帰属意識が強まります。これらの機能を組み合わせることで、入社から定着に至るプロセスを組織的にサポートできます。
TUNAGを活用した定着率向上の事例
実際に、TUNAGを導入した企業ではどのような成果が出ているのでしょうか。ウェディングや飲食事業を展開する株式会社BPでは、サンクスメッセージ機能を活用した承認文化の醸成に取り組んだ結果、アルバイトの定着率がTUNAG導入前の63%から93%へと、30ポイント改善されました。
機能を導入するだけでなく、日常的な感謝・承認の積み重ねが職場への帰属意識を育て、定着率の向上につながった好例といえるでしょう。
アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで | TUNAG(ツナグ)
社員定着率を高めるにはエンゲージメント向上が重要
社員定着率を高めるために必要なのは、場当たり的な対策ではありません。採用段階でのミスマッチ防止、入社後の育成体制の整備、そして働きやすい職場環境の構築という三つの軸を、同時かつ継続的に進めることが重要です。
どれか一つを改善するだけでは不十分です。採用基準を見直しても、入社後のキャリア支援が不十分であれば離職は止まりません。働き方の柔軟性を高めても、職場の人間関係に問題があれば根本解決にはなりません。
そしてこれら全てを支える土台となるのが、エンゲージメントです。社員が「この会社で働き続けたい」と感じる組織文化を育てることが、持続的な定着率向上に直結します。まず自社の現状を正確に把握するところから始めてみてください。













