人気の高いおすすめの福利厚生とは?代表例やメリット・導入のポイントなども解説
企業の競争力を高め、従業員の満足度や定着率を向上させるには、魅力的な福利厚生の導入が効果的です。人気の高い福利厚生の例やそのメリット、導入時のポイントなどを解説します。自社に最適な福利厚生を選ぶために、ぜひ参考にしてみましょう。
福利厚生の主な種類
福利厚生は、企業が従業員に提供する給与や賞与以外の報酬・サービスであり、業界・職種を問わず多くの企業が導入しています。
大きく分けて「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2種類があり、前者は法律で義務付けられた社会保険などです。一方、後者は企業が独自に設定できる住宅手当や健康診断、食事補助など、多様な制度が該当します。
特に近年は、従業員の多様なライフスタイルや価値観に対応するため、法定外福利厚生の充実が重視される傾向にあります。また働き方の多様化に伴い、テレワークの支援やワークライフバランスを重視した制度を導入する企業も、少なくありません。
人気のある福利厚生の代表例10選
多くの企業で導入され、社員からも支持されている福利厚生制度には、一定の傾向があります。近年、特に支持されている福利厚生を10項目に分けて紹介します。
特別休暇
特別休暇は通常の有給休暇とは別に、特定の理由に応じて取得できる休みです。結婚や忌引きなどの人生の節目に対応するものから、リフレッシュを目的とした休暇まで、多様な形で導入されています。また、最近ではボランティア活動や、不妊治療を支援するための特別休暇を設ける企業も、増えてきました。
こういった休暇制度は、従業員の私生活への配慮を示すものであり、心身のリフレッシュやワークライフバランスの実現に寄与します。離職の防止にもつながりやすく、採用活動の強化にも効果的です。
住宅手当・家賃補助
住宅手当や家賃補助は、住居費の一部を企業が支援するもので、特に都市部での勤務が前提となる従業員に魅力のある福利厚生です。とりわけ若手の人材にとっては、家計の負担が軽くなり、生活基盤を安定させやすくなります。
支給額の設定や対象条件は企業によってさまざまですが、従業員の定住性を高めるだけでなく、通勤負担の軽減が可能です。業務への集中力の向上にもつながるでしょう。特に、生活コストの高い地域での勤務環境を整える手段として、有効な制度の一つです。
家族支援
家族手当や子育て支援金、配偶者の誕生日祝いなど、家族を対象とした福利厚生も注目されています。従業員が家庭と仕事を両立しやすい環境を整えることで、安心して長く働けるようになります。特に、共働き世帯や子育て世代にとっては、実用的かつ心強いサポートです。
また、家族イベントへの招待や、子どもの入学祝いといった取り組みも、従業員の家族を大切にする福利厚生として評価されています。こうした支援は、従業員のエンゲージメントや、企業イメージの向上にも役立ちます。
健康サポート
健康診断や人間ドックの費用補助、スポーツクラブの利用支援など、健康管理を支援する制度へのニーズも近年高まっています。企業が従業員の健康維持を後押しすることで、病気の早期発見や医療費の抑制、欠勤率の低下などの効果が期待できます。
加えて、メンタルヘルス対策や産業医による相談窓口の設置など、心身両面でのサポートが充実している企業は、従業員からの信頼も厚くなるでしょう。健康経営の観点からも、今後ますます重要性が高まる分野です。
育児支援・介護支援
育児休業や介護休業・保育料補助・時短勤務制度など、従業員が家庭の事情に合わせて柔軟に働ける福利厚生も人気です。特に少子高齢化が進むなかで、育児や介護と仕事の両立を支援する制度は、企業の社会的責任やダイバーシティ推進の観点からも求められています。
最近では、男性の育児休業取得推進や、介護離職防止のための相談窓口設置など、よりきめ細やかなサポートを導入する企業も少なくありません。こうした制度は従業員の安心感や忠誠心を高め、長期的な雇用の維持にもつながります。
自己啓発・スキルアップ支援
社員の成長を後押しする自己啓発支援制度は、企業の競争力を高める上で重要な施策です。資格取得のための受講料補助や、社内研修・外部セミナーへの参加支援、eラーニングの提供など、学びの機会を広げる取り組みが含まれます。
従業員は自分のキャリア形成を主体的に考え、必要な知識やスキルを身に付けるきっかけになります。会社からの支援があることで、学習に対するモチベーションも維持しやすくなるでしょう。
慶弔支援
結婚や出産・弔事の際に支給される慶弔金や休暇は、従業員の人生の節目を企業がサポートできる重要な制度です。ライフイベントの支援を通じて、従業員との信頼関係を深められるため、多くの企業が導入しています。
実際、従業員の家族にも配慮した温かみのある制度として、社会的にも評価されており、企業イメージの向上にも寄与する制度です。マニュアル化された対応だけでなく、柔軟かつ丁寧な支援体制を整えることで、社員の信頼感やロイヤルティの向上を図れます。
財産形成のサポート
財形貯蓄制度や持株会・退職金制度など、従業員の将来設計や資産形成を支援する福利厚生も、根強い人気があります。
特に、長期的な資産形成をサポートする制度は、従業員の定着率向上や企業への忠誠心強化に効果的です。近年はNISAやiDeCoなどの利用支援をする企業も増えており、従業員の金融リテラシー向上にも貢献しています。
食事補助
社員食堂の設置や従業員のランチの補助、オフィスでの軽食提供など、食事に関するサポートも高い支持を集めています。食事の補助は、健康維持やコミュニケーション活性化にもつながり、働きやすい職場環境の構築にも役立つでしょう。
特に、バランスの取れた食事の提供や健康メニューの導入は、従業員の健康意識向上にも寄与します。食事の場の提供は他部署との交流の機会としても活用され、組織の一体感の醸成も期待できる制度です。
保険関連のサポート
団体保険や医療保険・がん保険など、従業員やその家族のリスクに備える保険関連の支援も、安心感を提供できる福利厚生です。万が一の際の経済的負担を軽減し、従業員の生活の安定を支えます。
さらに、保険の種類や補償内容を選択できる制度を導入することで、個々のニーズに合わせたきめ細やかなサポートが可能です。こうした制度は、従業員の安心感や企業への信頼向上につながるだけでなく、家族の将来設計にも大きく貢献するでしょう。
福利厚生を充実させるメリット
福利厚生を充実させることで、優秀な人材の確保と定着率の向上につながります。求職者は給与だけではなく、福利厚生の内容も重視して転職先を選ぶため、充実した制度は採用活動で有利に働くでしょう。自社の魅力を求職者にアピールする際にも、役立つ情報です。
また、福利厚生による従業員満足度の向上は、離職率の低下や採用・教育コストの削減にもつながるでしょう。加えて、従業員のモチベーション向上は生産性の向上をもたらし、企業の業績の向上・改善も見込めます。
福利厚生を選択・導入する際のポイント
福利厚生は、ただ制度を増やすだけでは意味がありません。従業員の満足度を高め、実効性を持たせるには、導入前の調査や設計が重要です。福利厚生の導入時に、押さえるべきポイントを確認しておきましょう。
社員のニーズを把握する
福利厚生を導入する際には、従業員が本当に必要としている支援を、きちんと把握することから始めましょう。ニーズに合わない制度は利用されず、形骸化する可能性があります。
社内アンケートや従業員への直接的なヒアリング、社内チャットツールを活用した意見募集などを通じて、ニーズを丁寧に拾い上げることが重要です。
たとえば、若手社員は住宅や食費の支援を重視し、子育て世代は育児支援や時短勤務に関心を持つ傾向があります。一人一人の声を踏まえて、制度の導入や優先順位を調整することで、より実態に即した福利厚生を提供できるようになり、満足度や定着率の向上につながります。
社員が自由に選べる仕組みにする
全員に同じ福利厚生を提供するだけでは、多様化する働き方や価値観に、対応しきれない場合があります。そこで、従業員が自分に合ったものを選べる、選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)を導入する企業も増えています。
この制度では、企業が一定のポイントや補助金額を付与し、従業員がその範囲内で希望するサービスを選択できる仕組みです。選択肢には旅行や健康診断、保険の加入、スキルアップ支援など、さまざまなサービスが含まれます。
一人一人のライフステージや関心に合わせて柔軟に利用できるので、実感値の高い福利厚生として評価されやすいでしょう。企業と社員の双方にとって、納得感のある制度設計が可能です。
継続的な見直しと改善を繰り返す
福利厚生は一度導入して終わりではなく、時代や働き方の変化に応じて適宜アップデートすることが大事です。ライフスタイルの多様化や労働環境の変化、健康意識の変化などに対応するため、定期的に見直しを図りましょう。
加えて、導入後の利用状況を可視化し、どの制度が活用されているのか、なぜ使われていないのかを分析することも大切です。実際に制度を変更する際には、従業員への丁寧な説明が必要であり、フィードバックを得るようにしましょう。
継続的な見直しと改善のサイクルを回すことで、従業員からの信頼も高まり、組織の柔軟性や対応力の強化にもつながります。
自社に合った福利厚生を導入しよう
福利厚生は、単なる従業員サービスにとどまらず、企業の成長や競争力の強化に直結する重要な施策です。自社の理念や従業員の多様なニーズに合わせて、最適な制度を導入しましょう。加えて、制度の運用状況を継続的に確認し、適宜見直しや改善を加えることも重要です。
継続的に運用・改善のサイクルを回すことで、従業員の満足度の向上に寄与するとともに、事業の発展にもつながります。時代の移り変わりとともに、従業員の価値観やライフスタイルも変化するため、柔軟性を持った制度運営が必要です。