トータルリワードとは?金銭的・非金銭的報酬の特徴や導入のポイントを解説

給与を引き上げるだけでは離職を防げない中、総合的な報酬体系で従業員の満足度を高める「トータルリワード」が注目されています。本記事では、トータルリワードの基本概念や構成要素、導入のメリット・デメリット、成功のポイントについて詳しく解説し、企業がどのように取り組むべきかを提案します。

トータルリワードの基本概念

従業員のエンゲージメント向上や離職率の低下を目指す企業にとって、報酬体系の見直しは重要な課題です。

近年、単なる給与や賞与といった金銭的報酬だけでは、従業員のモチベーションや企業への定着率を高めることが難しくなっています。そこで注目されているのが、「トータルリワード」の考え方です。

本章では、トータルリワードの基本概念と、それがなぜ近年重視されるようになったのかを詳しく解説します。

トータルリワードとは何か

トータルリワードと(Total Reward)は、従業員に対する報酬(リワード)を、総合的に考える仕組みのことです。

企業が提供する報酬を「金銭的報酬」と「非金銭的報酬」に分け、バランス良く提供することで従業員の定着率やエンゲージメントの向上を目指します。

トータルリワードが注目される背景

トータルリワードが注目される背景には、以下のような経済・社会・働き方の変化が深く関係しています。それぞれの要因を経営視点でわかりやすく整理してみます。

1. 人材確保の難化(少子高齢化 × 採用競争の激化)

労働人口の減少により、「そもそも応募が来ない」「来ても条件が合わない」という状況が広がっています。

単に給与を上げても人が集まらず、“働く価値”そのものが求職者に問われる時代に入りました。

2. 価値観の多様化・働き方の変化

終身雇用や年功序列といった仕組みが崩れ、個人がキャリアを主体的に選ぶ時代へとシフトしています。

特に若い世代は「働きやすさ」「柔軟性」「成長できる環境」といった、給与以外の価値を重視しています。副業・リモート・ワークライフバランスも“当たり前”になりつつあります。

3. 社員のエンゲージメントと定着率の低下

給与は適正でも、「やりがいがない」「評価が不透明」「成長実感がない」と感じると、人は離れていきます。

トータルリワードは、報酬、福利厚生、キャリア開発、職場環境などを包括的に設計することで、定着と活躍を後押しします。

4. 企業競争の激化とイノベーションの加速

グローバル化・DX・AIの進展により、企業は常に変化に対応できる組織である必要があります。

そのためには、社員のモチベーションを高く保ち、能力を最大限引き出す仕組みが不可欠。給与以外の報酬(非金銭的報酬)も戦略的に設計することで、競争力のある組織づくりにつながります。

トータルリワードの構成要素

トータルリワードは、金銭的報酬と非金銭的報酬のバランスによって成り立ちます。給与や賞与などの金銭的報酬に加え、従業員の働きやすさや成長を支援する施策が重要な役割を果たします。本章では、これらの構成要素の詳細と、それぞれの役割について説明します。

金銭的報酬の種類と特徴

企業が提供する金銭的報酬には、大きく分けて以下のような種類があります。

  • 基本給(毎月支払われる固定の賃金)
  • 賞与(ボーナス)(会社の業績や個人の成果に応じて支給される)
  • インセンティブ(特定の成果に応じた追加報酬)
  • 残業手当(法定労働時間を超えた場合に支給)
  • 役職手当(管理職や特定の役職に支給)
  • 資格手当(特定の資格を保持する社員に支給)
  • 通勤手当(通勤費用の補助)
  • 退職金(退職時に支給される一時金)

金銭的報酬は、従業員の経済的安定を確保し、モチベーションの向上や企業への定着率に大きく影響します。特に、競争力のある給与体系や成果に応じた報酬制度は、優秀な人材を確保するうえで重要な要素となります。

非金銭的報酬の種類と特徴

企業が提供する非金銭的報酬には、以下のような種類があります。

  • 福利厚生(健康保険、企業年金、住宅補助など)
  • 柔軟な働き方(リモートワーク、フレックスタイム制など)
  • キャリア開発支援(研修制度、資格取得支援、メンター制度など)
  • 評価制度・表彰制度(社内アワード、昇進・昇格など)
  • ワークライフバランス施策(育児・介護支援、休暇制度など)

非金銭的報酬は、従業員の満足度やエンゲージメントを高め、働きがいのある環境を整えます。柔軟な働き方や成長機会の提供は、離職率の低下や生産性向上に寄与し、企業の競争力強化にもつながります。

トータルリワード導入における影響

トータルリワードを導入することで、企業と従業員の関係性はどのように変化するのでしょうか?

エンゲージメント向上や定着率改善といったメリットの一方で、制度設計の複雑さやコスト負担といったデメリットもあります。本章では、導入による影響を具体的に解説します。

トータルリワードを導入するメリット

トータルリワードを導入する最大のメリットは、従業員の満足度向上による離職率の低下とエンゲージメントの向上です。

給与や賞与といった金銭的報酬に加え、福利厚生やキャリア支援、働きやすい環境を提供することで、従業員は自社でのキャリアを長期的に考えるようになります。

特に、キャリア支援制度の充実は、従業員の成長意欲を高め、企業と個人の成長を両立させる効果があります。例えば、資格取得支援や研修制度を整備することで、スキルアップを促し、将来的なキャリアパスを明確にできます。

また、ワークライフバランスを重視した柔軟な働き方の導入は、仕事とプライベートの両立を可能にし、従業員の定着率向上につながります。

トータルリワードを導入するデメリット

一方で、トータルリワードの導入には、いくつかの課題が伴います。まず、制度設計の複雑さが挙げられます。

金銭的報酬と非金銭的報酬のバランスを適切に取るためには、従業員のニーズを的確に把握し、企業の財務状況と照らし合わせながら設計する必要があります。

そのため、人事部門の負担が増加し、導入までに時間を要することが少なくありません。また、コストの増加も無視できません。福利厚生の拡充やキャリア支援制度の導入には、一定の投資が必要です。

特に、中小企業にとっては、財政的な負担が大きくなる可能性があります。費用対効果を十分に検討しながら、段階的な導入を検討することが重要です。

トータルリワード導入のポイント

トータルリワード施策を成果につなげるためには、金銭的報酬と非金銭的報酬の最適なバランスを図ることが不可欠です。

金銭的報酬は従業員の生活基盤を支え、短期的なパフォーマンス向上に効果を発揮します。しかし、持続的なエンゲージメントや定着率の向上といった中長期的な成果を生むには、それだけでは不十分です。

一方で、非金銭的報酬は充実した福利厚生、キャリア開発の機会、心理的安全性の高い職場環境の整備など、従業員の満足度を底上げし、離職防止や生産性向上につながります。

これは、人的資本への投資として極めて重要な側面です。

従業員視点からの制度設計が、組織力を高める

トータルリワードの効果を最大限に引き出すには、企業側の論理だけではなく、従業員一人ひとりの視点に立った制度設計が不可欠です。

給与やボーナスといった金銭的報酬だけでなく、「自身の成長実感があるか」「働きやすい環境が整備されているか」といった非金銭的な要素も、従業員エンゲージメントに大きく影響します。

これらの要素は離職率低下、生産性向上、さらには企業の持続的成長にも直結する重要な要素です。

また、柔軟な働き方の導入により、ライフステージや価値観に合わせた働き方を選択できる環境を整備することで、従業員の満足度とパフォーマンスを同時に高めることが可能になります。

制度導入後は「定量的な把握」と「スピーディな改善」が鍵

トータルリワードは導入して終わりではなく、継続的な評価と改善が不可欠です。制度が従業員にとって適切に機能しているかを確認するためには、定期的な満足度調査やエンゲージメントスコアの測定を行い、データを基に施策を見直すことが重要です。

従業員に負荷をかけずにスマートにエンゲージメントスコアを計測するために「TERAS」が注目されています。

TERASは、シンプルなアンケート形式で従業員の満足度を定量的に可視化し、課題の特定と改善につなげるツールです。特に、匿名性が確保された調査により、従業員の本音を引き出し、組織のエンゲージメント向上に貢献します。

トータルリワードの効果を最大限に高めるためには、従業員の変化をリアルタイムで把握し、柔軟に制度をアップデートすることが重要です。TERASを活用すれば、効率的にデータを収集し、より精度の高い施策を講じることが可能になります。

TERASについてもっと詳しく知りたい方はこちら

トータルリワード導入で組織力を高める

単なる給与や賞与の増額ではなく、福利厚生やキャリア支援、職場環境の整備といった非金銭的報酬を組み合わせることで、従業員のエンゲージメントを高め、定着率の向上を実現できます。

働き方の多様化が進む現代においては、個々のニーズに応じた柔軟な制度が求められます。例えば、リモートワークの導入やスキルアップ支援の充実、健康管理プログラムの提供など、従業員が働きやすく、成長を実感できる環境を整えることが重要です。

企業がトータルリワードを適切に活用すれば、従業員のモチベーション向上だけでなく、優秀な人材の確保や組織力の強化にもつながります。

金銭的・非金銭的報酬をバランス良く組み合わせることで、企業と従業員がともに成長できる環境を築き、競争力のある組織を目指しましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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