従業員同士の交流で業績が上向く。「自然な関係構築」が社内全体にもたらす影響
従業員と積極的にコミュニケーションをとる姿勢を見せる経営者は多くいますが、実は、経営層と従業員のコミュニケーションと同じぐらい、従業員同士の交流も企業のパフォーマンスに大きく影響を与えます。従業員同士の交流が盛んな企業ではどのような働き方をしているのでしょうか。その効果や施策を紹介します。
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 従業員同士のコミュニケーションは仕事のモチベーションに影響する
- 自然と交流できる仕組みや場所を用意する
- 無理強いはかえってモチベーション低下につながる
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従業員同士の交流が盛んな職場で起こる良い効果
1on1ミーティングや社内報など、経営層の考えを従業員に理解してもらうための施策は重要ですが、その一方で従業員同士の交流については特に施策を用いず、チームリーダーや部署ごとに任せている企業は多くあります。
仮に部署内で従業員同士があまりコミュニケーションをとっている様子がなかったとしても「そういう雰囲気の部署だから」と済ませてしまってはいないでしょうか。
実は従業員同士の交流が盛んな職場とそうでない職場では、大きな違いが現場レベルで起こっているのです。従業員同士の交流が盛んな職場において、どのような良い効果が起こり得るのかを紹介します。
仕事に対するモチベーション・満足度が高まる
従業員同士の交流が盛んだと、仕事に対する従業員のモチベーションや満足度が高まります。
20世紀中頃に行われたハーバード大学教授のジョージ・エルトン・メイヨー氏によって行われたホーソン実験では、2万人以上の従業員を対象に聞き取り調査を行った結果、労働環境や待遇よりも、職場における人間関係や仕事に対する興味・関心の方が、仕事へのパフォーマンスに影響を及ぼすことが明らかになりました。
この人間関係とは、上司や顧客との関係だけではなく、従業員同士の関係性も含まれます。
日本の学術研究団体のひとつである「人材育成学会」が発表している生産性と人間関係の関係性に関する論文の中でも、集団におけるその人の役割や居場所があるかどうかが、仕事のパフォーマンスに影響を及ぼすことが述べられています。
このように、人間関係と仕事に対するモチベーション・満足感は明確な相関性があり、良い人間関係を保てている職場は、従業員一人一人のパフォーマンスも高いのです。
参考:論文職場の人間関係が中高年正従業員の職務パフォーマンスに与える影響居場所役割感の媒介効果に着目して
従業員同士が互いに高め合う文化が醸成される
従業員同士の関係が良好ではない職場でしばしば起こり得るのが、お互いの陰口や足の引っ張り合いです。派閥のリーダーや個人の対立が起こり、お互いのパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
それらは時として、会社に大きな不利益をもたらすのです。例えば、営業担当者が別の担当者の成績を落とそうと画策し、その結果、担当者が抱えていた大口顧客に切り捨てられる……というドラマのようなことが現実でも起こっている会社もあります。
では、従業員同士の関係性が良好な職場ではどのようなことが起こるのでしょうか。それは良い意味での競争です。営業なら足の引っ張り合いではなく、どちらがより売上を上げるか、顧客の満足度の高い営業マンになれるかといった競い合いの文化が生まれます。
このように、良い人間関係にあると、「相手を蹴落とそう」ではなく「相手を超えてやろう」という意識が根付き、結果として良い競争が生まれるのです。
情報がすぐに共有される
従業員同士の良好な関係が築かれた職場では、従業員同士が信頼関係を築き、オープンで透明性のあるコミュニケーションが行われやすくなります。
人間関係が良好だと、ミスをした際に上司に叱責される不安や、他の従業員に悪態をつかれるといった懸念を抱くことがありません。このような状態を「心的安全性が高い」と表現しますが、心的安全性が高い職場では、従業員はすぐにミスや重大な問題を報告することができます。
その結果、トラブルにもすぐに対応でき、ミスの原因や改善手段が迅速に共有されるため、全体のパフォーマンスが向上します。良好な人間関係によって育まれるこの情報共有の迅速さは、企業の業務プロセスをより効率的にし、チーム全体の成果を促進します。
自然と交流を活発化させるための施策
従業員同士の交流は、イベントによる一過性のものではなく、普段から何気ない会話や雑談を育めるような自然な形が好ましいと言えるでしょう。従業員同士の交流を自然な形で活性化させるための施策について紹介します。
誰でも交流できる場所を用意する
従業員同士の自然な交流を促進するためには、誰でも気軽に交流できる場所の存在が重要です。そうでなければ、仲の良い従業員同士でしかコミュニケーションを取らないということが起こり得るからです。
具体的な施策としては、休憩スペースやランチルームの改善、快適でリラックスできる環境を整備、積極的に交流するイベントや仕組みを用意することなどが考えられます。
例えば、休憩スペースには居心地の良い家具やカフェ風の雰囲気を取り入れ、従業員が気軽に集まってくつろげる場所を提供したり、週に一度従業員をランダムに集めてランチをする機会を設けたりなどです。
また、在宅ワーカーや事業所・店舗に従業員が分かれていて直接会う機会が少ない職場では、交流用のツールを導入することやオンラインでのシャッフルランチの開催、社内SNSや掲示板の活用などが効果的でしょう。
経営者や上司から積極的に交流する
経営者や上司が職場の雰囲気を決定する重要なキーマンであることも忘れてはいけません。
学校の教室を想像してみてください。担任が生徒に対し積極的に関わりを持ちたがらず、授業以外の話を一切しないクラスと、担任が気さくで積極的にどの生徒とも交流を持ちたがるようなクラスでは、果たしてどちらが生徒同士の交流のしやすいクラスになるでしょうか。
人は集団で生活する社会的な生き物であり、そしてリーダーの影響を自然と受けています。経営者や上司がアクティブに他社と交流を持つようになれば、そこで働く従業員も同じように他社に対してアクティブに振る舞うように自然となっていきます。
20秒程度で気軽にアクションを起こせる仕組み作り
ハーバード大学のポジティブ心理学の第一人者ショーン・エイカー氏が提唱している「20秒ルール」というものがあります。
人が何かを習慣化するためには、20秒以内に行動を起こせるかどうかが重要というルールです。厳密な20秒ではなくても、気軽にアクションを起こすというのは、人の習慣を作る上で非常に重要なポイントとなります。
例えば、上司に話をするために、階段を上って別のフロアへ行き、さらにアポイントをあらかじめ取らなければならないパターンと、同じフロアにいていつでも話ができるパターンのどちらが、部下が上司に話しかけに来るでしょうか。答えは当然、後者です。
手間がかかることは、実行する前に「面倒くさい」という感情が働き、行動を阻害します。これはコミュニケーションにも同じことが言えるのです。
SNSのスタンプ機能、社内コミュニケーションツールでアクションボタンなどがあれば、気軽にコミュニケーションを行える人が増えてくるのではないでしょうか。
働く場所も時間も異なる従業員の交流方法
現代は多様性の時代です。かつての時代のように同じ建物の中で同じ勤務時間で一斉に人が働くということはなく、在宅で働く人もいれば、副業で夜だけ働く人、地域だけでなく住んでいる国が違う人同士が同じ部署で働くということもありえます。
このような働く場所も時間も異なる従業員がいる職場では、どのように従業員同士の交流を推し進めていくべきでしょうか。従業員同士の交流やエンゲージメント向上に活用できる「TUNAG」の機能を例に紹介します。
【タイムライン】話題やニュースを共有
社内コミュニケーションといえば、飲み会やランチを想像してしまう人が多いかもしれません。しかし、現代ではそうしたリアルタイムのコミュニケーションにこだわらない行為の取り方をする人も増えています。
その典型例がSNSです。SNSでは、投稿したメッセージに対して、数時間経った後、遅ければ数日以上経過した後に返信されることもあります。
全員の時間を調整してオンライン飲み会やイベントを開催することももちろん大切な場合もありますが、調整に手間もかかりますし、交流機会も減ってしまいます。それならばリアルタイムの交流だけにこだわらずに交流できる仕組みを作るというのも効果的です。
例えば「TUNAG」が提供しているタイムライン機能では、SNSと同じように、社内の従業員だけでタイムラインを構成することができ、話題やニュースを共有するのに役立ちます。
【コメント機能】スマホで気軽に交流できる環境を作る
対面手段にこだわらず、スマホやパソコンなどのツールを使って気軽に交流できる環境を用意することは、社内のコミュニケーションを活性化させます。。
特にスマホは、PCよりも普及率が高く、移動中も持ち歩いていることから、交流のツールには最適です。TUNAGの社内掲示板や投稿に対して使えるコメント機能は、スマホを使っていつでもコメントや気軽にリアクションなどを残すことが可能になります。
特に飲食・製造・運送業など現場の従業員がPCに触れる時間が少ない職場では、ぜひスマホを使って気軽に従業員が交流できるシステム作りを検討してみてください。
【サンクスカード】間接的な共有を行う
サンクスカードは、他の従業員に助けてもらった場合や、日頃の感謝を表すためなどに、従業員同士でメッセージを送る仕組みです。
サンクスカードは、間接的なコミュニケーション手段となり得ます。SNSとは異なり、普段交流のない相手とも交流を生み出せるとともに、普段何気なく接してる従業員に改めて感謝の意思を示せることで、ポジティブなコミュニケーションをとることが可能です。
▼褒める文化を作るサンクスカードの活用方法を見る▼
サンクスカードの活用方法と導入の効果
従業員同士の交流で無理強いはNG
従業員同士の交流はモチベーションや満足度を高め、会社全体の生産性にも直結します。だからといって、交流を強要するとかえって生産性を落としかねません。その理由について以下で詳しく解説します。
交流の無理強いはかえって気持ちを離れさせる
強制的な交流は、従業員にストレスを与え、むしろ交流を避ける原因になることがあります。
例えば、終業後の社内交流会や休日のイベントが該当します。アフタータイムや休日をプライベートに使いたい従業員にとっては、会社への好感度を下げかねません。不機嫌に参加したイベントで、良好な人間関係を築くことは難しいでしょう。
交流は自発的であり、強制されていては本来の効果が得られません。
交流自体が目的にならないよう注意する
交流は手段であり、目的ではありません。会社が推進すべき交流は、従業員の成長やチームの協力関係を強化するためのものでなければなりません。
例えば、会社として社内イベントや飲み会を企画することは良いですが、それは従業員同士の結束を高める過程であり、イベント自体が目的となってしまっては本末転倒です。
交流活動が過度になりすぎると、本来の業務に支障をきたすことがあります。バランスを保ちながら、効果的な交流の促進に努めることが重要です。
異なる状況で働く従業員を自然に交流させる
従業員同士の交流は社員のパフォーマンスを高め、ひいては組織全体の生産性を高めることにもつながります。また従業員同士の関係性が良い職場では情報交換も積極的に行われることで、トラブルやクレームを予防することも可能になるでしょう。
しかしながら現代の企業では働く時間帯や場所、同期も人それぞれです。そのような異なる状況で働く従業員を自然に交流させる仕組みづくりが、現代の企業に求められている課題の一つといえるのではないでしょうか。