組織づくりとは?目的や基本原則、強い組織をつくるための4つのポイント


企業が成長し続けるには、組織を最適な状態に整える取り組みが不可欠です。文化・構造・人事の視点から見直すことで、従業員の生産性向上や離職率の低下、意思決定スピードの改善など、具体的な成果を生み出しやすくなります。本記事では、組織づくりの概要や強化すべき領域、強い組織をつくるためのポイントを解説します。

組織づくりとは

強い組織ほど、ビジョンと日々の行動がしっかり結びついています。その状態を生み出すのが組織づくりです。まずは、組織づくりの目的と基本原則を確認しましょう。

組織づくりの目的

組織づくりの目的は、企業の目標に対し従業員が前を向いて働ける環境をつくることです。企業のビジョンやミッションが共有され、個々の役割が明確になっていれば、従業員は自分の行動がどう貢献しているかを実感しながら動けます。

従業員が能力を発揮できる基盤を整えることも、組織づくりの重要な目的です。学びや挑戦を続けられる環境があれば自発的な行動が生まれ、成果にも結び付きやすくなります。

組織づくりは単に体制を整えるだけでなく、目的意識・成長環境・役割実感を結び付けて、持続的に成果を生み出す仕組みを構築することだといえます。

組織づくりの基本原則

組織づくりを効果的に進めるためには、運営の基本原則を踏まえて体制を設計することが大切です。代表的な原則を以下にまとめました。

原則名

概要

留意すべきポイント

専門化の原則

業務を機能・職種ごとに分割し、各従業員が特定領域に専念できる状態をつくる

役割が明確でない場合、重複・混乱・効率低下につながる

権限責任一致の原則

責任を負う立場に見合う権限を与える

権限が少なすぎると行動が鈍り、責任が軽いと権限乱用の恐れあり

命令一元化の原則

指示・命令系統を整理し、従業員が複数の上司から矛盾した指示を受けないようにする

指揮命令系統が整理されていない場合、現場が迷い業務が滞りやすい

統制範囲の原則

管理者1人が直接統制すべき部下の適正人数などを設計し、過剰負荷や監督漏れを防ぐ

部下数が多すぎると管理が行き届かず、少なすぎるとリソース効率が悪化する

例外の原則

定型業務などは部下へ任せ、管理者は非定型・重要判断に集中できる体制にする

任せる際に目標・範囲・責任を共有せずに委譲すると、責任逃れやモチベーション低下につながる

これらを意識しながら運営すれば、組織が目的へ向けてまとまり、成果につながる体制を築きやすくなります。

組織づくりで見直すべき3つの領域

組織づくりに取り組む際は、組織の文化・構造・人事システムから着手するのがおすすめです。この3つを整備すれば、従業員が自律的に力を発揮できる仕組みをつくれます。

組織の文化

組織づくりにおいては、価値観・行動規範・習慣などの文化を整備することが重要です。企業のミッションやビジョンを基に、組織文化を定める必要があります。

組織の価値観や行動規範が明文化され浸透していれば、従業員が自社の目指す方向を理解しやすくなり、日々の行動に一貫性が生まれます。

逆に文化があいまいなままだと、目標はあっても従業員の動きが散漫になったり、部門間の意思疎通が滞って成長が阻まれたりすることがあるでしょう。

自社が何を大切にするのか、どのような行動を求めるのかを言語化し、朝礼での共有や評価基準への反映、経営陣自らの実践などを通じて、従業員が納得して行動に移せる環境をつくることが必要です。

組織の構造

組織づくりで見直すべき構造とは、役割・権限・指揮命令系統・意思決定プロセスなどを指します。業務遂行の効率性や意思決定の質を左右する運営基盤になる部分です。

構造が不明確な場合、責任範囲があいまいになったり判断が遅れたりして、業務の重複や納期遅延、顧客対応の質低下といった問題につながります。

一方で、適切に設計された構造は業務効率を高め、従業員が迷わず動ける環境を生み出します。

組織の規模が大きくなるほど構造のゆがみが現場に影響しやすいため、ビジネスモデルや市場環境の変化に応じて、組織階層やチーム間連携のあり方を定期的に最適化し、情報が滞らずに流れる状態を保つ必要があるでしょう。

組織の人事システム

組織づくりでは、評価制度・報酬制度・育成施策・キャリア支援など、人事システムの見直しも必要です。

制度が不透明な場合や運用に不公平感がある場合は、モチベーション低下や離職につながるリスクがあります。努力が正当に評価され、キャリアの展望が描ける環境を構築することで、従業員が意欲的に挑戦できる状態になります。

定期面談や目標管理など、日常の業務と連動させて機能させる取り組みも欠かせません。従業員が成果創出に向けて能力を最大限に発揮できるよう、制度設計と日常の運用の両面から継続的に改善していく必要があります。

強い組織をつくるためのポイント

組織づくりを成功させるためのポイントを紹介します。取り組みを進める際は、以下に挙げることを常に意識しましょう。

明確なビジョンを提示する

経営理念やビジョンを繰り返し伝え、従業員全員に企業の方向性を理解させることが、組織づくりの出発点になります。日々どのように動くべきかを従業員が理解すれば、組織全体の統一感が生まれます。

理念が日々の業務判断と結び付くことで、マニュアルにない場面でも従業員が自律的に意思決定できる力が育つでしょう。

ビジョンへの共感が高まれば、市場環境の急激な変化や予期せぬ困難に直面しても、組織一丸となって目標を達成する推進力を発揮できます。

明確なビジョンを浸透させるには、トップ自らが社内会議や全社集会などあらゆる機会を通じてメッセージを発信し続けることが不可欠です。日常の判断や施策にもビジョンを反映させ、一貫性のある組織運営を行いましょう。

継続的な評価と改善を行う

組織づくりの効果を検証するために、継続的な評価が必要です。定量的・定性的な指標を用いて効果測定を行い、現状を把握することが改善の起点になります。

PDCAサイクルを活用し、評価と改善を継続すれば、課題に素早く対応できる組織へ近づきます。全員が日常的に業務プロセスの改善提案を行い、それが迅速に検討・実行される状態をつくり、変化を成長へと結び付ける組織を目指しましょう。

その際、結果だけでなくプロセスにも目を向ければ、失敗から学びを得られる文化が育ちます。全員で改善を積み重ねる意識を持つことが、組織の持続的成長につながります。

情報公開を徹底する

業績データ、プロジェクトの進捗、経営判断の背景などの情報を全社で共有できる組織では、部門を超えた協働が生まれやすくなります。

プロジェクトの進捗や業務プロセスを可視化して属人化やブラックボックス化を防ぎ、誰もがリアルタイムで状況を把握できる環境をつくりましょう。

情報共有を通じて不公平感が解消されれば、従業員同士の信頼も育まれます。ただし、可視化そのものが目的化しないよう、「何のために、どの情報を、どのように共有するか」という目的と手段を明確に設計した上で運用することが重要です。

中長期的な視点で取り組む

組織づくりは一度の取り組みで完成するものではなく、継続的に進めていくべきものです。短期的な成果だけを追うと、表面的な改善にとどまり、組織の根本的な課題解決や持続的成長が難しくなります。

数年先の姿を見据え、組織として必要な基盤を育てていく視点が必要です。ただし、組織施策は効果が表れるまでに半年から数年を要することも多く、短期的な指標だけで判断せず、中長期的な視点で評価することが重要です。

長期的な視点を持ち、試行錯誤を繰り返しながら改善し続けることで、環境変化に柔軟に適応できる強い組織へと近づけます。

組織づくりで企業の力を最大化

組織づくりでは、文化・構造・人事システムを整え、従業員が力を発揮できる環境をつくることが大切です。明確なビジョンを示して継続的に評価と改善を行い、情報をオープンに共有することで、組織の一体感と信頼が高まります。

中長期的に成長できる基盤を整え、全員が成果に向けて前進できる強い組織をつくり上げましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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