会社のスローガンとは?15企業の事例と作り方、浸透させる取り組みを解説
従業員や消費者などに対して、企業理念や企業が目指す目標を示すなどの役割を担う会社のスローガン。スローガンを策定し社内外へ浸透させることで、ブランドイメージの向上や従業員のエンゲージメント向上などの効果が期待できます。
それでは、会社のスローガンや企業として大切にしたいことなどの経営の想いは、どのように策定し、浸透させていけば良いのでしょうか。
この記事では、スローガンの作り方のポイントや作成の目的から、社内に浸透させるための施策などを解説していきます。
会社のスローガンとは?
スローガンと企業理念の違い
スローガンは、主に社外向けに企業のメッセージや目標を簡潔に表現した短いフレーズで、顧客の関心を引くための広告的な役割を持っています。一方、企業理念は、企業が大切にする信条や価値観を示したもので、社内外に向けて経営の基本方針を伝えるものです。
スローガンが短くキャッチーな表現で、広く世間に認知されやすいのに対し、企業理念はより深い意味を持ち、企業全体の指針として長文で表現されることが多いです。また、スローガンが外部に対するイメージ作りに重点を置いているのに対し、企業理念は主に社員の行動や判断の基準として機能します。
スローガンとキャッチコピーの違い
キャッチコピーは、社外向けの短い宣伝文で、特定の商品やサービスに焦点を当てて顧客の関心を引くことを目的としています。たとえば、「業界最安値に挑戦」や「全国どこでも無料配送」といったメッセージがその一例です。
一方で、企業スローガンは、理念や目標を簡潔に表現するものであり、キャッチコピーに比べると広告的な要素は少ないです。一般的には、キャッチコピーよりもスローガンの方が広く認知されやすいと言えるでしょう。
スローガンとクレドの違い
クレドは、経営理念の浸透を目的とした社内向けの行動指針です。ラテン語で「信条」を意味し、企業が大切にする価値観や約束を示しています。社員がクレドを意識することで、業務へのモチベーション向上や自主的な行動が促進されるといった効果も期待されます。
企業スローガンが短いフレーズで表現されるのに対して、クレドは比較的長めの文章である点が大きな違いです。また、クレドが主に社内向けであるのに対し、スローガンは社外にも向けられ、認知度が高い傾向があります。
スローガンを策定するメリットは?
スローガンを策定すると、具体的には次のようなメリットがあります。
企業認知度とブランドイメージにつながる
企業ロゴも認知度が高まれば一瞬でどの企業なのかを判別がつくようになります。自動車のエンブレムなどが良い例ですが、エンブレムを見ただけでどこのメーカーなのかが分かります。
スローガンも同様で、テレビCMなどを介してよく耳にするフレーズは、それを聞いただけでどの企業なのかを判別する事ができます。また、フレーズの中身も企業イメージを連想させる事ができます。
例えば、「おねだん以上 ニトリ」と言われれば家具メーカーのニトリを思い出すのと同時に、そのキャッチコピーから「価格以上に価値がある」、「安くて良い品物がある」という事を連想させる事が可能です。
従業員のモチベーション向上につながる
スローガンは、企業認知度やブランドイメージに影響するだけではなく、経営理念やサービス理念、事業理念を社内に浸透させるという働きもします。
スローガンは、会社やサービスが目指している方向性やビジョンを端的に表現しているものであり、一体感のある組織運営を進めるためにも効果的です。従業員にとっても普段の仕事をする上での考え方の基礎にもなります。
従業員の企業理解やサービス理解が進むことで、仕事をする目的や業務で意識すべきことが明確になり、モチベーションや生産性の向上が期待できます。
会社のスローガンの作り方のポイント5選
ここでは、スローガンを策定する時の作り方のポイントを紹介します。
1. メッセージ性がこめられた、シンプルなものにする
スローガンの役割は理解して頂けたと思いますが、実際に考えてみると難しく感じてしまう事も多いでしょう。
大手企業ではコピーライターなどに依頼する事が多いですが、自分達で適切な言葉を考え、設定するのも企業の方向性を考える上で役に立ちます。
また、従業員が自ら考える事で、企業としての取り組みを把握したり売上貢献など意識を高める事にも繋がります。
しかし、せっかく考えたスローガンも選ぶ言葉によって意味がボヤけてしまったり、何を伝えたいのかメッセージ性の低いスローガンとなってしまいます。
そうならないためにも、以下の点に留意しながらブレストレベルで良いフレーズの候補をいくつか列挙し、その中から適切なものをピックアップすると良いでしょう。
2. 誰にでも分かりやすい表現にする
企業が今進めたい方向性やメッセージ性を持たせるスローガンを、誰にでも分かりやすい表現で作成すると心にも響き、浸透しやすくなります。
スローガンはロゴと同じで会社の顔として使う事ができ、また企業のブランディングにも繋がります。まずは、企業としてどういう方向性に導くかを検討する必要があります。
従業員向けのスローガンの事例として国内外13万人が働くセブン&アイホールディングスをご紹介します。セブン&アイグループでは、国籍や雇用形態なども多岐に渡っており「多様性を明日の力に」というフレーズの元、ダイバーシティ推進活動をしています。
このフレーズからも想像できるように、育児や介護、国籍、ハンディキャップなど様々なバックグランドを持った従業員が共存し、企業成長の源になっているというメッセージが伝わります。
3. 誰に何を伝えたいかを明確にする
スローガンはお客様、取引先、従業員に向けたメッセージ性の高いものになります。従って誰に向けて発信したいのかでフレーズも変わってきます。
お客様や取引先に向けたフレーズであれば「いつも寄り添い、良い商品を提案します」などのメッセージ性を含めたり、従業員向けであれば「従業員がいるから会社が成り立っています」というメッセージを込めたりして、誰に対して発信をしたいのかを明確にしましょう。そうする事で、本当に伝えたい事がブレずに、心に響きます。
例えば、大手化粧品メーカーの資生堂は「一瞬も一生も美しく」というスローガンを掲げています。今現在もそして未来も美しく生きたいという顧客心理を上手くついた表現です。
4. 意識して取り入れたいワードを取り入れる
前述の分かりやすく、誰に対してのメッセージなのかというのに加え、覚えやすく前向きでポジティブな姿勢が伝わるワードを選定すると、心にも響きやすく、印象にも残ります。
上でご紹介したセブン&アイグループや資生堂でのスローガンは両者ともポジティブな印象を与えています。
またそのメッセージ性から企業の好感度も上がり、従業員であれば帰属意識、顧客であればリピートにも繋がります。
そのためにも、ポジティブでワクワクする未来が想像できるフレーズを創ると良いでしょう。
5.MVVと関連付ける
MVVは、「Mission(ミッション)」「Vision(ビジョン)」「Value(バリュー)」をまとめて略したもので、企業の存在意義や目指す未来、それを叶える手段を定めたものになります。そのため、スローガンをMVVに関連付けることで、従業員はより帰属意識を、顧客であれば信頼感を獲得することにつながるでしょう。
スローガンを社内に浸透させるための取り組み5選
スローガンは作って終わりではなく、浸透させなければ意味がありません。特に、企業の顔として、顧客や取引先企業に向けてのブランディングで利用したりすることももちろん大切ですが、社内向けにスローガンを浸透させることも大切です。
企業として大切にしたいこと、企業理念、サービス理念の実現に向けて、社内への浸透施策を行いましょう。
例えば、社内への浸透施策は以下ののような3つの施策が考えられます。
社内報でスローガンについて発信する
定期的に発行する社内報で、スローガンについてのコーナーを作り発信するのも一つの方法です。
- スローガンに込められた想い
- スローガン作成に関わったメンバーへのインタビュー
- スローガンに関するQ&A
などを発信し、まずは従業員の目に触れる機会を増やしてスローガンを知ってもらいましょう。
関連記事:社内報とは?主な目的やメリット、おすすめの運用方法を紹介!
スローガンに沿った行動をサンクスカードなどで称賛する
スローガンを定めても、「具体的にどんな行動をとればいいのか」「どんな行動がスローガンに沿っているのか」が分からなければ、従業員の行動や組織は変わりません。
そこで、スローガンに沿った行動、スローガンを体現するような行動をサンクスカードで称賛するのも有効です。
従業員も「こういう行動が評価されるんだな」と具体的に理解できるので、より社内に浸透しやすくなります。
関連記事:サンクスカードとは?職場に導入するメリットや運用ノウハウを紹介
スローガンに紐づいたワークショップやイベントを開催する
全社でスローガンに対する認識を強めるにあたり、従業員同士がスローガンについて話合うワークショップやイベントを設けることも方法の一つです。
従業員が自主的にスローガンについて考える機会を設けることで、スローガンの意味や背景についての理解をより深めることができます。
その他、スローガンにまつわるクイズを全社総会や社内表彰式などで実施することで、楽しみながら自然とスローガンを浸透させる方法もあります。
スローガンを策定する経緯や理由を伝える
スローガンを作庭する経緯や理由を詳しく伝えることは非常に重要です。これによって、社員や顧客がスローガンに対して親しみを持ちやすくなるためです。また、スローガンはいつでも社員や顧客が簡単に確認できるようにしておくことが大切です。具体的には、紙媒体や自社のホームページを通じて発信する方法が考えられます。
さらに、スローガンに基づく企業の未来像を示すことで、社員や顧客も企業と共に成長していくビジョンを共有できるようになるでしょう。
経営者がスローガンに基づいた行動や発信を主導する
スローガンを社内外に浸透させるためには、経営者の積極的な関与が欠かせません。経営者がスローガンに基づいた言動を示すことで、企業の方向性に一貫性が生まれ、社員の意識も変わることが期待されます。
経営者が模範を示す具体例として、公の場でスローガンを引用することや、スローガンに沿ったプロジェクトを進めること、経営方針をスローガンに基づいて策定することなどが考えられます。これらの取り組みは、単発ではなく継続的に実施することが重要です。
ただし、スローガンが「顧客第一」を掲げているにもかかわらず、経営者が「利益第一」といった矛盾する発言をしてしまうと、スローガンの信頼性が損なわれ、結果として社員のモチベーションが低下するリスクがあるため注意が必要です。
有名企業のスローガンの事例
有名なスローガンをいくつかご紹介いたします。ご紹介するスローガンはCM等で良く耳にするフレーズも多いですが、そのスローガンが企業ブランドとマッチしており、印象に残りやすい表現をしています。
1. no music,no life(タワーレコード)
外資系大型CDショップのタワーレコードのスローガンです。「音楽がなければ生きられない」という直球のフレーズが消費者の心に響き、浸透しました。
1996年に作られたこのスローガンですが、お客様が音楽に触れてもらうきっかけ作りにと、これまで複数のアーティストとポスターを作成しました。
出典:NO MUSIC NO LIFE. - TOWER RECORDS ONLINE
2. お口の恋人 ロッテ(ロッテ)
大手菓子メーカーのロッテが掲げるスローガンです。
このコーポレートメッセージである「お口の恋人」には、「永遠の恋人」と言われるシャルロッテのように、いつまでも皆様から愛される存在でありたいという想いが込められています。
3. あなたと、コンビに、ファミリーマート(ファミリーマート)
大手コンビニエンスストアのファミリーマートのスローガンです。
このスローガンは「便利で安心できるサービスを通じ、お客さまの気持ちにいちばん近い存在を目指します」というコーポレートメッセージが込められています。
4. 水と生きる(サントリー)
大手飲料メーカーのサントリーホールディングスのスローガンで、このフレーズは地球環境や社会的責任に配慮を意識しています。
サントリーのコーポレートメッセージからも「お客様に水と自然の恵みをお届けする企業として、地球にとって貴重な水を守り、水を育む環境を守っていくこと」として掲げており、地域社会や自然環境と交わす約束としています。
5. Inspire the Next(日立グループ)
日立グループがビジョン実現への想いを宣言したスローガンです。
「次世代にひらめきを与える」という意味で、活気あふれる世界をめざし、次なる時代に息吹を与え続けるコーポレートメッセージが込められています。
6. Maps to the future(ゼンリン)
地図情報の調査・制作・販売を行う日本の企業のゼンリンのスローガンで「地図情報で未来を創る」を意味します。
地図を扱う会社という事が一目でわかり、また未来に向けての前向きなフレーズは企業のブランディングとして確立しています。
7. ココロも満タンに(コスモ石油)
コスモ石油のスローガンですが、「ココロの満タン」を実現させるために、心地よさ、安心感、信頼感の3つをブランドプロミスとして掲げています。
またコスモ石油グループの決意を宣言する事でグループ全体としての取り組みとして、ブランドイメージの向上を具現化させています。
出典:ココロも満タンに"宣言「新」3つの約束診断実施の件|コスモエネルギーホールディングス
8. 味ひとすじ(永谷園)
永谷園のスローガンで、「1.今までにない 2.お客さまに「なるほどおいしい」と感じてもらえる 3.他社にマネが出来ない」という決意の元、掲げられています。
消費者はこのフレーズからも「美味しい商品を提供」してくれるイメージは湧くと思いますが、短いワードのため簡潔で覚えやすいのも特徴です。
まとめ | スローガンは会社の顔。言わばキャッチコピーのようなもの
会社のスローガンは、企業ブランドとして認知させる事も可能ですし、従業員への意識改革にも利用できます。 実際にスローガンを掲げている会社は多いと思いますが、もし浸透されていないようであれば、新しいメッセージ性のものを従業員と一緒に検討してみるのも良いのではないでしょうか。
施策の実行・運用改善で、従業員にスローガンを浸透させる
スローガンの浸透を図るためには、会社のスローガンが従業員に認知され、共感されることが重要です。また、従業員がスローガンを理解し、日常業務に意識する仕組みが整っていることも重要な要素です。
そのためにも、スローガンを掲げたままにするのではなく、社内制度に落とし込んだり、ツールの導入で継続的な発信に努めるなど、従業員が会社のスローガンを身近に感じるための仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。
スローガンを様々な取り組みに落とし込み、その浸透度合いを効果測定し、改善していく。TUNAG(ツナグ)なら、この一連の流れを一つのプラットフォームで実現できます。
- 社長メッセージを、従業員のPCやスマートフォンに直接届ける(既読率やリアクションなど従業員の反応も見える)
- 従業員同士でスローガンを体現する行動にサンクスカードを送って称賛
- 日報でスローガンや行動指針に基づく業務を共有
など、自社に合わせてオリジナルの取り組みを設計・運用し、数値を見ながら改善していくことができます。「スローガンを社内に浸透させたい」「スローガンが従業員に浸透しているのかわからない」という企業様は、ぜひ一度公式サイトをご覧ください。