VMDの基本とコツ、IT活用を考える

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は、店舗に来店したお客様にブランドコンセプトをわかりやすく伝え、売りたい商品を良く見せることで、買いやすい売り場を作る仕組みです。この記事では、VMDの基本とコツ、およびITツールの活用について解説しています。VMDの効果的な実施には、VP(ビジュアル・プレゼンテーション)、PP(ポイン

ライター概要:32歳女性。アパレル業界歴7年、3社の勤務経験があり、首都圏のSVやVMDの業務を行う。現在は、IT企業のコピーライターとして、様々な業界のクライアント企業の案件に携わる。

VMDの仕事とは

VMDとは、ビジュアルマーチャンダイジング(Visual Merchandising)のことで、マーチャンダイジング(商品化計画)を視覚的に表す仕組みです。
店舗に来店したお客様にブランドコンセプトをわかりやすく伝え、売りたい商品を良く見せることで、買いやすい売り場を作ります。

アパレルを筆頭に店舗を持つ小売業界の多くがVMDを活用しています。店舗スタッフが日常的にVMDを行っているケースが多いですが、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)という職種を本社に設けている会社もあります。本社で決めたVMDを店舗に向けて発信する仕事です。定期的に店舗を巡回し、レイアウト変更を行うこともあります。

VMDと他職種との違い

VMDと他職種の違いは、売り場作りを視覚的に行う点です。他職種とは密接に関わりがあり、協力して仕事を進めることが必要です。MDは商品企画を担い、投入計画まで行います。VMDはこの計画に基づいて具体的に売り場作りに、落とし込みます。

例えば、色・サイズ欠けが起きると売れ残り感が出るので、畳み方や陳列で工夫して再編集することが必要です。
売りたい商品を決まった期間で売れるように、売り場作りを行うのがVMDの仕事と言えます。

一方、SVやエリアマネージャーは企業によっては営業と呼称されることもあり、店舗の売り上げアップを担う職種です。販売スタッフの教育や店舗施策立案など店舗運営に関する業務を行います。企業規模によっては、VMDとエリアマネージャーを兼任していることもあります。

VMDの基本とコツ

VMDのコツは売りたい商品が売れるようにすることです。ただ商品を綺麗に並べるだけなら、デコレーションになってしまいます。最終的な目標は売り上げ拡大であることを意識し、VMDを行いましょう。具体的にどんなことをしたら良いか、下記のようにまとめました。ぜひ参考にしてください。

VP・IP・PPを意識する

売り場を以下のように3つのエリアに分け、明確に役割を持たせましょう。
・VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
・PP(ポイント・オブ・セールスプレゼンテーション)
・IP(アイテム・プレゼンテーション)

VP(Visual Presentation)

VP(Visual Presentation)は、見せる陳列でショー・ウィンドウや通路に面して設置するマネキンや什器で使用することが多いです。ブランドの世界観を演出したり、目を引くものを飾ったりすることで、入店のきっかけを作ります。このとき商品だけでなく、テイストに合った小物や装飾品を置くことも大事です。具体的には、季節感を感じるものや、色味や柄の強いものをマネキンに着せると、お客様が立ち止まりやすくなります。

PP(Point Presentation)

PP(Point Presentation)は、見せて売る陳列のため、おすすめや人気のある今売りたい商品をわかりやすく訴求することで、お客様にアピールして提案する効果があります。
壁面の高い位置や、ラック前にマネキンを置いて、PPを作ります。遠くからでも目につくような位置に設置し、入店してからの導線を作りましょう。特にセットで買ってもらうことを意識して、おすすめのコーディネートを組んでマネキンやハンガーを使うのがおすすめです。

IP(Item Presentation)

IP(Item Presentation)は、売る陳列です。IPはお客様が商品を選ぶための場所であり、色やサイズのバリエーションを展開して、比較検討させる効果があります。VPとPP以外の、ラックや棚で作ることが多いです。PPのコーディネートで使った商品を、IPと連動させると良いでしょう。PPで使用しているアイテムの色違いをIPで見せて認識してもらい、手に取ってもらうことが重要です。

定量を決める

棚やラックなどの什器に並べる定量を決めることが重要です。一度商品を並べてみて、綺麗に並ぶ枚数を把握しておきましょう。季節によって商品の生地の厚さが変わるので、SSとAWで定量を分けると良いです。たくさんの商品を売りたいところですが、高級感のあるブランドの場合はよりスペースに余裕を持たせて並べる方が綺麗に見えます。

常に見直す

売り場は常に見直し、変更することでPDCAを回しましょう。綺麗にVMDができても、商品を手に取ってもらえなかったり、入店してもらえなかったりすることもあります。
一定期間それが続く場合は、再編集を考えることをおすすめします。小まめにVMDを変更し、再来店した人に新鮮なイメージを持ってもらうことで、買上げに繋がることもあるでしょう。

VMDの効果測定、KPI

VMDはただ綺麗に商品を並べてよく見せるだけでは、主観的で意味がありません。数値で管理し、実際に購買まで繋がったのか検証をすることで、更なる売り上げに繋げることができます。

VMDの効果測定方法

VMDを変更した前後で数値を比較すれば、効果を検証することが可能です。ECサイトでは、流入やコンバージョン率、滞在時間など数値をすぐに知ることができますが、店舗でも同じように数値化できていればPDCAを回しやすくなります。

VMDの主なKPI

VMDの効果を測るとき、指標となるKPIについて説明します。

1.入店率

店舗の前を通った人のうち、どのくらい入店があったかの比率が、入店率です。このときに重要なのがVPで、ショーウィンドウや前方のテーブルなどのVPを見てお客様は入店するのか決めるため、VPを変更することで入店率が変動させることができます。

2.買上げ率

買上げ率とは、買上げ客数÷入店客数のことです。入店したお客様が商品を買うには、手に取ってもらうことが必要です。入店してから店奥まで回遊してもらえるように導線を作り、店内での滞在時間を長くさせることで、買上げに繋げます。

3.客単価

客単価はお客様1人が1回で購入する金額のことです。このとき重要なのが、PPでコーディネートを組み、セットでの購買を促すことです。客単価を上げることで、入店数が少なかったとしても売り上げ目標に近づけることが可能になるでしょう。

4.滞在時間

VPを見てお客様が立ち止まった時間です。何を飾っていて、お客様が立ち止まるようになったかを検証することで、どんな商品を訴求するべきかの指標になります。

VMDのITツール活用

VMDは視覚的に表現する仕事で、マンパワーによるものが大きいと考えられやすいです。しかし、売り上げに対してVMDの効果を数値で示していくことが重要であることをここまででご理解いただけたのでは無いでしょうか。ITツールを活用することで、さらにVMDの効果を高めることができます。

VMDで活用するITツールの分類と役割

VMDに活用すべきITツールと言っても、何をしたいかによって役割が変わります。VMD効果アップに役立つおすすめのITツールを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

AIカメラ・センサーで人数計測を行う「Xovis」で来店者数を分析

入退店数や、滞在時間、導線など店頭スタッフが接客をしながら計測するには難しいデータをカメラによって取得できます。
詳細なデータを分析できることから、VMD計画に対するアクションが導きやすくなるでしょう。
参照元:Xovis|LMIリテールテックソリューションサイト

スマホで簡単に手動計測できる「Clicker」でKPI測定

店内にセンサーを取り付けなくても、スマホで来店人数の記録ができるアプリです。接客数やセット販売提案数なども、計測データをもとに分析できます。
参照元:Clicker|株式会社Flow Solutionsサイト

VMDの画像、動画をスマホアプリ「TUNAG」で共有、コミュニケーションも向上

VMDで必要なことの一つに、ブランドの統一性があります。何店舗も構えているブランドの場合、どこのお店に行っても共通の見え方であることが重要です。もちろん地域特性により、VMDを変更することも必要ですが、ある程度共通したものを決めることが大事でしょう。

本社からブランド共通のVMDを定期的に発信することで、リアルタイムで全店舗のスタッフが配信物を見て、VMD変更することができるようになります。スタッフごとにアカウントがあるため、情報を確実に届けることができます。また、本社とのコミュニケーション機会が増えるきっかけにもなるでしょう。現場のスタッフに会社の思いがしっかり届けられることで、会社全体の活性化に繋がります。
参考:社内ポータル・SNSの「TUNAG」

VMD改善は売上拡大の一歩

VMDは、すぐにできる売り上げ改善策です。早期に実践してPDCAを回していくことによって、結果に繋がります。たとえ売り切ることができなかったとしても、次の商品計画へ反省として活かすことができるでしょう。

VMDのナレッジは会社の資産に

全店舗で共通したVMDのクオリティを保つことができれば、ブランド力をさらに高めることができます。そのためにはVMDのナレッジを全店舗が持っておけるように、広めていくことが大事です。VMDを上手く実践できれば、そのナレッジが会社の資産へとなっていきます。ITツールを活用することで、より効果的なVMDを行うことができるでしょう。

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