経営とは?意味や本質、行き詰まる主な原因と軌道に乗せるポイント

経営はビジネスの世界で頻繁に使われる言葉ですが、正しく理解している人は意外に少ないものです。経営の本質を深掘りし、その意味や目的を再確認することで、事業の運営を軌道に乗せるヒントを見つけましょう。経営とは何か、行き詰まる主な原因や軌道に乗せるためのポイントと併せて解説します。

経営とは

経営と意味を混同しやすい言葉にマネジメントがあります。経営とマネジメントの違いや経営に必要な5つの要素を見ていきましょう。

経営の意味

経営とは、企業や組織の活動を総合的に管理し、発展させる活動のことです。事業を運営する上で、継続的かつ戦略的な意思決定を行い、限られた経営資源を最大限に活用しながら組織全体の成果を高め、設定した目標の達成と企業の永続的な成長を目指します。

収益の増加や顧客満足度の向上、市場シェアの拡大など、経営における目的は企業によりさまざまです。また、経営では常に状況を分析し、最適な意思決定を下す必要があります。

経営資源の効果的な配置や組織全体の管理も、経営における重要なポイントです。事業の目標達成を繰り返しながら、長期的な企業の存続と成長を図ります。

マネジメントとの違い

経営とマネジメントは、どちらも組織の目標達成を目的とした管理活動です。ただし、両者は役割や視点が異なります。

経営は、組織の長期的な方向性や戦略を決定し、事業を推進するトップレベルの活動です。それに対し、マネジメントは経営層が決定した戦略を実行し、組織のパフォーマンスを最大化するための具体的な管理活動を指します。

経営層は企業の長期的な方向性や経営戦略を決定し、それを実現するための具体的な活動がマネジメントです。マネジメントは経営の一環であり、経営層が掲げた戦略を組織全体に浸透させ、実行力を高めるための仕組みといえます。

経営に必要な5要素

組織を管理しながら成長を促進するために、経営には次の5要素が必要です。

  • 経営理念:組織に属する人が自分の行動を決めるときの指針
  • 経営方針:経営理念を実現するために取るべき行動や方向性
  • 経営計画:経営方針を実現するための具体的な計画
  • 経営戦略:目標達成に向けて設定された大局的な方針
  • 経営資源:ヒト・モノ・カネ・情報など事業運営に不可欠な資源

これら5つの要素を適切に設定・管理し、組織内で共有することで、戦略的な意思決定が可能になり、経営が安定化し長期的な発展へとつながります。

著名人に学ぶ経営の本質

経営をより深く理解したいなら、ドラッカーと渋沢栄一の経営論について知っておくのがおすすめです。2人が説く経営の本質を見ていきましょう。

ドラッカーが説く経営とは

現代経営学の父と称されるドラッカーは、マネジメントの概念を体系化したことで知られる経営学者です。企業経営や組織のあり方に関する膨大な著作を残しています。

経営の本質を説くドラッカーの代表的な言葉をまとめました。

  • 事業の目的は喜ぶ人を増やすことである
  • 未来を予測する最良の方法は未来を創ることである
  • 企業は利益ではなく貢献を追求する社会的機関である
  • 利益は目的や動機ではなく事業を継続・発展させるための条件である
  • 経営を通じて従業員の自己実現が図られるべきである

ドラッカーの経営論は、日本を含む世界の大企業の経営者に広く支持されており、経営者自身が常に意識すべき本質的な指針を示しています。

渋沢栄一が説く経営とは

日本初の銀行を設立した渋沢栄一は、日本近代化の父と称される人物です。多くの企業の設立にも関わり、現在まで存続している事業も数多くあります。

渋沢は「利益は企業活動の目的の1つであり、企業が存続し発展するためには利益を上げることが不可欠である」と考えていました。一方、「利益を社会に還元し道徳的な経営を行うことで、社会貢献につなげるべきである」とも主張しています。

「利益追求だけでなく道徳的責任を果たすことこそ、真の経営である」という考え方は、ドラッカーが説く経営の本質にも通じるところがあるといえるでしょう。

経営が行き詰まる主な原因

近年はビジネス環境が目まぐるしく変化しており、経営が行き詰まる企業も増えていくでしょう。組織を維持できなくなる原因にはどのようなものがあるのかを解説します。

成りゆき経営

成りゆき経営とは、経営計画や事業計画を立てず、行き当たりばったりに経営を行うことです。具体的には、経営の数値全体を把握しないまま、無計画な行動を繰り返すことを指します。

「赤字が続いても自然に解決するだろう」といった漠然とした考えや、短期的な視点で経営を続けていると、企業の資金繰りは確実に悪化し、成りゆき経営に陥ります。

赤字であるのにもかかわらず無計画に経営を続けていては、金融機関から融資を受けるのは困難です。借入金の返済や設備投資ができなくなるほか、給料を上げられないため人員確保も難しくなり、状況はますます悪化していくでしょう。

売上の低迷

経営が行き詰まる原因として、売上低迷も挙げられます。売上が上がらなくなる主な原因は次の通りです。

  • 新規顧客の獲得難
  • 既存顧客の離脱
  • 商品・サービスの質の低下
  • マーケティング戦略の誤り
  • リソース不足
  • 販売員の経験不足
  • 従業員のモチベーション低下

競合他社の増加や景気の悪化、風評被害といった外部要因によっても、経営が行き詰まることがあります。

連鎖倒産

連鎖倒産とは、ある企業の倒産がきっかけで、取引先や関連企業が次々と倒産していく現象です。特定の企業に依存していると、その企業が資金難や売上減少に陥った場合に、自社も連鎖的に倒産してしまう恐れがあります。

連鎖倒産を防ぐためには、取引先のリスク管理が重要です。複数の取引先を持つことで、特定の企業に依存しない体制を築けます。売上金を早期に回収したり現金取引に切り替えたりするなど、自社の資金繰りを管理することも連鎖倒産の防止につながります。

経営を軌道に乗せるためのポイント

経営が行き詰まることを回避し、持続的な成長を実現するためには、戦略的かつ具体的な経営活動を実践する必要があります。

経営を軌道に乗せるためのポイントを見ていきましょう。

経営計画書を策定する

経営計画書とは、企業が将来どのように成長していくか、どのような目標を達成していくかを示す計画書です。経営理念に沿った具体的な戦略や行動指針を明示することで、従業員や関係者に会社の未来像を示し、目標達成に向けて連携を図れます。

経営計画書を具体的かつ現実的に作成し、全社員が共有・理解した上で実行することで、企業の持続的な成長と経営基盤の安定化に直結します。

経営者自らが主体的に関わることや、長期的な計画を立てて定期的に見直すことが、経営計画書作成の重要なポイントです。

迅速な意思決定を行う

市場の急速な変化に素早く対応して競争優位性を保つためには、迅速な意思決定が不可欠です。業務効率や生産性の向上を図れるほか、リスク回避にもつながります。

適切な情報収集やデータ活用、意思決定プロセスの効率化により、迅速な意思決定を実現しやすくなります。専門家にアドバイスを求めて判断の精度を高めるのもよいでしょう。

人材を育てる

会社が成長するための重要な要素に、人材の成長が挙げられます。今後、労働人口が減少すると予想されており、組織が持続的に成長するためには従業員一人ひとりの生産性を高める必要があるのです。

また、人材教育は、次世代のリーダーや経営層を育てる重要な経営戦略であり、企業が持続的な成長を果たすための不可欠な要素です。

会社の存続にはリーダーの存在が不可欠であり、個々の専門性やスキルを高めつつ将来の経営陣を務める人材も育てていかなければなりません。

経営の本質を理解し持続的な成長を図ろう

経営者は利益追求だけではなく、社会への貢献を通じて新たな価値を創造し、顧客やステークホルダーの深い信頼を獲得することが求められます。それこそが企業の持続的な成長を実現する経営の本質です。

さまざまな要素をバランスよく組み合わせて持続的に成長し、社会に貢献していくことが、経営の本質だといえるでしょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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