組織変革は企業の未来を左右する。タイミングやステップ・実施のポイント
離職者が増えている・業績が著しく悪化しているなどの問題を抱えているなら、組織変革が必要なタイミングを迎えている可能性があります。組織変革とは、どのように進めるものなのでしょうか。組織変革の意味や必要なタイミングといった基礎知識にも触れながら、具体的なステップ・効果的に進める方法を解説します。
組織変革とは何か
組織変革とは、表面的な問題の解決ではなく、組織の構造や慣習・制度の運用などの根本を見直し、企業の持続的な成長やビジョンの実現を目指す取り組みを指します。単に部署名が変わったり、配置転換が行われたりという目に見える変化だけでは、組織変革とはいえません。
昨今、組織変革が注目されている理由は、グローバル化やデジタル技術の急速な進展により、従来のビジネスモデルでは対応できない課題が次々と生まれている点にあります。市場環境の変化スピードは年々加速しており、これまでの成功体験にとらわれていては、競争から取り残されてしまうかもしれません。
こうした状況下で、環境変化に柔軟に対応できる強い組織に変えるために、組織変革は企業の生存と成長を左右する重要な経営戦略となっているのです。
組織変革が必要なタイミング
組織変革は根本の見直しが軸になるため、企業にとって転機となるような事柄があったときに実行すべきものです。では具体的に、組織変革が求められるタイミングとはどのような状況を迎えたときなのでしょうか。
外部の環境が大きく変化している
組織変革が求められる背景として、外部環境の大きな変化が挙げられます。グローバル化やデジタル技術の急速な進展について触れましたが、より詳しく見ていきましょう。
現代の企業が直面している外部環境の変化には、以下のようなものがあります。
- 国内市場の縮小と新興国市場の拡大により、ビジネスモデルの転換が必要になっている
- AI・IoT技術の実用化により、従来の業務の多くが自動化・効率化の対象となっている
- 働き方改革関連法やパワハラ防止法など、労務管理の規制が年々厳格化している
- リモートワークが定着し、オフィスの意義や評価制度の見直しが求められている
- ESG投資の拡大により、環境配慮や社会貢献が企業価値に直結するようになっている
これらの変化は、それぞれが独立しているわけではなく、相互に影響し合いながら企業に変革を迫っているのです。
例えばパワハラ防止法の中小企業への適用拡大では、単に研修を実施するだけでは不十分でしょう。ハラスメントが起こりやすい組織風土という根本から改善し、心理的安全性の高い職場環境を構築する必要があります。
ESG経営への転換においても、表面的な取り組みではなく、ペーパーレス化を促す業務プロセスの再設計やサプライチェーン全体の見直しなど、事業活動の根幹に関わる変革が求められているのです。
新しい企業戦略や経営目標ができた
企業が新たな戦略や経営目標を立てたときも、組織変革が必要になる場合があります。その戦略や目標によっては、現状の組織構造や仕組みでは実現できないケースも少なくありません。
新たな戦略や目標の実現に向け、従業員の意識を改めて意欲を引き出すという意味でも、組織変革は効果的です。次に向かうべきゴールを共有し、意識と制度の両面を見直していくことで、目標の達成を目指せます。
利益率が著しく落ちている
利益率の継続的な低下は、組織の存続に関わる深刻な問題です。一時的な業績悪化であれば部分的な改善で対応できますが、構造的な問題による利益率低下は、組織全体の見直しが必要になります。
多くの企業では、業務の非効率性や組織の肥大化が利益率低下の要因となっているのです。部門間の重複業務や意思決定の遅さ、硬直化した人事制度などが、生産性を著しく低下させている可能性があります。
組織変革により業務プロセスを効率化し、組織をスリム化することで、利益率の改善が期待できるでしょう。企業の持続的成長のためには、利益率改善に向けた抜本的な組織変革が不可欠なのです。
離職率が上がっている
離職者の増加は、企業にとって大きな痛手です。企業にとってのマイナス面は、採用や教育にかけたコストが無駄になるだけではありません。従業員がいなくなれば利益は生み出しにくくなり、人手が足りなくなってさらに業績が落ちるという悪循環が十分に考えられます。
人材が定着しない原因はさまざまです。ただ、制度や組織風土の見直しなど根本的な問題の解決が必要な場合が少なくありません。組織変革で根本を良くすることで、離職率を下げられる可能性が高まります。近年の離職率が顕著に上がってきたことが分かるなら、組織変革を検討しましょう。
組織変革に期待できる効果
企業にとって組織変革は、多大な労力とコストがかかる取り組みです。従業員から反発が出る可能性もあるでしょう。それでも組織変革が求められる理由は、企業にとって大きな効果があるためです。どのような効果が期待できるのか、四つの観点から見ていきましょう。
市場での競争力を維持できる
現代のビジネス環境は、グローバル化やAI技術の急速な進歩など絶えず変化を続けています。こうした外部環境に対応できる組織は、市場での競争力を維持できる「強い組織」です。
従来のビジネスモデルや仕組みにこだわらず、変化に対して柔軟に対応できる組織への変革を遂げることで、新たなビジネスチャンスの獲得にもつながります。市場競争での優位性を保つために、組織変革は不可欠と考えてよいでしょう。
顧客満足度の向上を目指せる
現代ではオンラインのやりとりがメインになってきており、顧客は即時性や利便性を重視するようになってきました。価値観の多様化やグローバル化の促進によって、顧客のニーズも幅広く複雑化しています。
組織変革によって幅広い要望に応えられるようになれば、顧客満足度が上がり、業績の向上につながるでしょう。例としては、多様なニーズに応えるための顧客理解の重要性を従業員に共有し、顧客視点での企画・マーケティングができるような意識改革を実施するなどです。
組織文化が改善される
企業の業績は組織文化に左右されるといっても過言ではありません。組織文化とは、その企業ならではの信念・価値観・行動様式などを指す言葉です。組織文化は、従業員の意思決定や協調性・パフォーマンスに大きく影響するため、現状良くない組織文化がある場合は変革が求められます。
例えば、トップダウン型の意思決定から、現場の意見を重視する文化への転換により、従業員の自発性が育まれます。失敗を許容し学習を促進する文化を醸成することで、イノベーションが生まれやすい環境が整うでしょう。
また、多様性を尊重する組織文化への変革は、優秀な人材の獲得と定着にもつながります。組織文化の改善は一朝一夕には実現できませんが、継続的な取り組みにより、従業員のモチベーションと生産性の向上が期待できるのです。経営層のコミットメントと全社的な取り組みにより、持続可能な組織文化を構築することが可能になるでしょう。
従業員の定着率が上がる
ここまでに紹介してきた効果は全て、間接的にであっても従業員エンゲージメントを高める要素です。エンゲージメントとは企業(組織)と従業員の深いつながりや愛着を指し、離職率と負の相関関係にあります。
変革によって市場での競争力が増し顧客満足度が上がれば、利益率が向上して従業員の待遇に反映される可能性があるでしょう。「強い企業で働けている」という事実そのものが、意欲とエンゲージメントの向上につながることも少なくありません。
また、従業員一人ひとりが尊重され、働きがいを感じられる組織文化へ改善することは、企業の持続的成長に不可欠です。働きやすい環境は従業員エンゲージメントを高め、結果として人材の定着につながります。DXやグローバル化といった時代の変化に対応する姿勢を示すことで、企業の魅力が高まり、新たな人材確保や定着につながる可能性があります。一方で、こうした大きな変化に従業員が適応できるよう、丁寧なサポート体制を整えることも不可欠です。
組織変革のステップ
自社に組織変革が必要だと実感しても、何から手を付けるべきか迷ってしまう場合もあるでしょう。組織変革のステップについて、初めて取り組む企業でも参考にできるよう、すべきことを順番に整理していきます。
変革の必要性を組織内で共有する
組織変革に限らず、何かしらの変化を伴う取り組みには、組織内でなぜその取り組みをすべきか認知されている必要があります。特に組織変革は根本的な部分を変える施策のため、変革の理由が分からないと現場に混乱が起きやすいでしょう。
組織全体で変革の理由と目的が共有されることで、従業員が主体的に関わる土壌が育まれます。経営コンサルティング会社の創設者ジョン・コッターも、組織変革の最初のステップとして「危機意識を高め、組織内で変革の必要性を共有すること」を挙げています。
変革を主導するリーダーとメンバーを集める
組織変革は、経営層だけで進められる取り組みではありません。リーダーを中心に、組織変革の方向性を提示する人材が不可欠です。組織変革に踏み出すことを決定し、理由や必要性を全社に共有したら、チームの結成に進みます。
役職者や従業員の中から、変革を主導できるリーダーを筆頭にメンバーを選定して、組織変革のプロジェクトチームを作りましょう。チームには一定の権限を与える必要がある上、変革の成否を左右するため慎重な人選が求められます。
ビジョンとゴールからプランを策定する
組織変革を成功させるには、明確なビジョンとゴールの設定、そしてそれを実現するための具体的なプランが必要です。曖昧な目標設定では、変革の方向性がぶれてしまい、期待した成果を得られません。
ビジョンやゴールが不明確だと、的外れなプランを描いてしまう可能性があります。ゴールが従業員の意欲向上なら、業績に応じたインセンティブの新設や人事評価基準の変更・ピアボーナスの導入などが効果的です。ゴールが業績の向上であれば、顧客ニーズを満たす商品開発の部署を新設する、生産性の向上につながる仕組みづくりが求められます。
チームが結成されたら、まず組織の現状・課題を把握してビジョンとゴールを決めて目標を設定しましょう。
リソースを確保する
組織変革のゴールに向けた目標を達成するには、中核となるチームメンバー以外にも人材が必要です。変革のための施策には時間や資金も欠かせません。
人材面では、変革推進チームメンバーの専任化や、必要なスキルを持つ人材の採用・育成を検討する必要があるでしょう。資金面では、システム投資や外部コンサルタントの活用、従業員研修などに必要な予算を確保しなければなりません。
時間的リソースも重要で、変革には相応の期間が必要であることを経営層が理解し、短期的な業績への影響を許容する必要があります。リソースが不足する場合は、外部パートナーの活用や段階的な実施計画への見直しも検討すべきでしょう。適切なリソース配分により、計画通りの変革実行が可能になるのです。
社内で合意形成をして周知する
組織変革に当たっては、全社的に大きな変化が起こることになります。円滑に変革を進めてゴールに到達するには、社内の合意形成が不可欠です。
合意形成の際は、変革の必要性を理解しているリーダーを通じて、目的や成功したときの具体的な効果予測を伝えるのが理想でしょう。合意形成ができたら、ゴールを全社的に周知して変革を進めていきます。
従業員の自発的な行動を促す
組織変革のゴールを共有した後は、従業員が目標達成に向けて自発的に行動できるよう働きかける必要があります。特に組織文化や価値観に代表される「ソフト面」の変革には、従業員一人一人の自発性が重要です。
従業員の自発性を引き出すには、変革への参画機会を提供することが効果的でしょう。改善提案制度や変革プロジェクトへの公募など、従業員が主体的に関わる仕組みを作ることで、当事者意識が醸成されます。
また、小さな成功事例を積み重ね、それを全社で共有することで、変革への意欲を高められます。変革に貢献した従業員を適切に評価・表彰することも、自発的な行動を促す重要な要素です。経営層や変革リーダーが継続的にメッセージを発信し、変革の重要性を伝え続けることで、従業員の意識改革が進むでしょう。
必要に応じてハード面の変革も進める
組織変革の目的やゴールによっても必要性は変わりますが、ソフト面の変革だけを求めていない限り、業務の進め方やシステム・ルールなど「ハード面」の変革も必要です。
特に業績や業務効率の向上を目的とした組織変革では、ハード面の変革を優先的に進めていくことになるでしょう。ただしハード面とソフト面は密接に関連しているため、ハード面の変革だけを進めても、従業員の意識や行動といったソフト面が伴わなければ、変革は形骸化しやすくなります。両者を並行して、バランスを取りながら変革していくのが理想です。
短期目標を達成して次の目標に移る
組織変革は、一つの目標を達成したら終わりという簡単な取り組みではありません。最終的なゴールに向け、小さな目標を達成した後は達成を組織の内外に共有してフィードバックし、次のステップに進めていくのが基本です。
頓挫しないためにも、スモールステップで段階的に変革していきましょう。中間目標を立てない、あるいは中間目標自体が高すぎると、なかなか達成できず従業員にも負担がかかります。
変革の内容を定着させる
組織変革が進んだと思っても、その内容を定着させなければ一時の取り組みで終わってしまい、根本を改善することにはなりません。アクションプランを振り返って、効果が出たのかどうかを測定しながら進める必要があります。
効果が出ているなら全社的に共有し、現場にとってのメリットも継続的に伝えましょう。変革した意識や仕組みなどが定着しやすくなります。効果が出ていなければ、プランの見直しが必要です。
従業員に届きやすい情報発信をするには、「TUNAG(ツナグ)」のような組織改善クラウドサービスを使うのも一つの手段です。企業としての取り組みをタイムラインで発信したり、その時点で従業員に取り組んでほしい事柄をストックしていつでも見られるようにしたりできます。
TUNAG(ツナグ) | 組織を良くする組織改善クラウドサービス
組織変革に取り組む際の課題
組織変革は根本の見直しが必要になるだけに、課題にも直面しやすい取り組みです。とはいえ、あらかじめどのような課題があるのか把握しておけば、対策を考えやすいでしょう。主な課題を三つ紹介します。
変革への抵抗が生じる
組織変革において最も大きな課題は、各階層で生じる変革への抵抗です。人は誰でも、慣れ親しんだ環境や仕事の進め方に安心感を覚えるものです。そのため、大きな変化に対して不安や疑問を感じ、慎重になるのは自然な反応といえます。こうした「現状維持バイアス」と呼ばれる心理的な傾向は、変革を進める上で考慮すべき重要な要素です。
- 経営層:組織変革によって逆に業績が悪化するのではないか、株主・取締役への説明で納得が得られるかなどの懸念から変革に抵抗を覚える
- 管理職:変革によって新たなマネジメントスキルが求められるのではないか、自分の評価基準が変わるのではないかという不安から抵抗を覚える
- 現場の従業員:制度やシステムなど根本的な部分が変わることで、新たな業務フローを覚える必要がある負担、今のやり方で十分ではないかという疑問から抵抗感が生まれる
こうした各階層の抵抗は、それぞれの立場から見れば合理的な反応といえます。それぞれの立場における懸念や不安に耳を傾け、疑問を解消していく丁寧なコミュニケーションが求められます。
経営層と現場で意識がズレる
組織変革で導入した新制度やシステムが現場に定着しないという課題は、多くの企業が直面する問題です。一時的には新しい仕組みに従っても、時間の経過とともに元の状態に戻ってしまうケースが少なくありません。
定着しない原因として、新しい仕組みの意義や効果が従業員に理解されていないことが挙げられます。なぜこの変更が必要なのか、どのようなメリットがあるのかが不明確だと、従業員は積極的に取り組もうとしないでしょう。
また、新旧の仕組みが併存している移行期間が長引くと、従業員は慣れ親しんだ旧来の方法に戻りがちです。制度だけを変えても、それを支える組織文化や評価の仕組みが変わらなければ、真の定着は実現しません。新しい仕組みを組織に根付かせるには、継続的な啓発と、制度を支える環境整備が必要なのです。
組織変革を効果的に進めるには
組織変革を円滑に進めて期待した効果を得るには、紹介した主な課題の解消が求められます。具体的に、何をすれば変革が効果的に進むのでしょうか。
全社的に組織変革の必要性を理解する
組織変革を成功させる最も重要な要素は、全社的な必要性の理解と共有です。経営層から現場まで、なぜ今変革が必要なのかを腹落ちさせることで、変革への協力と推進力が生まれます。
まず経営層自身が、市場環境の変化や競合動向を深く分析し、変革なくして生き残れないという危機感を持つことが出発点となるでしょう。この危機感を、具体的なデータと共に管理職層に伝え、彼らを変革の推進者として巻き込む必要があります。
管理職は、もし変革によって自分の評価が変わったり部下への伝達の手間が増えたりしても、必要性と効果を理解すれば積極的に取り組めるでしょう。
現場は最も変革によって影響を受けやすいため、必要性の理解が求められます。管理職や現場には、組織変革チームのリーダーが中心となって必要性を伝えるのが円滑です。こうして全社的に組織変革の必要性が分かった状態にすることで、抵抗感が薄れ変革に協力する従業員が増えます。
ゴール設定が本当に適切か考える
組織変革のゴールは、プランの策定や具体的な施策・実行後の評価、全ての軸となります。ゴール設定自体が適切でなければ、大きなコストをかけて実施した組織変革そのものが無駄になりかねません。
ゴール設定では、まず組織の現状と理想の姿のギャップを正確に把握することが重要です。そのギャップを埋めるために、具体的で測定可能な目標を設定する必要があるでしょう。
また、ゴールは組織の戦略と整合性が取れており、従業員にとって意味のあるものでなければなりません。売上目標だけでなく、顧客満足度や従業員エンゲージメントなど、多面的な指標を設定することで、バランスの取れた変革が可能になります。
定期的にゴールの妥当性を検証し、必要に応じて修正する柔軟性も重要です。適切なゴール設定により、変革の方向性が明確になり、組織全体が一丸となって取り組めるのです。
リーダーに適性のある人材を見極める
組織変革にはリーダーの存在が非常に重要です。リーダーには、組織変革の目的を理解して具体的なプランに落とし込むこと以外にも、従業員に変革の必要性を伝える役割もあります。
リーダー候補者の選定では、過去の実績だけでなく、変革への情熱と覚悟を重視すべきでしょう。また、組織内での信頼関係や人脈も重要な要素で、現場の声を吸い上げ、経営層との橋渡しができる人材が理想的です。
リーダーには、困難な状況でも前向きに取り組む姿勢と、周囲を巻き込む力が必要になります。変革の過程では必ず抵抗や挫折が生じますが、それを乗り越える粘り強さも欠かせません。複数の候補者を多角的に評価し、組織の特性に合った人材を選定することで、変革を力強く推進できる体制が構築されるでしょう。
継続的なフィードバックを実施する
組織変革を定着させるには、定期的かつ継続したフィードバックが欠かせません。フィードバックによって、変革に向けた施策の妥当性や、軌道修正の方向を判断できるようになります。
経営層や組織変革チームは、定期的に効果測定をして管理職・従業員にフィードバックを実施しましょう。効果が出ていたときは「今後もこの調子で進めれば良い方向に向かう」という旨を伝えます。逆に効果が出ていない、あるいは不十分だったときは、具体的にどう改善していくべきか、改善案の検討と共有が必要です。
組織変革の課題解決に役立つ「組織サーベイ」
企業が組織変革に踏み切るに当たって、まずしなければならないのが「現状と課題の把握」です。そのために有用な手段に組織サーベイの活用が挙げられます。組織サーベイとは何なのか、メリットや具体的なツールの例を把握しておきましょう。
組織の状態を網羅的に診断するもの
組織サーベイとは、組織の健康診断のようなアンケートです。組織の現状を網羅的に診断します。次のような、業績からは分からない定性的な要素もチェックできるのが組織サーベイのメリットです。
- 企業のビジョンに共感しているか
- 上司や同僚との関係は良好か
- 業務環境・待遇に満足しているか
- 成長実感はあるか
組織サーベイは基本的に匿名で実施されるため、対象者は忖度のない本音で回答しやすいでしょう。リアルな組織の実態と隠れた課題を把握するために、組織サーベイは効果的です。
変革の判断材料となる組織の現状を可視化
組織変革を決めるには課題の把握が必要ですが、数値化できない課題の把握は簡単ではありません。利益率や外部環境の変化は決算の結果やニュースなどから把握できます。一方で、パフォーマンス低下や離職の理由にもなる「従業員の気持ち」はなかなか把握が難しいのが実情です。
組織サーベイを活用すれば、定性的な要素も数字やデータとして確認できるようになります。明確なデータとして課題を把握できれば、変革に踏み切るべきかの判断材料を得られるでしょう。
組織改善に特化したサーベイツール「TERAS」
数ある組織サーベイツールの中でも、「TERAS(テラス)」は組織全体の課題解決と改善アクションに焦点を当てています。
TERASの大きな特徴は、個人の満足度ではなく「組織単位」のエンゲージメント状態を診断する点にあります。これにより、個人のモチベーションやプライベートな事情に左右されにくい、組織として取り組むべき本質的な課題を浮き彫りにします。
さらに、可視化された課題に基づいて組織全体をターゲットにした改善施策を設計・実行できるため、よりインパクトの大きな変革が期待できます。
課題を乗り越えて自社を成長させる組織変革を
組織変革は企業にとって大きな負担や抵抗を伴う一方で、成長や競争力維持のために欠かせない取り組みです。外部環境の変化や経営戦略の見直しといった節目を迎えたときこそ、組織を根本から再構築する好機といえます。
現場と経営層の意識のズレや仕組みの定着不足といった課題は避けられません。ただ全社的に必要性を共有し、適切なリーダーを中心に継続的な改善をしながら進めることで、変革は成果へと結び付きます。
現状を正しく把握するには、組織サーベイのような診断も効果的です。「TERAS」のようなツールを活用すれば、従業員の気持ちまでを可視化し、改善に直結する具体的な施策の検討まで進められます。課題を冷静に見極め、段階的に変革を進めていきましょう。