人が定着しない職場の理由とは?定着率向上のアイデアや事例を解説!
新入社員や中途採用社員の早期離職、ベテラン社員の転職など、従業員が定着しないことに頭を悩ませている担当者の方も多いのではないでしょうか。
人材が流出してしまうと、それまでの採用や教育に費やした時間・コスト・労力がすべて水の泡になってしまい、企業に多大なダメージを与えることになります。また、人が抜けたことで業務負担が増えてしまい、残された従業員のモチベーションが低下するなど、さらなる離職を生み出す可能性もあります。
企業経営で必要不可欠なものは人材です。人を採用し、育て、定着しやすい職場を作ることはすべての企業にとって最重要事項だといえるでしょう。
そこで本記事では、人が定着しなくなってしまう職場の原因や定着するための具体的なアイデア、定着率向上に成功した企業の具体的な取り組みを解説していきます。
人が定着しない職場になる理由
離職は、入社から3年以内の離職を指す早期離職と入社後3年以降の離職の2つに分けて論じられることがあります。
どちらの離職にもいえることですが、「入社してみたら、イメージしていた業務内容・職場環境と違っていた」「人手不足で有給がとりづらい」「上司の対応がきつくて合わない」など、人が定着しない職場にはこうした労働環境・労働条件・人間関係に対する不満や悩みがあると考えられます。
採用しても離職を繰り返してしまう職場の解像度を高めるために、以下では新卒社員と中途採用社員それぞれの離職理由について深堀りしていきましょう。
新卒社員が定着しない理由
厚生労働省が2023年10月に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、2020年3月に卒業した新規学卒就職者の3年以内の離職率は、約3割に及ぶことが明らかになりました。
新卒社員の離職理由としては、主に次のようなことが挙げられます。
- 自分の希望と業務内容が合っていない
- 待遇や福利厚生に不満がある
- キャリア形成や成長が望めない
- 労働環境・条件がよくない
- 職場の人間関係がよくない、合わない
時代の流れとともに終身雇用が当たり前ではなくなり、多様な働き方や価値観が認められるようになってきている現代では、転職することへのハードルが下がってきているともいえます。
それゆえ、新人社員の離職を防ぐには、企業は今後ますます多様な対策を立てて実行していく必要があります。
中途採用社員が定着しない理由
厚生労働省が2020年に実施した「令和2年転職者実態調査」によれば、転職者が直前の勤め先を離職した主な理由トップ3は以下となっています。
- 労働条件(賃金以外)がよくなかった
- 仕事内容が満足いくものではなかった
- 賃金が低かった
また、中途採用社員特有の離職理由としては、以下のようなことが想定されます。
- これまで蓄積したノウハウやナレッジ、スキルが給与に見合っていない
- ベテランとして依存され、業務の負荷や精神的な負担が増加して辛い
- 即戦力として期待されて入社したが、プレッシャーが重かった
- 別の会社からスカウトがかかった
- 前の会社との文化的なギャップを感じた
「中途採用であれば、これまでの経験を活かしてうまくやってくれるだろう」という甘い考えはやめた方がよいでしょう。これまでのキャリアや経験、仕事の進め方が逆に足枷となってしまい、中途採用社員には中途採用だからこその悩みや不安を抱えているはずです。
新卒社員と同様に、企業は中途採用社員が定着するよう具体的なアイデアを立てて実行していくことが、離職を防ぐうえで重要になってきます。
【課題別】人が定着するための具体的なアイデア
ここからは3つの課題に分けて、人が定着するための具体的なアイデアを紹介していきます。自社の状況と照らし合わせながら、役立つアイデアがあればぜひ参考にしてみてください。
職場の人間関係に課題がある時には?
「ベテラン女性社員の対応が、自分にだけ厳しい」
「同期グループの中に苦手な人がいて、輪の中にうまく入っていけない」
「パートが派閥を作っていて、新人を採用しても定着しない」
など、人間関係がうまくいっていないと職場の雰囲気は暗く重たいものになり、足を運びづらくなってしまいます。さらに、業務上の情報共有が行われずミスが発生したり、意見の食い違いが起きたりするなど業務効率を下げることにもなるでしょう。
したがって、職場の人間関係を改善して従業員の定着率を高めるために、企業は従業員同士がコミュニケーションを円滑にとれるような職場環境を用意することが重要です。具体的には、以下のようなアイデアが考えられます。
<具体的な取り組み例>
- 社内イベントの実施で従業員同士の一体感を生み出す
- サークル活動や部活動で部署間を超えた関わり合いを増やす
- 目標の共有や1on1で日常的かつ、積極的にコミュニケーションをとれるようにする
- 人事再配置で人間関係の衝突を防ぐ
- ホットラインの設置で従業員の声を拾い、不満を解消していく
やりがいが感じられないという社員が多い時には?
「自分より仕事をしない同期が昇進して納得がいかない」
「ルーチン業務ばかりで誰からも認められず、自分の存在意義を感じられない」
「入社以来ずっと同じ部署で働き続けていて、このままでいいのか不安」
など、今の仕事にやりがいを感じられないと従業員は自分の未来・将来に不安を覚え、離職という道を選ぶことになってしまいます。
やりがいの感じ方は人ぞれぞれであるため、これをやれば問題を解決できると一概に言えるわけではありません。それゆえ、企業は自社で働くことのやりがいを従業員に感じてもらうために、さまざまなアイデアを試して実行する必要があるでしょう。そのいくつかを紹介します。
<具体的な取り組み例>
- メンター制度やブラザーシスター制度で教育・サポート体制を整備し、将来の不安を減らして安心感を持ってもらう
- 社内表彰やサンクスカードを取り入れ、称賛文化を作る
- 公正・公平な人事評価制度を整備して、従業員の納得感・信頼感を得る
- 1on1や定期的な面談の実施で、従業員の考えや心境を理解し、フィードバックでフォローしていく
- 柔軟な部署異動や社内公募制度を設けて、やる気やモチベーションを高める
労働条件に不満があるという社員が多いという時には?
「本当は午前中に仕事を終わらせて帰れるのに、周りの目が気になって休めない」
「残業は月20時間ぐらいと聞いていたのに、80時間を超えることがある」
「研修や教育の機会がなく、従業員の知識や技能のばらつきが大きい」
など、職場の労働条件に対する不満も、従業員の離職を引き起こす一つの要因です。
福利厚生や研修・教育制度の整備などにかけられる時間や予算は、企業の置かれている状況や環境によって制限があるかとは思います。できることとできないこともあるはずです。そのため、自社の実態に合わせて、まずはできることから一つずつ試してみるということが大切です。
<具体的な取り組み例>
- 面接時に応募者に有利な情報だけでなく、現実的な話や課題になっていることも率直に伝え、入社前と入社後のギャップを減らす
- 各従業員の業務量と業務内容を見直し、業務の均等化を図る
- 社内に目安箱を設置したり、アンケートを取るなどして、従業員の意見や悩みを汲み取る
- 時短勤務・フレックスタイム・テレワークなど柔軟な働き方を導入し、従業員が働きやすい環境を整える
- 誕生日休暇・リフレッシュ休暇・ボランティア休暇などを設け、ワークライフバランスを改善する
定着率向上に成功した企業の事例
最後に、組織改善から業務DXまで実現できるクラウドサービス「TUNAG(ツナグ)」を導入し、定着率向上に成功した企業の事例を3つ紹介します。
仕事にやりがいを感じる施策でアルバイトの定着率30%改善
ウェディング事業を中心に、ホテル・レストランの運営・映像事業・不動産事業・保険事業など、幅広いサービスを展開する株式会社BP様。
アルバイトを含めて従業員数が2,000名を超える同社では、従業員の頑張りをしっかり褒める「承認活動」ができていないことに課題を感じていました。
そこで、頑張りをしっかり褒める「承認」によって、組織への定着を促したいと考えTUNAGを導入。以下のような多数の活用事例と効果が生まれました。
- 日報で頑張りを承認し、従業員のやる気を喚起
- サンクスカードと表彰制度も紐づけ、従業員のがんばりを承認
- ホスピタリティ事例の全社共有で、サービスへの自信を高め、やりがいを醸成
- リファラル採用・社員登用へ活用し、ミスマッチの減少
その結果、アルバイトの定着率が30%も改善されました。また、コロナ禍でもTUNAGでつながり続けたことにより、3ヶ月で300名の採用にも成功。結婚式場の口コミサイトで順位が上昇するなど、好循環を生み出せました。
事例記事はこちら>>アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで
コミュニケーション活性化により離職率10%減少
株式会社ダイセーセントレックス様は、私たちの生活に欠かせない食品や日用品の輸配送を行う物流会社で、全国10拠点でビジネスを展開しています。
課題として挙げられたのは、外で一人で働くドライバー職のコミュニケーション不足や離職率の高さでした。また、ドライバーミーティングや社内報の運用では情報がうまく伝わりきらないという悩みも抱えていました。
こうした課題を解決するため、デジタルというチャネルの強化とエンゲージメントの向上を目的にTUNAGを導入することにしました。各部署での連絡や会社からのお知らせなどの発信のほか、「社長のつぶやき」「リーダーインタビュー」「フォトコンテスト」など、さまざまなコンテンツを運用しています。
そうした取り組みが功を奏し、2020年に27.9%だった離職率が、2021年には17.3%と約10%改善されました。しかも、TUNAGでの投稿が従業員同士の理解を促進し、コミュニケーションのきっかけにもなっています。
事例記事はこちら>>物流業界ならではのコミュニケーションや離職率の課題を改善 - 株式会社ダイセーセントレックスのTUNAG活用事例
称賛・感謝する文化が浸透し働きがいのある会社へ
岐阜県可児市に本社を構える株式会社ファミリー様。登録済未使用車販売専門店として、岐阜県で最大級の専門店を展開しています。
株式会社ファミリー様がTUNAGを導入しようと思ったきっかけは、これまで運用していた日報の改善と従業員の離職への対策からでした。
TUNAGを導入することで、従来の日報では表に出てこなかった従業員の『感情のやりとり』が見られるようになり、離職の予防やコミュニケーションの活性化につながったといいます。
また、元々紙で行われていたサンキューレターからTUNAGに移行することで従業員の良い行動が全体公開されるようになり、称賛・感謝する文化が社内に醸成されることになりました。
事例記事はこちら>>称賛文化が浸透し、お客様への意識も向上した取り組み。「感情」を伝え合うことが次につながる。
まとめ | 従業員の定着率向上を目指すには
今回は職場で人が定着しなくなってしまう理由や改善するための具体的なアイデア、定着率の向上に成功した企業の実例を紹介してきました。
企業の重要資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」。そのなかでも、ヒト(人材)は今後の企業の成長や未来を左右するほどの重要な要素です。
離職の原因には職場環境・人間関係・労働条件など、さまざまな要因があり、解決までには多くの時間と労力を要することになるかもしれません。しかし、何もせずに待っているだけでは事態は悪化する一方です。
ぜひ本記事を参考にしていただき、自社の実態に合わせて、一つずつでもできることから始めていきましょう。