アルバイトの定着率を上げる4つのポイント!離職原因や改善事例も紹介
人手不足解消には「定着率」の向上が必要
人手不足を解消するには、「採用数を上げる」「定着率を上げる」の2つの視点から対策を打つ必要があります。
しかし、現代、そしてこれからの時代は採用数を上げるのは難しいのが実状です。厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和5年2月分)」によると、有効求人倍率は飲食物調理が3.01倍、接客・給仕の職業が3.28倍となっています。有効求人倍率は数値が1から遠くなるほど、求人に対して応募が不足していることを表しています。つまり、現代は「募集をかけても人が集まりにくい状況である」ということです。
少子化や働き方の多様化などの影響により、今後飲食業の有効求人倍率が下がっていくとは考え難いです。そのため、これからの時代は定着率を上げることが、人材不足解消のための鍵となります。
参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年2月分)」
アルバイトの定着率が悪いかどうか判断する方法
まずは、自社・自店のアルバイトの定着率が悪いかどうかを、数値として表して客観的な事実として判断する必要があります。その際は、以下の2ステップに沿って進めていきます。
①定着率・離職率を計算式で算出する
定着率・離職率は、それぞれ簡単な計算式に数値を当てはめるだけで計算できます。
定着率 = (入社人数 - 退社人数) ÷ 入社人数 × 100
例えば、15人採用して5人退職した場合は(15-5)÷15×100=66.6となり、定着率は66.6%となります。
離職率は、年度初日を起算として年単位で算出するのが一般的です。
離職率 = 年間の離職者数 ÷ 年度始めの従業員数× 100
例えば、年度始めの従業員数が15人、年間の離職者数が5人だった場合、5÷15×100=33.3となり、離職率は33.3%となります。
②平均離職率・定着率と比較する
自社・自店の定着率・離職率が悪いかどうかを判断する方法として、厚生労働省が発表している平均離職率・定着率と比較するのが有効です。
厚生労働省が発表した「令和4年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、アルバイトの従業員にあたるパートタイマー労働者の離職率は13.7%です。つまり定着率は86.3%となり、先ほど挙げた例の場合は平均よりも定着率が低いということになります。
参照:厚生労働省「令和4年上半期雇用動向調査結果の概要」
アルバイトの定着率が悪いとどうなるのか
アルバイトの定着率が悪いと、さまざまな面に悪影響が及び、お店の経営を苦しめることになります。その代表的な例として、以下の3つを紹介します。
業務の遅延やミスの増加
アルバイトの定着率が悪いと、業務の遅延やミスの増加に繋がります。新人スタッフが入れ替わり立ち替わり入店することになるので、経験や知識、スキルの不足が顕著に表れることになるでしょう。
例えば、料理提供の遅延やオーダーミス、お会計ミスなどが頻繁に起こるようになります。逆に、定着率が高ければスタッフも次第に業務に慣れてくるため、遅延やミスはさほど怒らなくなるはずです。
イメージの悪化&採用難易度の上昇
アルバイトの定着率が悪いと、お店・会社のイメージ悪化に繋がり、その結果採用難易度が上昇します。
人手不足の状態が続くと、常にアルバイト募集を出し続けざるを得なくなるはずです。そうなると、求職者の立場からみると「退職者が絶えない=職場環境が悪い」と思われてしまい、お店・会社のイメージ悪化は避けられません。
よって、募集をかけても人が集まらない状態となり、採用難易度が上昇してしまいます。
採用・教育コストの上昇
アルバイトの定着率が悪いと、採用・教育のコストが上昇してしまいます。
例えば、離職率10%のA社と、離職率30%のB社があるとします。仮にA社が4月に求人をかけるだけで済むとしたら、B社は年間に3回求人をかけることになるはずです。その分採用・教育コストがかかり、お店の経営を苦しめることになります。
また、採用・教育コストは、金銭面だけでなく時間面も大きな負担がかかります。店長や社員の長時間労働の要因にもなり、彼ら・彼女らの離職にも繋がりかねません。
参考:アルバイトの人手不足への対策を採用と定着の観点から考える | 社内ポータル・SNSのTUNAG
アルバイトの離職につながる4つの原因
アルバイトの離職理由はさまざまありますが、就職・進学などの環境要因に関しては仕方がありません。ここでは、人間関係のトラブルや仕事のミスマッチなど、アルバイトの離職につながる内部要因について解説します。
①人間関係が悪い
人間関係が良くない職場環境はスタッフのストレスに直結し、離職の原因になります。例えば、業務以外のコミュニケーションが生まれ辛い環境では、入ったばかりのスタッフは孤立してしまうはずです。
また、わからないことを質問しづらい雰囲気、お店の忙しさに飲み込まれて重苦しい空気が漂っている雰囲気など、スタッフが「このお店は人間関係が悪い」と感じるシチュエーションは多々あります。
スタッフは「楽しく働ける環境」を求めています。人間関係の悪さを肌で感じとったスタッフは、「早めに離職した方がよさそうだ」と感じてしまうはずです。
②やりがいを感じづらい
自身が担当する業務にやりがいを感じづらい環境だと、やはり楽しく働けないと判断されて離職の原因になります。
飲食店のアルバイトの業務は、全体像や前後の流れを説明されないまま、業務の一部を任されるケースも少なくありません。しかし、それだと会社や顧客への貢献が見えづらく、ただ淡々と作業をこなすだけの状態になってしまいます。
やりがいを感じづらいということは、スタッフが自分の担当する業務に価値を感じられないということです。そのお店で働く理由や意味を見いだせず、離職に繋がってしまいます。
③賃金の割に仕事が重い
飲食店のアルバイトは「賃金の割に仕事が重い」と感じ、離職を決意することがあります。
飲食店という業務形態上、社員とアルバイトが同じ業務をこなすケースは少なくありません。業務内容が同じでも、当然社員よりもアルバイトの方が賃金が安くなります。人によっては、それを負担に感じるときもあるのです。
④労働条件や待遇がほとんど変わらない
飲食店のアルバイトは、近隣のどのお店で働いても労働条件や待遇はほとんど変わりません。となると、現状に何らかの不満を感じたスタッフは「他のお店で働けばいいや」と考え、離職してしまいます。
同じ労働条件や待遇なら、少しでも楽しく働ける環境・やりがいを感じられる環境で働きたいと思うのは当然の流れです。
アルバイトの定着率を上げる4つのポイント
前章で解説した「アルバイトの離職に繋がる原因」を元に、アルバイトの定着率を上げる4つのポイントを解説します。
教育の仕組みを整え、質問・相談しやすい場所を作る
お店の人間関係の悪さを改善するための1つの施策として、教育の仕組みの見直しが必要です。質問や相談をしやすい環境を作ることで、新人スタッフの孤立を防ぎ、伸びやかな成長を促せます。
例えば、スタッフとの定期的な面談や店舗MTGなど、スタッフが意見を発しやすい環境を作ってあげましょう。
自然とコミュニケーションが生まれる仕組みを作る
同じく、人間関係の悪さを改善するために、自然とコミュニケーションが生まれる仕組みを作りましょう。
例えば、朝礼・終礼の中にその仕組みを作ると効果的です。個々のスタッフが自身の目標を宣言したり、それを他者が賞賛したりする仕組みを作ることで、業務中も好ましいコミュニケーションが生じるはず。
また、新人アルバイトが入るときは歓迎ムードで迎える風土を作ることも大切です。先輩スタッフが自ら声を掛けて自己紹介するなど、新人アルバイトが安心して働ける環境を用意してあげましょう。
会社や社長の想い、「なぜやるのか?」を伝える
会社や社長の想いを伝えたり、一つひとつの作業の「なぜやるのか?」を伝えることで、アルバイトはやりがいを感じながら働きやすくなります。
その際は、会社や社長の想いと、作業の「なぜやるのか?」に一貫性を持たせることが大切です。 その一貫性がないと、スタッフは「言ってることとやってることが違う」と感じてしまいます。
スタッフが「私もそれをやりたい!協力したい!」と思えるよう、ビジョンやミッションを熱く語ってスタッフをエンロールしていきましょう。
感謝を伝え、良い行動を称賛する
日々小さなことでも感謝を伝え、良い行動を賞賛することで、スタッフは「自分はお店から必要とされている」と感じます。ひいてはそれがやりがいに繋がり、定着率の向上に直結するはずです。
例えば、終礼でスタッフ一人一人に感謝を伝えたり、良い行動をしたスタッフをみんなの前で賞賛したりすると、お店の雰囲気も良くなります。
逆に、感謝を伝えなかったり、良い行動を見過ごしたりすると、 スタッフは「頑張っても意味がない」と感じてしまうので注意してください。
具体的な施策をまとめた資料を配布中
この章で解説した内容をより具体的な施策に落としてまとめた資料を、当サイトでは配布しています。
「一人前チェックリスト」「店舗日報」「サンクスメッセージ」など、15個の施策を紹介しています。ぜひご覧になってみてください。
アルバイト定着率を改善した事例
最後に、アルバイト定着率を大幅に改善した企業の事例を3つ紹介します。参考にしてください。
株式会社BP
株式会社BPは、ウェディング事業を中心に、ホテル、レストランの運営や、映像事業、不動産事業、保険事業など、幅広いサービスを提供している企業です。
社内アプリTUNAGを使ったサンクスカードの導入、それを表彰制度に紐づけることで、アルバイト定着率の改善に繋げています。また、日報を通したスタッフへの承認、 良い行動を起こしたスタッフが自ら事例を共有する仕組み作りなど、細かな施策をいくつも実践しています。
そういった取り組みのおかげで、株式会社BPはアルバイト定着率を30%改善。リファラル採用を促進し、「スタッフが友達に紹介したくなるバイト先」という状態を作り上げています。
関連記事:アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで|TUNAG
株式会社ポムフード
株式会社ポムフードは、オムライス専門店「ポムの樹」を全国94箇所にチェーン展開している企業です。
アルバイト定着率を向上させるための施策として、社内アプリTUNAGを導入し、会社の方針や想いを現場スタッフにまで落とし込む仕組みを構築しました。SNS感覚で気軽に投稿できるカジュアルな日報「現場なう」や、社内通貨などの福利厚生を導入し、スタッフのエンゲージメントの向上に繋げています。
アルバイト・社員・幹部のコミュニケーション、店舗と本部のコミュニケーションを円滑にし、全従業員が同じ方向を向いた組織作りを実現しています。
関連記事:パート・アルバイトの入社手続きをペーパーレス化:「ポムの樹」がアプリで実現した、業務効率化&スムーズな情報共有|TUNAG
株式会社木曽路
株式会社木曽路は、しゃぶしゃぶや日本料理、焼き肉店や居酒屋などを全国に190店舗展開している企業です。
社内アプリTUNAGを導入し、情報共有・好事例の横展開・教育の仕組み整備に役立てています。その結果、現場の情報共有不足の改善、店舗の一致団結した雰囲気の醸成ができ、業績の伸びにも繋がっています。
それらの取り組みによって、スタッフがやりがいや自己成長を感じながら働ける環境が作られ、アルバイト定着率の向上に繋がっています。
関連記事:「不規則なシフトでも情報が行き渡る」木曽路が実践する、パート・アルバイトを含めた情報共有|TUNAG
アルバイトの定着率改善は一朝一夕ではできない
飲食店の人手不足を解消するために、これからの時代は「採用数アップ」以上に「定着率アップ」が鍵となります。しかし、アルバイトの定着率改善は一朝一夕でできることではありません。
アルバイトの定着率を改善するには、教育の仕組みの改善や、スタッフがやりがいを感じながら働ける環境づくりなど、細かな施策をいくつも打つ必要があります。
社内アプリTUNAGは、そのような施策を打つのに必要な機能が揃えられています。人手不足を解消し、より理想的な店舗・会社運営をしていくために、ぜひ導入を検討してみてください。
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