ボトムアップとは、現場の従業員から意見やアイデアを集め、それをもとに上層部が意思決定する方法です。現場の課題を経営に反映しやすく、従業員が主体的に仕事へ関わるきっかけにもなります。
一方、意思決定に時間がかかりやすいため、すべての場面をボトムアップで進めればよいわけではありません。上層部が方針を決めるトップダウンとの違いを理解し、状況に応じて使い分けることが大切です。
本記事では、ボトムアップの意味やトップダウンとの違い、それぞれのメリット・デメリット、企業事例や導入時の注意点を解説します。
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ボトムアップを理解するには、意思決定の流れだけでなく、組織のあり方もあわせて押さえることが大切です。ここでは、基本的な意味と代表的な2つの類型を解説します。
ボトムアップとは、現場の従業員から意見やアイデアを集め、それをもとに上層部が意思決定する方法です。
従業員が意見やアイデアを提案し、上層部がそれを採用するかどうかを決めます。
現場のリアルな声を聞くことで、商品やサービスの質を向上させやすくなるのが特徴です。また、多様な人から意見が出るため、そこから新たなアイデアが生まれやすくなります。ただし、意思決定に時間がかかるなどのデメリットもあるため、使い方には注意すべきでしょう。
ボトムアップ組織には、従業員と管理職の役割や権限の持ち方によって、主に次の2つの類型があります。
多元型組織とは、従業員の働きやすさを重視したボトムアップ経営のことです。
企業経営では利益や売上が重視されますが、そこで働く従業員が屋台骨となっています。
現場からの意見を吸い上げ、それを尊重することが多元型組織の特徴です。また、管理職は従業員が主体的に働けるように支援する役割を担っています。
自主経営組織とは、従業員一人ひとりが権限を持ち、自分たちで判断しながら仕事を進める組織です。
多元型組織では管理職からの指示で動きますが、自主経営組織では一人ひとりが対等に権限を保有しています。
よりフラットな集団組織となるため、チーム単位で意思決定が行われるのが特徴です。管理された組織とは真逆の経営とも言え、個人の主体性が高まりやすいでしょう。
▼参照元
ボトムアップとトップダウンの大きな違いは、意思決定の起点です。ボトムアップは現場から上層部へ意見を上げるのに対し、トップダウンは上層部が決めた方針を現場へ伝えます。
主な違いを整理すると、次の通りです。
比較項目 | ボトムアップ | トップダウン |
|---|---|---|
意思決定の起点 | 現場の意見や提案 | 経営者・上層部の判断 |
意見の流れ | 現場から上層部へ | 上層部から現場へ |
意思決定の速さ | 時間がかかりやすい | 素早く決めやすい |
現場の意見 | 反映されやすい | 反映されにくい場合がある |
従業員の主体性 | 育ちやすい | 指示待ちになりやすい場合がある |
どちらが優れているというものではありません。現場の知見を生かしたい場合はボトムアップ、素早く方向性を決める必要がある場合はトップダウンなど、状況によって適した方法は変わります。
また、ボトムアップを進めるには、現場から意見を出しやすくする仕組みも必要です。拠点や部署をまたいで意見や情報を共有したい場合は、社内SNSを活用する方法もあります。詳しくは、こちらの記事で解説しています。
ボトムアップの主なメリット・デメリットは、以下の4つです。
ボトムアップでは、日々の業務を担う従業員の声を経営判断に生かしやすくなります。
よりよい商品やサービスを生み出すためには、現場からの意見が重要です。ボトムアップは現場からの声を重視する手法であるため、現場で起きている課題や状況を把握しやすくなります。
組織全体の課題として共有されれば、必要な対応を検討しやすくなるでしょう。また、わずかな変化にも気づきやすく、深刻なトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
自分の意見が経営や仕事の進め方に反映されることで、従業員は自分で考えて行動しやすくなります。
組織全体を支えているのは、現場で働く従業員です。ボトムアップにより意見を吸い上げることは、従業員が主体性を持って働きやすい環境づくりにも適しています。
一人ひとりの仕事に対するモチベーションが上がれば、組織全体も活性化されるでしょう。また、自分の意見やアイデアを提案しやすい企業風土は、離職率の低下も期待できます。
従業員同士が協力して取り組む機会を増やしたい場合は、チームビルディングを取り入れるのも一つの方法です。
チームビルディングに活用できるゲームや実施方法はこちらの記事で紹介しています。
ボトムアップでは、現場から集めた意見を整理して判断するため、結論が出るまでに時間がかかる場合があります。
ボトムアップ型の経営では、現場から吸い上げた意見を上層部が精査し、それらを採用するかどうかを決定します。さまざまなアイデアが生まれる一方で、意思決定に時間がかかりやすいです。
企業経営ではスピード感が求められることも少なくありません。適切なタイミングを逃せば、競合他社に後れを取るなど、ビジネスの機会損失につながる可能性もあります。
現場の意見は日々の業務に近いからこそ、全社的な視点での大きな変革にはつながりにくい場合があります。
現場からの意見は組織全体を俯瞰したものではなく、どうしても「自分視点」や「自部署視点」に偏りがちです。そのため、全社レベルの意思決定や大規模な変革には向かないケースもあります。
また、すべての従業員が現状からの変化を望んでいるわけではありません。ボトムアップ型の経営を進めるには、従業員が自ら考え、判断できる環境を整えることも必要です。
▼参照元
トップダウンの主なメリット・デメリットは、以下の4つです。
トップダウンでは、判断する人が限られているため、意思決定を素早く進めやすくなります。
現場からの意見を上層部で精査するボトムアップとは違い、トップダウンは上層部が少数で意思決定をします。
市場の変化への対応や緊急時など、短期間で方向性を決める必要がある場面では、トップダウンが適しているでしょう。
経営者や上層部が方向性を決めるため、組織として何を優先するのかをそろえやすい点もトップダウンのメリットです。
トップダウン型の経営では、経営者一人、もしくは上層部のみで意思決定をします。さまざまな意見によって方針がぶれにくく、組織全体へ同じ方向性を示しやすくなります。
従業員も判断基準を共有しやすくなるため、現場の混乱を抑えながら行動をそろえられるでしょう。
上層部からの指示だけで仕事を進める状態が続くと、従業員が自分で考えて判断する機会が減ってしまいます。
トップダウン型の組織では、上層部が下した決定事項が現場へと降りていきます。従業員が指示された内容だけをこなす状態になると、主体性のある人材が育ちにくくなるでしょう。
上司からの指示がなければ動けない「指示待ち」の従業員が増える可能性もあります。
トップダウンでは情報が上層部から現場へ流れやすい一方、現場から意見を拾う仕組みがなければ、実際の課題を把握しにくくなります。
組織を支えているのは、日々現場で働く従業員です。経営だけでは気づきにくい業務上の課題や顧客の変化も少なくありません。
現場の意見が経営に届かない状態が続けば、従業員の不満が蓄積する可能性もあります。そのため、トップダウンを採用する場合でも、現場から声を集める仕組みを設けることが大切です。
▼参照元
ボトムアップの取り入れ方は企業によって異なります。現場から意見を集める仕組みや、従業員が主体的に行動できる環境づくりなど、各社が自社に合った方法を採用しています。
ここでは、次の5社の事例を紹介します。
DeNAでは、従業員一人ひとりの自主性を重視し、挑戦を後押しする組織づくりを行っています。
さまざまな事業を次々と展開するDeNAですが、常に挑戦し続ける企業風土です。組織も典型的な「ピラミッド型」ではなく「球体型」と、一人ひとりの自主性を重んじています。
従業員のチャレンジを推奨しており、自発的なキャリア形成を促すのも特徴の一つです。また、アイデアコンペ開催などボトムアップにより数々の事業が生まれています。
▼参照元
Googleでは、従業員が自分で課題を見つけ、主体的に取り組みやすい環境づくりが行われています。
Googleでは、20%ルール(業務時間の20%を各々がやりたいことに割く)など、社員の自主性を推奨する企業風土です。管理職が多くの権限を持たない多元型組織と言えるでしょう。
そのため、一人ひとりが意味ある課題に対して意欲を感じながら働けます。従業員は上層部からの指示を待つのではなく、自律的に目標を追求しながら行動していることが特徴です。
▼参照元
株式会社BPでは、現場主導のコミュニケーション施策を通じて、従業員が主体的に関われる企業文化づくりを進めました。
株式会社BPは、ウェディング事業を中心に、ホテルやレストランの運営、映像、不動産、保険など、多岐にわたるサービスを展開しています。同社では、従業員エンゲージメントの向上を目的にTUNAG(ツナグ)を導入し、ボトムアップ型の企業文化を確立することで、アルバイトの定着率を30%向上させることに成功しました。
導入前、退職者へのヒアリングでは「職場に連帯感を感じられない」という声が多く、社内コミュニケーションの不足が課題として浮き彫りになっていました。そこで、TUNAGを活用し、現場主導のコミュニケーション施策と評価制度を整備しました。
具体的には、従業員同士の感謝の気持ちを可視化する「サンクスカード」を導入し、表彰制度と連携させることで、前向きな行動が正しく評価される仕組みを構築しました。
TUNAGを活用したボトムアップの仕組みにより、現場の主体性が高まり、組織全体のエンゲージメント向上とサービス品質の向上につながっています。
▼株式会社BPの取り組み事例はこちら
多慶屋では、情報共有の仕組みを整えることで、従業員が自ら情報を発信しやすい環境をつくっています。
多慶屋は、総合ディスカウントストアを運営する企業です。小売業ならではの情報共有不足が課題に直面していました。シフト制で勤務していることによるコミュニケーション不足が特に問題となっていました。
この課題を解決するために、ツールとしての自由度が高い TUNAG(ツナグ) を導入。従業員一人ひとりもコミュニケーション不足を問題視していたことから、導入後は活性化していきます。
社員が自分で商品を試した写真や動画を TUNAG(ツナグ) に投稿するなど、社内の情報が可視化されました。
▼株式会社多慶屋の取り組み事例はこちら
カフェ・カンパニーでは、店舗を越えた情報共有を増やし、従業員から新しい交流や取り組みが生まれる環境をつくっています。
国内外に「WIRED CAFE」などを展開するカフェ・カンパニー株式会社。業務ではチャットツールを活用しているものの、他店舗間との連携が取れていないなどの課題を抱えていました。
社内コミュニケーションの活性化を目的に TUNAG(ツナグ) を導入。写真投稿といった気軽なものから、業務日報などの欠かせない情報共有まで、プラットフォーム上でやり取りしています。
また、TUNAG(ツナグ) の投稿からリアルなコミュニケーションにつながっているのも特徴です。実際に「会社のなかでスイーツ部を作りたい」と TUNAG(ツナグ) で募集が行われました。
>>カフェ・カンパニー株式会社の取り組みをより詳しく見てみる
◾️関連するお役立ち資料
『【情報共有ツール一元化編】導入事例集 | TUNAG(ツナグ)』
ボトムアップを機能させるには、現場から意見を集めるだけでなく、意見を出しやすく、経営側が受け止められる仕組みを整える必要があります。
導入する際は、次の3点を押さえましょう。
ボトムアップを進めるには、従業員が上司の反応を過度に気にせず、率直に意見を言える環境が必要です。
まず、常日頃から現場が声を上げやすい雰囲気にすることが大切です。上司に気を遣わないといけない環境では、周囲に合わせた意見しか生まれません。
ボトムアップ型の経営を機能させるためには、率直な意見を吸い上げる必要があります。どのような意見でも受け入れられるような環境を整えましょう。
従業員から意見を集めるだけで終わらせず、どのように検討したのかを示すことも大切です。
ボトムアップを採用するからには、現場からの意見やアイデアをもとに経営判断をする必要があります。もちろん、すべての意見を取り入れることはできません。
しかし、意見を出しても何一つ反映されていなければ、現場から不満の声が上がり、モチベーションも低下するでしょう。現場からの意見はできるだけ尊重する姿勢が大切です。
従業員数や拠点が多い企業では、ITツールを活用すると、現場の意見を集めたり共有したりする時間を短縮しやすくなります。
ボトムアップ型の経営では意思決定までに時間がかかるのがデメリットです。これを解決するために、チャット機能などが搭載されたITツールを活用する方法があります。
全国の従業員から意見を集約しようと思っても、それだけで時間がかかります。ITツールを活用すれば、現場の課題や状況をリアルタイムで共有しやすくなるでしょう。
ボトムアップを取り入れることで、現場の声を経営に届けやすくなり、組織課題の発見やサービス改善にも生かしやすくなります。
一方で、現場から多くの意見を集めるため、意思決定に時間がかかる場合があります。そのため、すべての判断をボトムアップで進めるのではなく、意思決定の内容や緊急度に応じて進め方を変えることも必要です。
大切なのは、従業員が意見を出しやすく、経営側もその声を受け取れる環境をつくることです。ITツールなども活用しながら、現場の意見が経営に届き、組織の改善に生かされる仕組みを整えていきましょう。