1on1ミーティングの効果を最大化!話題に困らないテーマと進め方
現在、多くの会社で実践されている1on1ミーティングは、上司と部下が相互に理解を深め、関係性を向上させるための重要なプロセスです。しかし、上司として話題に困ることや、ミーティングの進め方に悩む場合もあるのではないでしょうか。本記事では、話題に困らないテーマと、ミーティングの効果を最大化する方法を解説します。
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1on1ミーティングの目的と意義
1on1ミーティングは、単なる業務報告の場ではありません。上司と部下が対話を通じて信頼関係を構築し、個人と組織の成長を促す重要な場です。1on1ミーティングを効果的に活用するためには、その基本概念と目的を正しく理解することが大切です。
1on1ミーティングとは何か
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的に行う対話形式のミーティングを指します。その特徴は、部下が主役となり、業務上の課題やキャリアに関する目標を共有しながら解決策を模索することにあります。
例えば、Googleなどの企業では、1on1ミーティングは部下が抱える日々の課題を洗い出し、それを上司と共に解決することで、働きやすい環境を整備することを重視しています。
このような取り組みによって、部下は自分の考えを自信を持って発信できるようになり、上司との信頼関係も深まります。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングの目的は、部下の成長を促し、信頼関係を強化しながら、最終的にチーム全体の目標達成に寄与することです。
上司と部下が定期的に対話を持つことで、部下のスキルアップやキャリア形成を支援し、組織としての一体感を醸成します。
例えば、新入社員に対しては、業務への適応状況を確認しつつ、日々の努力や課題をサポートする場として機能します。
一方、経験豊富な社員にはキャリア目標の再確認や、新たな挑戦への意欲を引き出すことを目的とします。
部下が自身の役割を再認識し、上司と共に課題を乗り越えていく経験が、チーム全体の成功につながるのです。
1on1ミーティングで話題に困るのはなぜ?
1on1ミーティングで話題に困る背景には、明確な目的設定や進行方法の欠如が挙げられます。
多くの場合、ミーティングの目的が曖昧なまま進められるため、上司と部下のどちらも「何を話せば良いのか分からない」という状況に陥ります。また、定例化した1on1が形式的になり、具体的な成果や気づきを得られないまま終わってしまうことも一因です。
さらに、日常的なコミュニケーション不足が、適切な話題を選ぶ妨げになっているケースも見られます。
たとえば、上司が部下の仕事内容や目標に十分に関心を持たない場合、1on1は単なる業務報告に終始してしまいます。このような状況を解消するためには、事前に話すべきテーマをリストアップしたり、部下の現状に寄り添う質問を意識的に用意することが重要です。
1on1ミーティングで話すべきテーマ
1on1ミーティングは、部下が抱える課題や目標を深掘りし、組織全体の成果を高める場です。そのためには、具体的で意義のあるテーマを設定することが重要になります。以下では、1on1ミーティングで効果的に取り上げるべきテーマを4つ紹介します。これらのテーマを軸にすることで、実りある対話を実現できるでしょう。
業務上の課題と成功体験
業務上の課題と成功体験は、1on1ミーティングで最も重要なテーマの一つです。部下が現在直面している問題や障害を共有することで、上司は具体的なアドバイスやリソースの提供ができます。
やり方が分からない場合はベテラン社員に指導を頼んでも良いですし、リソースが不足している場合は、手の空いている社員をヘルプに付けるという対応も可能です。対人関係で悩んでいるなら、配置やチーム編成で配慮が可能になるでしょう。
一方で、成功体験を振り返ることも大切です。部下のモチベーションを高め、次の挑戦への自信を養うきっかけとなります。特に重要なのは「再現性」です。成功体験をたまたまで終わらせるのではなく、なぜ成功したかを突き詰めていくことで、同じ状況にあたっても問題なくこなすことができるようになります。
キャリアプランと目標設定
特に近年の新入社員は、企業内でどのようなスキルアップやキャリアが用意されているかを重視する傾向があります。
その意味で、キャリアプランや目標設定について話し合うことは、部下が自身の未来を見据えた行動を取る上で不可欠です。
具体的なキャリアゴールを共有することで、上司は適切なスキルアップやキャリアアップのための支援ができます。
このとき、一方的に会社側からの要望を伝えるのではなく、部下自身の希望を丁寧に聞き取りながら、会社の目標と調整することが大切です。本人のスキル適性や資質、企業が求めていることを踏まえて調整し、適切なキャリアと目標を設置し、一緒に取り組んでいきましょう。
モチベーションの維持と向上
モチベーションの維持と向上は、部下が日々の業務に積極的に取り組むための重要な要素です。特に、業務がマンネリ化している場合や課題が多いと感じているときには、モチベーションを再燃させる対話が必要になります。
そのためには、モチベーションを維持する上でボトルネックになっている部分を洗い出しましょう。人間関係かもしれませんし、不得意な仕事を多く回されているせいかもしれません。目標を失っていることも考えられます。
そうしたボトルネック部分をできるだけ取り払うことで、モチベーションが向上し、結果として生産性の向上にも期待ができます。
プライベートの状況と健康管理
プライベートに踏み込みすぎるのは近年ハラスメントとして捉えられる可能性があるので注意が必要ですが、仕事に影響の出る部分に対しては最低限ヒアリングする必要があります。
例えば引っ越しによって住所が変わったとすれば、通勤に支障が出ているかもしれませんし、家庭の事情でテレワークを要望されることがあるかもしれません。プライベートに過度に踏み込まず、業務に影響を与える部分について最低限のヒアリングを行いましょう。
加えて健康管理のヒアリングも重要です。健康そのものであれば問題はないのですが、入院が必要な可能性や休職する可能性についてはあらかじめ知っておく必要があります。これらの話題を話せるような最低限の信頼関係を普段の業務で構築しておくことも上司の仕事です。
効果的な1on1ミーティングの進め方
実際に1on1ミーティングはどのように進めれば良いのでしょうか。部下が気軽に話せるための進行の手順について以下で解説します。
事前準備とアジェンダ設定
ミーティングが始まる前に、事前準備をしておきましょう。ミーティングに使う会議室の予約やスケジュール調整は必須です。スケジュールについてはあらかじめ伝えておきましょう。仕事に差し支えないように調整することはもちろんですが、会議室を予約し、時間を割くという姿勢が重要性を部下に伝えることになります。
またあらかじめ何について話し合うのかも面談対象者に伝えておきましょう。事前に伝えておくことで、ミーティング本番で上司に伝えたいことが整理され、より深いところまでお互いに話をすることができるようになります。
アイスブレイクから本題へ
ミーティングでは、いきなり本題に入るのではなくまずは緊張をほぐすところから始めましょう。軽い雑談や別の話題から入る「アイスブレイク」のテクニックが有効です。アイスブレイクの時間が長くなりすぎないよう注意が必要です。
ある程度緊張がほぐれてきたことを感じたら、本題に入りましょう。この時、単なる業務報告にならないように部下を主導で進めていくことが重要です。あらかじめ共有していたアジェンダに対し相手から意見を聞き、必要があれば意見やアドバイスを提供しましょう。
基本的に上司側は聞き役に徹することが重要です。
フィードバックとフォローアップ
相手の意見を一通り聞き終えた後、仕事の成果や姿勢に対してフィードバックを行いましょう。フィードバックについては、どのような基準で評価を下しているか、また相手に何を期待しているかといった期待値と目標、実績をすり合わせて話すことが重要です。
必要であれば、適切なフォローアップもあわせて行います。
またこのとき、部下に対して一方的にフィードバックをするのではなく、上司側も部下からフィードバックをもらうことが重要です。フィードバックは相互に行いましょう。
実施後の振り返りを徹底する
1on1の質を高めるには、実施後の振り返りと改善が不可欠です。毎回の1on1後に簡単な振り返りノートをつけ、次回への改善点を書き留めるといった方法がおすすめです。
振り返りのポイントは、対話の内容や部下の反応、時間配分の適切さなどです。特に、部下の発言や表情から読み取れるサインを見逃さないよう注意を払います。
また、逆に部下から上司に対するフィードバックを求めることも効果的です。1on1の進め方や頻度について、率直な意見を聞くことで、より良い対話の場を作ることができます。
1on1で従業員の本音を引き出すポイント
1on1を実施しても、なかなか本音を話してくれない部下もいるのではないでしょうか。
そのような場合、適切に相手からの本音を聞き出すためのポイントを解説します。
上司から自己開示を行う
部下に本音を話してもらうには、まず上司自身が自己開示を行うことが重要です。上司が自分の経験や課題、成功例や失敗例を共有することで、部下は「この人に心を開いても大丈夫だ」と感じ、話しやすい環境が生まれます。
特に、業務に関連する話題やプライベートに少し踏み込んだエピソードを取り入れることで、信頼感を高めることができます。
対話でヒントを与える
対話の中でヒントを与えることで、部下の考えを引き出す方法も効果的です。例えば、「最近、仕事をしていてうれしかったことは?」といった具体的な質問を投げかけることで、話題を引き出しやすくなります。
上記の質問であれば当然部下が何に対してやりがいを感じるのかを知ることができます。部下自身も自身の達成感やモチベーションの要因を知るきっかけになるでしょう。
重要なのは、相手を否定せず、受容的な態度を保つことです。対話を通じて部下自身が気づきを得られるような質問やアプローチを心掛けましょう。
上司、部下共に事前準備を行う
1on1を効果的にするためには、上司と部下の双方が事前に準備を行うことが不可欠です。上司は、部下の業務内容や最近の成果、課題を把握し、それに基づいた具体的な話題を用意します。
一方で、部下には話したいことや相談したい内容を事前に整理してもらうとよいでしょう。
準備項目は頭の中だけで管理するのではなく、チェックリストとして整理することで、抜け漏れを防ぎ、質の高い対話が実現できます。
ただし、準備に必要以上に時間をかけすぎると、チェックリストを埋めることに終始してしまい、かえって本質的な対話が疎かになる可能性があります。重要なのは、対話の質を高めるための最低限の準備を効率的に行うことです。
効果的な1on1を行うために準備項目を整理したいという方は、弊社で用意している「1on1実施準備チェックリスト」も活用してみてください。
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1on1の準備に必要なチェックリストと、従業員エンゲージメントを向上させる100の質問集です。
話した内容を共有して認識を合わせる
1on1で話し合った内容を明確に記録し、後で共有することも重要です。双方が同じ認識を持つことができ、次回の1on1につなげる具体的な行動計画を立てやすくなります。
記録は簡潔で構いませんが、主な議論のポイントや決定事項、今後の課題や目標を含めるようにしましょう。特に数値や目標に対しては明確に記しておくことが重要です。ここの認識がずれていると、信頼関係を損なう要因になりかねません。
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1on1ミーティングで避けるべき行動
1on1ミーティングは信頼関係を築く絶好の機会ですが、いくつか避けるべき行動があります。以下の行動はできるだけ避けて、効果的な1on1ミーティングの実施を目指しましょう。
一方的な指示や説教
1on1は双方向のコミュニケーションを目的としています。一方的に指示を出したり、説教する場にしてしまうと、部下は「自分の意見を聞いてもらえない」と感じ、次第にミーティングに対する意欲を失います。
特に、指示だけに終始する場合、1on1の意義が薄れ、上司と部下の信頼関係を損なう可能性があります。
部下の話に耳を傾け、双方向のやり取りを心掛けましょう。課題や改善点についても、部下の意見を取り入れながら建設的な解決策を見出すことが重要です。
プライバシーへの過度な干渉
1on1で個人的な話題に触れることは、信頼関係を深める上で役立ちます。しかし、プライバシーに過度に干渉することは逆効果です。部下が話したくない内容について無理に聞き出そうとすると、心理的な壁を作る原因になります。
特に、ジェネレーションギャップが問題に上がることがしばしばあります。近年の若手社員は、恋愛などのプライベートに踏み込まれることを嫌がる傾向にあります。ハラスメントとして訴えられないためにも、一定の距離感は確保しましょう。
部下が安心して話せる環境を整えるために、相手の反応を尊重し、適切な距離感を保つことが重要です。個人的な話題に踏み込む場合は、部下が自発的に話す意思を示すまで待ちましょう。
ネガティブなフィードバックのみ
フィードバックは重要な要素ですが、ネガティブな内容ばかりに焦点を当てると、部下のモチベーションが低下します。ポジティブな面や成果を適切に評価し、それをフィードバックに組み込むことで、部下は前向きに改善へ取り組む意欲を持つようになります。
具体的には、「ここは改善が必要だけど、ここはすごくよくできている」という形で、改善点と成功体験をバランスよく伝えることを心掛けましょう。その結果、部下は上司の話に耳を傾け、自分の成長を実感しやすくなります。
1on1ミーティングの成功のコツは相互理解
1on1ミーティングの成功には、上司と部下の相互理解が不可欠です。上司は部下の話に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを心掛けることで、信頼関係を深めることができます。
また、事前準備を徹底し、ポジティブなフィードバックと適切な距離感を維持することで、部下のモチベーションを高めることが可能です。
これらのポイントを実践することで、1on1は単なる会話の場を超え、業務改善やチームの成長につながる貴重な機会となるでしょう。