中堅社員が会社を辞めていく理由とは?離職を防ぐポイントや定着率向上の事例も解説

中堅社員が辞めていく、経験豊富で優秀な社員が次々に離職していく、このような悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。入社3年目〜10年目程度の中堅社員の離職が続くと事業運営や経営へも影響が出るため、早めに対策を打つことが大切です。

今回は中堅社員の離職に悩む企業の経営陣や人事担当者に向けて、中堅社員が辞めていく理由や中堅社員の離職を防ぐためのポイント、従業員の定着率向上を実現した事例を紹介します。本記事を読めば、中堅社員の離職要因を網羅的に知り、対策に乗り出す準備が整うでしょう。

中堅社員の離職による会社への影響とは

中堅社員が辞めると、その影響は会社全体に広がります。中堅社員が去ると他に不満を抱えていた社員も辞めることを選び、退職の連鎖を生むことがあります。さらには、退職者が増えると仕事が滞るため、残った社員はその分仕事が増えます。その結果、社員のストレスが増しモチベーションが下がり、会社を辞める社員がますます増えるという負の連鎖が起こるのです。

さらに離職率の悪化は、会社の評判を落として入社を希望する社員の数を減らします。入社を希望する社員の母数が少なくなると、優秀な人材を採用することも難しくなるため、将来的な企業経営にも悪影響が出ます。

中堅社員が会社を辞めていく理由

次に、中堅社員が会社を辞めていってしまう理由を紹介します。

上司と部下の板挟みにより、ストレスが溜まってしまった

中堅社員は上司の期待とプレッシャーを受けながらも、同時に部下を指導してサポートをする立場です。上司からは結果を出すことを求められ、部下からは支援と公平な扱いを求められるという二重のプレッシャーにさらされています。この立場では職場の人間関係を上手に扱うことが必要で、それがストレスの原因になります。

性格や感情が異なる上司と部下の要求を満たすのは難しく、このジレンマが積み重なると離職を選ぶ中堅社員もいます。

会社の将来性に不安を感じ、モチベーションが低下した

中堅社員は会社の成功を支える中核として役割を果たしてきたため、会社の内情や外情を深く理解しています。市場の動向にともなう自社の業績変動や経営方針の変更などに敏感で、自社の将来性を判断する基準は一般的な従業員よりも厳しいです。

そのため会社に将来性を感じなくなると、キャリアの安定や自分の成長が止まることを恐れて離職を選びます。例えば、市場の大きな変化に対応できず長期間売上減少や利益低下が続いている状況は、企業の将来性を見直すきっかけになります。

中堅社員は将来に希望を持てるビジョンを持つ職場や継続的な成長をする会社があれば、よりよい環境を求めて転職する決断をするでしょう。

ライフスタイルの変化により、仕事環境が合わなくなった

結婚や子育てなどライフイベントを迎えた社員はライフスタイルが変化しやすく、フレキシブルな勤務体系を望む傾向にあります。

しかし、残業や休日出勤、長時間労働が常態化している職場は私生活への影響が大きくプライベートとのバランスをとるのが難しいです。このような職場は、柔軟な仕事環境へのニーズに応えることが難しく、社員のストレスや不満が高まります。

成果に対する評価や給与に不満を感じるようになった

職場のキャリアステップや評価形態などを熟知した中堅社員は、成果に対して自分の仕事が適切に評価されていなかったり、数値以外の動きに見合う給与がもらえていなかったりすると不満を感じます。特に、評価基準が曖昧で個人の感情や偏見が含まれているとき、業務量や成果と給与のバランスが取れておらず自分の労働が報われていないときなどに離職を検討します。

例えば、企業が人材確保のために新卒社員の給与をアップしたとしましょう。一方で、成果を出している中堅社員への待遇は変わらず新卒社員と同程度の水準であれば、会社の方針や施策に疑問や不満を感じて離職を考えるでしょう。

評価制度や給与体系が不透明であったり公正でないと感じたりすると、中堅社員は企業に不信感を抱きます。

中堅社員の離職を防ぐためのポイント

次に、中堅社員の離職を防ぐためのポイントを紹介します。

離職の兆候を検知する仕組みを作る

離職の兆候を察知するための仕組みを作るため、社内のコミュニケーションを改善すると良いでしょう。オンラインでは、情報共有ツールや社内SNSで社員の仕事内容や考えを共有できる場所を設けます。日報等に記載する内容から定量的な変化を読み取ったり、ツールへのログイン率や活用度合いの定量的なデータから心身の変化を捉えることができます。パルスサーベイやコンディションチェックなどで、小さな変化を検知する仕組みを作るのも一つの手です。

また、オフラインでは、社内イベントや定期的なチームミーティングなどで直接顔を合わせる機会を設けます。

コミュニケーションを活性化する施策を実施する中で離職の予兆に気づいたら、1on1などを実施してコンディション状態やその理由を把握しましょう。

理由がわかれば、以下のような対策を打ちましょう。

離職の理由

対策

上司と部下の板挟みでのストレス

・上司と部下の期待値のズレをなくすため役割と責任を明示

・カウンセリングやメンタルヘルス研修の提供

会社の将来性への不安

・会社のビジョンや戦略、業績の定期的な共有

・経営層と直接話す機会を提供

・明確なキャリアパスの提示

ライフスタイルの変化

・フレックスタイム、リモートワーク、短時間勤務などの柔軟な勤務体系の提供

・育児や介護支援制度の充実

成果に対する評価や給与への不満

・成果に基づく公正な評価基準の設置

・業界標準や競合他社との比較に基づいた給与体系の見直し

このような施策を行ううえで、管理職は組織全体が相談しやすいフラットな雰囲気作りに注力することが重要です。実際に心身の変化に気づいて1on1などを実施したとしても、本音を口に出してくれなくては施策の打ちようがありません。

退職連鎖が発生しないようフォロー施策を行う

中堅社員の連鎖退職を発生させないためには、長期的に働きたいと思ってもらえる職場作りが欠かせません。

働きやすい環境を提供し、企業内での成長と成功を実感できる次のフォロー施策を取り入れていきましょう。

  • 社内SNSや情報共有ツールで社員同士のつながりを強化し、エンゲージメントを向上させる
  • 研修や資格取得支援を行い、社員が長期的に技術や知識を磨ける機会を作る
  • 業務量を適正に管理し必要に応じて人員を増やすなどして、過重労働を防ぐ
  • 長時間労働を見直して、福利厚生の充実や有給休暇の取得を奨励することで、社員がリフレッシュできる環境を作る

社員が心地よく長く続けられるように、企業は長期にわたり適切なフォローを行うことで退職連鎖を防ぎましょう。

従業員の定着率向上を実現した事例

最後に、組織改善から業務DXまでを実現するTUNAG(ツナグ)を活用し、従業員の定着率向上を実現した事例を紹介します。

コミュニケーション課題を解決し、離職者8割減を実現


株式会社夢現は、京都府内で整骨院・鍼灸院を展開する企業です。同社は事業の急成長にともない社員同士のコミュニケーションが希薄になり、離職率が高くなったことに課題を抱えていたため、TUNAGを導入しました。

活用方法としては、社長が積極的にメッセージを発信したり社員の投稿にコメントすることで社内コミュニケーションを促進します。また、社員プロフィールの似顔絵登録を促したり、職場の雰囲気を理解してもらうためのコンテンツを発信することで、社員同士のつながりや職場の理解を促進しました。

導入後は、社員の離職率は導入前と比べて80%減少し、業績向上にも寄与しました。管理職はチームとのコミュニケーションに積極的になり、職場はより前向きで活気のある状態に生まれ変わったといいます。

事例記事はこちら>>
『離職者8割減少』につながったコミュニケーション施策とは。「現場のためになる事をとにかく実行する」

経営と現場の距離を縮め、離職率10%未満を実現


トランスコムDS株式会社は、個人宅配サービスを展開する企業です。物流・運送業界は、業界全体で人手不足が進んでいて、同社も長年社員の離職率の高さに課題を抱えていました。そこで、社員のエンゲージメントを向上するためTUNAGを導入しました。

活用方法としては、トップから全従業員に向けてメッセージを発信して、経営と現場の距離をダイレクトに縮めました。今まではトップから全従業員に向けて発信できるツールがなく、現場で働く人すべてに声が届けることが難しかったそうで、大きな変化を感じたといいます。

導入後は、離職率が10%を下回る成果を実現しました。経営陣と現場の従業員とのギャップを埋め、感謝の気持ちと充実感を生み出すことにも役立ち、従業員の満足度を向上させています。

事例記事はこちら>>
運送業界の当たり前を変え、『離職率10%未満』を実現した取り組みとは - 「経営と現場の距離が縮まった」

称賛・承認文化の醸成で、アルバイト定着率が30%改善


株式会社BPは、ウェディング事業を中心に幅広いサービスを展開する企業です。同社は、業務を進めることに手一杯で社員の頑張りを認める行動ができていませんでした。そこで、企業で頑張りを褒めて承認する文化を作るためTUNAGを導入しました。

活用方法としては、従業員同士で感謝したことを伝える「サンクスカード」を運用しています。また、サンクスカードと紐づけた表彰制度を実施しているのも特徴です。送った数・もらった数を評価対象として3ヶ月に一度表彰式を行っています。

導入後は、アルバイトの定着率が導入前と比較して30%ほど改善しました。「サンクスカードをもらったことで、心が折れかけたときも勇気づけられた」という声もあり、従業員のエンゲージメントに大きく貢献しています。

事例記事はこちら>>
アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで

まとめ | 中堅社員の定着率を向上させるためには

今回は、中堅社員が辞めていく理由や離職を防ぐためのポイント、社員の定着に成功した企業事例を紹介しました。

中堅社員が企業を辞める理由は、人間関係のストレスや将来性への不安、ライフスタイルの変化など様々です。

企業はコミュニケーションを取る機会を日常的に設けることで離職の予兆をいち早く察知し、適切な対策を行っていきましょう。

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