社内SNSとは?おすすめツール5選、導入時のよくある失敗とその対策を徹底解説

社内SNSはさまざまな組織課題の解決に役立つ汎用性の高いツールですが、導入してみたもののうまく活用できずに、コストばかりかかってしまっているケースが少なくありません。

この記事では、社内SNS導入のメリットや注意点、よくある導入失敗のパターンと対策を解説します。最後には、社内SNSのツールも紹介していますので、社内SNSの導入を検討している担当者の方の少しでもお役に立てれば幸いです。

社内SNSとは

社内SNSとは、企業利用向けに特化したコミュニケーションツールのこと。社内コミュニケーションの活性化、従業員のエンゲージメント向上などを目的として、様々な企業で活用されています。

社内の主な機能

  • 個人チャット機能
  • グループチャット機能
  • ファイルのアップロード、共有(画像やPDFなど)
  • タイムライン投稿

社内SNSは、FacebookやTwitterなどのパブリックなSNSとは異なり、社内での運用を想定して設計されたクローズドSNSの一種です。情報セキュリティを確保しつつ、従業員同士のコミュニケーションや、会社や、部署の近況報告に利用されたりします。

社内SNSの普及率

総務省の2018年のビジネスICTツールの利用状況に関するアンケート調査によると、国内の714名の回答者(学生、主婦、無職以外の人)のうち、約23.5%が社内SNSを利用していると答えました。

アメリカの利用率は約64.1%、イギリスは約53.6%、ドイツは約45.7%であり、日本は社内SNSの普及が比較的進んでいないことが分かります。

社内SNS導入のメリット

社内SNSには以下のような機能が備わっており、これらの機能をうまく活用することで組織課題解決につながるさまざまなメリットを引き出すことができます。

社内SNS導入のメリット

  • 個人(1対1)チャットやグループチャット
  • お知らせ・社内ニュース・従業員プロフィールなどの投稿、各種資料のアップロード
  • 公開・アクセス範囲の管理
  • タイムライン表示(更新状況の自動一覧表示)、閲覧を促す通知、既読状況一覧化
  • 投稿へのコメント・リアクション(いいね!)、従業員間のサンクスメッセージ送信
  • 社内ポイント運用

ここでは、社内SNS導入で期待できる6つのメリットを解説します。

①正確かつ迅速な情報共有が実現する

社内SNSでは、スマートフォンなどの情報端末があればいつ・どこからでも手軽に情報の作成・投稿・閲覧が可能で、タイムライン表示や通知の機能により見落としや対応漏れを防ぐことができます。

メールのように件名や署名の設定、畏まった定型文章の執筆などが不要になり、コミュニケーションのスピードも高まるため、タイムリーな情報発信・共有が実現します。

また、社内SNSはスマホに対応しているツールもあり、社用PCを持たない従業員に対しても、正確かつ迅速に情報を届けることができるのもメリットと言えるでしょう。

②情報が蓄積され、簡単に見返すことができる

社内SNSを活用することで、投稿された情報やアップロードされた資料は社内SNS内に一元的に蓄積され、一覧化や検索の機能を用いて簡単に見返せます。

マニュアルや行動指針を保存しておくことで、新入社員が入った際にも、社内SNSに掲載されている情報をキャッチアップでき、早期オンボーディングの実現にもつながるでしょう。

③部署間のコミュニケーションが活発になる

社内SNSでは、部署・拠点の壁を超えた情報発信(社内ニュース・日報・従業員プロフィールなどの発信)が容易に行え、コメントやリアクション、サンクスカードなども気軽に送りあうことができます。

これにより、距離的な壁やセクショナリズム(縄張り意識・排他主義)が打破され、相互理解が促進されて、部署・拠点間のコミュニケーションが活発化します。

④経営層と従業員の距離が縮まり、理念やビジョンが浸透する

経営層がSNSを通して現場の声を拾い上げつつ、自らの考えを全社に向けて発信していくことで、経営層と従業員の距離が縮まり、理念やビジョン、新施策の社内浸透が容易になり、組織の一体感を強化することができます。

⑤情報が流れにくくなり、業務効率化につながる

メールや紙でのやり取りだと、業務指示の見逃しが発生したり、会社からの情報が流れるという課題が起こり得ます。

情報のタイムリーな共有と一元的蓄積、部署間コミュニケーションの円滑化により、無駄・重複・ロスが削減され、業務が効率化します。

⑥エンゲージメント向上につながる

部署間や経営層・従業員間のコミュニケーションが活発化することで、組織内に一体感やポジティブな雰囲気が醸成され、エンゲージメントの向上につながります。

社内SNS導入に当たって知っておくべき可能性

社内SNSは導入してもうまく活用されずに終わる恐れがあり、コミュニケーションの機会・密度が増すことで負の作用が生じることもあります。

使われずに終わる可能性がある

社内SNSの目的・用途が不明確であったり、SNSやスマートフォンに不慣れな従業員に対する配慮が欠けていたりすると、導入したSNSがほとんど使われずに終わり、コストだけ無駄にかかってしまう可能性があります。

コメントやリアクションが負担になる

SNSによりコミュニケーションの機会・密度が増し、返信・賞賛コメントの投稿を義務・重荷と感じたり、返信・反応がないことへのいらだち・不安が募ったり、反応の良し悪しが過度に気になったりして、疲れを感じてしまう人は少なくありません。

そうしたことが重なると大きなストレスとなり、エンゲージメント低下などの逆効果を生む恐れがあります。

プライベートとの境目が曖昧になる

SNSでは手軽にコミュニケーションが行えることから、公私混同のコミュニケーションによるプライバシー侵害や、私的なコミュニケーションへの流用が発生しやすい傾向があります。

また、業務外のプライベートな時間が社内SNSの閲覧・投稿・返信に奪われ、過労や違法なサービス残業につながる恐れもあります。

社内SNS導入後のよくある失敗と対策

社内SNSのデメリットが顕在化して導入が失敗に終わる主な原因と、それを防ぐための対策を解説します。

目的が曖昧なまま導入だけしてしまう

社内SNS導入の目的(それによって解決すべき組織課題)が曖昧なまま導入だけしてしまうと、現場では具体的にどう活用すればよいのかわからず、SNSの使用によってかえって業務に無駄や滞りが生じたりして、結局活用されずに終わってしまう恐れが高くなります。

導入前に現状分析を行い、社内SNS導入によって解決可能な課題を抽出して、社内SNSの活用法を具体的に検討しておくことが必要です。

投稿ルールが不明瞭で、無秩序化してしまう

投稿ルールが明瞭に設定されていなかったり、周知が不徹底であったりすると、導入目的にそぐわない発信(セクショナリズムを助長する発信や組織にネガティブな雰囲気を生む発信など)が行われたり、公私混同・私的流用がはびこったりして、社内SNSが無秩序化してしまいがちです。

導入前に、具体的な投稿ルールを含めた社内SNSガイドラインを策定し、導入前から導入後にかけてガイドラインの周知徹底を図る必要があります。

他のツールとの棲み分けができていない

コミュニケーション機能を含む他のツール(メール、チャットツール、グループウェアなど)を導入済みで、それに加えて社内SNSを導入する場合、どのツールをどの用途に用いるかという棲み分けが明確にできていないと、現場に無駄・重複・混乱が生じ、新参のツールは結局使われないまま終わってしまうということになりがちです。

導入の目的や利用ルールを明確化した上で、他のツールとの棲み分けや連携方法を十分に考慮して社内SNSを導入する必要があります。

社内SNSに訪れる導線が設計できていない

ツールを導入し、使用ルールを策定・周知しただけでは、ツールの利用は形式的なものにとどまり、なかなか浸透しません。従業員をツールの利用へと自然に促すような導線を設計しておく必要があります。言い換えれば、「ツール使わなければならない仕組み」や「使いたくなる仕組み」が必要です。

例えば以下のような仕組みが考えられます。

  • 業務日報の作成が日課となっている現場において、日報の作成・送信をメールから社内SNSに移行
  • 賞与・賞品と交換可能な社内ポイントの制度をSNS上で運用する(社内ポイントは業務目標達成や社内コンクール入賞などに対して付与され、従業員同士でピアボーナスとしてSNS上で贈りあうことができ、ポイントの交換申請もSNS上で行える)

5.一部の従業員しか利用されていない

社内SNSを頻繁に利用する従業員は一部に限られ、利用しない従業員(利用に興味がない従業員、様子見をしている従業員、情報サービス・機器が苦手なため利用を避けている従業員など)が多い状況では、組織課題の解決にはつながらず、セクショナリズムや公私混同を助長してしまう恐れがあります。

社内SNS導入に当たっては、導入目的・ルールの社内浸透や使い方の助言などを担当する専門チームを設け、利用者の範囲をできる限り広げていくことが重要です。また、従業員全員がまんべんなくSNSに参加することになるような仕組みを設けることも有用です。例えば、部署ごとに定期的にリレー形式でSNS投稿を行う(「投稿+次の投稿者の指名」を順々に行っていく)という仕組みが考えられます。

関連記事:社内SNSの成功事例5社と導入ポイント6選、失敗する4つの理由を解説 | 社内ポータル・SNSのTUNAG

社内SNSのツール比較5選

社内SNSを効果的に運用するためには、自社の組織課題に合わせて適切なツールを選択する必要があります。

ここでは、代表的な社内SNSツールを5点取りあげ、それぞれの特徴を紹介します。

1.TUNAG(ツナグ)

TUNAG(ツナグ)は株式会社スタメンが運営する社内SNSツールです。機能が豊富で、チャット、日報、プロフィール、タイムラインなどの基本的なコミュニケーション・情報共有機能に加え、エンゲージメント向上に直結する機能(サンクスカード、社内ポイント、社内アンケート)や、業務ワークフローを効率化する機能(申請・承認フローの作成・管理、スケジュール管理)、組織状態のリアルタイム分析機能などが搭載されています。カスタマイズ性も高く、企業規模・業種を問わず、組織課題に合わせた柔軟な運用設計・導入が可能です。

公式サイト:https://biz.tunag.jp

2.Beat Shuffle

Beat Shuffleは株式会社Beat Communicationが運営する社内SNSツールです。社内ニュース発信、社内コミュニティ運用(公開範囲を限定した情報発信)、コメント・リアクション(いいね!)、通知・既読管理など、社内SNSの基本的な機能がそろっており、運用設計・運用支援・分析レポートなどのコンサルティングサービスが充実しています。クラウドだけでなくオンプレミス(自社サーバ上)での運用も可能で、大手企業への導入実績が豊富です。

公式サイト:https://www.beat.co.jp

3.SOLANOWA

SOLANOWAは株式会社スカイアークが運営する社内報特化型SNSツールです。オリジナルデザインのロゴ・背景画像を用いた社内報メディアの構築を通して、社内コミュニケーションの活性化とエンゲージメント向上をサポートします。記事へのコメント、絵文字によるリアクション、新規投稿のプッシュ通知、未読記事一覧、アクセス解析など、コミュニケーション促進を図るための機能が豊富で、公開範囲(閲覧制限)の柔軟な設定や不正アクセス対策など、セキュリティ面の機能も充実しています。

公式サイト:https://solanowa.jp

4.NotePM 

NotePMは株式会社プロジェクト・モードが運営するナレッジマネジメント特化型SNSツールです。テンプレートをもとにマニュアル・規程・社内報などのあらゆる社内資料を直感的な操作で作成・共有でき、閲覧状況・変更履歴の自動記録機能や強力な検索機能などにより情報の効率的な一元管理が可能になります。コメントや絵文字によるリアクションの機能も搭載しており、情報共有をベースとした社内コミュニケーション活性化が実現できます。

公式サイト:https://notepm.jp

5.Goalous

Goalousは株式会社Colorkrewが運営する目標管理・社内SNSツールです。組織目標の設定・共有、目標浸透・目標達成の進捗状況の見える化などの機能により効率的な目標管理と目標意識向上を実現するとともに、チャットやコメント、リアクション(いいね!)の機能を通して社内コミュニケーションを活性化し、組織エンゲージメントを強化することができます。

公式サイト:https://www.goalous.com/intl/ja/

社内SNSとビジネスチャットとの違い

この章では、「社内SNSとビジネスチャットの違い」について整理していきます。

まずは、以下の比較表をご覧ください。

社内SNSとビジネスチャットの違い

社外対応しているかどうか

社内SNSは、あくまでも社内利用に特化したコミュニケーションツールです。チーム内での情報共有、部署をまたいだやり取り、会社全体での情報告知などに利用されます。従業員同士のコミュニケーションが活性化されるため、働きやすい環境づくり、エンゲージメントの向上などに寄与するでしょう。

一方で、ビジネスチャットは、社内だけに特化しているわけではありません。もちろん社内利用も可能ですが、社外と連携することもできます。取引先とのコミュニケーション・情報共有がよりスムーズになれば、プロジェクトも進めやすくなるでしょう。

メッセージが中心か、人物が中心か

社内SNSには、個人チャット機能やグループチャット機能だけでなく、TwitterやFacebookのようなタイムライン投稿機能が付いています。従業員の近況を把握するのに役立つほか、コメントや、いいねで反応しながら気軽にコミュニケーションを取ることも可能です。また、発信した人物の詳細なプロフィールや過去の投稿内容なども確認できます。「人物を中心としたコミュニケーションツール」だと言えるでしょう。

一方、ビジネスチャットの場合は、「メッセージ中心のコミュニケーションツール」だと言えます。プロフィール情報が少なく、タイムライン投稿機能はないケースが多いです。基本的にはチャット機能を利用して、社内外の人とスピーディーに情報のやり取りを行います。

社内SNSとグループウェアの違い

この章では、「社内SNSとグループウェアの違い」について整理していきます。

社内snsとグループウェアの違い

スケジュール管理中心か社内コミュニケーション中心か

上記の表の通り、社内SNSは、あくまでも社内の情報伝達・情報共有に特化したコミュニケーションツールです。

一方で、グループウェアとは、業務効率化を推進するためのツールのこと。主な機能は、以下の通りです。

・スケジュール管理

・プロジェクト管理

・タスク管理

・ワークフロー機能

・掲示板機能

・ファイル共有

・設備の予約管理

チャット機能を備えているグループウェアもありますが、基本的には「スケジュール管理」を得意としています。

導入目的が異なる

社内SNSの主な導入目的は、「社内コミュニケーションの活性化」です。

対して、グループウェアの主な導入目的は、「業務の効率化」にあります。スケジュール管理やワークフローなど業務効率化に適した機能が多数搭載されています。ただし、「フラットなコミュニケーションは取りづらい」「社内での利用浸透に比較的時間がかかる」といったデメリットもあるので、注意が必要です。

▼関連記事

グループウェアの選び方とよくある課題を解説、スマホ対応アプリも紹介

社内SNSとタレントマネジメントシステムとの違い

この章では、「社内SNSとタレントマネジメントシステムの違い」について整理していきます。

人材管理中心かコミュニケーション中心か

社内SNSは、社内コミュニケーションの活性化を主な目的としている一方で、タレントマネジメントシステムは、人材管理や人材配置のためのツールです。従業員一人ひとりの基本情報や評価情報、保有スキルなどをデータ化し、一元管理するためのシステムとも言えます。

人事データを一元管理・分析することで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。

・計画的な人材育成

・客観的な人事評価や最適な人材配置

・自社に合った採用基準の確立

・従業員の心理状態の可視化

・ワークエンゲージメントの向上

経営者や人事が使うのか社員全員が使うのか

基本的に、社内SNSは、従業員全員が利用するものです。対して、タレントマネジメントシステムは、主に経営、マネジメント層や人事が利用するものです。

まとめ

社内SNSには、情報のタイムリーな共有・一元的蓄積、部署間や経営層・従業員間のコミュニケーション活性化、業務効率化、エンゲージメント向上などのメリットがあり、幅広い組織課題の解決に役立ちます。

社内SNSのメリットを十分に引き出すためには、現状分析に基づき導入目的を明確化した上で、自社の実情に即してツールの選定と運用設計を行うことが重要です。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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