ブルーカラーの離職を防ぐ!経営者が知るべき人材定着のポイント

「現場スタッフの離職が止まらない」「人手不足で事業拡大ができない」など、ブルーカラーの人材確保に頭を悩ませる経営者は少なくありません。なぜブルーカラーは定着しにくいのでしょうか。本記事では、ブルーカラーの定義から人材確保のポイント、最新技術を活用した離職防止策まで、現場を抱える企業の課題解決について解説します。

ブルーカラーの定義

職業を分類する概念として「ブルーカラー」や「ホワイトカラー」など、色を使って分けられることがあります。言葉は広く使われていますが、その定義や他の職種との違いを正確に理解し、自社の人材戦略に生かせている企業は多くありません。

ここでは、経営者や人事担当者が押さえておくべきブルーカラーの基本的な意味から、他の職種との違い、該当する職業まで詳しく解説します。

ブルーカラーとは?

ブルーカラーとは、主に製造業、建設業、飲食業、運送業などで働く肉体労働者を指す言葉になります。

元々は作業着の青い襟(ブルーカラー)に由来していますが、現在では作業着の色に関係なく使用されています。

企業の経営者や人事担当者が注意すべき点として、「ブルーカラー」という言葉が差別的な意味合いを持つ可能性があることが挙げられます。これは、肉体労働者を知的労働者(ホワイトカラー)と区別する際に用いられることがあるためです。

もっとも、日本においては単に職種を表す用語として浸透しているため、差別的な発言として受け取られるケースが多いとは言い切れませんが、人によっては不快感を感じる言葉でもある点には注意が必要です。使用シーンや相手は選ぶ必要があります。

他のカラーとの違い

経営者や人事責任者が効果的な人材戦略を立案するためには、ブルーカラーとほかの職種の違いを明確に理解することが不可欠です。以下、主要な「カラー」別職種カテゴリーとの違いを詳述します。

職種カテゴリー

特徴

ホワイトカラー

主にオフィスで働く事務職や管理職。デスクワークが中心。

グレーカラー

技術職や専門職など、知識と技能の両方を要する職種。

ゴールドカラー

高度な専門知識や技能を持つ職人や熟練工、研究職。

ブルーカラーが現場で働く人たちを指す言葉であるのに対し、ホワイトカラーは「管理職・事務職」、グレーカラーは「技術職・専門職」、ゴールドカラーは「より高度な専門スキルを持った職人」としてカテゴライズされています。

ブルーカラーに該当する職業

ブルーカラーの職種には、以下のようなものがあります。

  • 製造業:工場作業員、機械オペレーター、品質管理スタッフ
  • 建設業:建設作業員、電気工事士、配管工、重機オペレーター
  • 運輸業:トラック運転手、倉庫作業員、配送員、フォークリフト運転作業員
  • 飲食業:調理師、ホールスタッフ、食品加工作業員
  • 医療福祉業:介護士、看護助手、清掃スタッフ
  • 小売業:店舗スタッフ、商品管理員、倉庫管理者

先述したように、ブルーカラーは主に現場で働く人たちを指す言葉として定着しています。

なぜブルーカラーが人手不足なのか

ブルーカラーの人手不足は、多くの企業にとって深刻な経営課題となっています。その背景には、社会構造の変化や労働環境の問題など、複合的な要因があります。

ここでは、経営者や人事担当者が把握すべき人手不足の主な原因を解説します。

生産年齢人口の減少

日本の生産年齢人口(15歳から64歳)は、1995年の8,716万人をピークに減少を続けています。2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれており、生産年齢の人口減少をはじめ、さまざまな経済課題の深刻化を招いているのです。

2024年現在、25年間で約1250万人もの生産年齢人口が減少しました。この傾向は今後も続くと予測されており、特にブルーカラー職種において深刻な影響を及ぼしています。

若年層の労働力不足は、技能の継承や組織の新陳代謝にも影響を与え、企業の長期的な競争力低下にもつながりかねません。経営者は、この人口動態の変化を踏まえた長期的な人材戦略の立案が求められています。


出典:総務省「令和4年版情報通信白書|生産年齢人口の減少」

出典:総務省「今後の人口の見通しについて」

労働環境・待遇の悪さ

ブルーカラーの仕事は、その性質上、肉体的負担が大きく、時に危険を伴うこともあります。また、長時間労働や不規則な勤務体系も珍しくありません。

こうした労働環境の厳しさに加え、給与水準や福利厚生が他の職種と比べて見劣りする場合も多く、若い世代を中心に敬遠される傾向にあります。

企業としては、これらの課題に対する組織的な取り組みが求められます。労働環境の改善や待遇の見直しは、人材の確保と定着率の向上に直結する重要な経営課題といえるでしょう。

将来の見通しが立てにくい

ホワイトカラーの仕事と比較して、ブルーカラーの仕事は昇給や昇進の機会が限られている場合があります。キャリアパスが不明確で、将来の見通しが立てにくいことも、若い世代がブルーカラーの仕事を避ける一因となっています。

厚生労働省が公表している令和5年度の「賃金構造基本統計調査」を例に見ていきましょう。産業別・年齢別に見ていくと、ブルーカラーの就業者が多い製造業で20代前半の年間平均賃金が約207.8万円、30代前半が269.4万円となっています。


これに対し、ホワイトカラーの多い業種である情報通信業では、20代前半の年間平均賃金は約243.1万1,0円、30代前半では約329.4万円となっています。

このように、平均賃金だけを見ても、ホワイトカラーとブルーカラーでは大きな開きがあるといえます。

また、AI・ロボット技術の発展により、ブルーカラーの仕事の一部が自動化されるのではないかという懸念もあります。

経営者や人事担当者は、ブルーカラー職においても明確なキャリアパスを提示し、継続的な技能向上の機会を設けることで、従業員の将来への不安を払拭し、モチベーション向上につなげることが重要です。


出典:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」|産業別にみた賃金

ブルーカラー人材を確保する方法

人手不足が深刻化する中、ブルーカラー人材の確保は多くの企業にとって喫緊の課題となっています。ここでは、経営者や人事担当者が取り組むべき、効果的な人材確保の方法を紹介します。

労働環境や福利厚生を見直す

ブルーカラーの仕事における労働環境の改善は、人材確保の鍵となります。

具体的な施策としては、作業の安全性向上、適切な休憩時間の確保、快適な休憩スペースの設置などが挙げられます。

また、福利厚生の充実も重要です。健康診断の拡充、育児・介護支援制度の導入、社員寮の整備などが考えられます。

これらの取り組みは、従業員の満足度向上だけでなく、企業イメージの向上にもつながり、結果として優秀な人材の確保に寄与します。

IT技術を導入し効率化を図る

デジタル技術の導入は、ブルーカラーの仕事の効率化と魅力向上に大きく貢献します。

例えば、手首や腕、頭などに装着するコンピューターデバイスである「ウェアラブルデバイス」を活用した作業支援システムや、AIを用いた業務最適化ツールの導入が考えられます。

これらの技術は、作業の安全性向上や生産性の向上に寄与するだけでなく、従業員のスキルアップにもつながります。

また、ITリテラシーの高い若い世代にとっては、こうした先進的な技術を扱える環境自体が魅力となり、採用においても優位性を発揮します。

コミュニケーションを活性化させる

ブルーカラー職場におけるコミュニケーションの活性化は、従業員の満足度向上と定着率改善に大きく寄与します。

主な施策としては、定期的な全体ミーティングの実施、部署間の交流イベントの開催、社内SNSの導入などが効果的です。

特に、現場の声を経営層に直接届ける仕組みづくりは重要です。提案制度の導入や、経営者との定期的な懇談会の実施などが考えられます。

これらの取り組みにより、従業員は自身の意見や提案が会社に反映されていると実感でき、帰属意識の向上につながります。

また、部署間の情報共有が促進されることで、業務の効率化や新たなアイデアの創出も期待できます。経営者は、こうしたコミュニケーション施策を、単なる従業員満足度向上の手段としてだけでなく、組織の活性化と競争力強化のための重要な投資と捉えることが大切です。

「TUNAG」を活用した離職防止の事例

多くの企業がブルーカラー人材の定着に苦心する中、組織改善のオールインワンツール「TUNAG」を活用して成果を上げている事例が増えています。ここでは、TUNAGを用いた具体的な離職防止策とその効果について紹介します。

サンクスカードの活用で従業員のやる気をアップ

TUNAGのサンクスカード機能を活用することで、従業員同士の感謝の気持ちを可視化し、モチベーション向上につなげている企業が増えています。


例えば、ウェディング事業を中心に幅広いサービスを提供する企業では、サンクスカードの仕組みを導入した後、導入3カ月で、サンクスメッセージが1万回贈られました。

この取り組みにより、従業員間のコミュニケーションが活性化し、職場の雰囲気が大きく改善したといいます。

サンクスカードは、特にこれまでフィードバックを得る機会の少なかったブルーカラー職において、日々の努力を認め合う文化を醸成する効果的なツールとなっています。経営者や人事担当者は、こうしたデジタルツールを活用し、従業員のモチベーション向上と組織の一体感醸成を図ることが重要です。


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サンクスカードの活用方法と導入の効果

コミュニケーションを活性化してエンゲージメントを高める

TUNAGの社内チャット機能や掲示板機能を活用することで、従来のブルーカラー職場では難しかった部署間や拠点間のコミュニケーションが容易になります。

自動車販売、車検・整備などの自動車関連事業を展開する企業では、TUNAGの自己紹介機能や投稿機能により、コミュニケーションが活性化して結果、人間関係での離職が大きく減ったといいます。

また、経営層からのメッセージを定期的に発信することで、会社の方針や目標を全従業員と共有し、一体感を醸成しています。


TUNAGのようなツールを活用することで、時間や場所の制約を受けやすいブルーカラー職においても、効果的なコミュニケーションと情報共有が可能になるのです。

「この会社が大好きだ」と言ってもらえる組織へ:光田モータースが脱アナログとコミュニケーション活性化を実現するまで

ブルーカラー人材の定着化で生産性を改善

ブルーカラー人材の定着は、単に離職率を下げるだけでなく、企業の生産性向上に大きく寄与します。長期的に働く従業員が増えることで、技術やノウハウの蓄積が進み、業務の質が向上することにも期待が持てるでしょう。

さらに、定着率の向上は企業イメージの改善にもつながり、優秀な人材の採用にも好影響を与えます。経営者は、ブルーカラー人材の定着を単なる人事課題としてではなく、企業の競争力強化のための重要な経営戦略として捉える必要があります。


デジタルツールの活用や労働環境の改善、キャリアパスの明確化など、総合的なアプローチで定着率向上に取り組むことが、今後の企業成長の鍵となるでしょう。


著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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