従業員エンゲージメントを高めるには?目的から施策、成功事例まで徹底解説!
従業員エンゲージメントは、企業の成長や生産性向上に欠かせない要素です。その一方で、働き方が多様化し、組織課題も複雑になる中で、「従業員エンゲージメントを高めるために何から始めたら良いかわからない…」といった悩みを抱える経営者や人事担当の方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、従業員エンゲージメントの意味や向上のメリットなどの概要から、高めるための具体的な施策まで解説していきます。
従業員エンゲージメントとは?
組織運営において、従業員エンゲージメントの高さは生産性やモチベーションに大きな影響を与えるため、経営者や人事担当者にとって見逃せないポイントとなります。
では、組織における従業員エンゲージメントとは具体的にどのようなものなのでしょうか?
エンゲージメントは、英語の「engagement」が語源です。もともと「約束、契約、婚約」などの意味を持つ言葉です。近年は、人事の分野で、従業員一人ひとりの「組織や与えられた仕事のために、自分の能力を発揮する意欲」を指すものとして使われています。
組織と従業員の活性化が目的
エンゲージメントは従業員の意欲度を見ようとするものであり、多くの企業では組織と従業員の活性化が目的になっています。特に、従業員一人ひとりが組織に対して自発的に貢献する意欲を「従業員エンゲージメント」、個々の従業員がそれぞれの仕事の内容に対して主体的に取り組んでいる状態を「ワークエンゲージメント」と言います。
エンゲージメントは人的資本開示の項目にも含まれる
エンゲージメントが注目されるようになったのは、2018年に国際標準化機構(ISO)が発表した人的資本情報開示のガイドラインISO30414がきっかけです。このガイドラインは、ESG投資家の関心が高まる中、エンゲージメントを含む58の指標を規定しました。
2020年には米証券取引委員会(SEC)が上場企業に人的資本の情報開示を義務化し、ISO30414への準拠を推奨したことで、エンゲージメントへの関心がさらに高まりました。日本では、2023年3月期決算から「有価証券報告書」を発行する約4,000社を対象に、人的資本の情報開示が義務化されています。従業員エンゲージメントも人的資本の情報の中の一つであるという観点から、エンゲージメントに関する取り組みの積極的な開示が求められています。
従業員エンゲージメントを高めるメリット
従業員のエンゲージメントを高めるメリットがあります。紹介していきます。
定着率が向上する
エンゲージメント向上とは、従業員の仕事に対する関与やモチベーションを高めるための施策を行うことです。そのため従業員エンゲージメントを高めることで、従業員の定着率を向上を図ることができます。
従業員の定着率が向上することで、苦労して採用や教育を行った人材が、組織で活躍する前に離職するリスクを下げることができます。従業員の定着率を向上させることは、組織に対して大きな損失を減らすことができるといえるでしょう。
従業員が自発的に動く
エンゲージメントが高い従業員は、自分の仕事に対して情熱を持ち、企業の目標達成に向けて積極的に貢献しようとします。
従業員エンゲージメントを高めることで、自発的に動く従業員が増えることが予想されます。これにより、個々の生産性が向上し、企業全体の業績にも良い影響を及ぼすでしょう。
生産性・業績の向上につながる
米国の世論調査及びコンサルティングを行うギャラップ社の調査によると、エンゲージメントが低い、またはエンゲージメントに取り組んでいない従業員のチームは、世界で7.8兆ドルもの生産性の損失を引き起こしており、これは全世界のGDPの11%にも相当します。
エンゲージメントの向上は、モチベーションや自己効力感を高め、創造性やイノベーションを促進するだけでなく、仕事の質を向上させ、チームワークを強化します。これらの要素が相乗効果を生み、業務生産性の向上につながります。
エンゲージメント低下がもたらす影響
エンゲージメントが低下することは、組織にどのような影響を及ぼすのでしょうか。ここでは、エンゲージメント低下によってあらわになる組織課題を解説していきます。
離職率が上がりコストが増える
新卒採用も中途採用も、採用にした人材が組織で活躍する前に離職してしまうのは、企業にとって大きな損失になります。まず、採用にかかるコストが無駄になるだけでなく、入社後にかけた教育コストやマネジメントコストも回収できません。
特に、新入社員や中途採用者が早期に離職すると、教育に投じたリソースやマネジメントの労力が無駄になり、さらに新たな採用が必要となり、結果として企業のコスト負担が増加します。このため、企業は離職率を低下させ、採用した人材の定着と活躍を促進することが重要です。
モチベーションの低下が蔓延する
従業員が仕事に対して興味を失うと、組織内での不満やストレスが広がり、これが他の従業員にも伝染し、全体的な士気低下を招きます。このような状況では、仕事に対する意欲が失われ、業務の質や効率が低下し、最終的には組織全体のパフォーマンスに悪影響を与えます。
業績の悪化と負のループに陥る
エンゲージメントが低い組織では、従業員が組織の目標や価値観に共感できず、イノベーションや新しいアイデアが生まれにくくなります。従業員が自発的に動けず、新たな施策を実行できない組織は停滞を招きやすく、技術の急速な進歩で目まぐるしく変化する現代社会において、競争力を失うリスクが高くなります。
従業員エンゲージメントを高める取り組み
従業員エンゲージメントを高める取り組みを行う際は、自社の組織課題や従業員からの要望にあったものを実施して、改善を回していくことが求められます。ここでは、従業員エンゲージメントを高める代表的な取り組みをいくつか紹介していきますので、自社の取り組みの参考にしてみてください。
まずはエンゲージメントサーベイで組織課題を特定する
従業員エンゲージメントを高めるためにも、今の組織の課題がどこにあるか、従業員が会社のどこに不満を持っているかを明確にする必要があります。組織課題とあっていない施策を行ってしまうと、かえって従業員の不満を招くおそれもあるため注意が必要です。
組織課題の特定には、エンゲージメントサーベイや社内アンケートツールで、従業員のエンゲージメント状態をスコアリングするのがおすすめです。有料サービスを使っての調査に抵抗がある場合は、無料で使えるツールもあるため、検討してみると良いでしょう。
例えば、株式会社スタメンが提供する、基本無料で使える組織のためのエンゲージメントサーベイ「TERAS」は、気軽に組織課題の原因を特定したい企業におすすめです。回答は完全匿名性のため、従業員様の心理的安全性を確保した状態でアンケートを実施でき、忖度のない回答を期待できます。また、ログインなど煩雑な手続きは不要で、スマホから5分程度で回答できるため、従業員の負担をできる限り減らしながら、サーベイを実施することが可能です。
組織のための基本無料エンゲージメントサーベイツール|TERAS
ビジョンやミッションを共有する
ビジョンやミッションは、組織が目指す方向性や存在意義を示すものであり、従業員が自分の役割を理解し、組織の目標に共感するための基盤となります。これを明確に共有することで、従業員は組織の目標に対する理解を深め、仕事に対する意欲やコミットメントが向上します。
さらに、共通のビジョンやミッションを持つことで、チーム内の連携が強化され、組織全体に一体感が生まれます。これにより、従業員のエンゲージメントが向上し、業務の生産性や組織のパフォーマンスの向上が期待されます。
柔軟な働き方を推進する
職場環境の柔軟性を高めることは、従業員のワークライフバランスを支援し、エンゲージメントを向上させる重要な施策です。リモートワークやフレックスタイム制の導入で、働き方の選択肢を広げ、従業員が自分に合った働き方を選べるようにします。柔軟な働き方を推進するには、十分な説明とコミュニケーションが不可欠です。これにより、従業員の満足度やモチベーションが向上し、生産性の向上も期待されます。
事業状況や社会貢献を可視化する
企業が行う事業や社会貢献活動を可視化することで、従業員は自社の意義や社会的役割を理解しやすくなり、会社で働くことの意義を感じることができます。
例えば、社内報や社内ポータルを活用すれば、事業や社会貢献を従業員にダイレクトに共有する仕組みを作ることができます。従業員は自分の仕事が社会にどのように貢献しているかを実感し、エンゲージメントが高まるでしょう。特に、社会的意義を重視する従業員にとって、これらの取り組みは強い動機づけとなります。
公平性のある評価制度を設ける
公正で透明性のある目標設計と人事評価制度は、従業員が適正に評価されるために不可欠です。例えば、人事制度を可視化したり、新しい評価制度を導入したりすることが考えられます。
努力が正当に報われる環境が整えば、従業員は不信感を持つことなく業務に集中することができ、モチベーションが維持されやすくなります。評価基準が明確で一貫性が保たれることで、従業員は安心して業務に専念できるでしょう。
定期的な1on1を実施する
定期的な1on1ミーティングは、従業員と上司の間でオープンなコミュニケーションを促進し、課題や目標のフォローアップに重要です。他部署の上司との1on1も有効で、同じ部署の上司には言いづらいことを相談でき、問題解消に役立ちます。会社が1on1の日程や相手を提案することで、積極的なサポートが可能です。これにより、従業員の意見が尊重され、エンゲージメントが向上し、成長も支援されます。
業務外も含めた社内コミュニケーションの活性化
業務外の活動や交流を通じて社内コミュニケーションを活性化することは、職場の一体感や信頼関係を深める効果があります。例えば、チームビルディング活動や社内イベントを定期的に開催することで、従業員同士のつながりが強まり、働きやすい職場環境が醸成されます。
同じ部署だけではなく、他部署・他拠点の従業員との交流が盛んに行われれば、通常業務においても部署を超えた動きが活性化するでしょう。
従業員の自己成長を支援する
従業員が自己成長できる環境を提供することは、エンゲージメント向上に直結します。研修プログラムやキャリア開発の機会を提供することで、従業員は自分が成長していると実感し、仕事に対する意欲が増します。特に、学びの機会が豊富な環境では、従業員が自身の成長を実感しやすく、エンゲージメントが高まりやすいです。
キャリアパスを明確にする
従業員が自分の成長とキャリアビジョンを持つことで、モチベーションが高まり、帰属意識が強まります。キャリアパスが明確であれば、自分の努力がどう報われるかが理解しやすくなり、成長への責任感が生まれ、積極的に仕事に取り組むようになります。
また、具体的な目標が設定されていれば、努力する意欲が高まり、業務パフォーマンスも向上します。キャリアパスの明確化は、長期的な勤務意欲を高め、離職率の低下にもつながります。
エンゲージメント向上を支援するクラウドサービス「TUNAG」
TUNAGは、エンゲージメント向上から業務DXまで、組織に必要な施策をカスタマイズできるオールインワンツールです。マルチデバイス対応で、社用端末や法人メールアドレスがなくても利用可能です。
必要なメッセージや情報を従業員にスムーズに届け、コミュニケーションを活性化します。これにより、エンゲージメント向上や経営理念の浸透を実現します。
ここでは、TUNAGの特徴を3つに分けて説明します。
組織課題に合わせて必要な施策をカスタマイズできる
企業の組織課題や目指すべき組織像は100社あれば100通り。そのため最適なエンゲージメント向上施策は企業毎に異なります。TUNAGはリアルタイムな組織状態に合わせて施策をオリジナルで設計できます。施策の設計・実施し、さらに豊富な分析機能から社内制度の効果を分析することで、組織課題の改善活動のPDCAを回し続けられます。
日常的に使うツールとしての豊富な機能を搭載している
エンゲージメント向上や組織課題解決のための施策を設計しても、従業員に利用されなければ効果がありません。TUNAGは社内掲示板やワークフロー、社内チャットなど従業員が日常的に使うツールとしての機能を備えています。そのため従業員のログイン率も高く、社内制度や会社からの情報が自然と目に留まりやすく、施策の効果を最大化させやすくなっています。
組織状態をリアルタイムに把握できる分析機能がある
組織状態は常に変化するので、エンゲージメント施策は運用状況を見てPDCAを回す必要があります。TUNAGの分析ダッシュボードでは、施策の効果や従業員のエンゲージメント状態を可視化し、改善ポイントを見つけることが可能です。
TUNAG導入によるエンゲージメント向上の成功事例
ここでは、TUNAGを活用してエンゲージメント向上や組織活性化を実現している、株式会社BP様の事例を紹介して、エンゲージメント向上までの具体的な施策やステップを解説します。
ウェディング事業を中心にサービスを展開する株式会社BP様では、業務が多様化して、セクションも増える中で、誰が誰を承認すれば良いのか分かりづらく、退職者からも「連帯感を感じられない」と言われることも多かったといいます。そこで、通常業務の忙しい中でも、スマホで簡単にサンクスカードを送ることができるエンゲージメントプラットフォームの「TUNAG」の導入を決定しました。
同社では「TUNAG」で、従業員がサンクスカードを送りやすい仕組みを構築しています。サンクスカードを送った数・もらった数で評価して、社内で表彰するような体制をとり、日常的に称賛を行う文化が築かれています。また、アルバイト従業員が1,000名を超える同社では、新人アルバイトの日報に対して先輩スタッフから称賛のコメントを送り、頑張りを評価するなど、会社を挙げて従業員同士が称賛する文化を醸成しています。
その結果、アルバイトの定着率が30%改善されただけではなく、エンゲージメント向上によってリファラル採用が進み、3ヶ月で300人のアルバイト採用を実現した時期もあったとのことです。
アルバイト定着率が30%改善、3ヶ月で300名採用:BPが「友達に紹介したくなるバイト先」を作るまで
エンゲージメントを高めて一体感のある強い組織を目指す
エンゲージメントを高めることは、企業の成長に欠かせない要素です。従業員が会社や経営、他の従業員との信頼関係を構築し、自発的に業務に取り組む熱量の高い組織が構築することで、定着率の向上や生産性向上につながるでしょう。本記事で紹介した様々な施策を参考に、自社の組織課題やフェーズにあった取り組みを検討してみてください。
ただし、エンゲージメント向上は一朝一夕に実現することは困難です。アンケートやサーベイを活用しながら従業員の声に耳を傾け、真の組織課題に適した施策を実行し、施策の反響をもとに定期的に改善を行うことが重要です。
組織課題は企業文化や事業内容、従業員規模などによって、多岐に渡ります。自社の組織課題に目を向け、エンゲージメント向上の取り組みや組織課題の特定にむけた一歩を踏み出しましょう。