ミッションとは、企業が「なぜ存在するのか」「社会にどのような価値を提供するのか」を示すものです。経営や従業員が同じ方向を向いて判断・行動するための軸になります。
ただし、ミッションは言葉を決めるだけでは機能しません。自社の強みや社会に提供する価値が十分に整理されていなかったり、策定後に従業員へ共有する機会が少なかったりすると、日々の仕事に結びつかないまま形骸化することがあります。
この記事では、企業におけるミッションの意味やビジョン・バリューとの違い、良いミッションの条件や作成のポイント、組織へ浸透させる方法まで順番に解説します。
ミッションとは、企業の存在意義や社会で果たす役割を示すものです。自社が何のために事業を行うのかを言葉にすることで、経営判断や従業員の行動を同じ方向へそろえやすくなります。
ミッションを理解するうえでは、次の4点を押さえておきましょう。
ミッションは、企業がなぜ存在するのか、その目的や社会で果たす役割を簡潔に示したものです。社員だけでなく、顧客や投資家などのステークホルダーへ、自社が何を目指して事業を行っているのかを伝える役割もあります。
例えば、製造業の企業が「地球環境を守るサステナブルな製品の開発」をミッションに掲げれば、組織の方針や価値観が明確に伝わるでしょう。ミッションは企業文化の基盤となるものであり、日々の業務や長期的な計画を支える指針でもあります。
ミッションが企業の存在意義を示すのに対し、ビジョンは企業が目指す未来、バリューはその実現に向けて大切にする価値観や行動を示します。
たとえば、ビジョンが「人々の暮らしを技術で変える未来を創る」だとすれば、「人々の課題を解決するための革新的な技術を提供する」といったミッションが考えられるでしょう。また、バリューは「革新」「誠実」「共感」といった、事業を営む上で大切にすべき価値観が一例として挙げられます。
これらは別々に考えるものではありません。ミッションで存在意義を示し、ビジョンでその先の目標を定め、バリューによって日々の行動へつなげることで、企業として目指す方向が分かりやすくなります。
ミッションを考える前に、MVVそれぞれの意味や関係を整理しておくと、自社で何を言葉にするべきかも判断しやすくなります。
MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)についてはこちらで詳しく紹介しています。
ミッションを明確にすることで、企業としての方向性をそろえ、経営や従業員が判断するときの共通の軸を持ちやすくなります。
主な効果として、次の3つが挙げられます。
例えば、社会貢献を重視するミッションを掲げる企業であれば、その考えに共感する人材から応募を得るきっかけになります。
また、ミッションを実際の事業や従業員の行動に反映し続けることで、顧客や取引先に対しても、企業が何を大切にしているのかを一貫して示しやすくなります。
ただし、ミッションを策定しただけで、その意味が従業員全員へ伝わるわけではありません。経営の考えや、ミッションにつながる社内の取り組みを継続して共有することも必要です。
こうした情報を社内へ届ける方法の一つが社内報です。
社内報とは何か、目的や作り方、活用方法についてはこちらで詳しく紹介しています。
企業によって事業内容や社会に提供する価値が異なるため、掲げるミッションにも違いがあります。自社のミッションを考える際は、他社がどのような存在意義を言葉にしているのかも参考になります。
以下、有名企業のミッションの例をいくつか挙げるので、参考にしてみましょう。
このように、多くの企業が独自のミッションを掲げており、事業活動を通じてそれを体現しています。自社の存在意義を簡潔に示すことで、企業は社員に行動指針を示すのみならず、外部の顧客や取引先にも一貫したメッセージを伝えられます。
良いミッションは、企業の存在意義が分かりやすく、自社の事業や強みと結びついているものです。耳触りのよい言葉だけを並べても、社員が実際の仕事と結びつけられなければ判断の基準にはなりません。
特に確認したい条件は、次の2つです。
良いミッションは、社員や顧客が読んだときに、企業が何のために存在しているのかを理解できる内容になっています。
ミッションが曖昧だと、社員や顧客に意図が伝わらず、組織の指針として使いにくくなります。
また、共感を得るためには、単に事業の概要を説明するだけでなく、解決したい社会的課題や理想とする未来像を簡潔に表現することが大事です。例えば、教育関連の企業なら「全ての子どもに平等な学びの機会を提供する」といったように、何を実現したいのかが伝わる内容が適しています。
ミッションは、企業が持つ強みや事業を通じて実際に目指せる内容にすることも大切です。
自社の強みを無視したミッションでは、事業とのつながりが見えにくくなります。社員にとっても現実味を感じにくく、日々の判断や行動へ落とし込みづらくなるでしょう。
例えば、IT系の企業であれば「革新的な技術で社会の課題を解決する」といった、自社のコアコンピタンスを反映したミッションが考えられます。
自社に合ったミッションを作るには、表現を考える前に、社会へ提供する価値や自社だからできることを整理します。そのうえで、経営だけで決めず、実際に働く社員の考えも取り入れていきます。
作成するときに押さえたいのは、次の3つです。
ミッションを作成するときは、まず自社が社会や顧客へどのような価値を提供するのかを整理します。
社会課題の解決や特定のニーズへの対応など、事業を通じて誰にどのような変化を届けたいのかを考えてみましょう。
提供すべき価値を明らかにすることで、社員や顧客だけでなく、社会全体から共感を得られるミッションを考えやすくなります。例えば「すべての人が安心して暮らせる社会を実現する」といったように、組織としての方向性を示す方法があります。
ミッションでは、自社が事業を続けることで、顧客や社員などにどのような価値を届けたいのかを示すことも大切です。
顧客にとって便利な商品やサービスを届ける、社員が成長できる環境をつくるなど、誰にどのような変化を生み出したいのかを考えると、目指す方向を具体化しやすくなります。
関係者にとって望ましい変化を言葉にできれば、企業が何のために事業を行うのかも伝わりやすくなるでしょう。
ミッションを実際の仕事につなげるには、策定する段階から社員の意見を取り入れる方法があります。
経営陣だけで決めると、企業として伝えたい内容と、現場で働く社員が感じている価値や強みに差が生まれる場合があります。アンケートや面談などを通じて、社員が自社のどこに価値を感じているのかを確認するのも一つの方法です。
社員の思いや考えを取り入れることで、ミッションを自分たちの仕事と結びつけて捉えやすくなります。策定後の浸透まで考えるなら、言葉を決める段階から現場を巻き込むことがポイントです。
ミッションを組織へ浸透させるには、言葉として共有するだけでなく、従業員が繰り返し触れ、実際の仕事で使える状態をつくります。
主な方法は、次の2つです。
ミッションは、従業員が理解しやすい言葉として明文化し、社内で繰り返し共有します。
社内の掲示物やWebサイト、社員ハンドブックなどを通じて伝えるほか、定期的な会議や研修で、ミッションが実際の仕事とどう関係するのかを説明する方法があります。
特に新入社員には、入社時のオリエンテーションでミッションの背景や意味まで説明することで、自社が何を大切にしているのかを理解してもらいやすくなります。
ミッションを日々の行動へつなげるには、業務上の判断や評価制度と結びつける方法があります。
社員がミッションに沿った行動をしたときに、その行動を評価する仕組みがあれば、どのような行動が企業の目指す方向と合っているのかを理解しやすくなります。部門ごとの目標設定やプロジェクトでも、ミッションを判断基準として使えます。
一方で、拠点や部署が多い企業では、ミッションに関する情報を継続して届けたり、実践した行動を全社で共有したりすることが難しい場合があります。こうした社内コミュニケーションを支える方法の一つが、社内SNSや組織改善クラウドの活用です。
組織改善クラウドサービス「TUNAG(ツナグ)」では、企業理念やミッションに関する情報をタイムラインで発信できます。また、従業員同士のコミュニケーションや、ミッションに沿った行動を共有する仕組みとしても活用できます。
理念経営を支えるクラウドツールTUNAG|理念浸透で組織に一体感を。
企業のミッションは、単なるスローガンではなく、自社が何のために存在し、社会へどのような価値を提供するのかを示すものです。
良いミッションを作るには、自社の強みや価値観だけでなく、事業を通じて誰にどのような価値を届けたいのかを整理します。社員の意見も取り入れながら言葉にすることで、実際の仕事と結びつけて捉えやすくなります。
策定後は、一度発表して終わりにせず、社内で繰り返し伝え、業務や評価と結びつけてください。ミッションが従業員の日々の判断に使われているかまで確認し、自社らしい行動につながるものへ育てていきましょう。