企業のミッションとは?作成のポイントや組織への浸透方法を解説
ミッションとは企業の目指す方向性を示す羅針盤のようなものです。
企業はミッションを通じて、社員や顧客・投資家を含む全てのステークホルダーに対し、自社がどのような役割を目指しているのかを明確に伝えることができます。
まずは、企業の「ミッション」とはどのようなものか、基本的なところをきちんと理解しておきましょう。その上でミッションを従業員に浸透させる方法を解説します。
ミッションとはどういうもの?
まずは、企業の「ミッション」とはどのようなものか、基本的なところをきちんと理解しておきましょう。混同しがちなビジョンやバリューとの違いなども解説します。
企業の存在意義を示すもの
ミッションとは、企業がなぜ存在するのか、その目的や意義を簡潔に表したものです。企業はミッションを通じて、社員や顧客・投資家を含む全てのステークホルダーに対し、自社がどのような役割を目指しているのかを明確に伝えます。
例えば、製造業の企業が「地球環境を守るサステナブルな製品の開発」をミッションに掲げれば、組織の方針や価値観が明確に伝わるでしょう。ミッションは企業文化の基盤となるものであり、日々の業務や長期的な計画を支える指針でもあります。
「ビジョン」や「バリュー」との違い
ミッションは企業の存在意義に焦点を当てているのに対し、ビジョンは企業が目指す未来像を描いたものです。一方で「バリュー」は、目標を達成するために重視する価値観や、行動指針を示します。
たとえば、ビジョンが「人々の暮らしを技術で変える未来を創る」だとすれば、「人々の課題を解決するための革新的な技術を提供する」といったミッションが考えられるでしょう。また、バリューは「革新」「誠実」「共感」といった、事業を営む上で大切にすべき価値観が一例として挙げられます。
これらの要素は互いに補完し合いながら、企業のアイデンティティを形成します。ミッションが存在意義を示すことで方向性が定まり、ビジョンがその先の目標を示し、バリューがその過程で守るべき価値観を提供するものと、考えておくとよいでしょう。
ミッションが組織にもたらす効果
明確なミッションを持つことで、企業は方向性を見失わずに事業活動を続けられます。社員の間ではミッションを通じて一体感が生まれ、採用活動においても、自社にマッチした人材を集めやすくなるのがメリットです。社会貢献を重視するミッションを掲げる企業は、社会貢献に興味のある人材を集めやすいでしょう。
また、ミッションをきちんと体現する活動を続けていれば、顧客や取引先にも信頼感を与え、長期的な関係を築きやすくなります。
有名企業のミッションの例
以下、有名企業のミッションの例をいくつか挙げるので、参考にしてみましょう。
- Google:世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする
- Apple:人々の創造力を刺激し、テクノロジーを通じて生活を豊かにする
- Amazon:地球上で最もお客様を大切にする企業になる
- 楽天グループ:イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする
- ファーストリテイリング:服を変え、常識を変え、世界を変えていく
このように、多くの企業が独自のミッションを掲げており、事業活動を通じてそれを体現しています。自社の存在意義を簡潔に示すことで、企業は社員に行動指針を示すのみならず、外部の顧客や取引先にも一貫したメッセージを伝えられます。
良いミッションの条件とは?
優れたミッションは単なる言葉の羅列ではなく、企業の存在意義を示し、社内外の人々に強く訴えかけるものでなければいけません。良いミッションが持つべき条件として、主に以下の点が挙げられます。
明確で共感を呼ぶ内容であること
良いミッションの第一条件は、内容が明確であり、読み手や聞き手に強く共感を呼ぶメッセージであることです。ミッションが曖昧だと、社員や顧客に意図が伝わらず、組織の指針としての機能を果たしません。
また、共感を得るためには、単に事業の概要を説明するだけでなく、解決したい社会的課題や理想とする未来像を簡潔に表現することが大事です。例えば、教育関連の企業なら「全ての子どもに平等な学びの機会を提供する」といったように、具体性と情熱が伝わる内容が適しています。
自社の強みや能力を十分生かせること
ミッションは、その企業が得意とする分野や、リソースを生かした内容であることも重要です。自社の強みを無視したミッションは、事業を通じて達成するのが難しくなってしまいます。社員にも現実味を感じさせないため、日々の行動に落とし込みにくいでしょう。
例えば、IT系の企業であれば「革新的な技術で社会の課題を解決する」といった、自社のコアコンピタンスを反映したミッションが適切です。
良いミッションを作成するポイント
自社に合った良いミッションを作成するには、以下のポイントも意識しましょう。企業として社会にどのように貢献するか考えるとともに、関係者に魅力的な未来を提示できる内容にすることや、社員の意見も積極的に取り入れることが重要です。
社会にどのように貢献するか考える
ミッションを作成する際には、まず自社が社会にどのような価値を提供するのか、明確にする必要があります。社会課題の解決や特定のニーズへの対応など、自社が社会に与えるべき影響を意識しましょう。
提供すべき価値を明らかにすることで、社員や顧客だけでなく、社会全体から共感を得られるミッションが生まれやすくなります。例えば「すべての人が安心して暮らせる社会を実現する」といったように、組織としての方向性を示すことが大事です。
関係者にとって魅力的な未来を提示する
ミッションにはある程度、企業の未来に関する要素を含めるのも効果的です。ステークホルダーに対して、自社が将来的にどのような姿になっているのか、具体的なイメージとして提示しましょう。
あくまでも一例ですが、顧客にはより便利な商品やサービスを、社員に対しては、キャリア成長の機会を感じさせる内容などがおすすめです。関係者全体にポジティブな影響を与える未来を提示すれば、自社への期待感を高められます。
社員の意見も参考にする
ミッションは経営陣だけではなく、社員全員が納得し、共感できる内容でなければいけません。ミッションの策定段階で、積極的に社員の意見を取り入れることも大事です。アンケートや社員との面談などを通じて、積極的に現場の意見を集めるのもおすすめです。
社員の思いや考えを反映した内容にすれば、多くの社員がミッションに対して愛着や責任感を持ちやすくなります。日々の業務においても、達成を意識して行動する社員も出てくるでしょう。
ミッションを組織に浸透させるには?
どれほど優れたミッションを策定しても、組織全体に浸透しなければ意味がありません。ミッションを社内で共有し、日々の活動に組み込むために有効な施策も押さえておきましょう。
ミッションステートメントとして提示する
ミッションは明確な言葉としてミッションステートメント化し、社員に伝えることが大事です。社内の掲示物やWebサイト、社員ハンドブックなどを通じて共有しましょう。
また、定期的な会議や研修などでミッションの意義や具体例を示すことで、理解が深まります。特に新入社員には、入社時のオリエンテーションで重点的に説明すると、早い段階で企業文化になじみやすくなります。
業務や評価基準にミッションを関連付ける
ミッションを組織文化として浸透させるには、日々の業務や社員の評価基準とリンクさせるのが効果的です。社員がミッションに基づいて行動した場合、成果を適切に評価する制度を設けることで、自然とミッションを意識するようになるでしょう。
部門ごとの目標設定やプロジェクトの進行においても、ミッションを指針とすることで、一貫性のある取り組みが可能になります。
なお、ミッションの浸透に情報共有システムを活用することで、社員全体にその重要性を伝えやすくなるのでおすすめです。社員のエンゲージメントを高められる「TUNAG」ならば、企業の理念やミッションに関する情報を、簡単にタイムラインに流せます。
他にも社員同士のつながりを深められる機能が充実しているので、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
理念経営を支えるクラウドツールTUNAG|理念浸透で組織に一体感を。
自社に合ったミッションを作成しよう
企業のミッションは、単なるスローガンではなく、事業の存在意義や社会的な役割を発信するものです。良いミッションを示すことで社員の一体感が高まり、顧客や取引先との信頼関係の強化にもつながります。採用活動においても、自社にマッチした人材を集めやすくなるでしょう。
ミッションを作成する際には、自社の価値観や強みを反映させた内容にすることが大事です。社員からも広く意見を募り、現場の視点や声を反映させることで、共感を呼ぶ内容に仕上げましょう。積極的に社員に情報を共有し、ミッションを単なる理念ではなく、実際の行動指針として落とし込む工夫も求められます。