「イノベーションはコミュニケーションから生まれる」は間違い!? 本当に大切なのは・・・

イノベーションを生み出す企業と、停滞する企業の違いはどこにあるのでしょうか? 多くの企業では、部門間の分断や心理的安全性の欠如が障壁となり、新しいアイデアが生まれにくくなっています。本記事では、イノベーションを促進する要因や具体的な施策について解説し、競争力を高め、社員の自主性を引き出す組織づくりのポイントを紹介します。

【時間がない方のためのポイントまとめ】

  • イノベーションの実現には「雑談を増やす」だけでは不十分
  • 「部門横断のコラボレーション」「心理的安全性」「戦略レベルの情報共有」の3要素が鍵
  • この3要素は組織の構造や制度として意識的に整える必要がある

イノベーションが起こらない企業はどうなる?

イノベーションが生まれない企業は、競争力を失い、成長が鈍化してしまいます。市場の変化に適応できず、業務の非効率化や社員のモチベーション低下を招くこともあるのです。

競争力の低下、同業他社に対する遅れ

イノベーションが生まれず新しい製品やサービスを生み出せない企業は、競争力が低下してしまいます。

他社から次々と新しい商品やアイデアが創出される中で自社の事業は停滞し、気づいた時には同業他社に大きく差をつけられているといった事態になりかねません。

市場の変化スピードが加速する中、変わらない企業は衰退への道を進んでしまう可能性が高いのです。

業務が非効率化

イノベーションは製品やサービスだけでなく、業務プロセスでも起こすことが重要です。

働き方や顧客ニーズ、法制度が変化し、対応すべきことや考えるべきことは次々と増える中で、イノベーションが起きず業務のやり方が何年も変わらなければ、ムダな作業が増えていきます。たとえば、デジタルツールを使えば数分で完結する作業を手作業に頼り、時間やコストがかかりすぎるケースや、情報共有がうまくいかず、同じ作業を何度も繰り返してしまうケースが考えられます。

こうした非効率な仕組みが続くと、仕事のスピードが遅くなり、「大変な思いをしているのに、成果が出にくい」という状況に陥り、企業全体の成長が鈍ってしまうのです。

社員のモチベーションが低下

新しいアイデアを出しても「今まで通りのままで良し」と却下されるような職場では、社員は次第に「意見を言っても無駄だ」と感じるようになり、モチベーションが低下していきます。「どうせ変わらない」と考えるようになり、受け身の姿勢が定着してしまいます。

社員に意欲がなくなり、結果として組織全体の生産性低下につながります。また、モチベーションが低いことで職場の雰囲気が悪くなり、優秀な人材が流出してしまうことにもつながります。

顧客ニーズや市場の変化に対応できなくなる

顧客ニーズや市場の動きは常に変化しており、企業もその流れに合わせて進化しなければ生き残れません。昔ながらのやり方に固執していると、あっという間に時代遅れになってしまいます。

競争力のある企業は、顧客ニーズをもとに新しいアイデアを生み出したり、新しい技術やビジネスモデルを柔軟に取り入れていますが、イノベーションが生まれない企業はそうした変化に対応できません。

その結果、取引先や顧客からの評価も下がり、気づいた時には市場の中で埋もれてしまうのです。

イノベーションが企業にもたらすメリット

イノベーションを起こすことで、企業は新製品・サービスの創出、社員の自主性向上、意思決定の迅速化など、さまざまな変革を遂げられます。

本章では、イノベーションがもたらす具体的なメリットを解説します。

新製品・サービス創出による市場競争力の向上

イノベーションが活発な企業は、新しい製品やサービスを生み出し、市場での競争力を高めています。特に、「ファーストペンギン」として未知の市場にいち早く飛び込む企業は、ブランドの認知度を上げ、業界のトップランナーになりやすい傾向があります。

最新技術を取り入れた新規事業の開発や、既存サービスのアップデートをスピーディーに進めることで、変化する市場にも柔軟に対応できるのが強みです。

逆に、変化を避けて動きが遅れると、後発企業として競争に巻き込まれ苦戦しがちになってしまいます。市場で存在感を持ち続けるには、イノベーションを推進し、チャンスを逃さない姿勢が欠かせません。

社員の自主性向上と組織活性化でモチベーションアップ

イノベーションが進む企業では、社員が「自分のアイデアが会社を動かしている」という実感を持ちやすくなります。

新しいチャレンジが評価される環境では、「やらされる仕事」ではなく「自ら動く仕事」へと意識が変わり、主体的に行動する社員が増えていきます。

その結果、従業員一人一人の仕事への意欲が高まり、部署を超えた連携が活発になる、ボトムアップでの改革が起こるなど、業務の質や成果の向上につながっていきます。

迅速な意思決定と柔軟な対応力が実現する組織文化

市場の変化が激しい時代において、意思決定のスピードは企業の競争力に直結します。

イノベーションを推進する企業では、トップダウンではなく、現場の社員が素早く判断できる仕組みを整えることで、スピーディーな対応が可能になります。

逆に、イノベーションがない企業では、決裁プロセスが複雑で、意思決定に時間がかかることが多くなります。

たとえば、新しい取り組みを提案しても、承認までに何カ月もかかるような環境では、競争のスピードについていけません。

その結果、ビジネスチャンスを逃し、市場での存在感を失ってしまうリスクが高まります。

魅力的な企業として優秀な人材が集まる環境の形成

イノベーションを推進する企業は、優秀な人材にとって魅力的な職場となり、採用面でも大きな強みになります。

特に、若手や専門スキルを持つ人材は、自分のアイデアを活かせる環境を求めており、イノベーションが活発な企業に惹かれやすいのです。

逆に、変化のない企業は「成長のチャンスが少ない」と見なされ、優秀な人材が集まりにくくなります。また、既存の社員も将来に不安を感じ、転職を考えるようになるため、組織の競争力が低下してしまう可能性があります。

「コミュニケーションが活性化すればイノベーションが生まれる」は間違い!?

イノベーションを生むための土壌として、「コミュニケーションの活性化」「社員同士が気軽に話し合える関係性」は確かに重要な要素です。しかし、「雑談が増える」「会話が活発になる」といった表面的なコミュニケーションの活性化だけでは、イノベーションの実現にはつながらないことも多々あります。

本当に必要なのは、目的を持った情報の共有や、自由に意見を出せる心理的な安全性、そして部門を越えて知識や経験が交わる協働の場です。

実際、HR総研が公表した社内コミュニケーションに関するアンケート結果によれば、「イノベーション創出」に対して有意に影響があるのは、「社内コミュニケーション」よりも「部署横断のコラボレーション創出」「心理的安全性」「社内の情報共有」の3項目であることが示されています。

参考:「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024 結果報告|HR総研(図表7-3)

この3つは、「雑談が増える」「雰囲気がよくなる」といった表面的なコミュニケーションの活性化を超えて、組織の構造や文化、制度として意識的に整える必要がある要素です。

それでは、それぞれの要素がどのようにイノベーションと関わっているのかを見ていきましょう。

部門間の連携によるコラボレーションの創出

組織の縦割りが強いと、情報共有が滞り、新たなアイデアが生まれる機会が減ってしまいます。

経営者が意識すべきは、「他部門を知るきっかけを作ること」「偶発的な出会いを増やし、異なる知識が交わる場をつくること」 です。たとえば、委員会やプロジェクト単位での混成チーム編成や、他部門の知見を学ぶ機会を意図的に設けることで、異なる領域のアイデアが結びつき、新しい発想が生まれます。

日常業務の枠を超えたコラボレーションの機会を増やすことで、組織全体の創造力を高め、イノベーションの土壌を育てることができるのです。

TUNAGを活用した解決策

PCでもスマホでもアクセスでき、部署や拠点を問わず使えるTUNAGなら、豊富な機能を用いた以下のような施策で部門間の協働を促進できます。

  • 日報:オンラインで各部門専用の日報を運用でき、部門を超えてオープンにすることも可能です。普段から他の部門の業務や従業員を知る「きっかけ」を提供します。
  • 部署紹介リレー:各部署が持ち回りで、自部署の業務や従業員を紹介します。相互理解を深め、部門を超えた協働を促進します。
  • 部活動・サークル:部活動やサークルの参加メンバーだけで掲示板やチャットを利用できます。​部門を超えたコミュニケーションを促進し、風通しの良い職場環境を構築します。

心理的安全性が生む挑戦とアイデアの連鎖

心理的安全性が低い組織では、「失敗を恐れて発言しない」「上司の意向に合わせるだけ」といった状況が生まれ、新しいアイデアが出にくくなります。

心理的安全性を高めるには、「発言しても否定されない」「挑戦が評価される」 という文化が必要です。ただし、単に「意見を聞く場を設ける」のではなく、以下を意識すべきです。

  • 社員の提案が不採用になったとしても、意見を出したこと自体を歓迎する
  • 小さなアイデアから積極的に採用し、具体的な仕組みや形にする

意見が無視される経験が続けば、社員は発言しなくなります。経営層自らがフィードバックを行い、成功・失敗に関わらず挑戦を称賛すること、小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体の心理的安全性が高まり、革新的な発想が生まれやすくなります。

TUNAGを活用した解決策

TUNAGでは、心理的安全性の向上を目的とした以下のような施策を行えます。

  • 改善提案:社員が業務の中での気づきやアイデアを気軽に投稿でき、経営層や管理者もその中から採用するアイデアを選ぶことができます。
  • サンクスメッセージ:​社員同士が日々の感謝を伝え合うことで、称賛文化を育み、心理的安全性を高めます。 ​

戦略レベルの情報共有により主体性と挑戦を促進

情報が不透明な組織では、社員が経営の意図を理解できず新しい提案を控える傾向があります。一方、透明性が高い企業では、社員が自ら判断し、アイデアを提案しやすくなります。

重要なのは、戦略レベルの情報を経営層だけで留めず、現場にとって必要な形で共有することです。例えば、経営の意思決定の背景を定期的に説明し、社員が業務と結びつけて考えられる環境を整えることが、イノベーションを促進する大きなカギとなります。

TUNAGを活用した解決策

情報共有の促進や透明性を担保するためには、「タイムリーな情報発信」「齟齬を生まない伝達方法」 が重要です。しかし、紙媒体の掲示・配布では情報の鮮度が失われ、口頭伝達では伝言ゲームをしている間に伝達内容が変わってしまうという課題があります。

そこでおすすめなのが、「TUNAG」の活用です。TUNAGは、社内コミュニケーションを活性化するためのプラットフォームで、以下のような施策が実施可能です。

  • 社内報:​Web上で社内報を作成・配信でき、情報をタイムリーに全社員へ届けることが可能です。​
  • 社長メッセージ:​経営層が直接メッセージを発信でき、社員との距離を縮めることができます。​

成功事例や施策を紹介

情報共有や従業員の自主性を活かした施策を実施し、成果を上げた企業の事例を紹介します。自社に取り入れられるポイントを見つけ、イノベーション創出につなげましょう。

従業員の得意分野を活かし、売上向上を実現(株式会社フォレストファーム)

農産物直売所「旬の駅」を運営する株式会社フォレストファームでは、各店舗の知識や経験が十分に共有されておらず、従業員のスキルを活かしきれていない課題がありました。

特に、パート従業員の持つ「得意分野」が店舗横断で共有される仕組みがなく、それを活用する機会が限られていたのです。

この課題を解決するため、同社は社内コミュニケーションツール「TUNAG」を導入しました。その結果「料理が得意な従業員がレシピを投稿し、それを他店舗の従業員が接客に活かす」といった取り組みが自然に生まれるようになりました。

また、正社員だけでなくパート従業員も「TUNAG」で売上報告を確認できるようになったことで、日々の売上に対して全員の意識が高まり、売上向上に向けた自主的な提案が増加するという効果もありました。

農産物直売所「旬の駅」、4年連続で売上アップ。各店舗の知識をアプリで共有し、ペーパーレス化も実現 | TUNAG(ツナグ)

社員からの情報共有で販売力を強化(株式会社多慶屋)

総合ディスカウントストア「多慶屋」では、シフト勤務と部署間の隔たりから、社員間のコミュニケーションと情報共有が課題となっていました。そこで同社はTUNAGを導入し、社員が自社で扱っている商品のレビューや体験動画を投稿できる仕組みを整えました。その結果、動画の内容が社内で話題となり、社員一人ひとりの商品理解が進みました。

また「秋田食品フェア」というイベントの実施においても、TUNAGの機能を活用しました。まずTUNAGのプロフィール機能を活用して、秋田県出身の社員を検索してリストアップ。その社員たちに秋田弁を使ってポップのコメントを作成してもらい、地域性を活かした販促を実現しました。

このように情報の発信と共有を習慣化することで、社員同士の連携が強まり、販売力の向上につながっています。

「小売業ならではのコミュニケーションの課題を解決」社員相互の関係性と情報共有の精度が向上した多慶屋様のTUNAG活用事例

イノベーションを生み出す組織へ、今すぐ取り組むべきこと

イノベーションを推進するためには、単に「雑談を増やす」だけではなく、情報共有の仕組みを整え、社員が安心して挑戦できる環境を作ることが不可欠です。部門横断の協働を促し、心理的安全性を確保し、社内の透明性を高めることで、組織全体が活性化し、新たな発想が生まれやすくなります。

また、イノベーションは一部の優秀な人材だけが生み出すものではなく、日々の業務の中で生まれる小さな工夫や改善の積み重ねによって大きな変革へとつながっていきます。従業員一人ひとりが自分の意見を発信し、主体的に動ける環境を整えることで、企業全体の成長スピードが加速します。

本記事で紹介した成功事例のように、適切なツールを活用し、情報の可視化やコミュニケーションの強化に取り組むことで、イノベーションが自然と生まれる文化を築くことができます。自社に適した施策を見極め、実践することで、競争力のある組織を構築し、持続的な成長を実現していきましょう。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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