主体性とは?自主性との違いや重視される背景、高めるためのコツ
従業員の主体性を引き出せば、企業はさまざまなメリットを得られます。職場での取り組みで従業員の主体性を伸ばせるため、具体的な施策を検討してみましょう。主体性の意味や高めるメリット、育成におけるコツを紹介します。
主体性とは
主体性がある人とは、具体的にどのような人を指すのでしょうか。自主性との違いと併せて解説します。
物事に進んで取り組む力
主体性とは、周囲に頼らず自分の考えで物事に取り組む力です。やるべきことを自分で決めた上で、責任を持って行動することを指します。
主体性の重要なポイントは自責思考です。自分で決めた目的に向かって自分の考えで行動するため、結果に対する責任も全て自分が負います。
主体性と自主性の違い
主体性と意味が似た言葉に自主性があります。自主性とは、あらかじめ決まっている目的に対し、率先して取り組む姿勢のことです。
主体性が目的を自分で決めるのに対し、自主性では目的が明らかになっています。また、主体性は行動の責任を自分で負いますが、自主性で行動の責任を負うのは目的を決めた人です。
目的を自分で決める上に行動の責任も負わなければならない主体性は、自主性より取得のハードルが高くなります。
ビジネスで主体性が求められる背景
物事が不確実で何が起こるか分からないVUCA時代では、自分で考えて行動する力が不可欠です。変化の激しい現代を企業が乗り切るために、主体性のある人材が求められています。
また、近年は多様性を受け入れることで企業価値の向上を図る企業が増えています。職場でさまざまな考え方や価値観が交わる中、主体性がある人は相手の意見を尊重しながら自己主張できるため、多様性をより生かせる組織になるのです。
主体性の有無による特徴の違い
従業員の主体性の有無を見極められれば、教育や評価の際に参考になるでしょう。主体性の有無による特徴の違いについて解説します。
主体性がある従業員の特徴
主体性がある従業員には、主に次のような特徴があります。
- 責任感が強く、失敗を反省し次の行動に生かせる
- 好奇心旺盛で何事にも挑戦しようとする
- 指示される前に自分から行動を起こせる
- 自己肯定感が高く、何事にも自信を持って取り組める
- 自分の役割や業務の目的を明確化できる
主体性がない従業員の特徴
主体性がない従業員の主な特徴は以下の通りです。
- 指示通りにしか動かないため、工夫したり効率化を図ったりできない
- 自分の意見を持っておらず、周囲に流されやすい
- 他人に頼る傾向があり、自分で考えたり行動したりしない
- 自己肯定感が低いため、自分がやることに自信を持てない
従業員の主体性を高めるメリット
従業員が物事に進んで取り組むようになれば、従業員と企業の双方にメリットがもたらされます。従業員の主体性を高めることで期待できる効果を見ていきましょう。
従業員が成長しやすくなる
主体性のある従業員は、自分で決めた目標に向かって能動的に業務に取り組むため、より早く成長します。育成コストを抑えられる点もメリットです。
そもそも主体性のある従業員は成長意欲が高く、成果に対する評価や報酬をモチベーションに変えています。仕事を通した挑戦により自分が成長できることが分かっているのです。
生産性向上を図れる
従業員の主体性を高めるメリットの一つに、生産性の向上を図れることも挙げられます。常に業務の課題改善に努めるため、チームや部署の組織力が底上げされるでしょう。
また、主体性のある従業員は仕事を俯瞰して捉えることから、周囲を巻き込んで仕事ができます。メンバーの協力があってこそ成果を最大化できるという意識を持っているのです。
イノベーション創出につながる
主体性を持った従業員は、常に新しいことへチャレンジしようとしています。さまざまなアイデアが生まれやすく、イノベーション創出を期待できることがメリットです。
イノベーション創出により新たな商品やサービスを開発できれば、市場における競争力が強化され、優位性を保ちやすくなります。時代の変化にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
従業員の主体性を高めるコツ
従業員の主体性は企業側の努力で引き出すことが可能です。従業員の主体性を高めるコツを紹介します。
従業員に仕事を任せる
従業員に細かい指示を出して仕事をさせると、指示がなければ動けなくなってしまいます。従業員の主体性を引き出すためには、従業員に仕事を任せることが重要です。
最初は業務の全てを丸投げせず、一部のみを任せてみましょう。うまくできたらしっかりと褒め、失敗した場合は従業員と一緒に結果を検証します。
従業員が自分で考えて行動した結果に対し、否定したり怒ったりするだけで済ますのはNGです。失敗を恐れるようになり、自分の意思で動こうとしなくなるため、主体性を引き出せなくなります。
内発的動機を引き出す
内発的動機とは、自分の内面的な要因によって生まれる動機です。仕事に関しては、「仕事が楽しい」「勝手に興味が沸く」といった気持ちが該当します。一方、評価や報酬が目的で生じる気持ちが外発的動機です。
従業員の主体性を高めるためには、内発的動機を引き出す必要があります。承認欲求や自己実現の欲求が満たされる仕組みをつくれば、主体性を引き出しやすくなるでしょう。
内発的動機が生じた従業員には、過剰な外的報酬を設けないことが重要です。せっかく芽生えた内発的動機が、外発的動機にすり替わる可能性があります。
コーチングを取り入れる
従業員の主体性を高める方法として、コーチングを導入するのも効果的です。ビジネスにおけるコーチングとは、従業員の目標達成を支援する育成手法を指します。
コーチングの主な目的は、相手の自発性を引き出すことです。従業員が自分で答えを出す力を習得するため、自分の意志で行動できるようになります。
コーチングでは常に双方向のコミュニケーションを重視し、相手と継続的に関わりながら着実に目標へ近づくことを目指します。コーチのスキルが結果を左右するため、本格的に取り組むなら専門的なプログラムを受講するのがおすすめです。
企業理念を組織に浸透させる
従業員の主体性は、「職場に貢献したい」「組織のビジョンを実現したい」という気持ちからも引き出せるものです。自分の意志や判断で企業の目的を達成できる目標があれば、主体的な取り組みを促進できる可能性があります。
組織内で生まれる新しい価値観は尊重しつつ、長期的な視野に基づいた企業理念を組織に浸透させることが重要です。理念浸透により従業員に一貫した価値観が育まれれば、企業にとって何が必要なのかを判断しやすくなるため、主体的な行動も起こしやすくなります。
企業理念を組織に浸透させるなら、エンゲージメント向上プラットフォーム「TUNAG」の導入がおすすめです。経営理念の浸透を促進する施策を、自社の状態に合わせて効果的に実施できます。
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従業員の主体性を高めて組織力を強化
主体性とは、自分の判断や意思で物事に働きかけ、結果に対して責任を負える力のことです。より多くの従業員が主体性を持てば、企業と従業員の双方にメリットがもたらされます。
従業員の主体性はさまざまな取り組みで高めることが可能です。組織力のさらなる強化を目指し、自社で実施できそうな取り組みを検討してみましょう。