ワーカホリックとは?企業にとってのリスクや対処法を解説
ワーカホリックの従業員は心身の健康を害しやすいほか、バーンアウトになる恐れもあります。ワーカホリックのリスクを理解し、企業としての対策を講じることが重要です。ワークホリックの意味やなりやすい人の特徴、企業ができる対処法を紹介します。
ワーカホリックとは
ワーカホリックは「Work(仕事)」と「~holic(中毒)」から生まれた造語です。具体的にどのようなことを指すのか、まずは言葉の意味を解説します。
仕事に依存しすぎている状態
ワーカホリックとは「仕事中毒」になっている状態のことです。常に働いていなければ落ち着かない、仕事に依存しすぎている様子を意味します。
ワーカホリックになっている人は、何よりも仕事を優先する傾向にあります。プライベートや健康への意識が低く、常に仕事のことで頭がいっぱいになっています。
「~holic(中毒)」が含まれていることからも分かるように、ワーカホリックは一般的にネガティブな意味で使われる言葉です。
従業員がワーカホリックになるリスク
ワーカホリックは従業員にさまざまな悪影響を及ぼします。ワーカホリックの状態で仕事を続けるリスクを見ていきましょう。
人間関係が悪化する
ワーカホリックに陥っている人は、仕事を優先するあまり周囲が見えなくなるため、人間関係をおろそかにしがちです。家族や友人との関係が希薄になる恐れがあります。
コミュニケーションを重視しない状況は、職場にも悪影響を及ぼしやすくなるでしょう。一緒に働いている人が声を掛けづらくなることから、職場の雰囲気が悪くなってしまいます。
本人は一生懸命に働いている自覚があり、周囲に迷惑をかけているとは思っていません。しかし、周囲が距離を置くため、本人は職場やプライベートで孤立しやすくなります。
バーンアウトを引き起こす
バーンアウトとは、高いモチベーションを保っていた人が急にやる気を失う症状です。燃え尽き症候群ともいわれます。
ワーカホリックな人は、ある意味脅迫的に働いているため、ストレスをため込んだ挙句バーンアウトになりやすいとされています。
バーンアウトになると次のような症状が見られることもあり、生活に大きな支障をきたしかねません。
- 仕事がつまらなくなる
- 朝起きられない
- 会社を休んでしまう
- 職場でイライラする
- 心身ともに疲れ果てたと感じる
- 強い自己否定感を覚える
心身の健康を害する
仕事のことで頭がいっぱいになっている状態では、心身が休まる暇がありません。時間外労働や休日出勤も抵抗なく行えるでしょう。
身を削って働いた結果、ワーカホリックな人は体調を崩してしまい、自律神経失調症・強迫性障害・うつ病・めまい・頭痛などを患う恐れがあります。
心身の健康を害すると、仕事を休まざるを得なくなるケースもあり、業務が停滞しかねません。長期離脱になった場合は、代わりの人員を探さなければならなくなるリスクもあります。
ワーカホリックになりやすい人の特徴
どのような人がワーカホリックになってしまうのでしょうか。ワーカホリックになりやすい人の代表的な特徴を紹介します。
責任感が強い
真面目で責任感が強い人は、ワーカホリックになりやすい傾向があります。決して手を抜くことなく、与えられた仕事を最後まできちんと遂行しようとするためです。
自分では対処しきれない仕事を抱え込んでも、責任感が強い人は周囲を頼ろうとしません。仕事が終わるまで働き続ける日々が続くと、仕事のことばかり考えるようになります。
また、責任感が強い人は、周囲の期待に応えようとしがちです。仕事を断ったり途中でサポートを依頼したりすると、期待を裏切る形になってしまうと感じ、限界を超えても頑張ろうとします。
完璧主義
完璧主義な人もワーカホリックに陥りやすくなります。自分に厳しく妥協しないため、納期に遅れたり業務のクオリティが下がったりすることを許せないのです。
完璧主義者は負けず嫌いな傾向があり、近くのライバルに負けたくないという思いから、いくらでも仕事に時間を費やせます。
業務に完璧さを求めるあまり、自分を追い込むことが多くなるため、結果的にワーカホリックの状態になってしまいます。
回避依存症
回避依存症とは、深い人間関係の構築を避けている人のことです。「仲良くはなりたいが自分を深く知られたくない」といった心理が働いています。
回避依存症にはいくつかのタイプがあり、仕事に熱中するのもその1つです。常に忙しくすることで近寄りがたい雰囲気を出し、周囲と深い関係になるのを回避します。
支配されることを嫌う傾向があるのも回避依存症の特徴です。仕事で結果を出し続けて力を示そうと頑張るため、いつしかワーカホリックになってしまいます。
企業としてのワーカホリック対処法
従業員がワーカホリックにならないための対処法を紹介します。企業としてできることを把握し、可能な範囲で実践してみましょう。
ワーカホリックのリスクを周知する
具体的な予防や対策を行う前に、まずは社内でワーカホリックのリスクを周知しましょう。ワーカホリックに対する社内の理解が十分でない場合、対策を講じても思うような効果を得られない恐れがあります。
従業員向けの研修を実施し、ワーカホリックの特徴や注意点を学んでもらうのがおすすめです。組織全体で理解が深まれば、ワーカホリックの早期発見や予防にもつながりやすくなります。
従業員のストレスや業務量をチェックする
ストレスを抱えた従業員はワーカホリックになる恐れがあります。ストレスチェックを導入し、メンタルヘルス不調が発生しない職場を目指しましょう。
従業員ごとの業務量をチェックすることも大切です。過度な負荷がかかっている従業員がいるなら、上司が業務量を調整するのも1つの方法です。
なお、2014年6月に労働安全衛生法が改正されたことにより、50名以上の労働者がいる企業には2015年12月からストレスチェックが義務付けられています。
ワークエンゲージメントを高める
ワークエンゲージメントとは、仕事に対して前向きな感情を持ち充実した状態のことです。活力・熱意・没頭の3要素がそろった状態を指します。
ワークエンゲージメントとワーカホリックは対極的な意味を持つため、ワークエンゲージメントを高めればワーカホリックの発生を抑えることが可能です。意識改革に役立つジョブ・クラフティングを実施するとよいでしょう。
出典:コラム2ー6図 ジョブ・クラフティングについて|令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-|厚生労働省
社内コミュニケーションの促進を図る
職場における積極的なコミュニケーションの促進は、ワーカホリックの予防につながります。以下に挙げる施策を実施し、従業員の孤立を防ぎましょう。
- 1on1ミーティング:上司と部下が1対1で行う面談
- 社内イベント:飲み会・スポーツ大会・ファミリーデー・社員旅行など
- フリーアドレス:オフィスで自由に席を選べるワークスタイル
- メンター制度:先輩がメンターとなり後輩をサポートする制度
社内コミュニケーションを活性化させるクラウドサービス「TUNAG」を導入すれば、Web社内報・チャット・サンクスカードといった機能を活用できます。社内コミュニケーションが促進されれば、従業員の働きがいの向上にもつながり、生産性向上や離職改善も期待できるでしょう。
▼TUNAGの詳しい説明はこちら
TUNAG(ツナグ) | エンゲージメント向上で働きがいのある組織を作る
ワーカホリックに対処し働きやすい職場を実現
従業員がワーカホリックになると、さまざまなリスクが発生します。人間関係の悪化やバーンアウト、健康被害を引き起こしかねません。
ワーカホリックは企業側の対策で予防することが可能です。できる範囲で施策を実施し、従業員にとって働きやすい職場を実現しましょう。