7割が「社風」を決め手に内定承諾! 待遇だけでは選ばれない時代に「働きがい」「企業文化」で魅力的な職場を作る方法
「良い人材を採用したい」「今いる社員に長く活躍してほしい」。こうした課題に対し、給与アップや福利厚生の充実など、多くの企業では待遇面での改善を進めてきました。
しかし、待遇改善だけで「選ばれる会社」になることは、もはや難しい時代となっています。新卒の内定承諾の決め手で最も多いのは「社風や社員の雰囲気」であるという調査結果や、働きがいや企業文化を理由に転職する社員の割合が増えたという調査結果があります。
これからの時代に必要なのは、待遇面での満足に加えて、社員一人ひとりが感じる「働きがい」と、その会社ならではの「企業文化」づくりです。優秀な人材に選ばれ、厳しい競争を勝ち抜くための戦力を獲得できる職場作りについて、ポイントや考え方を紹介します。
【時間がない方のためのポイントまとめ!】
- 調査結果から、求職者や従業員は「待遇」だけでは会社を選んでいないと判明
- 待遇改善だけで採用や定着を強化するには、デメリットやリスクが大きい!
- 「働きがい」「企業文化」で魅力的な職場を作る方法を解説!
求職者や従業員は、「待遇」だけで会社を選ばない
給与や福利厚生などの待遇改善は、人材確保において大切な要素です。しかし、それだけでは長期的な人材確保が難しくなってきました。
なぜ待遇改善だけでは不十分なのでしょうか。その理由と、これからの時代に必要な取り組みについて見ていきましょう。
25卒学生の「内定承諾の決め手」とは
2025年卒の就職先が決まっている学生を対象に株式会社ジェイックが実施した調査によると、内定承諾の理由は以下の通りでした。
- 第1位:社風がいいと感じた、社員の雰囲気がいい
- 第2位:やりたい仕事ができる、やりがいのある仕事ができる
- 第3位:成長できる環境が整っている
- 第4位:企業理念に共感した
- 第5位:給料や休日など勤務条件が良い

ランキング上位に「社風や社員の雰囲気」「やりたい仕事・やりがいのある仕事」「成長環境」などがあることから、新卒採用の候補者が待遇だけでなく、働きがいや企業文化を重視して就職先を選んでいることが分かります。
参考:「内定を承諾した決め手」についてのアンケート|株式会社ジェイック
中途社員の転職理由とは
2022年7月〜2023年6月の1年間に転職した825名を対象とした株式会社dodaの調査によると、転職理由は以下の通りでした。
- 第1位:給与が低い・昇給が見込めない
- 第2位:社内の雰囲気が悪い
- 第3位:人間関係が悪い/うまくいかない
- 第4位:尊敬できる人がいない
- 第5位:会社の評価方法に不満があった

特に「社内の雰囲気が悪い」「人間関係が悪い/うまくいかない」はいずれも前年度の調査から順位を上げており、働きがいや企業文化を理由に転職する社員の割合が増えたことが分かります。
従業員が長く働きたいと感じる理由は?
今いる従業員はどのようなときに「この会社で働き続けたい」と思うのでしょうか?
従業員の働きがい向上を実現する「TUNAG(ツナグ)」を運営する弊社(株式会社スタメン)が実施した調査では「これからもこの職場で働きたいという気持ちになるのは、どのような時ですか?」という質問に対して、回答は以下の順位となりました。
- 第1位:給与が上がったとき
- 第2位:お客様や上司・同僚から褒められたり感謝を伝えられたとき
- 第3位:仕事がうまく進められたとき
- 第4位:自分の成長を実感したとき
- 第5位:興味のある業務をしているとき

この結果から、給与を上げるだけでなく働きがいを高めたり、称賛や成長を促進する企業文化を醸成することで、従業員に長く働いてもらえる可能性が高いことが分かります。
参考:株式会社スタメンの2023年の調査(N=2,308)
待遇改善だけで採用や定着を強化するデメリット
ここまで求職者や従業員が待遇改善だけでなく働きがいを求めているというデータでご紹介しましたが、待遇改善だけで人材確保をしようとすると企業にもデメリットがあります。このセクションでは、それについて解説します。
外部環境の変化に対応できない
企業を取り巻く環境は、常に変化し続けています。景気の変動、業界構造の変化、予期せぬ危機など、外部環境の変化は企業経営に大きな影響を与えます。直近では、コロナ禍による混乱を経験した企業も多いのではないでしょうか。
例えば業界全体が不況に陥れば、多くの企業が待遇の引き下げを余儀なくされます。また、会社の将来に不安を抱き、そもそも優秀な人材が別の業界への転職を考え始めるかもしれません。そのような時、待遇面だけが会社の魅力になっていると、人材の流出リスクが一気に高まってしまいます。
一方で、仕事のやりがいや職場の良好な人間関係、企業理念への共感といった要素は、外部環境の影響を受けにくい特徴があります。そのため、待遇と働きがいの両面から会社の魅力を高めることで、環境変化に強い組織づくりが可能となります。
競合他社との差別化が難しい
現在、多くの企業が人材確保のために待遇改善を進めています。そのため、待遇面での差別化が非常に難しくなっているのが現状です。たとえば給与を引き上げても、すぐに他社も同じように対応するため、その効果は一時的なものになりがちです。
また福利厚生についても、同業他社の間で似たような制度が広がっています。休暇制度や手当の充実だけでは、他社との違いを出すことが難しくなってきています。
このような状況では、たとえ待遇改善を行っても、それだけでは応募者や社員に「この会社で働きたい」と思ってもらえる十分な理由にはなりにくいのです。
企業の成長を圧迫しかねない
待遇改善には必ず費用が発生します。給与を上げ続けたり福利厚生を増やし続けることは、会社の経営を圧迫する可能性があります。
何より、給与が上がっても人はすぐに慣れてしまうものです。給与アップへの喜びや達成感はやがて薄れ、しばらくすれば「もっと給料を上げて欲しい」という気持ちに変わっていきます。適正な給与を支払うことはもちろん必要ですが、際限ない給与アップは会社を財政的に圧迫し、事業拡大や組織拡大のための投資コストを圧迫する恐れがあります。
「働きがいのある職場」を作る5つのアプローチと具体施策
従業員の採用や定着に効果的な「働きがい」の醸成。具体的にどのように働きがいのある職場を作っていけば良いのか、5つのアプローチに分けて解説します。
①ビジョンや会社の方向性を共有する
社員が自分の仕事の意義を感じるためには、企業のビジョンや目標が明確であり、全社員に共有されていることが重要です。
具体施策
- 定期的な全社会議で、会社が目指す方向や事業戦略について共有する
- 社内報や社内ポータルで社長メッセージを配信し、ビジョンの浸透を図る
- 各部門の目標をビジョンと結びつけ、社員がビジョンと結びつけて自分の業務の貢献度を理解できるようにする
■ 関連するお役立ち資料
『理念浸透を実現するための4つのステップと施策20選』
「経営理念を社内に浸透していきたいが、何から始めれば良いかわからない」という方におすすめです。浸透の4ステップと、各ステップでおすすめの施策を20個まとめました。
②心理的安全性を確保する
心理的安全性とは、安心して意見を出したり失敗を学びとしてオープンに共有できる状態です。社員が意見を自由に発信し、失敗を恐れず挑戦できる環境は、働きがいを感じるための基盤となります。
具体施策
- 目安箱や改善提案など、匿名で意見や提案を送信できる仕組みを設ける
- マネージャー向けに心理的安全性を高める管理職研修を実施する
- チーム内で定期的に振り返りミーティングを行い、成功だけでなく「失敗からの学び」を共有する文化を醸成する
- 上司が率先して失敗からの学びを共有するようにする
③称賛文化の醸成
努力や成果を上司や同僚、会社に認めてもらうことで、従業員は何倍もの働きがいを感じられます。業績での称賛はもちろんですが、優れた取り組みや縁の下の力持ちの頑張りに焦点が当たる称賛の取り組みを実施しましょう。
具体施策
- 朝礼で「最近の成功事例」や「感謝を伝えたい社員」を共有するなど、称賛の仕組みを日常業務に組み込む
- 感謝や称賛を送り合う「サンクスカード」を運用する
- 表彰制度を設け、月次や四半期ごとに業績やチームビルディングにおいて貢献した社員を表彰する
④評価の透明性を担保する
自分の頑張りや貢献が適切に評価されたと感じてこそ、従業員の働きがいが高まります。そのためには、何をすれば評価されるのかを明確にしておくことが重要です。
具体施策
- 定期的な1on1面談を実施し、業務への具体的なフィードバックや期待のすり合わせを行う
- 等級やグレードごとの評価基準を明確化し、全社員に公開し、それに基づく目標設計を行う
- 売上に直接関わらない部署の貢献を、「サンクスカードをもらった数」「改善提案が通った数」など定量的に評価に組み込む
⑤成長機会を提供し、キャリア形成を支援する
社員が成長を実感し、喜びや達成感を得る仕組みが必要です。また、自分のキャリアが企業の中で広がっていくことを感じられる環境が重要です。
具体施策
- メンター制度を導入し、キャリア相談やスキルの共有を促進する
- スキルアップのための研修や資格取得支援プログラムを提供する
- 社員が新しいプロジェクトや役割に挑戦できるジョブローテーション制度を導入する
社員の心をつかむ「企業文化」の作り方
企業文化は、会社の「らしさ」を形作る重要な要素です。ここからは、企業文化が持つ力とその作り方について見ていきましょう。
独自の企業文化をどのように作るか?
企業文化とは、その会社ならではの価値観や行動様式のことです。たとえば、「失敗を恐れずチャレンジできる文化」「部門を超えて協力し合える風土」「年次に関係なくアイデアを発信できる雰囲気」など、会社によって特徴は様々です。
企業文化は、事業内容と強く関連します。そのため自社の企業文化を曖昧に感じている場合は、事業内容から「自社らしさ」を考えてみるのがおすすめです。
たとえば働きがいや従業員エンゲージメントを向上させる「TUNAG(ツナグ、https://biz.tunag.jp/ )」を提供する弊社(株式会社スタメン)の場合、自社でも働きがいやエンゲージメントを大切にしています。社員が日常的にサンクスカードを送り合って称賛したり、昇格基準をすべてオープンにして成長を促す文化があります。
ただ、同じ業界で事業を展開しているとしても会社によって企業文化は異なります。「目の前のお客様にとにかくスピーディーに対応すること」を重視している企業もあれば、「業務を正確に行い、お客様からの信頼を積み上げること」を重視する企業もあるでしょう。
「その事業をやる中で経営者や現場の社員が大切にしていること(大切にしたいこと)は何か?」を考えてみると、「自社らしさ」が浮かび上がってくるのではないでしょうか。
ミッションや行動指針は掲げるだけでなく「浸透」させることで文化になる
企業文化と切っても切り離せないのが、会社のミッション(存在意義・使命)や行動指針です。しかし、ミッションを掲げるだけでは、十分な効果は得られません。
ここで、「組織文化の3つのレベル」をご紹介します。これは「組織文化」という概念を構築したエドガー・H・シャイン氏によって提唱されたものです。

参照元:https://en.wikipedia.org/wiki/Edgar_Schein (図は弊社作成)
企業文化は、水面の一番深くにある「共通の基本的仮定」にあたります。無意識レベルで当たり前だとされている自社の文化や行動様式です。
それを具体化して、水面に近いところにあるのが真ん中の「重視されている価値観」です。これがミッションや行動指針に該当します。
それをさらに具体化して水上に見えるようになっているのが「人工物や行い」で、オフィスの掲示物、社長メッセージやサンクスカードなどの社内施策など認識可能なものです。
つまり企業文化が成立するには、以下によってミッションや行動指針を社員一人ひとりの日々の仕事と結びつけることが重要です。
- 企業文化をミッションや行動指針と紐づける
- ミッションや行動指針を目に見えるところに掲示したり、社内施策に具体的に落とし込む
社内施策を運用する際は、部門ごとに「私たちがミッションの実現のために果たせる役割は何か」を話し合う機会を設けたり、定期的なミーティングやフィードバックの場で個人の仕事がミッションとどのようにつながっているかを確認することも大切です。
さらに、ミッションの実現に向けた具体的な成果や社員の貢献事例を共有することで、より実感を伴った理解が進みます。
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成功事例に学ぶ企業文化改革のポイント
企業文化の改革は、長期的な視点で取り組む必要があります。なぜなら、企業文化は一朝一夕には変わらないものだからです。ここでは企業文化の変革に成功した事例を2つご紹介します。
日本航空株式会社(JAL)の例
日本航空株式会社(JAL)は、2010年1月に経営破綻した後、企業文化の改革を中心とした再建が進められました。全社員が共有すべき価値観や考え方をまとめた「JALフィロソフィ」の策定や、従業員を少数のメンバーに分けて細かな集団に細分化し、集団におけるそれぞれのリーダーが経営者の視点で企業活動を行う「アメーバ経営」の手法を取り入れました。
その結果、2012年3月期に2049億円の営業黒字を計上し、同年9月には東京証券取引所に再上場を果たしたという実績があります。
この成功事例から言えるのは、経営層が明確なメッセージを発信し続けることの重要性です。どのような文化を目指すのか、なぜそれが必要なのかを、繰り返し伝えていく必要があります。次に、目指す文化を体現する行動を具体的に示すことが大切です。抽象的な言葉だけでは、日々の行動の変化は生まれません。
小さな変化や成果を認識し、組織全体で共有していくことが、改革の推進力となります。
参考:JALフィロソフィ|理念・ビジョン|JAL企業サイト
参考:JALグループ 平成24年3月期連結業績の概況
株式会社ユー・エス・エスの例
中古自動車のオークション事業などを展開する株式会社ユー・エス・エス。複数拠点を展開する中で、「地元採用中心ということもあり、同じ会社なのに拠点ごとに文化が異なる」という課題を感じていました。
そこで社内SNSとして「TUNAG」を導入。「昔からある文化を急に変えることはなかなか難しい」「いきなり全従業員でスタートすると受け入れられにくいのではないか」との懸念から、まずは内定者向けに運用を開始しました。
プロフィール機能をお互いの人となりを知るきっかけとして活用し、社内イベントについて投稿をしたり、夏休み限定の企画で内定者とコミュニケーションを続けた結果、TUNAG導入した年の内定辞退がゼロになりました。
この事例からは、内定者に企業文化に触れてもらい、ミスマッチのない状態で入社してもらうことの重要性が分かります。また、企業文化の変革において、いきなり全社で取り組みを始めるのではなく、一部の社員の間で企業文化をある程度確立し、それを全社に広げていくというやり方を学ぶことができます。
▼ユー・エス・エスの事例を詳しく読む
昔ながらの企業文化変えるための導入ステップとは?「内定者」のエンゲージメント向上から「全社」へ展開
TUNAGを活用した働きがい向上・企業文化の強化
働きがいの向上や企業文化の醸成には、ツールの活用が効果的です。「TUNAG(ツナグ、https://biz.tunag.jp/ )」は、そのための強力なサポートツールとなります。以下では、「TUNAG」を使って何ができるのかを詳しく見ていきましょう。
■ 関連するお役立ち資料
『3分でわかるTUNAG』
TUNAGの機能やサポート内容をまとめました。現在1,000社以上の企業、100万人以上のユーザーに利用されているサービスです。
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社長メッセージや事業部長コラムの発信
従業員が自分の業務に働きがいを見出すには、経営層の想いや事業部の方針を知ることが欠かせません。
TUNAGなら動画やテキストで社長の想いを届けたり、部門長のコラムを投稿することが可能です。
従業員は自分の業務が事業や会社の成長につながっていることを実感でき、「会社が自分たちを見てくれている」と感じて働きがいが高まります。
サンクスカードや表彰制度の運用
社員の努力や成果を認め合う文化は、職場の活力を高める重要な要素です。
「TUNAG」には、日常的な感謝の気持ちを気軽に伝え合える「サンクスカード」機能があります。ちょっとした協力や支援に対して手軽に感謝の意を表すことができ、従業員の良い行動が組織全体で共有されます。
また、月間MVPの選出や社内表彰など、サンクスカードを活用した表彰制度の運用も可能です。
こうした取り組みにより、社員一人ひとりの貢献が可視化され、より高いモチベーションにつながります。さらに、感謝の言葉が組織内で共有されることで、ポジティブな組織文化が自然と形成されていきます。
採用候補者にTUNAGでのコミュニケーションの様子を共有
採用活動において、自社の企業文化や職場の雰囲気を正確に伝えることは重要な課題です。
「TUNAG」を活用することで、より生きた形で会社の魅力を伝えることができます。
たとえばTUNAG上の活発なコミュニケーションの様子やプロジェクトでの協働の事例について、候補者に実際のTUNAG画面を見せながら説明することで、職場の雰囲気を共有できます。(ただし、名前や顔写真にぼかしを入れるなど社員のプライバシーには十分に配慮しましょう。)
このように、TUNAGを活用すれば採用候補者に対してより具体的かつリアルな企業文化の発信が可能となり、採用時点でのミスマッチの防止にもつながるでしょう。
待遇と働きがい・企業文化の両輪で、真に「選ばれる会社」へ
待遇改善は確かに重要ですが、それだけでは「選ばれる会社」にはなれない時代です。これからは、待遇面での満足と、働きがいの向上・独自の組織文化を両立させていくことが求められます。
そのためには、従業員の声に耳を傾け、データに基づいた改善を進めながら、社員同士の活発なコミュニケーションを促進していく必要があります。
TUNAGは、そうした取り組みを支援する強力なツールとなるでしょう。
一人ひとりが活き活きと働ける職場づくりを目指して、まずは第一歩を踏み出してみませんか。
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