パーパスとは?意味・違い・必要性・企業事例までわかりやすく解説
パーパスは組織の羅針盤であり、従業員の仕事の意義を明確にし、エンゲージメントを高める鍵でもあります。しかし、パーパス策定や浸透には課題も多いのが実情です。本記事では、1000社以上の組織課題解決を支援してきたTUNAG(ツナグ)が、パーパス経営の重要性と実践のポイントを解説します。
パーパスとは?企業の存在意義を示す羅針盤
パーパスという言葉は近年注目を集めるようになり、従業員への浸透を図る企業も増えています。しかし、従業員からすると「ビジョン」や「ミッション」などの言葉と差別化できておらず、経営層もまた、その違いが区別できていないケースは少なくありません。
そのような場合、パーパスは形骸化し、効果を発揮できないでしょう。
ここでは、パーパスの基本的な定義から、よく混同される他の概念との違いまでを明確にしていきます。
パーパスの定義と意味合い
パーパスとは、企業が社会に存在する根本的な理由を表す概念です。「利益を上げること」が目的ではなく、「社会にどのような価値を届けるのか」を明確にしたものといえるでしょう。
多くの経営者が気づいているように、現代の企業経営においては、単なる売上の向上だけでは限界があります。パーパスは企業のあらゆる活動の軸となり、戦略立案から日常業務まで一貫した方向性を提供します。
従業員にとっても、自分の仕事が社会にどう貢献しているかを実感できるため、働きがいの向上につながります。結果として、組織全体のパフォーマンス向上が期待できるのです。
パーパス、ミッション、ビジョン、バリューの違い
ミッション(使命)、ビジョン(目指す姿)、バリュー(価値観)はそれぞれ異なる役割を持っています。
名称 | 定義 | 例 |
パーパス | なぜ存在するのか(存在理由・目的) | 「人々の生活をより豊かにする」「社会の課題を技術で解決する」 |
ミッション | 何をするか(使命・果たすべき役割) | 「高品質な製品を手頃な価格で提供する」「最先端のITサービスを開発する」 |
ビジョン | 将来どうなりたいか(目指す姿・理想像) | 「業界のリーディングカンパニーになる」「2030年までに売上高1,000億円を達成する」 |
バリュー | どのような価値観を大切にするか(行動指針・重視する価値) | 「顧客第一主義」「チャレンジ精神」「誠実性」「イノベーション」「チームワーク」 |
ミッションは「何をするか」を示し、ビジョンは「将来どうなりたいか」を描きます。バリューは「どのような価値観を大切にするか」を表現するものです。
一方、パーパスは「なぜ存在するのか」という最も根源的な問いに答えます。
パーパスは他の3つの概念よりも上位に位置し、時代が変わっても変化しにくい普遍的な性質を持っています。つまり、ミッション・ビジョン・バリューを支える土台として機能するのです。
経営理念・クレドとの違いを理解する
経営理念やクレドも企業の価値観を示すものですが、パーパスとは役割が異なります。
経営理念は企業が大切にする考え方や哲学を表し、クレドは従業員の具体的な行動指針を示します。これらは「どう行動すべきか」に重点を置いているといえるでしょう。
パーパスはそれらの根底にある「存在する理由」を明確にします。理念やクレドが具体的な行動を導く羅針盤だとすれば、パーパスはその羅針盤が指し示す「真北」といえるでしょう。
パーパスの派生語と意味の広がり
パーパスという概念の重要性が認識されるにつれ、関連する用語も生まれています。例えば、以下のようなものがあります。
- パーパス経営:企業の存在意義を軸とした経営手法
- パーパスブランディング:社会的価値を前面に出したブランド戦略
- パーパスドリブン:存在意義を起点とした組織運営
これらの用語が注目される背景には、企業に対する社会からの期待の変化があります。利益追求だけでなく、社会課題の解決や持続可能な発展への貢献が求められる時代になったのです。
パーパスが必要とされる背景とは?
なぜ今、パーパスが注目されているのでしょうか?その背景には、企業を取り巻く環境の大きな変化があります。
企業に求められる価値観が変化している
従来の「利益第一主義」から「社会的意義の重視」へと、企業に対する期待が根本的に変わりました。
特に若い世代の従業員や消費者は、企業の社会的な姿勢を重視します。「この会社で働くことに意味があるのか」「この商品を買うことで社会に貢献できるのか」といった視点で企業を評価するようになったのです。
実際に、転職を検討する際に「企業の社会的使命に共感できるか」を重要な判断基準とする人材が増えています。優秀な人材を確保し続けるためにも、明確なパーパスの設定が欠かせません。
投資家が評価する基準も「意義重視」にシフト
資本市場においても、ESG投資やインパクト投資の拡大により、パーパスが重要な評価要素となっています。
従来の財務指標だけでなく、環境・社会・ガバナンスの観点から企業を評価する投資家が増加しました。企業の持続可能性や社会への貢献度が、投資判断に大きく影響するようになったのです。
明確なパーパスを持ち、それに基づいた事業展開を行う企業は、長期的な成長性が高いと評価される傾向があります。資金調達の面でも、パーパスの重要性は高まっているといえるでしょう。
DX推進とパーパスの関係
デジタル化の進展により、企業と社会とのつながり方も大きく変化しました。
SNSやオンラインプラットフォームを通じて、企業の行動や姿勢が瞬時に世界中に発信されます。一貫性のない行動や曖昧な価値観は、すぐに見抜かれてしまうでしょう。
このような環境では、明確な存在意義と一貫した価値観を持つことが、信頼性の構築に不可欠です。パーパスはデジタル時代における企業の「アイデンティティ」としての役割を果たすのです。
パーパスを導入するメリット
パーパスが注目されるのは、それが企業経営にもたらす具体的なメリットがあるからです。組織力の向上から事業戦略の明確化まで、その効果は多岐にわたります。
従業員のエンゲージメントを高める力がある
明確なパーパスは、従業員の働く意欲を根本的に変える力を持っています。
単なる業務の遂行ではなく、「社会に意味のある仕事をしている」という実感を得られることで、仕事への誇りと情熱が生まれます。この変化は、生産性の向上や離職率の低下という具体的な成果として現れるでしょう。
また、チーム全体が同じ方向を向いて進むことで、組織の結束力も高まります。困難な課題に直面した際も、パーパスが共通の支えとなり、チーム一丸となって解決に取り組むことができるのです。
意思決定がブレなくなる=経営の軸になる
パーパスが明確に定められていると、様々な経営判断の場面で迷いが生じにくくなります。
「この判断はパーパスに沿っているか?」という基準を持つことで、短期的な利益に惑わされることなく、長期的な視点で適切な選択ができるでしょう。特に、複数の選択肢で迷った際には、パーパスが決定的な判断材料となります。
また、ステークホルダーに対する説明責任も果たしやすくなります。なぜその判断をしたのかを、パーパスに基づいて論理的に説明できるからです。
ブランディングや採用にも好影響を与える
パーパスは、企業のブランド価値向上にも大きく貢献します。
消費者は商品やサービスの機能だけでなく、その企業が社会に与える影響も考慮して購買決定を行うようになりました。明確なパーパスを持つ企業は、消費者の共感を得やすく、ブランドロイヤルティの向上が期待できるでしょう。
採用活動においても、パーパスは強力な武器となります。魅力的なパーパスを持つ企業には、自然と質の高い人材が集まってくるのです。
パーパス策定のステップと実践のポイント
パーパスの重要性は理解できても、実際に策定するとなると多くの企業が苦戦します。ここでは、効果的なパーパス策定のための具体的な手順とポイントをお伝えします。
自社の強みと社会への価値提供の見極め
パーパス策定の出発点は、自社の本当の強みを正確に把握することです。
技術力、人材、ノウハウ、企業文化など、様々な角度から自社の独自性を分析しましょう。重要なのは、他社には真似できない「自社独自の」要素を見つけることです。
次に、その強みを活かして社会のどのような課題を解決できるかを検討します。顧客の声、社会情勢、業界動向などを総合的に分析し、自社が最も貢献できる領域を特定することが重要です。この段階で、説得力のあるパーパスの骨格が見えてきます。
経営陣と社員の一体となった策定プロセス
パーパス策定を成功させるには、トップダウンではなく、全社を巻き込んだプロセスが不可欠です。
経営陣の想いと現場の実感を融合させることで、実効性の高いパーパスが生まれます。部門を超えたワークショップやディスカッションを重ね、様々な立場からの意見を集約しましょう。
特に重要なのは、策定プロセス自体を従業員がパーパスを理解し、共感する機会として活用することです。完成したパーパスを一方的に提示するのではなく、共に作り上げることで、自然な浸透が期待できます。
シンプルで行動につなげやすい表現の工夫
優れたパーパスは、誰もが理解でき、記憶に残る表現になっています。
専門用語や抽象的な概念は避け、誰にでも理解できるような平易な言葉を選びましょう。また、一文で表現できる長さに収めることで、社内外での浸透を促進できます。
同時に、パーパスから具体的な行動指針を導き出せるような表現にすることも大切です。「このパーパスに基づくと、どのような行動を取るべきか」が明確になるような工夫をしましょう。
定期的な見直しと時代に合わせた進化
パーパスは一度策定すれば終わりではありません。社会の変化に合わせて、継続的に見直しを行うことが重要です。
年に一度程度、パーパスの実践状況を振り返り、社会情勢の変化や事業環境の変化を踏まえて検討しましょう。ただし、頻繁に変更すると信頼性を損なう可能性があります。
見直しの際は、パーパスの本質は保ちながら、表現方法や具体的な実践方法をアップデートすることがポイントです。時代に合わせて進化し続けることで、パーパスの実効性を維持できるでしょう。
パーパスの浸透とエンゲージメント向上ならTUNAG
パーパス経営の実践には、社内への浸透と従業員エンゲージメントの向上が深く関係しています。
ここでは、パーパス浸透とエンゲージメント向上に特化したTUNAGの特徴と導入企業の事例を紹介します。
TUNAGの特徴とパーパス浸透
TUNAGの最大の特徴は、パーパス浸透とエンゲージメント向上を同時に実現できる点です。パーパスの理解と共感を深めるだけでなく、一人ひとりの行動変容を促すことで、エンゲージメントの向上につなげます。
また、継続的なPDCAサイクルを回す仕組みを提供することで、組織変革を支援し、単なる一時的な取り組みに終わらせず、持続的なパーパス経営の実践を可能にします。
TUNAGは、パーパス浸透とエンゲージメント向上の両輪を回すことで、企業の組織力強化に貢献します。
TUNAGを活用した企業の成功事例
それでは、実際にTUNAGを活用してパーパス浸透に積極的に取り組む企業の事例をご紹介します。
カンロ株式会社

「金のミルク」や「ピュレグミ」などの人気商品を手掛ける菓子・食品メーカー、カンロ株式会社。同社は創業110周年を迎えた節目に、新たなパーパスを策定しました。
しかし、従業員からは「パーパスは知っているけれど行動に移せない」「まだしっくりこない」といった声が上がり、浸透には課題がありました。
そこで、TUNAGを活用し、パーパスを動画で発信するだけでなく、従業員からの意見や想いを募集して発信する取り組みを実施。これにより、経営陣と従業員が経営理念について共に考える場を提供し、双方向の対話を促進しました。
その結果、TUNAG導入後には、社内アンケートでパーパスの理解度に関する数値が改善し、組織の一体感が向上したといいます。
関連記事:カンロ、社内報アプリとワークショップでパーパス浸透。本社と各拠点の情報格差を解消
寿々グループ

寿々グループの経営理念を浸透させるための取り組みとして、TUNAGを活用しています。グループが拡大するにつれ、経営理念の伝達に課題が生じていました。具体的には、代表のメッセージが部長や現場スタッフに伝わる過程で、その内容が大きく薄れてしまうという問題がありました。
この課題を解決するために、TUNAG上でグループ内の各施設からの取り組みを共有する「見てくれうちの施設」というプロジェクトを開始。
これにより、グループ全体での情報共有や学びの場が増え、理念を日常の業務に取り入れることが容易になりました。また、代表自らが動画を通じてスタッフに直接メッセージを伝えることで、経営者の思いが正確に伝わるようになり、スタッフからの関心も高まっています。
関連記事:「グループ内の想いをひとつにつなぐ」経営理念を浸透させるための寿々グループ様の取り組み
株式会社ウェルカム
「DEAN & DELUCA」や、「GEORGE’S 」「CIBONE」など、良質なライフスタイルを提案するブランドを多数展開する株式会社ウェルカム。
グループとして一番大切な「何のために自分たちは存在しているのか」という理念と行動指針を共有するために、TUNAGを活用しています。
TUNAGでは、行動指針を浸透させるため、自ら制作したムービーを必読記事としてニュースで配信する取り組みを開始しました。取締役など経営層がわかりやすい言葉で行動指針について語ることで、店舗メンバーからも、「この言葉を大切にしたいよね」といった声が聞かれるようになりました。
関連記事:「緊急事態宣言でも仲間と繋がれた事が心強かった」従業員2,000名に代表の想いが届き、繋がりを生んだコミュニケーション施策|TUNAG
株式会社アワーズ
和歌山県にあるテーマパーク「アドベンチャーワールド」を経営する株式会社アワーズでは、「こころでときを創るSmileカンパニー」という企業理念を掲げています。
元々は「理念を具現化できるツール」として自社開発を考えていましたが、TUNAGの導入を決定しました。
その背景には、「従業員が社長の意向ではなく、経営理念を基に自分で考え、自分で行動するようになってほしい」という強い想いがありました。
また、TUNAGを使用する際の投稿ルールは、「Smileを創れるものであること」というシンプルなものです。
これにより、自分の良い経験や学びを共有することで、企業理念に沿った行動を促進しています。さらに、経営側から見ても、従業員がどのような投稿をしているのかが一目でわかるため、組織の状態をリアルタイムで把握することができるようになりました。
関連記事:従業員のSmileを創り出すアドベンチャーワールドの理念経営とTUNAG活用例
パーパス経営で組織の未来を切り拓こう
パーパス経営は、企業の持続的成長と社会課題解決を両立する経営手法です。現代のビジネスでは自社の存在意義を見つめ直し、社員の共感と一体感を得ながら、社会に価値を提供し続けることが求められます。パーパスを軸に組織を変革し、従業員エンゲージメントを高めることで、イノベーションの創出と企業価値の向上を実現できるでしょう。
自社のパーパスを見つめ直し、組織の未来を切り拓く一歩を踏み出してみませんか?
TUNAGは、その挑戦を支援するパートナーとして、皆様とともに歩んでいきます。パーパス経営で、持続可能な社会と企業の発展を実現しましょう。