自己肯定感を高める方法とは?社員のやる気と定着率を上げる組織づくりの秘訣
社員のモチベーションの低さや離職率の高さといった問題の根底には、社員の自己肯定感の低さが関わっていることが少なくありません。本記事では、自己肯定感とは何か、高める方法、そして組織全体で自己肯定感を育む仕組みづくりについて解説します。人事担当者や管理職の方はぜひ参考にしてください。
自己肯定感とは何か?
自己肯定感とは、「自分自身を価値ある存在として認め、受け入れる感覚」のことです。これは単に「自分は優秀だ」と思うような自信や自己評価とは異なります。
能力や実績に関わらず、ありのままの自分を肯定的に受け入れる心の状態を指します。
自己肯定感は、「何かを達成したから価値がある」という条件付きのものではなく、「あなたはそのままで素晴らしい」と無条件に肯定する感覚に近いものです。
この感覚は幼少期の養育環境で形成されることが多いですが、大人になってからも意識的に育てることが可能です。
自己肯定感が高い人の特徴
自己肯定感が高い人には、組織内で観察できる特徴的な行動パターンがあります。チーム内の状態を把握する指標としても役立つでしょう。
自己肯定感が高い人の主な特徴は以下の通りです。
- チャレンジ精神がある
- 建設的にフィードバックを受け止める
- 自分の強みと弱みを客観的に把握し、過大評価も過小評価もしない
- 他者の活躍を脅威と感じず、純粋に称賛できる
- 弱みを見せることに抵抗がなく、必要なときは協力を求められる
- 自分の感情を適切に認識し、建設的に表現できる
これらの特徴を持つ社員が増えると、組織の創造性とレジリエンス(回復力)が高まります。
自己効力感との違い
自己肯定感と混同されやすい「自己効力感」との違いについて説明します。両者の違いを理解することで、より効果的な人材育成や組織づくりが可能になります。
自己肯定感 | 自己効力感 | |
定義 | 自分自身を価値ある存在として認める感覚 | 特定の課題を成し遂げられるという自信 |
範囲 | 人格や存在全体に対する感覚 | 特定のスキルや状況に限定された感覚 |
条件 | 無条件的(実績や能力に依存しない) | 条件的(経験や実績に依存する) |
発達時期 | 主に幼少期から形成される | 成功体験を通じて生涯発達する |
失敗時の影響 | 比較的影響が少なく回復が早い | 大きく低下しやすい |
高め方 | 承認・受容的な環境、自己対話の改善 | トレーニング、成功体験の積み重ね |
ビジネスでの役割 | レジリエンス(回復力)の土台 | パフォーマンスの直接的な原動力 |
理想的な組織づくりには、自己肯定感と自己効力感の両方をバランスよく高めることが重要です。自己効力感だけでは、失敗した際に立ち直るのが難しく、自己肯定感だけでは、具体的な行動に移すための自信が不足しがちです。
スキル開発によって自己効力感を高め、お互いを認め合う文化を育むことで自己肯定感を高めるという、両面からのアプローチが効果的でしょう。
社員が日常生活で自己肯定感を高める具体的な方法
自己肯定感は意識的な習慣や考え方の積み重ねによって高めることができます。ここでは、社員一人ひとりが実践できる具体的な方法を紹介します。
毎日の小さな習慣で自己肯定感を育てる
自己肯定感は一朝一夕に高まるものではありませんが、日々の小さな習慣の積み重ねで着実に育てることができます。具体的で実践しやすい方法をご紹介します。
まず「小まめな記録」の習慣を取り入れましょう。「期限内に報告書を提出できた」「同僚の悩みに耳を傾けられた」といった小さなことで構いません。継続することで、自分の中の「できる」という実感が蓄積されていきます。
他に「自己承認のタイミング」を増やす習慣も効果的です。仕事で成功したとき、多くの人は「当たり前」と感じてスルーしがちです。意識的に「よくやった」と自分を認める一瞬を作ることで、自己肯定感が高まります。鏡を見ながら「よくやったね」と声に出すのも良い方法です。
ポジティブな自己対話の重要性
私たちは一日に何千もの言葉で自分自身と会話しています。この「セルフトーク」の質が自己肯定感を大きく左右します。否定的な内部対話を認識し、より肯定的なものに変えていく実践法を見ていきましょう。
まず自分自身への語り方に注目してみてください。例えば失敗したとき、「なんてダメな奴だ」と自分を責めていませんか?これを「次はこうしよう」という建設的な言葉に置き換えるだけで、自己肯定感への影響は大きく変わります。自分に話しかけるときは、大切な友人に話すような優しい言葉を意識しましょう。
また、「〜すべき」「〜ねばならない」という表現を多用していないか確認してください。これらの言葉は無意識のプレッシャーとなり、自己肯定感を下げる原因になります。「〜したい」「〜することを選ぶ」という表現に変えることで、自律性を取り戻し、自己肯定感が高まります。
さらに、自分の成功を「運が良かった」と片付けず、「努力した結果だ」と認める習慣も重要です。これは「ポジティブな再帰属」と呼ばれる手法で、自分の価値を正当に評価する力を育てます。小さな成功でも「私の強みが生かされた」と捉える練習をしてみましょう。
一歩離れて現状を見つめなおす
自己肯定感を高めるには、自分を客観視する能力「メタ認知」を育てることも重要です。感情に振り回されず、一歩引いた視点で自分を観察するテクニックを紹介します。
「観察者モード」を意識的に取り入れてみましょう。これは自分自身を第三者の目で見る練習です。ストレスを感じたとき「今、私はイライラしている」と客観的に認識するだけで、感情に支配される度合いが和らぎます。
日々の振り返りの時間を5分でも設け、「今日の自分はどうだったか」を観察してみてください。
また「5年後テスト」も効果的です。現在直面している問題や失敗について「これは5年後も重大な問題だろうか?」と問いかけてみましょう。
多くの場合、長期的な視点で見れば大した問題ではないことに気付きます。これにより、一時的な挫折に対する感情的な反応が和らぎます。
自己肯定感を高めるプラットフォーム「TUNAG」
個人の努力だけでなく、組織全体で自己肯定感を育む仕組みを整えることが重要です。ここでは、社員のエンゲージメントと自己肯定感向上をサポートするプラットフォーム「TUNAG(ツナグ)」について紹介します。
社内制度の運用に焦点を当てたエンゲージメントツール
TUNAGは、社員同士のつながりを強化し、組織のエンゲージメントを高めるために開発されたサービスです。
TUNAGの最大の特徴は、「承認」と「感謝」の文化を日常的に根付かせる仕組みにあります。社員同士が気軽に感謝や称賛のメッセージを送り合うことで、「自分は価値ある存在として認められている」という感覚が育まれます。
また、単なるコミュニケーションツールではなく、社内制度との連携も強みです。表彰制度や社内ポイント制度などの人事施策とシームレスに連携することで、一過性のイベントではなく、日常的に自己肯定感を高める環境を作ることができます。
TUNAGの主な機能と、自己肯定感を育む仕組み
TUNAGには自己肯定感を高めるためのさまざまな機能が搭載されています。その中でも、以下は社員の自己肯定感を高めるために活用できる機能です。
- 「サンクスメッセージ」
- 「社内ポイント」
- 「社長メッセージ」
これらの機能を活用することで、「感謝される文化」「承認される文化」が自然と形成され、結果として社員一人一人の自己肯定感向上につながります。
TUNAG導入企業の事例
TUNAGの利用企業は2025年5月時点で1,000社を超えています。導入される目的はさまざまですが、社員同士のコミュニケーション向上や称賛文化の形成を目的とした事例は多くあります。
その中で代表的な事例を紹介しますので、社員の自己肯定感の低さに悩んでいる場合は、ぜひ目を通してみてください。
これらの事例に共通するのは、単にツールを導入しただけでなく、「互いを認め合う文化」を意識的に育てたという点です。自己肯定感を高めるには、ツールと文化の両面からのアプローチが重要といえるでしょう。
▼渡辺パイプ株式会社
600拠点の従業員6,000名がつながる。コミュニケーション課題を解決した渡辺パイプの挑戦 | TUNAG(ツナグ)
▼株式会社アサヒケーティー
目指したのは「広場」のような交流の場。エンゲージメントを高め、従業員が働く意義を感じられる組織へ
自己肯定感は従業員の力を引き出す組織の土台になる
自己肯定感は、単なる「気持ちの問題」ではなく、組織のパフォーマンスや成長に直結する重要な要素です。本記事で紹介した方法を取り入れることで、社員一人一人が自分の価値を認識し、能力を最大限に発揮できる組織へと変化していくでしょう。
自己肯定感が高い職場では、お互いを認め合い、助け合う文化が自然と形成されます。これは特に若手社員の成長にとって重要な要素であり、「人材が育つ組織」の基盤になります。
自己肯定感を高める取り組みは、すぐに目に見える成果が出るものではありません。しかし、地道に継続することで、組織の土台として強固な基盤となります。
経営者や管理職の皆さんには、ぜひ自己肯定感を育む文化づくりを意識的に進めていただきたいと思います。TUNAGのようなツールも活用しながら、従業員一人一人が「自分は価値ある存在だ」と実感できる職場をつくることが、長期的な企業成長の鍵となるでしょう。