企業が意識改革をする目的とは?改革を阻む壁と実現のポイント

企業における「意識改革」は、組織が一丸となって推し進める必要があります。改革に乗り出したもののなかなか前に進まず、失敗に終わるケースも珍しくありません。企業が意識改革を行う目的や改革が失敗に終わる理由、実現に向けたポイントを解説します。

企業における意識改革とは?

将来の予測が困難なVUCA時代、企業が持続的な成長を続けていくには、組織力の向上が欠かせません。企業の課題を解決したり、目的を実現したりする上で重視されているのが「意識改革」です。「意識を改革する」とは、何を指すのでしょうか?

考え方や価値観を大きく変えること

企業における意識改革とは、従来の方法では到達できない目的を達成させるため、考え方や価値観などを大きく変えることを指します。

企業の課題を解決し、目的や目標を実現させるには、これまでとは違った行動が求められます。行動を変えるには、意識そのものを変えなければなりません。

意識改革は、「個人レベル」と「企業レベル」に大別されます。経営者が企業レベルで意識改革を実行しようとしても、個人に変わる意思がなければ意味がないといえます。企業が意識改革を行うときは、従業員全体への働きかけが必要です。

経営者と全ての従業員が対象

意識改革の主体は、経営者と全ての従業員です。経営者だけが意識を変えても、従業員が変わらなければ真の改革はもたらされません。

経営者の中には、ガイドラインやルールを定めることで、従業員を変えようとする人もいます。しかし、上からの押し付けは反発や不満を生み、経営層と従業員の対立に発展します。

意識改革を進めるに当たり、経営者が意識改革の必要性を繰り返し発信することが重要です。ルールで縛るのではなく、一人一人に重要性を認識してもらうように努めましょう。

意識改革の主な目的

直面している課題やビジョンは、企業ごとに異なります。意識改革を行う目的や理由もさまざまで、正解はありません。主な目的をいくつかピックアップして紹介します。

生産性向上や売上増加を目指すため

多くの企業では、生産性を向上させたり、業績をアップさせたりするために意識改革を行います。例えば、生産性に課題がある企業の場合、プロセスに無駄な作業が含まれている可能性があります。プロセスを可視化すると同時に、本当に意味のある作業なのかどうかを検証しなければなりません。

「従来のやり方に固執しなくてよい」という意識が芽生えれば、プロセスや仕組みの大幅な改善が進みます。これまでとは全く異なる手法を取り入れることで、生産性が飛躍的に向上するかもしれません。商品の企画や販路拡大においても同様のことがいえます。

個性や能力を生かせる場を作るため

従業員の個性や能力が十分に発揮されていない企業は、意識改革によって活躍の場を創出する必要があります。

例えば、女性は出産や育児などのライフイベントがあると、仕事と家庭の両立が難しくなる現実があります。管理職に占める女性の割合が低い企業は、男性中心の労働環境であるケースが多く、女性の昇進意欲が低い傾向があります。

女性の活躍を望むのであれば、「男性は仕事・女性は家庭」「女性は補助的な業務をする」といった無意識の偏見に気付かなければなりません。経営者を含めた全ての従業員の意識が変わることで、一人一人が生き生きと働ける職場に生まれ変わります。

企業理念やビジョンを根付かせるため

経営理念やビジョンを根付かせる目的で意識改革を行う企業も少なくありません。例えば、企業の買収や合併が行われて経営層が変わった場合、新たなビジョンを1日でも早く従業員の間に浸透させ、一体感を醸成する必要があります。

時代の流れに合わせて経営理念を変える際も、従業員の意識改革が不可欠です。自社への理解が進むにつれ、従業員は自分のキャリアプランと企業の方向性とを関連付けられるようになります。自らの役割に気付きやすくなり、高いモチベーションを保ちながら働けるでしょう。

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働き方改革の推進のため

企業の意識改革は、働き方の推進とも深い関係があります。「働き方改革」とは、労働者の個々の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指すものです。具体的には、残業時間の上限規制や公正な待遇の確保、フレックス制の拡充などを通じ、多様化する労働者のニーズに対応します。

中小企業が働き方改革を実現させるには、経営者や従業員の意識を変える必要があります。「長時間労働は勤勉」というイメージがあったり、「有給休暇を取るのは周囲に迷惑がかかる」という風潮があったりすると、働き方改革がなかなか前に進みません。

意識改革を進めるためのステップ

意識改革は曖昧な概念であるため、やみくもに進めても思うような結果は得られません。従業員の意思を無視して推し進めれば、反発が生まれるでしょう。意識改革に必要なプロセスを3段階に分けて解説します。

【Step1】現状把握と課題の洗い出しを行う

意識改革は目的ではなく手段です。まずは、企業が目指すべきゴールを定め、現状把握と課題の洗い出しを行うところからスタートしましょう。

例えば、生産性の向上を目指す場合は、定量的な目標を設定した上で、現状との間にどれだけのギャップがあるかを確認します。

ギャップを把握した後は、現場の従業員に丁寧なヒアリングやアンケートを行い、ギャップが生まれる理由を探ります。「業務フローが標準化されていない」「設備機器が古い」「人材配置が適切ではない」などの課題が浮き彫りになるかもしれません。

【Step2】具体的な目標を設定する

課題の洗い出しをした後は、行動目標を設定します。「生産性向上に向け、無駄なコストを削減しよう」「作業効率を上げて、残業を減らそう」という漠然とした内容ではなく、具体的な行動内容や数値を盛り込むのがポイントです。

経営者やマネジメント層が一方的に目標を設定すると、従業員から不満の声が上がる可能性があります。具体的な行動目標やKPI(重要達成度指標)については、各部署内で意見を出してもらうのが望ましいでしょう。従業員の自発性とやる気を引き出すことにもつながります。

【Step3】実行と改善を繰り返す

目標を実際の行動に移すのは、容易なことではありません。従業員の中には、上司や他のメンバーに気を使うあまり、なかなか行動できない人もいます。

また、現場だけに変化を求めると、「経営者は指示するだけ」と反発心が湧きます。行動目標を設定した後は、経営者やマネジメント層が率先して動き、従業員のお手本になりましょう。

意識改革の成果が表れるのには、長い時間がかかります。一度立てた目標が現場の状況に合わなくなることも考えられるため、モニタリングをしながら必要に応じて改善を繰り返していく必要があります。

意識改革の成功を阻む課題

意識改革は企業に多くのメリットをもたらしますが、必ずしも全ての従業員が賛同するとは限りません。経営層と現場との温度差や変化への抵抗が、意識改革の成功を妨げるケースがあります。

経営層と現場とのギャップ

よくあるのが、経営層だけが意識改革に乗り気で、現場との温度差が開いてしまうケースです。従業員は意識改革の必要性を感じていないことが多く、上からの命令に対して「日々の業務だけで忙しいのに面倒」という気持ちを抱きます。

ルールを厳格化したり、ノルマを設定したりする手もありますが、従業員は「やらされ感」が強くなり、モチベーションが下がるでしょう。一見、意識改革は成功したように見えても、ルールに縛られているだけのため、真の意味での意識改革は進んでないといえます。

変化することへの抵抗

人間には「現状維持バイアス」という心理傾向があり、未知のものや変化に直面すると、現状を維持しようと抵抗します。

単なる業務プロセスの見直しと違い、意識改革では従来の価値観や考え方を大きく変える必要があるため、違和感や不安を覚える従業員は多いでしょう。自分のポジションが失われるのではないかという恐怖に駆られる人も珍しくありません。

特に、トップダウンによる意識改革は、変化への抵抗が強くなることが予想されます。強制的にならない仕組み作りを考える必要があるでしょう。

意識改革を実現させる3つのポイント

課題を解決しながら、意識改革を着実に前に進めるには、従業員の立場や気持ちに配慮した施策が求められます。経営者やマネジメント層が意識すべきポイントを解説します。

意識改革の必要性やベネフィットを伝える

意識改革を成功させるには、従業員が経営層と同じ目線になることが欠かせません。トップメッセージを発信するのはもちろんのこと、ミーティングや面談でも改革の必要性を伝え、自ら行動を起こさせることが重要です。

変化への抵抗がある従業員に対しては、自社を取り巻くビジネス環境や競合他社の事例を挙げながら、変わらないことの損失を伝えます。

動機付けのため、意識改革のベネフィットや成功事例、新たなミッションなどを提示するのも効果的です。意識改革が自分の将来やキャリアにプラスになると分かれば、変化への抵抗も薄れるでしょう。

スモールステップで実行する

一気に改革を推し進めようとすると、従業員の抵抗によって計画が頓挫する恐れがあります。長年の習慣や価値観を変えるのは容易ではなく、多くの時間と労力がかかることを理解しなければなりません。

成功のポイントは、スモールステップで段階的に進めることです。最終ゴールまでのプロセスをいくつかの小さなステップに分け、それぞれに行動目標を設定します。

目標をクリアするごとに自信が増していくため、高いモチベーションを保ったままゴールを目指せるでしょう。スモールステップの手法は、ゴールまでの道のりが長く険しいときに有効です。

適切なフィードバックや評価を行う

取り組みが評価される機会がないと、行動を継続するモチベーションが低下しやすくなります。成果を共有したり、声掛けを促したりして、組織が一丸となって取り組んでいることを認識させましょう。上司は1on1ミーティングや面談を定期的に行い、取り組みに対するフィードバックを行います。

従業員同士で互いに賞賛し合う「ピアボーナス」や、感謝の気持ちを送り合う「サンクスカード」の仕組みを導入するのも効果的です。取り組みが持続しやすくなるだけでなく、互いを認め合う文化が形成されます。

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意識改革は曖昧な概念で長期間かけて実現するものです。そのため、闇雲に施策を実施するのではなく、現状の分析をして目的を明確にし、実行と改善を繰り返すことが重要です。

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意識変革は組織が一丸で取り組む

経営課題を解決し、持続的な成長を維持するには、意識改革によって従来のやり方や価値観を変える必要があります。組織が一丸になって取り組めば、改革はスピードアップするでしょう。

一方で、従業員の抵抗や不満により、改革が頓挫するケースも見受けられます。上からの押し付けやルールの厳格化は意味がなく、逆にモチベーションの低下を引き起こしかねません。

意識改革を推進する過程では、小まめなコミュニケーションやタイムリーな情報共有、声掛けが重要になってきます。「TUNAG」を活用すれば、意識改革の加速が期待できるだけでなく、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。

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著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
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