離職防止のアイデア10選!離職率改善に成功した事例も紹介

従業員の離職が増えると、業務負担の増加や従業員のモチベーションの低下、採用・教育コストの損失など、企業にさまざまマイナスの影響を及ぼします。

少子高齢化や働き方の多様化により採用が難しくなる昨今、「どうすれば離職を防止できるのか」とお悩みを抱える担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、離職防止のアイデアや離職率改善に成功した事例を紹介します。ぜひ参考にしていただき、自社の離職改善へ活用ください。

離職防止につながる5つのアイデア【職場環境編】

従業員の離職を防ぐには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。職場環境における5つのアイデアを順に紹介します。

社内に経営理念を浸透させる

経営理念は企業の進むべき道を従業員に示す行動指針となるものです。明確な経営理念は従業員の心の拠り所にもなり、離職防止にも繋がります。

経営理念を浸透させる一つの手段として、トップメッセージの発信を常日頃から行うことは重要です。経営理念や社長の考えを掲げているだけ、思っているだけで、言葉にして伝えなければ継続的に従業員には届きません。会議の場・社内報・年始の挨拶時・社内で利用するコミュニケーションツールへの書き込みなど、社長自らが自分の言葉で、全従業員に届けていきましょう。

従業員の悩みや不安を解消する

悩みや不安を解消するアイデアとして、メンター制度が挙げられます。メンター制度とは、先輩社員(メンター)が後輩社員(メンティ)に対して業務だけでなく、メンタル面やキャリア形成のサポートをする仕組みです。

メンター制度のおかげで、メンティは一人で悩みを抱え込むことなく、ちょっとしたことでもすぐに先輩社員に気兼ねなく相談できるようになります。そのため、離職率の低下や業務に対するモチベーションの向上も期待できます。メンター自身もマネジメント力が磨かれるなど、双方にとってメリットがあるといえるでしょう。

ただし、メンターとメンティの相性が悪いと両者ともにストレスを感じてしまったり、相談すること自体が逆効果になってしまうケースもあります。メンターの人選は社内基準を作成するなどして、慎重に検討を重ねましょう。

相互理解を促進し、心理的安全性を高める

職場の人間関係の悪化による離職や職場での孤立が理由の離職を防ぐためにも、チーム内・部署内の相互理解を深める施策を実施します。

もし相互理解が足りていないまま業務が進んでいった場合、「なぜ部下は臨機応変に動いてくれないのか」「なぜ上司はこちらの意図を汲み取ってくれないのか」といったすれ違いが蓄積され、トラブルに発展してしまいます。

1on1やシャッフルランチ、ツールを活用したプロフィール共有などを通じて、お互いのバックグラウンドや考え方を共有することで、結果としてチーム内の心理的安全性が高まり、雰囲気の良い組織づくりにつながるでしょう。

称賛や承認の文化を醸成する

サンクスカードの利用で職場内の交流を活性化させるのも、離職率を改善する一つの方法です。サンクスカードとは、紙やデジタルのカードに日頃の感謝の気持ちを記入して互いに送り合う制度のことです。

「会議室の後片付け、最後まで手伝ってくれてありがとう!」

「◯◯さんのアドバイスのおかげで、プレゼンうまくいきました。感謝です!」

「子どもの迎え、無事間に合いました。ありがとうございます!」

サンクスカードを使えば、ありがとうを伝えた人も伝えられた人も、明るく前向きな気持ちになることでしょう。社内に感謝や称賛の文化が根付くと同時に、従業員同士のコミュニケーションも深まっていきます。

また、サンクスカードには紙とアプリの2種類があります。紙で送ることで、暖かさや手書きの良さが伝わりやすい反面、毎回紙に書いて渡すのは負担に感じるという場合もあります。アプリだと簡単にサンクスカードを送り合えるため、職場に導入して仕組み化し、称賛文化を醸成していく目的であれば、アプリを利用するとよいでしょう。

業務へのモチベーションを高めるアイデア

離職防止の対策は、社内公募制度で業務へのモチベーションを高めることでも可能です。社内公募制度は、欠員で人材を探している部署が応募をかけ、従業員が自発的に応募する制度を指します。

今の仕事に充足感を得られないまま過ごしている従業員がいた場合、社内公募制度での異動が叶えば、やりがいや達成感を得て転職や退職の可能性が低くなるはずです。自分が望んだ業務に就けることで主体的、かつ意欲的になり、定着率の向上も期待できます。

ただ、異動を希望している従業員の情報が所属部署の上司の耳に入ってしまうと、信頼関係が崩れる恐れがあります。社内公募制度を実施する際は、情報を関係者以外には決して漏らさないようにしましょう。

離職防止につながる5つのアイデア【人事制度編】

ここからは、人事制度における従業員の離職防止のアイデアを5つ紹介します。

入社前後のギャップを減らす

入社後にギャップを感じて早期離職になることは、どんな企業でも起こり得ます。このギャップを減らす方法の一つは、企業の情報を求職者に正しく届けることです。

企業のホームページ・オウンドメディア・SNSなどで情報を定期的に発信し続けることで、求職者に自社のことを理解してもらいやすくなるでしょう。また、面接時には企業の魅力ばかりを伝えるのではなく、入社後のギャップが起きないようネガティブな情報も伝えることが重要です。

  • 「12月は注文が増えるため、残業がどうしても多くなりがちです」
  • 「今は人手が不足していて、急な出勤をお願いすることがあるかもしれません」

それを聞いて入社を思いとどまる応募者もいるかもしれませんが、早期離職になってしまうよりは、お互いにとって結果よかったといえるはずです。

従業員のライフスタイルをサポートする

離職する方のなかには、出産や育児などで働き続けたくても働くことが難しい方もいます。そこで、子育て支援の一環として、企業内託児所を設けて従業員の定着率向上を図ることが考えられます。

企業内保育所があれば、出勤と退勤に合わせて子どもを預けられるので、従業員の負担が軽減されるでしょう。また、子どもとの距離が近いため、休憩時間に我が子の様子を見に行くことも可能です。「子どもや女性に配慮している企業」としてのイメージアップにもつながるため、企業側にもメリットがあるといえます。

物件や人件費など費用はかかってきますが、条件によっては補助金が出る場合もあるので、実施する際には国や自治体に確認しながら進めるようにしましょう。

キャリアステップを可視化する

キャリアステップを可視化できれば、今後やるべきことがわかり、長期的なキャリアを見通せるのでモチベーションを保ちながら仕事に臨むことができるでしょう。具体策としては役職や仕事の難易度、賃金などに応じていくつかの階層を設定し、一段ずつステップアップしていくキャリアラダー制度の導入があります。

各レベルごとに必要な能力やスキルが明示されているため、自分には今何が足りていないのか、次のレベルに上がるには何をするべきかが分かるようになります。指標があるため誰が見ても評価しやすく、公平性を保てるという利点もあります。

実施するにあたっては、各レベルごとの業務目標の設定や評価システム・給料テーブルとの連動が必要なため、ある程度の時間を要することを心得ておきましょう。

多様な働き方を推進する

時短・在宅・フレックス・テレワークなど多様な働き方を推進することで、従業員が離職しにくい環境を作ることができます。副業もその一つです。

副業を認めることで、現在の会社に勤めながら新しい知見・スキルを習得してキャリアアップにつなげられたり、収入アップで経済的・精神的な安定が得られたりと従業員の満足度が高まります。

気をつけるべきは、従業員の健康管理です。本業と副業の労働時間や休日の兼ね合いなど、従業員個人の裁量によるところが多いため、企業は1on1や定期的なカウンセリングを通して状況を把握するようにしましょう。

評価項目を明確にする

適切な評価は従業員のモチベーションや働く意欲の向上に寄与します。評価というと上司が一方的に決めるイメージがありますが、360度評価であれば評価項目を関係者に開示し、透明性のある評価へ発展させることができます。

上司・同僚・部下・他部署の関係者など周囲のあらゆる方向から評価基準に照らして評価を集められるので、従業員から評価に対しての納得感や信頼感が得られやすくなります。

評価者が増えるため評価にかける工数と時間がかかってしまいますが、「カオナビ」や「HRベース」などのツールやサービスを利用して効率的に実施するのも一つの方法でしょう。

会社に伝えている離職理由は本音と違う?

エン・ジャパン株式会社が2022年10月に1万人のユーザーに行った「本当の退職理由」のアンケートによると、会社に伝えた退職理由と本音には大きな隔たりがあることが分かりました。

【会社に伝えた退職理由トップ3】

  • 新しい職種にチャレンジしたい
  • 別の業界に挑戦したい
  • 家庭の事情(結婚等)

【本当の退職理由トップ3】

  • 職場の人間関係が悪い
  • 給与が低い
  • 会社の将来性に不安を感じた

従業員側からすれば、「円満に退社したい」「本当のことを言っても理解してもらえない」という思いがあります。

離職を防止するには、本音を言ってもらえる関係性を普段から築き、離職の予兆を検知し対策を講じることが重要だといえます。

離職率改善に成功した事例

ここでは離職率の改善に成功した企業の事例を紹介します。

店舗のコミュニケーション課題を解決し、離職者8割減を実現した事例

株式会社夢現様は、京都府で整骨院・鍼灸院を運営している企業です。

年間8,000人の利用者を超え、店舗拡大など急激に企業が大きくなる中、コミュニケーション不足やコミュニケーションギャップが生じていたことに課題を抱えていました。

そこで、組織改善を行うため「TUNAG(ツナグ)」を導入。まずはお互いの顔が見えるようアプリ内で顔写真の登録を促すことから始め、従業員同士のコミュニケーションへつながるような内容や教育・研修コンテンツ、社内で必要な申請など会社の情報を一元化。その結果、組織診断のスコアが改善し、離職者が以前と比較して8割減少するという効果が生まれました。

取り組み事例はこちら>>『離職者8割減少』につながったコミュニケーション施策とは。「現場のためになる事をとにかく実行する」

経営と現場の距離を縮め、離職率10%未満を実現した事例

トランコムDS株式会社様は「人をつくる、地域の笑顔をつくる。」というミッションのもと、運送・物流業界で個人宅配業務を行っている企業です。

深刻な人手不足と高い離職率が常態化してしまっている状況を変えるべく、「TUNAG(ツナグ)」の導入へと至りました。称賛の文化を醸成できるようお客様から褒められた事例を共有できるようにしたり、「社長メッセージ」や「私のイチオシメンバー」などエンゲージメントを向上させる制度設計や運用を実践することで、離職率が10%を切るなど目に見えて改善されました。

取り組み事例はこちら>>運送業界の当たり前を変え、『離職率10%未満』を実現した取り組みとは - 「経営と現場の距離が縮まった」

オンボーディング施策の整備で、定着率98%を実現した事例

株式会社ベイシア様は、北関東を中心に約130店舗ものショッピングセンターチェーンを展開している企業です。同社は2020年のコロナ禍でオフラインでの集合研修が一切できなくなり、新入社員のオンボーディングに課題を感じていました。

そこで、オンボーディングの施策の一環として「TUNAG(ツナグ)」を活用。自己紹介の投稿や気軽な情報発信で新入社員同士のつながりを高めたり、「今週の気づき、学び」というコンテンツを通して、お互いを高め合う文化が醸成されました。定着率98%、従業員の縦横のつながりが増える結果となりました。

取り組み事例はこちら>>新入社員の定着率98%を実現 ベイシアのオンボーディング施策:孤独感を解消し、同期で高め合うコミュニケーションの形

まとめ | 従業員の急な離職を防止するためには

今回は離職防止につながるアイデアや離職理由の本音とタテマエ、離職率改善に成功した事例を紹介しました。

従業員の離職は、企業経営を左右する重要な問題です。新入社員の早期離職が発生する理由と、中堅社員が離職する理由が異なるように、従業員が離職してしまう本当の原因を突き止め、実態に応じた対策をとる必要があります。

いくらアイデアを知ったとしても、それを実行に移さなければ何も変化は起こりません。今回紹介したアイデアをぜひ自社で活用いただき、離職防止に役立ててください。

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