「コミュニケーション改善」と「企業文化定着」の鍵は情報のオープン化。社員同士のつながりを深める秘訣とは

院内業務の効率を高め、安全性に配慮した医療関連サービスを提供するサクラヘルスケアサポート株式会社。多角化する医療現場に応える院内業務の専門集団として、「洗浄・滅菌業務、手術室周辺業務、物品管理業務(SPD)」などの分野で専門スキルを持ったスタッフがサービスを提供しています。

同社では、500名を超えるスタッフが30を超える受託施設に分散して勤務しているため「情報の一元化」や「情報共有」において課題を感じ、TUNAG(ツナグ)を導入しました。

TUNAGを活用した「行動指針の浸透」や「情報の見える化」の促進、また導入による効果としてコミュニケーションが改善し、助け合うきっかけが増えたことについて、代表取締役社長の野島様、事業開発室の森様(以下、敬称略)にお話を伺いました。

(取材:2025年1月)

情報共有の課題は施設を超えたコミュニケーション

施設内で情報が完結、施設間で共有されず「帰属意識」が希薄だった

〜TUNAG導入前、貴社ではどのような課題を感じていましたか?〜

野島私は2018年にグループ会社から現在のサクラヘルスケアサポート(以下、SHS)に異動しましたが、当時のSHSと前職ではコミュニケーションにおいて大きな違いがあると感じていました。

同一施設内に勤務する社員同士は直接コミュニケーションがとれるため、テンポは速かったものの、やりとりや情報共有が施設内で完結していました。その結果、複数施設間での情報共有が十分に行き届いていない状況でした。

情報がその場限りになり、経過をたどる様な文字の記録が残されていないことも課題となっていました。その影響で、お客様に関する情報の一元化や情報の共有が難しいと感じられる場面が少なくありませんでした。

加えて、自分の勤務先である受託施設への帰属意識は高いものの、会社への帰属意識が希薄で、経営理念の浸透などは十分にできていない状況でした。

週次レポートの作成に3週間。情報の業務活用に課題。

〜他に感じていた課題はありますか?〜

野島当時、「ウィークリーレポート」というものがありましたが、私のところに1人ひとりのレポートが上がってくるのに3週間ほど時間がかかっていました。

上長が深夜までかかってコメントを追記していましたが、私の手元にレポートが届いたタイミングでは正直時間が経ちすぎていて、レポート内容を業務改善に活かしようがなかったのです。そのため、活用されない情報のために社員が時間を使っている状態をなんとかしたいと思っていました。

決め手は事例でのイメージと、不慣れを補う独自の伴走サービス

既存ツールはメールメインのもので、使いづらかった

左:代表取締役社長 野島様、右:事業開発室 森様

〜当時、何か情報共有ツールは利用していなかったのでしょうか?〜

野島TUNAG導入前にはクラウド型のグループウェアを導入しており、メーラー機能を中心に利用していましたが、私自身も使いづらさを感じていましたし、社内ではツールを変えたいという希望がありました。

森:メール以外に、出張申請、勤怠申請、スケジュール管理などもそのツールで行っていました。

飲食店の導入事例でコミュニケーション改善された例がきっかけに

〜TUNAGを導入した決め手は何だったのでしょうか?〜

野島展示会に行った際、カフェチェーン店の導入事例を聞いたのがきっかけです。

ある店舗で解決済みの課題が、別の店舗では課題として残っている中で、コミュニケーションを改善して店舗間のノウハウ共有が実現し、来店数や満足度などのサービス向上につながった。そんな事例の紹介を受けました。

受託施設間のコミュニケーションをよくしたいと思っていた弊社にとって、事例の状況も似ていたので導入するきっかけになりました。

カスタマーサクセスの伴走サービスが、知識や経験不足を補ってくれる

〜他に決め手になった部分はありますか?〜

野島カスタマーサクセスの支援がある点です。

「解決しなきゃいけない」という課題感は持っていましたが、自社内にある今までの経験、知識では具体的に解決策が思い浮かばないと感じていました。

だからこそ、ツール自体が持つ機能はもちろん、カスタマーサクセスが「他社さんの施設ではこういうことをやってます」と運用方法のアドバイスをしてくれたり、「それならこういう施策はどうですか?」と提案してくれる点が、弊社とってはすごく魅力的に感じました。

「行動指針の浸透」「称賛文化の定着」「ナレッジの共有」を解決する4つの取り組み

カードで行動指針を選択、「日頃の業務を讃える」「行動指針の浸透」両方を叶える

実際のTUNAG画面です。「SHS WAYカード」は行動指針を選択した上で相手にカードを送る取り組みで、従業員が感謝や称賛を伝える際に自然と行動指針を意識できる仕組みになっています。

〜「SHS WAYカード」というコンテンツがあるそうですが、どういった取り組みですか?〜

森:施設の責任者や実際に施設を見ている社員の視点から、今まで隠れてしまいがちであった施設スタッフ(契約社員・パート社員)の方の日頃の業務を讃える取り組みです。

野島2024年にSHS WAYという行動指針を策定し、この指針の浸透を目的として、「SHS WAYカード」をTUNAGで始めました。

カードを送る時に、「SHSではどういった行動が称賛されるのか?」を改めて意識づけできるような仕組みとなっています。

〜理念を考えるきっかけになる、素敵な取り組みですね! 他にも理念浸透の取り組みをしていますか?〜

森:行動指針の浸透策として「ワタシのMVV・SHS WAY」を始めました。

新入社員は入社時にオリエンテーションを受けます。その際に、必ずMVVやSHS WAYに関する講義や発表があります。説明を受けたタイミングで感じたことを、受講報告として発信する取り組みです。

報奨コンテンツで「新たなチャレンジ」「行動指針体現」の双方から表彰

〜「SHSアワード」という表彰もあると伺いました。詳しく教えてください。〜

野島アワードは2本立てとなっており半年に一回行われます。「活動に対する報奨」は、当該期間の活動の結果をエントリーし投票報奨するもので、「SHS WAY個別賞」は「SHS WAYカード」から投票報奨を行うものです。

「活動に対する報奨」は、新しいことや困難にチャレンジしてくれた人を讃えるものです。たとえば、退職者による人員不足を全国の社員が協力して支えた事例や、社員同士が協力して残業を削減した取り組みなどが表彰されました。

「SHS WAY個別賞」は正社員だけでなく契約社員・パート社員の皆さんも対象で、計6部門の行動指針各項について最もその行動指針を体現した社員を表彰します。表彰は各受託施設でも発表し、関係者と共に喜びを分かち合っています。

現場社員の声を見える化し、現状把握が可能に

実際のTUNAG画面です。表彰や週次の業務報告、行動指針に関するレポートまで、幅広い情報が集まる場所になっています。

〜「ウィークリーレポート」をTUNAGに移行したそうですが、どのように運用していますか?〜

森:基本的には業務周辺のことをメインに投稿しています。今週のうまくいったことや、来週の業務予定、発信したいこと、今行っていることや課題感を書きます。

野島欠員で大変な状態であることを書いてくれる人もいます。

本来はウィークリーレポート以外の場所から把握すべきですが、全社員が見るウィークリーレポートに書いてあることで、援助する意思のある方が申し出をしやすく、助け合いがしやすい環境になっています。

施設社員からの報告が、本社側の気づきにつながっています。

合意形成にエンゲージメントサーベイを活用

〜弊社のエンゲージメントサーベイ「TERAS(テラス)※」も利用中かと思いますが、どのような使い方をしていますか?〜

野島弊社は事業拡大のため、今は中途採用の方が多く入社しています。その中で、会社の施策を進めるにあたりTERASという客観的な物差しにより、取り組みの優先度を決定・実行したいと思い導入しました。

経営陣についても新たなメンバーが加わる人事交代等があるので、TERASは合意形成に大いに役立つのではないかと期待感を持って進めています。

直近のTERASの結果では、「会社業績に関する情報の提供が少ない」という結果が出ました。社員に対する業績情報の内容や量についても見直しを行い、TERASの結果を活かした社内コミュニケーションを図っていきたいです。

※サクラヘルスケアサポート株式会社では、組織状態を可視化して打ち手を設計するエンゲージメントサーベイ「TERAS」を利用しています。

情報のオープン化で「コミュニケーション」「助け合い」が広がる

1枚のカードから社員との交流が生まれる「コミュニケーションの広場」

〜TUNAG導入後、施設を超えたコミュニケーションに変化はありましたか?〜

野島視点が1人ひとりに向くようになり、誰が何をしてくれたのか社内に発信できるようになっています。森さんのエピソードもその典型的な例です。

森:私は現在複数の施設で仕事をする立場にあります。あるとき、昔一緒に仕事をしていたスタッフの方に「SHS WAYカード」を送りました。それを見た他施設の社員が、カードをもらった方に電話をかけ、私の投稿に対してコメントまでしてくれたそうです。

カードをもらった方は私が再度その施設を訪れた際に、電話やコメントをもらったことを嬉しそうに語ってくれました。良いコミュニケーションにつながったエピソードだと感じました。

〜貴社にとって、TUNAGは一言で表すとどんなツール、どんな存在でしょうか?〜

森:一言で言うと、「コミュニケーションの広場」です。

今まで、社内全員の状況が見れるものや、情報をまとめておいたツールがありませんでしたが、TUNAGがあることで生まれたコミュニケーションがあります。テクニカルな情報共有に加えて、社員間の精神的なつながりが会社への帰属意識へと波及している手ごたえを感じています。

研修後の新入社員による感想投稿で、既存社員はコンテンツ内容おさらい

〜理念や行動指針の浸透についてはいかがでしょうか?〜

森:「ワタシのMVV・SHS WAY」の報告が、改めて行動指針の意味などを主体的に考えるきっかけになっています。

野島研修会に参加している1人ひとりに違う観点があり、その時々の自分にとってどういう風に受け止めているのか把握できますし、他社員が投稿を見ることで、研修のおさらいができていると感じています。

森:「SHS WAYカード」についても、日頃の業務を讃えるものから徐々に行動指針に沿った行動を評価するものが多くなり、管理職の意識も高まっていると感じます。

他にも、仲間の発信を読むことで、仕事に対する前向きな空気が流れるようになりました。

他施設の社員と「アドバイス」「マニュアル共有」で助け合う

〜「ウィークリーレポート」など業務報告をやってみて、何か変化は感じていますか?〜

野島TUNAGを使用し社員全員に即日情報が流れるからこそ、「活用できる情報」に変わりました。

森:また、以前は上長のみ閲覧可能だったウィークリーレポートを、TUNAG導入に伴い全社公開へ変更しました。これにより、他部門の社員もコメントやアドバイスができるようになり、施設を超えたつながりが生まれました。

他にも「みんなの質問相談広場」など質問を受け付ける場所を作ったことで、他施設の社員からの助言や、マニュアル共有の機会も拡大しました。

導入前は他施設の状況が分かりにくかったのですが、今では相互理解が深まり、社員同士の助け合いが活発になっています。

既存の取り組みやイベントを通して投稿頻度を上げる

レポートを通してTUNAG投稿頻度を上げる。リスクも考え対応

〜TUNAG導入にあたり、工夫したことや苦労したことはありますか?〜

森:もともと全社員に向けた発信の文化がなかったため、投稿の心理的ハードルが高いと予測しました。

そこで投稿率向上を目的に毎週必須の「ウィークリーレポート」をTUNAGで実施することにし、投稿頻度を自然と増やす工夫をしました。

苦労した点としては、自由投稿のためネガティブな発信や他部署からの意見に対する抵抗感などをリスクとしてとらえていました。

プロジェクトメンバーが不適切な投稿を見かけた際は、電話で直接投稿者とコミュニケーションをとりました。その際には適切でない理由を説明すると同時に、投稿意欲を損なわないよう留意しながら、丁寧な説明やコミュニケーションを心がけました。

イベントを通して、投稿やコメント数が増加

〜その他に、TUNAGを運用するうえで工夫したことはありますか?〜

森:TUNAGのリワード機能を活用して、SHS杯というイベントを行いました。

チーム対抗で投稿数が多いチームや個人を表彰するイベントです。一時的に多くの投稿数やコメントが上がったので、成果を実感しました。

顧客に新たな付加価値を提供し、社員が将来像を描きやすい社内環境に

「帰属意識」と「称賛文化」を育み、お客様と新たな関係を築く

〜最後に、貴社が今後目指す組織の姿について教えてください。〜

野島:以前の社内キャッチフレーズは「支えたい気持ちがあります」でした。しかし、このフレーズでは「お客様からの指示に従って業務をします」という受け身の姿勢だというイメージを与えてしまいます。

今後はお客さまと良きパートナーで居続けるため、我々の付加価値を上げるべきですし、課題の解決方法について積極的に提案も行っていきたいと考えています。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を新たに策定し、自分たちを磨き高めていきたいです。

それを実現するためには、帰属意識が重要です。施設間や社員間に強固な繋がりがあり、称賛し合う文化がある会社になり、社員に「会社に所属している」と感じてもらいたいです。

ロールモデルのインタビューで将来像を描きやすくする

〜その中で、TUNAGでは今後どのようなことに取り組んでいきたいですか?〜

野島今進めている取り組みをしっかり実施していきたいです。

直近のTERASの結果からは「将来像が見通せていない」という結果が得られました。今後は、ロールモデルに対してインタビューを行う計画です。

インタビューをTUNAGに投稿することで社員の今後のキャリア形成をしやすくし、将来像を描きやすい状況を作ります。

〜野島様、森様、お話しいただきありがとうございました!〜

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