組織で相互理解を深めるためにできる10のこと
相互理解とは、お互いが相手の考えや意見、人間性、価値観を理解することを指します。組織において相互理解は、生産性向上や離職率改善のためにとても重要で、相互理解を深める取り組みを行う企業が増えてきています。
本記事では、組織において相互理解が重要な理由から、相互理解を深めるための10個の取り組み、実際の企業の事例もご紹介します。
組織における相互理解とは
相互理解とは、お互いが相手の考えや意見、人間性、価値観を理解することです。 組織や企業においては、上司と部下だけでなく従業員同士や部門間、経営陣との相互理解が求められます。職場で相互理解を深めることができれば、業務効率が向上したり、従業員同士のトラブルを未然に防げたりすることにつながるでしょう。 一方、相互理解が不足している会社では、離職者が増加したり、従業員のモチベーションが下がったりするケースもあるようです。会社で相互理解が重要な4つの理由
会社組織で相互理解が重要な理由は、相互理解によって以下のような問題を回避しやすくなるからです。1.業績の低下
相互理解が足りていない組織では、業績が低下しやすくなります。従業員のモチベーションが低下したり、上司と部下の間でうまくコミュニケーションが取れなくなったり、指示された内容を間違って解釈する可能性があるからです。 また、部署や部門同士で相互理解がない状態だと、業務上の連携も取りづらくなり、業績の低下に繋がる可能性があります。2.従業員同士のトラブル
相互理解不足は、従業員同士のトラブルの一因にもなります。お互いの考えや意見、人間性、価値観を理解できていないことで生まれる従業員同士のトラブルも多いです。 例えば、上司と部下で相互理解が足りていない場合、上司は「なぜこの部下は臨機応変に仕事ができないんだろう」、部下は「なぜこの上司は言うことがコロコロ変わるんだろう」といったすれ違いが生じ、積もり積もってトラブルになりかねません。 参照:縦割り組織の意味とは?メリット・デメリット、対策方法4選について解説 | 社内ポータル・SNSのTUNAG3.リモートワークでの従業員の孤立
コロナ禍になりリモートワークが普及しましたが、リモートワーク中は直接会話をする機会が少ないため、従業員が孤立しやすくなります。 例えば上司が部下の人柄を理解していれば、「あの人は困っていても人に聞くのを遠慮してしまうところがあるから、リモートワーク中は私から声をかけるようにしよう」とマネジメントの方法を工夫して、部下の孤立を防ぎやすくなります。4.離職率の増加
相互理解が不足した職場では、離職率の増加にもつながります。リクナビNEXTが2007に行った転職者100人に行ったアンケートによると、退職理由の1位は「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」です。(出典:転職理由と退職理由の本音ランキングBest10) もちろん相互理解だけで離職を止めることができるとは限りませんが、企業にとって相互理解は離職率を抑制するポイントでもあります。組織で相互理解を深めるためにできる10のこと
ここでは、組織で相互理解を深めるためにできる10のことを簡単にご紹介します。1. 1on1ミーティングでコミュニケーションをとる
上司と部下の相互理解を深めるなら、1on1ミーティングでコミュニケーションをとることをおすすめします。上司は部下からの発言を促し、傾聴することが重要です。部下がリラックスして話せる環境を用意しましょう。2. 日報・週報をオープンにして他部署を知る
日報・週報を社内でオープンにすることで、部門間の相互理解を深められます。他部門が何をしているのか、何が問題となっているのかを共有できれば、いざという時でも速やかに協力体制を構築できるでしょう。3. 社内報で会社の旬な話題を届ける
社内報で会社の今や話題の情報を届けることでも、相互理解は深められます。会社で働いていると、社内で何があったのか知らないままのこともあるでしょう。従業員の家族に向けて社内報を発行するのもおすすめです。 ▼関連記事:社内報のネタ・企画100選!テーマごとに具体例も紹介4. トップメッセージ(社長メッセージ)で従業員に想いを伝える
組織で相互理解を深めるためには、トップメッセージ(社長メッセージ)で従業員に想いを伝えるのも効果的です。社長の考え方や価値観を共有できれば、従業員のモチベーション低下を防げます。 ▼関連記事:トップメッセージとは? 社内報での例文や、3ステップの書き方5. 社内表彰やサンクスカードで従業員の頑張りを見える化
社内表彰は従業員の成果を会社全体で共有するものです。会社が従業員を表彰する姿勢を示し、他の従業員に頑張りを伝えることで、相互理解を深めることができます。サンクスカードは従業員同士で感謝を送り合うもので、従業員の隠れた頑張りを見える化できます。6. コミュニケーションツールを活用する
コミュニケーションツールを活用することで、組織の相互理解を深めることができます。コミュニケーションツールとは、社内の意思伝達や情報・ノウハウを共有できるツールです。 ▼関連記事:「情報共有」が進む組織づくりを行うポイント。ツールもご紹介7. ゲームやワーク、部活動、社内イベントで交流する
ゲームやワーク、部活動、社内イベントなら、交流の中で組織の相互理解を自然に深めることができます。普段交流する機会がない相手との交流を新たに生み出すことで、従業員同士の相互理解を促進します。 ▼関連記事 コミュニケーション促進にゲームが効果的!おすすめゲーム10選 チームビルディングにおすすめな「ゲーム」15選。短時間で楽しみながらコミュニケーション活性化 社内コミュニケーションが進むイベント事例!ユニークな例、季節に合わせた例まとめ8. フリーアドレス制度を活用する
フリーアドレス制度を活用することで、組織の相互理解を深めることができます。自席を固定せず作業スペースを変更するため、さまざまな従業員と交流する機会が生まれます。9. シャッフルランチで他部署と交流する
シャッフルランチで他部署と交流するのも、組織の相互理解を深めるのに効果的です。通常業務では接点がない相手とのコミュニケーションをとるきっかけになるでしょう。10. ジョブローテーション制度を導入する
ジョブローテーション制度を導入することで、組織の相互理解を深めることができます。一定期間ごとに働く部署を変えることで、複数の部署における働き方や考え方を知ることができます。職場で相互理解を深めるメリット4つ
職場で相互理解を深めるメリットは以下の4つです。1.生産性の向上
職場で相互理解を深めるメリットの一つは、生産性が向上することです。 一緒に作業する相手の考えが理解できていれば、細かく打ち合わせをしなくてもスムーズに作業が進みます。また、相手の状況を理解できていれば、余裕がある時にフォローすることも可能です。 結果として無駄な作業を減らすことができ、会社全体で作業を効率よく行えます。2.従業員同士のトラブル抑制
職場で相互理解を深めることで、従業員同士のトラブルを抑制する効果が期待できます。 従業員同士の相互理解が深まれば誤解が生まれにくくなったり意思疎通がしやすくなり、トラブル防止につながります。また、トラブルになりそうなことがあっても、上司と部下の相互理解が深ければ部下から上司に相談しやすく、トラブルを未然に防ぐことにもつながります。 全ての従業員間のトラブルが相互理解で抑制できるわけではないですが、お互いの意見や人柄を理解し合い、相互理解を深めることで回避できるトラブルも多いはずです。3.個性を活かすマネジメントの実現
上司と部下の相互理解が深まれば、個性を活かすマネジメントが可能になります。 上司は部下のことを理解しているつもりでも、上司に本音を話さない部下も多いです。実は得意なことでも、仕事を押し付けられると感じて黙っていることもあるでしょう。 上司と部下の相互理解を深めることができれば、部下は上司に悩みや将来の目標をはなしやすいですし、上司は部下の適性に合わせた人事を行えます。4.エンゲージメントの向上
相互理解が深まると、会社と従業員の結びつきや信頼関係である「エンゲージメント」の向上も期待できます。 人材の流動化、価値観の多様化、リモートワークの普及などにより、従業員に生産性高く働き続けてもらうためにエンゲージメントに注目が集まっています。相互理解を深めることで、エンゲージメントが向上し、強い組織を作っていけるメリットがあります。相互理解を深めるコミュニケーションのポイントは2つ
相互理解を深めるコミュニケーションのポイントは、相手に対する不信感を減らすことと、実りある話し合いをしようという視点を持つことです。1.相手に不信感を持たせない言動
相手に不信感を持たせるようなコミュニケーションは、相互理解をさまたげる要因となります。 たとえば、上司から理由や目的の説明もなく一方的に作業を指示された場合、部下は何か問題が発生しないのかと不安になるでしょう。逆に、部下から根拠もなく仕事を任せて欲しいと言われた場合、上司は本当に大丈夫なのかと不信感を持つかもしれません。 相手に不信感を持たせないよう、意図や背景、根拠などを伝えるコミュニケーションの取り方をすれば、相互理解を深めやすくなります。2.実りある話し合いをしようという視点
相互理解を深めるためには、実りある話し合いをしようという「視点」が重要です。「フレーミング」の理論や、それをもとにした実験結果が参考になります。 「フレーミング」とは状況のとらえ方を決める視点の枠組みのことで、カーネマン氏とツベルスキー氏が提示した研究の成果が有名です。例えば、 「90%の確率で成功する」というのはポジティブなフレーミング 「10%の確率で失敗する」というのはネガティブなフレーミング です。どちらも同じことを意味しているはずですが、受ける印象がだいぶ違いますよね。 このフレーミングの理論をもとに、バザーマン氏などの研究者たちが商品の売買交渉ゲームを使った実験を行いました。交渉する両者に対してネガティブなフレーミングを伝える条件群と、ポジティブなフレーミングを伝える条件群、それぞれで実験をすると、こんな結果になりました。- 両者に「できるだけ損失を小さくことに注意して交渉を行って下さい」と伝えた条件群では、両者は互いに主張を譲らず交渉成立に至らないケースが多かった
- 両者に「できるだけ利益を大きくすることに注意して交渉を行って下さい」と伝えた条件群では、多くの交渉を成立させ、獲得した利益も多かった
相互理解の取り組み事例2選
実際に組織の相互理解に取り組む企業の事例を2つ紹介します。1.ディップ株式会社の事例
『バイトル』『はたらこねっと』など、アルバイト・派遣・正社員のお仕事情報、看護師の人材紹介サイトを運営するディップ株式会社。 従業員が同じオフィスにいた頃に比べて、拠点が増えて約2,000人規模になると、コミュニケーションが難しい・経営陣や他部門が何を考えているか分かりづらいなどの課題が出てきました。そこで、相互理解を深める取り組みとして、Web社内報アプリでコンテンツを配信しました。 社員の聞きたいことに経営陣が答える企画「TOP ANSWER TALK!」については、「ディップって結構いい会社ですね」「上の人って熱いんですね」「現場もみんな頑張っているんだな」という嬉しい声が届くようになりました。 また、拠点が離れた営業部門とスタッフ部門で相互理解を深めたいという思いから、各スタッフ部門からニュースを発信。読み手が自分の仕事と結びつけて共感して読めるように、「何を目的に」「どういう“想い”があって」という内容を必須にして工夫しています。 >>ディップ株式会社の相互理解の取り組みをもっと読む2.株式会社BPの事例
全国に11の会場を運営し、ウエディング事業、ホテル事業、フード事業などを手掛ける株式会社BPでは、人手不足という課題がありました。 そこで、定着率向上のために「感謝し合う会社」を目指し、具体的な施策としてアプリを活用してサンクスメッセージに取り組みを開始。 その結果、導入3ヶ月でサンクスメッセージが10,000回贈られて社内で感謝の見える化が進んだのはもちろん、相互理解も深まりました。これまでは話しかけたいと思っても「誰か分からない」「接点が無い」と距離が縮まりづらかったのが、サンクスメッセージがたくさん投稿されることで、「どんな人なんだろう?」と気になった人のプロフィールを見に行くこともあり、スタッフの顔と名前が一致したためです。 普段本部にいて現場に行くことがない従業員にとっても、話したことのないスタッフのやりとりを見て「この人はこんな面白いことを言うんだな」と新しい発見もあるそうです。 >>株式会社BPの相互理解の取り組みをもっと読む知るきっかけが自然に流れてくる『TUNAG』で、相互理解を促進
コミュニケーションアプリ『TUNAG』は、会社や従業員のことを知るきっかけが日常的に自然に流れてくるのが特徴です。- 社長メッセージ
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