エンゲージメントサーベイはこう見る! 結果の活用方法を解説

企業の持続的成長には、従業員の声を正確に把握することが不可欠です。エンゲージメントサーベイはその有効な手段ですが、真の価値は収集したデータの活用にあります。本記事では、エンゲージメントサーベイのデータから、実践的な洞察を得るための方法を解説します

【時間がない方のためのポイントまとめ!】

  • エンゲージメントサーベイはやるだけでは意味がない!
  • 分析の手間を減らすためにはエンゲージメントサーベイの専用サービスもおすすめ
  • 結果をもとに「目標」「具体施策」「タイムライン」を含むアクションプランを立て、推進するのが重要

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エンゲージメントサーベイの基本

サーベイは組織の現状を客観的に評価する重要なツールです。ここでは、サーベイの基本概念と、企業経営における重要性を解説します。

エンゲージメントサーベイの定義と重要性

エンゲージメントサーベイとは、従業員エンゲージメントを測定するアンケート調査のことです。「ビジョンを理解しているか」「事業の方向性に共感しているか」「上司や同僚との関係は良好か」「成長実感はあるか」などを調査できるため、企業にとって、エンゲージメントサーベイは従業員の声を直接聞く貴重な機会となります。

定期的に従業員エンゲージメントサーベイを実施することで、組織の状態や課題をリアルタイムで把握でき、それに対して迅速に対策を取ることで、離職率の低下や生産性の向上などの成果につなげることができます。

エンゲージメントサーベイは、定性的・感覚的に捉えられがちな「組織の実態」を、定量的に可視化する強力なツールです。

実施の目的

エンゲージメントサーベイ実施の主な目的は以下の4点です。

  1. 現状把握:組織の現在の状態を客観的に理解する
  2. 課題発見:潜在的な問題や改善点を明らかにする
  3. 施策決定:問題や改善点のための具体的な施策を決定する
  4. 効果測定:実施した施策の効果を定量的に確認する

現状把握はもちろん、施策決定や効果測定まで見越して導入することで、より効果的にエンゲージメントサーベイを活用できるでしょう。

測定できる要素

エンゲージメントサーベイで測定できる要素は多岐にわたります。主な測定要素には以下のようなものがあります。

  • 会社や事業に対する、従業員の理解・共感
  • 部署間のコミュニケーション
  • 上司や同僚との関係性
  • 称賛や承認の機会
  • 成長機会
  • 職場環境

測定する要素を適切に選択することで、より有意義なサーベイ結果を得ることができます。業界動向や自社の課題に応じて、測定要素を適宜見直すことも重要です。

サーベイ結果データ分析のポイント 

収集したサーベイデータを有効に活用するためには、適切な分析が重要です。ここでは、エンゲージメントサーベイのデータを深く理解するための分析のポイントを紹介します。

結果を構造化して分析する

エンゲージメントサーベイの結果を効果的に活用するためには、まずデータを構造化します。

サーベイ結果は回答項目ごとにばらつきが見られるため、それを適切に分類し、課題や強みを明確にすることが必要です。例えば、「コミュニケーション」「成長機会」「リーダーシップ」などのテーマごとにデータを集約し、各項目のスコアを比較することで、組織全体としての傾向や問題点を洗い出します。

このようにデータを整理することで、組織の改善施策を優先順位付けしやすくなり、戦略的なアクションにつなげることが可能です。

組織や属性別に分析する

組織内の部門や従業員の属性ごとに分析することも重要です。

若手社員とベテラン社員で課題や組織に感じていることに違いは生じて当然ですし、特定の部署において数値が高い・低いということも起こります。

組織全体の平均値ももちろん大事な指標ですが、それだけだと特定の部門や役職、年齢層が抱える問題が見えにくくなります。属性ごとに何を課題に感じているのか、属性間でどのような違いがあるのかは、組織改善の施策立案に重要な要素です。

課題の抽出と優先順位づけ

サーベイ結果から実際のアクションにつなげるためには、課題の特定と優先順位づけが重要です。データから意味のある洞察を得る方法をお伝えします。

全体傾向の把握

エンゲージメントサーベイ結果の全体像を理解することから始めましょう。平均値や中央値、標準偏差などの基本的な統計量を確認し、組織の現状を把握します。前回の結果や業界標準との比較も重要です。特に注目すべきは、スコアの低い項目や、前回から大きく変化した項目です。

例えば、「成長機会」のスコアが低下していれば、人材育成プログラムの見直しが必要かもしれません。また、「職場環境」のスコアが業界平均を下回っていれば、改善の余地があると考えられます。

全体傾向を把握したら、「なぜそのような結果になったのか」を考察することが大切です。部署別や年齢層別の分析を行い、より詳細な洞察を得ることをおすすめします。

自由回答の分析

自由回答の項目がある場合は、テキストマイニングツールを使用すると効率的に分析できます。頻出キーワードや感情分析を行うことで、数値では見えない具体的な課題や、従業員の生の声を把握できます。

仮に「コミュニケーション」という単語が頻出していれば、社内のコミュニケーション改善が課題である可能性があります。また、ネガティブな感情を含む回答が多い項目があれば、優先的に対応すべき課題かもしれません。

自由回答の分析結果は、数値データの裏付けや具体的な改善策の立案に役立ちます。ただし、個人が特定される可能性のある情報の取り扱いには十分注意を払いましょう。

重要課題の選定

分析結果から抽出された複数の課題について、優先順位をつけます。考慮すべき観点は以下の通りです。

  1. 影響度:組織全体への影響の大きさ
  2. 緊急性:早急に対応する必要性
  3. 実現可能性:リソースや予算の制約を考慮した実現性

これらの観点から課題をマッピングし、経営陣と議論の上、取り組むべき重要課題を決定します。例えば、「影響度が大きく、緊急性も高い」課題を最優先で取り組むべき課題とし、「実現可能性が高い」ものから着手するという方針が考えられます。

優先順位づけの際は、長期的な組織の目標や戦略との整合性も考慮しましょう。現在のトレンドや市場動向を踏まえ、将来を見据えた判断が重要です。

改善策の立案と実行

課題が明確になったら、次は具体的な改善策の立案と実行です。効果的なアクションプランの策定方法と、その実行におけるポイントを解説します。

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アクションプランの策定

各課題に対して、具体的なアクションプランを策定しましょう。効果的なアクションプランには以下の要素が含まれます。

  • 明確な目標設定:数値目標を含む具体的な達成目標
  • 具体施策:実施形式や頻度も含めた施策の運用方法
  • 責任者の明確化:各施策の責任者
  • タイムラインの設定:周知のタイミング、実施期間と中間チェックポイント
  • 必要リソースの明確化:人員、予算、システムなど

例えば、以下のように具体的なアクションプランを立てます。

<例>「社内コミュニケーションの改善」という課題

  • 明確な目標設定:次回のエンゲージメントサーベイで、他部署理解のスコアを75に上げる
  • 具体施策:月2回、部署横断のランチミーティングを会社補助で実施する
  • 責任者の明確化:組織開発部 部長
  • タイムラインの設定:実施期間は6月1日から6ヶ月間、9月最初の事業会議にて中間評価を実施する
  • 必要リソースの明確化:組織開発部から運営メンバーを2名選出、1回のランチの上限金額は5,000円とする

アクションプランの策定時は、組織の文化や価値観を考慮することも重要です。施策が組織の価値観と一致していれば、従業員の受け入れもスムーズになるでしょう。

分析結果と改善策を従業員に周知する

改善策の実行にあたっては、従業員との適切なコミュニケーションが不可欠です。サーベイ結果の概要と、それに基づいて立案された改善策を従業員に共有しましょう。

このとき、なぜその改善策が選ばれたのか、どのような効果が期待されるのかを社内全体に向けて明確に説明することが大切です。従業員の理解と協力を得るためには、透明性の高いコミュニケーションが欠かせません。

例えば、全社集会やメールマガジン、イントラネットなどを活用して情報を共有し、質問や意見を受け付ける機会を設けるのも良いでしょう。従業員の声に耳を傾け、必要に応じて計画を柔軟に調整することで、より効果的な改善につながります。

施策の実施とスケジュール管理

立案されたアクションプランに基づき、改善策を実施します。施策の開始後は、施策の責任者を中心に運営メンバーで定期的に進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を行いましょう。

進捗が思わしくない場合は、原因を特定し、必要に応じて計画を修正することが大切です。例えば、「ランチミーティングへの参加希望者が少ない」という問題に対しては、「実施の様子を社内報で紹介して参加ハードルを下げる」「事前にランチ相手の希望を出せる仕組みにする」などの対策が考えられます。柔軟な対応が、最終的な目標達成への近道となります。

また、施策開始後に得られた従業員からのフィードバックは随時収集し、施策の改善や、次のエンゲージメントサーベイ結果の分析に活かしましょう。PDCAサイクルを回すことで、継続的な改善が可能になります。

効果測定を行い、施策の継続や改善を検討する

改善策を実施した後は、その効果を測定し、次のアクションにつなげることが重要です。施策の実施期間が終わったタイミングで目標達成できたかどうか評価し、経営層や従業員向けに報告しましょう。

その際、単に目標の達成度合いを報告するのではなく、所感や、施策の継続や改善も併せて提言することが重要です。例えば、「次回のエンゲージメントサーベイで、他部署理解のスコアを75に上げる」という目標に対して、スコアが68だったとします。この場合、以下のような選択肢が考えられます。

  • 様々な策を講じたが、ランチミーティングへの参加者が一部の人に限られた。いきなりランチで話すというハードルが高いという仮説のもと、別の施策を立案して再度目標達成を目指す。
  • 中間評価を境にランチ相手の希望を出せるようにしたところ、徐々に参加希望者が増加した。次回のエンゲージメントサーベイではスコア達成が見込まれることから、ランチミーティングの実施期間を延長して再度目標達成を目指す。
  • スコアは目標に届かなかったものの大幅に上昇した。「社内コミュニケーションの改善」には一定の成果があったと判断し、頻度を下げてランチミーティングは引き続き実施していく。ただし、次は優先度の高いほかの課題についての目標を設定し、改善策を実施する。

こうした所感や提言も含めて報告することで、組織課題の改善を継続していきます。

なお、必要に応じて施策に関するピンポイントのアンケートを実施するなど、従業員の生の声をもとに所感や提言をまとめるのも効果的です。

エンゲージメント向上は長期戦

定期的なエンゲージメントサーベイの実施で、組織の持続的な成長につなげる

エンゲージメントサーベイとそれに基づく改善活動は、単発ではなく継続的なプロセスとして捉えることが重要です。長期的な視点で従業員エンゲージメントの推移を追跡し、組織の持続的な成長につなげましょう。

長期的評価のためには、定期的なサーベイの実施が欠かせません。多くの企業では、年1回または半年に1回の頻度で包括的なサーベイを実施しています。これにより、時系列での変化を追跡し、改善策の効果を測定することができます。

データの分析では、単純な数値の比較だけでなく、トレンドの把握も重要です。数値が緩やかに上昇し続けているのか、それとも上下を繰り返しているのかを観察します。また、業界のベンチマークと比較することで、自社の位置づけを確認することも可能です。

長期的な評価を通じて、組織の強みと弱みを明確にし、継続的な改善につなげていきましょう。エンゲージメント向上の取り組みは、従業員の定着率向上や生産性の向上につながり、最終的には企業の競争力強化に寄与します。

「TERAS」で、サーベイ結果を簡単分析

サーベイ結果の分析はいかにデータを収集するか、そしてどのような分析にかけるかが重要です。人の手で分析しようと思った場合、専門的な知識とデータによっては大きな工数がかかります。

そのため、サーベイ結果を分析するには、分析ツールを使うことをおすすめします。サーベイデータの分析と活用を支援するツールとして、「TERAS」が効果的です。TERASは半年に1回、たった5分のアンケートで、エンゲージメントを構成する以下の8項目を分析し、それぞれのスコアを自動で算出します。

  1. 会社理解・共感
  2. 事業理解・共感
  3. 組織への理解・共感
  4. 上司との関係
  5. 同僚との関係
  6. 業務環境・待遇
  7. 承認欲求
  8. 成長機会

TERASを活用することで、専門的な統計知識がなくても、エンゲージメントサーベイのデータから有益な洞察を得ることができます。ぜひ、自社のサーベイ分析にTERASの活用を検討してみてください。

著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
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