接客力を向上させるためには?具体的な取り組みや成功事例を解説

接客力とは?

接客力とは、顧客に対するコミュニケーションスキルや適応能力のことです。顧客に満足感や感動を感じてもらうには、スタッフ個々の接客力が鍵を握っています。

例えば飲食店における接客とは、顧客の来店時のお出迎えからオーダーの受注、料理提供からお会計に至るまでの顧客とのコミュニケーション全てのことです。その中でも「おもてなし」や「気遣い」といった姿勢や態度は「接遇」とも呼ばれます。サービス業に従事する方にとって、接客・接遇はどちらも必須のスキルだといえます。

接客力を細分化すると、技術・意識の2つに分類されます。例えば「笑顔」や「マニュアルに沿ったスムーズな所作」などは、型を知り、反復練習や経験を積むことで得られる「技術」に分類されるスキルです。

意識とは、例えば「顧客は何を求めているのか」「顧客のために何か提案できることはないか」といったことを、考えたり想像したりするスキルのことです。トラブル対応やマニュアル外の接客などの臨機応変な対応力も、意識を磨くことで得られる能力だといえます。

接客力向上は一朝一夕にできない理由

幹部や店長などの上層部が「接客力向上を目指そう」と決心しても、企業・店舗全体でそれを実現するのはそう簡単ではありません。その理由として、以下の2点が挙げられます。

経験による暗黙知となりやすい

接客力は、経験による暗黙知となりやすい、属人化しやすいスキルであり、企業・店舗全体で接客力を向上させるのが難しい理由の1つとなっています。

「接客力が高い」と評価されるスタッフがいたとしても、当人はそれまでの経験や努力によって感覚的にそのスキルを身に着けています。よって、他のスタッフに接客の教育をしようにも、言語化やマニュアル化がうまくできない可能性があります。

経験による暗黙知として得た接客スキルも、実はロジックやパターンとして言語化できる部分も大いにあります。企業・店舗として接客力を向上させるには、自社・自店における接客力を可能な限り言語化することが大切です。

教育方法が拠点や店舗の自治で行われてしまっている

接客に関する教育を拠点・店舗ごとの自治でおこなわれてしまうと、企業全体としての接客力向上に繋がらない・店長が考える基準値以上に接客力が上がることはない、といった課題に直面しやすくなります。

また多店舗展開をしていると、各店舗で教えている内容や方法を本部が把握しきれないということが起きやすくなります。結果として、店舗ごとに接客力に差が生まれてしまい、企業全体のサービス品質が落ちてしまう恐れがあります。

接客力を向上させる5つの取り組み

接客力を向上させる具体的な取り組みとして、以下の5つを導入することをおすすめします。

チェックリストなどの業務マニュアルを活用する

チェックリストなどの業務マニュアルに記載される内容は、企業・店舗における接客の1つの正解や基準となるため、業務が標準化され接客力向上につながります。

また、そこにチェックリストを組み込むことで、個々が自店における望ましい接客をできているか・できていないかを可視化できます。それによって目標設定もしやすくなり、継続的に接客力を伸ばしていけるはずです。

動画マニュアルを作成する

動画マニュアルを活用することで、従業員は実際の業務の様子をイメージしやすくなります。これにより、新入従業員の早期立ち上がりや接客レベルの向上が期待できます。動画には文字の5,000倍の情報量があるといわれており、文字だけのマニュアルよりもわかりやすく内容を提示できるでしょう。

また、昨今はさまざまな動画コンテンツが世の中に溢れている時代です。スタッフとしても文字だけのマニュアルよりも動画マニュアルの方が親しみを持ちやすく、積極的に学ぼうとしてくれるでしょう。

店舗間で好事例を共有する

各店舗で発生した好事例やお客様の声は共有しなければ、当事者のみが知る出来事となってしまいますが、全体に共有することで、その接客が企業・店舗における1つの正解となるはずです。

「××といった場面で、こういう接客をしたら顧客が喜んでくれた」といった具体的な好事例を周知することで、企業・店舗全体のスタッフの行動変容を促せます。やがて、それぞれのスタッフの成功体験に繋がり、全体的な接客力向上へと繋がるはずです。

接客の基準となる行動指針を浸透させる

接客の基準となる行動指針を浸透させることは顧客のお出迎えやお見送り、商品の案内などさまざまなシーンで、スタッフ個々が行動を選択する際の判断基準となります。

例えば、リッツカールトンホテルの行動指針(クレド)には「リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。」との文言があります。この行動指針によって、目の前の顧客にとっての「快適さ」とは何なのかを考え、最適なおもてなしをするという風土が醸成されています。

評価制度や有資格制度との紐付け

社内の評価制度や有資格制度と接客力を紐づけることで、スタッフはモチベーション高くスキルアップに臨むことができ、ひいては能力の向上がそのまま接客力の向上へと繋がるはずです。

例えば、全国に800店舗以上を展開する丸亀製麺は「麺職人制度」という社内資格制度を取り入れています。麺職人の資格は4つのレベルに分けられており、資格を取得したスタッフもさらなるレベルアップを目指して、知識・技術をブラッシュアップしていくわけです。

また、評価制度は前述した業務マニュアル・チェックリストを有効活用するためのツールにもなります。接客能力を定量的に判断できるため、スタッフのモチベーションに繋がりやすくなるでしょう。

接客力を向上に取り組んだ事例

この章では、接客力向上に取り組んだ企業の具体的な事例を3つ紹介します。

株式会社ピーアンドエム

アパレル事業やインポート寝具の販売をおこなっている株式会社ピーアンドエム様では、スタッフ間で接客のノウハウを共有することで、社内全体の接客力向上に繋げています。

そのきっかけになったのが、社内コミュニケーションツールTUNAG(ツナグ)の導入です。接客マイスターに任命されたスタッフからの情報・成功事例の共有などをおこなっている他、日報の共有、スタッフが自由に投稿できる場の共有などに役立てています。

それらの取り組みがスタッフ個々の接客力の向上やエンゲージメントの向上に繋がり、業績に好影響を与えています。

事例記事はこちら>>情報共有から帰属意識の醸成まで、TUNAGに一本化:ピーアンドエムが挑むコミュニケーション改革

株式会社ウインナー美容室

愛知県に4店舗の美容室を展開する株式会社ウインナー美容室様では、TUNAG(ツナグ)を導入して教育コンテンツの運用をおこなっています。店舗を超えた社内のコミュニケーションが円滑になり、教育がスムーズに進み、接客力向上に繋がっています。

その他にもTUNAGで接客マニュアルやカット講習の動画を共有し、学習の吸収度合いが高まっていると感じているそうです。また、「TUNAG(ツナグ)」への投稿頻度と表彰制度を紐づけることで、ツールの利用促進やエンゲージメントの向上に繋げています。

事例記事はこちら>>店舗が離れていても情報はタイムリーに共有、意見を出し合える環境を大切にする - ウインナー美容室のTUNAG活用事例

株式会社炭平旅館

旅館・たまごパンの専門店の2業種4店舗を展開する株式会社炭平旅館様は、明治元年創業の老舗企業です。同社はTUNAG(ツナグ)を経営理念の浸透施策に役立て、接客力の向上に繋げています。

例えば、理念を体現する取り組みを日報で共有したり、顧客へのアンケートや口コミの共有をおこなったりして、行動指針に沿った理想的な接客の事例共有を図っています。それらの取り組みによって、部署の垣根を取り払ったコミュニケーションが生まれているのも大きな効果だといえるでしょう。

事例記事はこちら>>旅館業ならではの情報共有の課題を改善 - 創業の精神「相手のことを一心に考え尽くす」を体現する、炭平旅館のTUNAG活用法

まとめ | 継続的な取り組みで組織全体の接客力を高める

顧客に満足感や感動を感じてもらうための鍵は接客力です。接客力を向上させることは、業績アップはもちろん、理念の浸透・エンゲージメントの向上などにも繋がります。

ただし、接客力の向上は短期的に叶えることができるものではありません。長期スパンで考えて継続的にアクションを起こすことで、個々の接客力が少しずつ高まっていくはずです。

継続して施策を打っていく際には、教育する側の負担を考慮することが重要です。デジタルツールをうまく活用することで、アナログな教育方法では実現できない、教育の効率化が実現可能となります。

例えば、接客の基本マニュアルや接客の振る舞いの見本の動画を共有できるe-ラーニングシステムや、各店舗の成功事例やお客さまの声を共有できるコミュニケーションツールを導入することで、より効果的・効率的に企業全体の接客力を向上させることが期待できるでしょう。

先の事例でも紹介したTUNAG(ツナグ)も、動画マニュアルの運用、各店舗の好事例共有などで活用され、複数店舗を展開する企業全体の接客力向上や従業員エンゲージメント向上を実現しています。興味を持たれた方は、ぜひTUNAGの資料をダウンロードして、その特徴や機能をご確認ください。

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