心理的安全性を高める方法は?ぬるま湯組織にならないための施策5選

近年はビジネスの世界で心理的安全性が注目を集めています。しかし、その重要性は理解していても、どのように高めればよいのか分からないリーダーも多いでしょう。心理的安全性の基礎的な概念や重視される背景、そして心理的安全性を高める具体的な施策5選を紹介します。

心理的安全性の基礎知識

心理的安全性が高い状態とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。勘違いされやすい心理的安全性の意味や、低い組織で生じる不安などを解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性とは、全てのメンバーが自分の意見を率直に発言できる状態のことです。どのような考えを述べても、他のメンバーから拒絶や批判をされる心配がない環境を意味します。

例えば、上司や長年の経験を持つ同僚にも臆せず自分のアイデアを伝えられる環境が整っているチームでは、心理的安全性が高いと言えます。このような環境があることで、イノベーションや課題解決が進む土台が構築されるのです。

ぬるま湯組織との違い

心理的安全性についてよくある勘違いが、「心理的安全性が高い状態とは、メンバー間の仲が良い状態である」という認識です。

しかし、心理的安全性が高い状態とぬるま湯組織は全く異なります。メンバー間の仲が良いぬるま湯組織では、自分の率直な発言で人間関係が悪化するのを恐れ、発言を控えたり沈黙したりするものです。

一方、心理的安全性が高いチームでは、何を発言しても人間関係が崩れることはないとメンバー全員が信じています。お互いの意見を戦わせてチームの生産性を向上できることが、心理的安全性の本質です。

心理的安全性が重視される背景

心理的安全性が注目されるようになった大きなきっかけは、Google社が2012年に開始した調査です。チームが結果を出すために最も重要なのは心理的安全性の高さであることが、この調査で判明しました。

心理的安全性の高さ以外にも、「リーダーのカリスマ性」「学歴や趣味の共通点」「特別な報酬」「プライベートでの親密さ」などが検証されましたが、高いチームが成果を生み出す決定的な要因は心理的安全性の高さだったのです。

Google社の調査結果を受け、日本でも心理的安全性が注目され、多くの企業でさまざまな取り組みが進められています。

心理的安全性が低い組織で生じる不安

心理的安全性が不足している状況では、メンバーに次のような不安が生じやすくなります。

  • 「このような質問をすると無知だと思われないだろうか」という不安
  • 「今自分が発言すると議論の邪魔にならないだろうか」という不安
  • 失敗したときに「こんなこともできないのか」と思われる不安
  • 「あの人はいつも他人の意見を否定する」と思われる不安

メンバーが常にこれらの不安にさらされているチームでは、自由な発言ができないほか、積極的な行動も取れません。メンバーの能力が最大限に発揮されず、生産性も低下してしまいます。

心理的安全性の測定方法

職場の心理的安全性は、メンバーに対する以下の質問で測定することが可能です。この測定方法はハーバード大のエイミー・エドモンドソン教授が提唱したのが始まりとされます。

  • 質問1:チーム内で失敗すると批判されることが多い
  • 質問2:解決が難しい問題をチーム内で指摘し合える
  • 質問3:多様性を受け入れない雰囲気がチームにある
  • 質問4:チーム内でリスクのある行動を取っても不安がない
  • 質問5:チームメンバーを頼りにくい
  • 質問6:他人をだましたり意図的に陥れようとしたりするメンバーがチームにいない
  • 質問7:チームに貢献している実感がある

当てはまるか当てはまらないかを5段階で回答してもらいます。1・3・5は当てはまらない方がよい質問、2・4・6・7は当てはまる方がよい質問です。匿名で回答してもらうと、より現状に近いデータを得られるでしょう。

心理的安全性を高めるメリット

心理的安全性が高い企業には、さまざまなメリットがもたらされる可能性があります。代表的なメリットを見ていきましょう。

生産性が向上する

チームの心理的安全性が高まると、お互いを認め合って一緒に頑張れる雰囲気が醸成されます。コミュニケーションが活発化されるため、細かい情報共有により業務効率も向上するでしょう。

また、目標に対する建設的な議論により、チームのビジョンも共有されます。結果としてチーム力の強化につながり、組織全体の生産性が向上します。

イノベーション創出が促される

心理的安全性が高いチームでは、意見を表明することへの抵抗感が低下するため、メンバーそれぞれが自由に発言しやすい環境が整います。各メンバーの多様な価値観から生まれるアイデアにより、イノベーション創出が促されるでしょう。

近年はダイバーシティ経営が重視されており、年齢・性別・人種を問わない採用が進んでいます。イノベーションを創出しやすいダイバーシティを推進するためには、多様性を受け入れるために職場の心理的安全性を高めておくことが重要です。

離職率が改善する

心理的安全性が確保された組織では、メンバーの仕事へのモチベーションがアップし、会社への帰属意識が高まりやすくなります。離職率が改善され、優秀な人材の流出を防げるでしょう。

会社への貢献意欲が高まると、従業員エンゲージメントの向上も期待できます。自社に貢献したいという気持ちが個々の能力アップにつながり、従業員の成長を促進できるでしょう。

心理的安全性を高める具体的な施策5選

職場の心理的安全性を高めるために効果的な方法を紹介します。心理的安全性は自然に高まるものではないため、企業の主導で取り組みを進めることが大切です。

チームや個人の目標を明確化する

チームの目標を設定し、メンバー間で共有すれば、心理的安全性が高まりやすくなります。発言や行動が目標達成のために行われるという共通認識が浸透し、何を言っても個人攻撃にはならない安心感が生まれるためです。

チームの目標を設定する際は、組織の目標を達成させるためのフレームワーク「OKR」を導入しましょう。OKRを活用すれば、組織の目標をチームや個人の目標にまで落とし込めます。

コミュニケーションが促進される環境を整える

心理的安全性を高めるための効果的な施策として、メンバーの自由な発言が促される環境を整えることも挙げられます。議論を交わせる機会を意識的に増やすことで、発言へのハードルが下がり、メンバーの率直な意見を引き出しやすくなるでしょう。

複数のメンバーで話し合う場では、全てのメンバーに発言する機会を与えることが重要です。話し合いの前に雑談やミニゲームなどができる時間を設ければ、メンバーの緊張がほぐれて積極的な発言につながります。

どうしても意見が出ないメンバーがいる場合は、業務を離れて自由に語り合える場をつくるのもおすすめです。研修や食事会を実施し、チームに慣れるための環境を提供するとよいでしょう。

1on1ミーティングを実施する

上司と部下が信頼関係を構築できれば、部下が上司に意見や考えを伝えやすくなるため、心理的安全性が高まります。定期的に1on1ミーティングを実施し、上司と部下がコミュニケーションを交わす機会を増やしましょう。

1on1ミーティングでは、上司が一方的に指示したり質問したりするのではなく、部下の話をメインにした対話を意識することが大切です。上司は聞き役に徹し、部下をサポートする姿勢を示しましょう。

称賛・承認文化を醸成する

チームや組織に貢献していることを各メンバーが実感できれば、心理的安全性がより高まりやすくなります。お互いに称賛・承認する文化を育てることが大切です。

メンバー間で感謝し合える仕組みとして、「ピアボーナス」や「サンクスカード」と呼ばれるものがあります。いずれも普段の仕事の行動や成果に対して報酬やメッセージを送り合える仕組みです。

これらの仕組みを運用できるツールを導入すれば、メンバー同士が気軽に称賛し合えるようになるでしょう。

評価制度を見直す

評価制度に対してメンバーが不公平感を抱いている状況では、心理的安全性が低下する恐れがあります。チーム内で妬みが発生し、他のメンバーの足を引っ張ろうとしかねないためです。

また、成果のみを重視する評価制度においては、失敗を恐れて新しいことにチャレンジしなくなる可能性もあります。このような状況では、評価が下がるのを恐れて自由な意見が出にくくなるでしょう。

心理的安全性を維持するためには、評価制度を定期的に見直し、不公平さを感じさせない評価を行う必要があります。

心理的安全性が高い組織づくりの企業事例

心理的安全性の向上に成功した企業事例を紹介します。自社で実施する施策を検討する際の参考にしましょう。

株式会社メルカリ

株式会社メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」を運営する企業で、社員同士で感謝と称賛を伝え合える「メルチップ」を導入しています。このシステムは「Unipos」を基盤とし、「Slack」と連携して運用されています。

毎週従業員1人につき400ポイント(1ポイント=1円)が配布され、部署を超えたコミュニケーションで感謝を伝え合い、心理的安全性を高める環境づくりに寄与しています。日常的に使うチャットツールで気軽にやりとりできる点もポイントです。

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスは、求人広告・人材紹介事業を展開する企業です。「ピアフィードバック」を3カ月ごとに実施し、職場の心理的安全性を高めています。

ピアフィードバックとは、同僚同士で行うフィードバックのことです。株式会社リクルートホールディングスでは1対2のピアフィードバックを行い、内容を全従業員で共有しています。

他の従業員がピアフィードバックの内容を見て、「同僚を相手にここまで踏み込んだ発言をしていいんだ」ということが分かるため、職場の心理的安全性が高まるのです。

職場の心理的安全性を高めよう

組織やチームの心理的安全性が高まれば、各メンバーが拒絶や批判を恐れることなく、自分の意見を主張できるようになります。生産性の向上や新しいアイデアの創出が期待できるほか、離職改善にもつながるでしょう。

心理的安全性が高まる施策を検討しているなら、エンゲージメント向上プラットフォーム「TUNAG」を導入するのがおすすめです。TUNAGは以下のような機能を通じて、心理的安全性を向上させるサポートを提供します。

以下に、TUNAGが心理的安全性を高められる機能と、実際の事例を紹介します。

社内交流の活性化

 掲示板やチャット機能、アンケートツールを通じて、社員同士のコミュニケーションを促進。意見や感謝を気軽に伝えられる場を提供します。

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情報共有の透明性向上

 トップメッセージや社内報などの機能により、組織全体の情報共有をスムーズに行い、メンバーが安心して働ける環境を作ります。

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多様な承認・感謝文化の醸成

 「いいね」やコメント機能を活用し、日々の業務の中でメンバー同士が感謝や称賛を表現できる仕組みを提供。ポジティブなコミュニケーションがチーム全体に広がります。

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帰属意識の向上

 会社やチームへの貢献度を可視化する仕組みや、従業員一人ひとりの成果を正当に評価するプラットフォームが、メンバーの帰属意識を高めます。

客先常駐で離れていても、”体温のあるコミュニケーション” で社員が切磋琢磨し合う会社へ - コクー株式会社のTUNAG活用事例

「TUNAG」は単なるコミュニケーションツールではなく、心理的安全性やエンゲージメント向上を包括的にサポートするプラットフォームです。メンバーが安心して意見を交わし、チームとして一丸となれる環境づくりを目指す企業に最適な選択肢といえるでしょう。

TUNAGについて詳しく知りたい方はこちらから


著者情報

人と組織に働きがいを高めるためのコンテンツを発信。
TUNAG(ツナグ)では、離職率や定着率、情報共有、生産性などの様々な組織課題の解決に向けて、最適な取り組みをご提供します。東京証券取引所グロース市場上場。

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