社内報は読まれて終わりじゃない!従業員の行動を変える運用方法
社内報には、従業員の意識と行動を変える力があります。
多くの企業では、経営理念や会社の方針、社内の出来事を伝えるツールとして社内報を活用していますが、「従業員に読まれること」だけを目的としているケースが少なくありません。しかし、本来の社内報の価値は、従業員の意識を変え、具体的な行動変容を促すことにあります。
本記事では、社内報を「従業員の行動変容を促すツール」として最大限に活用するための基本的な運用ステップ、実践的な活用事例まで具体的に解説します。
社内報の役割と目的
社内報は、ただ発信するだけでは大きな効果を発揮しません。まずは社内報の役割と発行する目的を明確にしましょう。
情報共有による組織の一体感を醸成する
社内報の第一の役割は、組織全体の情報共有を促進し、従業員の一体感を高めることです。
他部署の業務内容を定期的に取り上げることで、普段は見えにくい部門の動きが可視化され、部門間の相互理解が深まります。また、経営陣からの定期的なメッセージ発信により、会社のビジョンや理念が従業員に浸透し、組織全体が共通の方向性を持つことが可能になります。
このように、社内報は単なる情報発信の手段ではなく、組織の透明性を高め、従業員の働きがいを向上させるコミュニケーションの基盤となります。
経営理念やビジョンを浸透させる
社内報は、経営理念やビジョンを従業員の具体的な行動に結びつけるために有効な手段です。
日常業務では意識されにくい経営理念やビジョンを、会社の将来像や中長期的な目標と結びつけて発信することで、従業員は自身の業務との関連性を理解できるようになります。
また、経営理念を体現している従業員の具体的な行動事例を紹介することで、他の従業員も理念に基づいた行動を実践しやすくなります。
関連記事:理念の浸透とは? 成功させるための具体的なポイントと企業事例7選
部門間の連携を強化する
HR総研が2024年に行った「社内コミュニケーション」に関する調査によると、実に73%の企業が「部門間のコミュニケーション」に課題を抱えているという結果がでました。
社内報はこの課題に対する有効な手段の一つとなります。
例えば、以下のような部門間を跨ぐ取り組みを社内報で発信しましょう。
- 新サービスの開発やプロジェクトの進捗状況を共有
- カスタマーサクセスから顧客からの声を共有する
- 現在注力しているマーケティング施策を発信する
他部門の業務内容や課題を理解することで、部署の壁を超えた自発的な連携が生まれ、組織全体の生産性向上につながります。
参照:HR総研:「社内コミュニケーション」に関するアンケート2024 結果報告
モチベーションが向上する
日々の業務の中だけでは、他部署の社員の活躍や成果を知る機会はなかなか得られません。また、同様に自身の成果や活躍を周知する機会も、意図的に設けなければ難しいでしょう。
これにより、従業員の自己承認欲求が満たされず、モチベーションは少しずつ低下してしまいます。
社内報を通じて会社から評価されている社員の行動を可視化することは、従業員全体のモチベーションや成長意欲を高める効果があります。
例えば、活躍している社員のインタビューや成功事例を社内で共有してみてはいかがでしょうか。自身や他の従業員の活躍が社内に広まることで、組織全体の成長意欲を刺激し、士気を上げることにつながります。
優れた取り組みを社内で共有することは、模範となる行動が組織全体に広がるだけではなく、ポジティブな組織文化を醸成する手段にもなるのです。
関連記事:社員のモチベーション向上の成功事例と具体的な取り組み10選を解説!
コミュニケーションが活性化する
社内報は従業員同士のコミュニケーションのきっかけを提供します。社内の人間関係は従業員の働きがいに大きく影響する要素です。
特にリモートワークや多拠点展開が進む現代では、対面で交流する機会が減少しているからこそ、全社に情報共有ができる社内報がますます重要となっています。
例えば、社員の紹介記事や趣味・仕事に対する考え方を共有するコンテンツを掲載することで、普段の業務で関わることがない社員の人となりを知る機会が生まれ、自然な会話のきっかけになります。
このように、社内報を通じた情報発信は、社員同士の関係性を深め、従業員の心理的安全性を高める効果が期待できます。
初めて取り組む方必見!社内報作成の流れを解説
社内報を担当することになったものの「何から手をつければいいのかわからない…」と悩んでいませんか?本セクションでは社内報を作成する際の流れを解説します。
目的とターゲットを設定する
社内報の成功は明確な目標設定から始まります。
単に従業員の関心を引く情報を発信するだけでは、企業の成長には結びつきません。重要なのは、社内報を通じて従業員にどのような行動変容を促したいのかを明確にすることです。
目的を定めることで、その後のコンテンツ企画や運用方針が自ずと定まっていきます。
目的 | ターゲット | コンテンツ例 |
経営理念の浸透 | 全従業員 | 経営陣からビジョンや中長期戦略を伝え、従業員の理解を深める |
エンゲージメント向上 | 全従業員(特に若手・新入社員) | 会社の取り組みや社内イベントを共有し、帰属意識を高める |
部門間の情報共有 | 全従業員(特に他部門との協働が多い従業員) | 他部署の活動や成功事例を紹介し、横の連携を促進する |
業務改善の促進 | 各部署の担当者・管理職 | 業務効率化のノウハウやベストプラクティスを共有する |
人材育成 | 若手社員・中堅社員 | スキルアップ研修やキャリア事例を紹介し、成長意欲を促進する |
モチベーションの向上 | 全従業員 | 社内表彰された社員を紹介し、業務への意欲を高める |
コンテンツを企画する
目的に基づき、効果的なコンテンツを企画しましょう。重要なのは、社員が知りたい内容であり、かつ目的に沿ったコンテンツを発信することです。
従業員は社内の発信の中でも「自分に関係があるもの」や「興味を引くもの」しか読みません。そのため、一方的に会社の伝えたいことを発信するのではなく、従業員のフィードバックをもとに、関心のあるコンテンツを取り入れることが重要です。
例えば、目的が経営理念やビジョンの浸透である場合、経営陣からの発信だけでなく、部長陣が理念への想いを語るコラムや、理念を業務で実践している社員のインタビューを掲載することで、理念を自分ごととして捉えやすくなり、具体的な行動につながります。
発信後の反応を分析し、従業員の関心に沿ったコンテンツを企画しましょう。
関連資料:本当に使える社内報ネタ30選
配信方法を選ぶ

社内報の配信方法には、Web社内報や紙の社内報があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
Web社内報は即時性が高く、検索やアーカイブが容易ですが、閲覧環境に依存する面もあります。一方、紙の社内報は手に取りやすく、直感的に情報を伝えやすいですが、配布コストや更新の手間がかかる、情報が蓄積しないといったデメリットがあります。自社の社内文化や従業員の働き方に合わせて、最適な媒体を選択することが重要です。
効果を測定する
社内報の効果を持続的に高めるために、発行後はデータを活用して、改善につなげましょう。
コンテンツごとの閲覧数、読了率、従業員のリアクション(コメント、いいね)数などのデータを分析します。中長期的には、組織診断サーベイや従業員アンケートを実施し、社内報が従業員の行動変容にどの程度寄与したのかを測定しましょう。
データに基づいて改善を重ねることで、社内報は単なる情報発信ツールにとどまらず、従業員の行動変容を促す社内施策として価値のあるものになります。
社内報のゴールは「社員の行動を変えること」
社内報の目的は、単に従業員に読まれることではありません。本質的な目的は、読まれた後に従業員の行動を変化させ、企業の成長を加速させることにあります。目的と手段を誤ると履き違えると、社内報が形骸化してしまいます。
例えば、「経営理念やビジョンを体現する社員を増やす」ことを社内報導入の目的とした場合、社内報で理念を一方的に発信するだけでは、行動変容にはつながりません。理念に込められた思いや背景、業務への具体的な落とし込み方を伝えることで、従業員の理解が深まります。
さらに、理念を実践するために日報に関連項目を設けたり、理念に基づいた行動をした社員を表彰するなど、日常業務の中でアウトプットする機会をつくることが重要です。こうした仕組みが共感を生み、自発的な行動へとつながります。
このように、社内報はあくまで組織改善のための一手段に過ぎません。社内報での発信だけにとどまらず、他の社内施策と組み合わせることで、最短距離で組織の成長を促しましょう。
従業員の行動を変える社内報を運用するポイント
社内報は、単なる情報共有のツールではなく、従業員の意識や行動を変えるきっかけにもなります。ここでは、社内報を読んだ後に従業員の行動変容を促すための効果的な運用方法を紹介します。
受動的に社内の情報が流れる仕組みを作る
社内報は、従業員に届き、読まれて初めて効果を発揮します。しかし、多くの社内報は従業員が自らアクセスしない限り読むことができず、閲覧者が限定されがちです。社内の発信を全従業員に届けるためには受動的に情報が入ってくる仕組みを作ることが重要です。
例えば、社内の情報共有ツールと社内報を連携させることで、従業員が日常的に社内報に触れられる環境を整えることができます。
社内で利用しているチャットツールや社内ポータルを活用して社内報の内容を発信すれば、業務の延長線上で自然に多くの従業員へ情報を届けることが可能です。意識しなくても情報が入る仕組みにより、社内報の閲覧率向上につながります。
「目的に沿った」かつ「社員が知りたい」コンテンツを配信する
社内報の効果を高めるには、内容の質も重要です。どれだけ情報が届きやすい環境を整えても、内容が面白くない、または自分に関係がないと感じれば、読まれません。
そのため、社内報には「ためになる情報」や「自分に関係のある情報」を含めることが求められます。
例えば、従業員を巻き込んだ企画や、役員の失敗談を交えた学びの共有などは、共感を生みやすく、関心を引きやすいコンテンツになります。また、ツールを活用して閲覧数やコメント、アンケート結果を分析することで、従業員の興味関心を詳細に把握し、多くの従業員に読まれる社内報の運用につなげることができます。
他の社内施策と組み合わせる
社内報だけで従業員の行動変容を促すことは難しいため、他の施策と組み合わせることが効果的です。情報発信にとどまらず、実際の業務と紐づけることで、目的達成につながる行動を促せます。
例えば、「社内報×日報」の組み合わせが有効です。経営理念やビジョンを体現する社員を増やすことが社内報の目的である場合、社内報で理念を定期的に発信するとともに、日報に「経営理念を体現した行動」を記載する項目を設けることで、従業員が実際の業務で理念を意識しやすくなります。これにより、社内報の内容を踏まえて行動を変える機会が生まれ、結果的に理念を体現する社員が増えるのです。
従業員の行動変容を促す社内報の事例
社内報を活用して経営方針の浸透や従業員のエンゲージメント向上を実現した2つの企業の事例を紹介します。社内報のデジタル化によって、どのように従業員の行動変容が促されたのか、事例を見ていきましょう。
社内報のWeb化で多事業でも経営方針の浸透促進
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「ジャパネットたかた」で知られる通信販売事業をはじめ、スポーツ・地域創生事業を展開するジャパネットホールディングス様では、事業の拡大に伴い、社長の考えや会社の方針の浸透にグループ内で差が生じることが課題となっていました。特に、従業員が経営の方向性や他事業を知る機会が少ないことが課題視されており、紙の社内報をWeb化しました。
Web社内報TUNAGでは、会社や他部署・他事業の最新情報を、アルバイト・パートを含む全社員にタイムリーに発信。中でも、「旭人のつぶやき」という社長がプライベートな話題から業務に関することまで気軽に発信するコンテンツには、100件以上のコメントが寄せられ、経営陣と従業員のつながりを感じられる場となりました。
Web化により、会社の最新情報が迅速に共有できるようになっただけでなく、従業員がTUNAGを通じて社長の人柄や考えを知ることで、ボトムアップのコミュニケーションが生まれやすくなったとのことです。
導入事例記事:ジャパネットホールディングスの社内報アプリ活用法。社長メッセージにコメント100件の反響
アプリで閲覧できる社内報で工場を含めた社内の一体感を生む
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「金のミルク」「ピュレグミ」など、菓子や食品を製造・販売するカンロ株式会社様。同社では、もともと紙とWebの2つの社内報を運用していましたが、工場の従業員が社内の情報にアクセスしづらいという課題を感じていました。
TUNAG(ツナグ)の導入後は、スマホアプリでも社内報の記事を閲覧できるようになり、記事更新時の通知も分かりやすくなりました。さらに、労務管理の情報も発信することで、工場の従業員がTUNAGにログインする機会が増え、社内報の既読数も増加しました。
工場の従業員が社内の情報にアクセスしやすくなったことで、全社発信を始めた当初からパーパス理解に関する数値が上昇したそうです。
今後は経営層が現場の声を吸い上げられるよう社内報のクロストークや取材を通じて、経営層と現場の従業員との交流の場も作りさらに一体感を高める取り組みを進める予定です。
導入事例記事:カンロ、社内報アプリとワークショップでパーパス浸透。本社と各拠点の情報格差を解消
社員の行動変容を促すWeb社内報ツールならTUNAG
TUNAGは、日常業務と組み合わせた活用やターゲットごとの情報配信、データ分析による改善など、多面的なアプローチで効果的な社内報運用を支援します。
TUNAGの3つの特徴を詳しく解説し、どのように従業員の行動変容を促せるのかをご紹介します。
TUNAGの特徴①:日常的に使うツールとして定着し、自然と読まれる社内報に

TUNAGはWeb社内報の機能に加え、日報やワークフローなど、日常業務で活用できる機能を備えているため、従業員が自然と社内報に触れる環境を作ることができます。
情報が日常的に使う業務ツール内に流れることで、業務のついでに会社の情報を見る習慣が生まれ、社内報が定着しやすくなります。
また、情報の発信先を部署ごとや拠点ごとに設定し、従業員に必要な情報だけがアプリに届く仕組みを構築できるため、適切なターゲットに適切な情報を届けることが可能です。
TUNAGの特徴②:社内報×〇〇で社員の行動変容を促しやすい

TUNAGの強みは、社内報を他の社内施策と組み合わせることで、社員の行動変容を促しやすい点にあります。社内報は単に読まれることが目的ではなく、従業員が目的に沿った行動を起こすことが重要です。
例えば、「経営理念を体現する社員を増やす」ことを目的とする場合、社内報とサンクスカードの組み合わせが効果的です。社内報を通じて社長が経営理念や会社の方針を発信し、従業員の理解を促します。さらに、サンクスカードを活用して理念に基づいた行動を称賛することで、理念の浸透を促進します。
自社の課題に応じた施策の組み合わせで最短距離で理想の組織状態に近づくことができます。
TUNAGの特徴③:分析機能で効果的に改善ができる

TUNAGは、単に社内報を配信するだけでなく、従業員の行動を変化させ、組織を改善することをゴールとしています。そのため、読了率や閲覧数、ログイン数といった基本指標だけでなく、記事がどれくらい目的達成に貢献したかを分析することが可能です。
例えば、「経営理念を体現する社員を増やす」ことを目的とする場合、社内報の発信後に組織診断サーベイを活用し、従業員の理念浸透度を測定できます。これにより、目的に近づくためのPDCAを回し、より効果的な施策を講じることができます。
TUNAGについてさらに詳しく知りたい方は、下記URLから資料を無料でダウンロード可能です。
行動変容を促す社内報で組織は成長する
繰り返しにはなりますが、社内報の本質的な目的は、単に情報を発信することではなく、従業員の意識と行動を変えることにあります。経営理念やビジョンの浸透、部門間の連携強化、モチベーション向上など、社内報の活用によって組織全体の成長を加速させることが可能です。
本記事で紹介した運用のポイントを抑えることで社内報は単なる広報ツールではなく、従業員の行動変容を促す強力な施策となります。組織の成長を支えるためにも、目的に沿った社内報運用を実践し、従業員の行動変革を促していきましょう。