日頃から感謝や称賛の言葉が飛び交う組織は、従業員のエンゲージメントが高く、さまざまな良い影響があることが分かっています。ポジティブなアプローチをデジタルの力でさらに広げ、組織全体に根付かせる仕組みが「社内ポイントツール」です。本記事では、そんな社内ポイントツールが持つ可能性や導入のメリット、そしておすすめのツールをご紹介します。
職場におけるささいな気配りや努力が見過ごされてしまうことはないでしょうか。数値には表れないこのような従業員の行動が評価されない職場では従業員のエンゲージメントが下がり、働きにくい職場になってしまいます。
社内ポイント制度は、こうした貢献を見える化し、評価するための仕組みです。「ポジティブなコミュニケーションが少ない」「従業員同士の関係が構築できていない」場合、社内ポイント制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
導入に当たって、具体的にどのような制度なのかを、まずは解説します。
社内ポイント制度は、従業員の努力や貢献を「ポイント」という具体的な形で可視化し、それを評価や報酬に結び付ける仕組みです。ポイントは「社内通貨」や「サンクスカード」など、さまざまな形で可視化されます。
この制度の目的は、日々の業務の中で生じる「気配り」や「アイデアの発案」といった表面上に現れない数値を可視化することです。
上司からだけでなく同僚やチームメンバー、果ては他部署の従業員でも贈り合うことで、ポジティブな文化が生まれ、働きやすい職場をつくることにつながります。
制度の仕組みは企業によって細部は異なりますが、根幹には「数値として現れないポジティブな貢献を可視化し、報酬を付与する」という考え方があります。
まず、どのような行動によりポイントが付与されるのかをあらかじめ決めておきます。具体的には、以下のような項目が挙げられます。
付与されたポイントは、人事評価に結び付ける企業もあれば、ギフトや福利厚生の利用などに変換できるような仕組みを採用している企業もあります。
どのような行動を取れば企業に評価されるのかという従業員の指針にもなり、ポイント獲得を目指して従業員が積極的に行動することに期待ができます。
社内ポイントツールを導入することで、職場にはどのような変化が生まれるのでしょうか。ここでは、その導入によって得られる効果や解決できる課題について解説します。
従業員同士が日常的に感謝の気持ちや称賛を送り合いやすくなります。ここでのポイントは、関係性の浅い従業員同士であってもポイントを送り合うことでポジティブな関係性を構築できるという点です。
普段あまり接していない他部署の従業員から、さりげない気遣いに対する感謝の言葉を送られていたら、うれしくなるのではないでしょうか。
また、自分を苦手に思っていると感じていた同僚から感謝を伝えられた場合、これを機にお互いの関係が改善される可能性もあります。
こうした感謝や称賛が日常的に共有されることで、職場全体の雰囲気が向上し、お互いを認め合う組織文化が醸成されます。さらに、従業員は感謝されることで自己肯定感が高まり、モチベーションや仕事への意欲の向上につながるでしょう。
社内ポイントツールと似た制度にサンクスカードもあるので、気になる方は確認してみてください。
社内ポイント制度は、従業員同士の関係を構築、改善することでコミュニケーションを活発化させます。特に、こうして生まれるやりとりがポジティブなものであることが大きな特徴です。良好な人間関係が構築されると、生産性の向上や積極的な行動につながります。
また、感謝や称賛が日常的に行われることで、チームメンバーの強みや良い点に自然と目が向くようになり、チーム全体の調和やメンバーの最適な配置が実現しやすくなります。その結果、チームワークがさらに強化されるでしょう。
社内ポイント制度では、上司だけでなく同僚や他部署の従業員も評価に関与できるため、従来の上司からの一方的な評価だけではなく、多角的な評価が可能になります。
具体的には、上司の主観に基づく評価では見えにくい「チームサポート」や「日常的な助言」「業務外の貢献度」などが数値として可視化され、より公正な人事評価につながります。また、成果が表面化しにくい事務職などの業務にもスポットを当てることができ、組織全体としての公平性が向上します。
公正な評価が行われる環境では、従業員の納得感が高まり、組織への信頼感や帰属意識が向上します。その結果、エンゲージメントが高まり、生産性の向上や離職率の低下が期待できるでしょう。
社内ポイント制度を導入するに当たっては、ポイント制度が導入されたツールを採用するのがおすすめです。ツールには、社内ポイント制度のみに重点を置いたものや、他の機能と合わせた多機能なものなど、さまざまな種類があります。
目的も「業務の効率化」や「文化の醸成」などさまざまです。まずは、感謝・称賛の文化を育成するツールを紹介します。
「TUNAG(ツナグ)」は、株式会社スタメンが提供する組織改善のためのクラウドサービスです。2024年11月時点で1,000社以上に導入され、継続率99%の高い実績を誇っています。
「TUNAG」は、組織内のつながりを強化し、従業員エンゲージメントを向上させるための多機能なクラウドサービスです。その中でも社内ポイント制度は、従業員同士が感謝や称賛を手軽に送り合える仕組みとして、多くの企業で活用されています。
例えば、日々の業務の中で協力やサポートをしてくれた同僚にポイントを贈ることができ、そのポイントは社内で設定した特典や商品と交換可能です。これにより、感謝の気持ちを目に見える形で共有し、働くモチベーションや連帯感を高めることができます。
以下、TUNAGによって称賛文化を形成した事例です。
アルバイトまで情報が行き渡る。 全従業員で送り合う感謝の声が「あたたかい職場」をかたち作る。|TUNAG(ツナグ)
全国の百貨店に展開する「FEILER」店舗の壁を超えたコミュニケーションでブランド力向上を目指す | TUNAG(ツナグ)
従業員ファーストを実現するため、TUNAGを運用しながら社内制度をブラッシュアップ|TUNAG(ツナグ)
さらに、TUNAGは掲示板機能やチャット機能なども備えており、情報共有をスムーズにするだけでなく、プロジェクトの進捗管理や全社的なアナウンスにも活用されています。また、イベントやアンケート機能を使えば、従業員が主体的に参加できる環境づくりが可能です。
特に注目すべき点は、企業ごとのニーズに合わせて柔軟にカスタマイズできるところです。小規模な企業から大規模な組織まで、それぞれの課題や目的に最適な形で導入できるため、幅広い業界で高い評価を受けています。
TUNAG(ツナグ)|組織を良くする組織改善クラウドサービス
「thanks!」は、「株式会社アルト」が提供する接客・接遇サービス企業向けの人材開発支援サービスです。店長・次世代管理職の育成などに課題を抱えている企業に向けた機能を提供しています。
「thanks!」には、チーム内で感謝をオープンに贈りあう「Special thanks!機能」(ピアボーナス)があります。
この機能を中心に、チーム内で感謝・称賛・承認のチームマネジメントを形成し、企業理念やチーム文化を深く理解した人材育成を目指します。また、チームワークや離職可能性を分析する機能もあり、チームの状態を確認しながらより健全なチームを育成することが可能です。
YuLifeは「YuLife Japan合同会社」が運営する福利厚生・健康をメインテーマに据えたアプリです。
ウォーキング、脳トレ、禁煙などの健康習慣に対してコインを付与するという、ゲーム感覚で従業員の健康活動を促進する機能があります。たまったコインはさまざまな店舗の商品券と交換が可能です。
福利厚生に関する機能をワンストップで行えるのも特徴です。福利厚生機能は、浸透率の低さや手続きの手間から使われないこともありますが、ワンストップで運用できるため使いやすく、管理工数も削減します。
「C-coin system」は、株式会社ヤマカワが提供する社内コミュニケーションツールです。月初に会社からコインを付与し、従業員は付与されたコインを他の従業員に付与することができます。
C-coin systemの大きな特徴は、簡単な操作で感謝の気持ちをコインとして送れる点と、誰からコインが送られたかがひと目で分かる透明性のある仕組みです。
他の従業員から送られたコインは青色で表示され、自分が所有しているコインはグレーで確認できるため、視覚的に分かりやすく管理できます。また、会社側から従業員個人に特別なコインを送ることも可能で、業務外の貢献や特別な取り組みに対する評価として活用できます。
さらに、C-coin systemでは、従業員が改善提案を気軽に投稿できる機能を備えています。提案内容は会社側で評価され、その結果に応じて提案者に自動でコインが付与される仕組みも搭載されています。この機能により、従業員の改善意識を高めるとともに、提案が組織全体の成長につながる流れをつくり出します。
続いては、業務を効率化するためのグループウェア機能を持ったツールを紹介します。
THANKS GIFTは、「株式会社Take Action」が提供するグループウェアツールで、部署間を超えた多面的な交流を実現し、承認や称賛を手軽に伝えられる環境を提供します。従業員のエンゲージメント向上や理念の浸透を目的に、さまざまな機能が搭載されています。
経営理念の浸透のためのビジョンブックの作成やサーベイ機能、社内報や掲示板などのコミュニケーション機能を揃えているほか、充実した福利厚生機能もあります。
slackやMicrosoftTeamsなど各種チャットツールとも連携が可能で、取引先や顧客と別のビジネスチャットツールを使ったやりとりにも支障はありません。
プライバシーマークも認定されていて、高いセキュリティ環境も整えています。全従業員の業務を一律で管理できるツールです。
Uniposは「Unipos株式会社」が運営するサービスで、従業員同士のコミュニケーションを活性化し
称賛文化が全社に自然と広がることを目的としたツールです。経営者の理念浸透やエンゲージメントの向上、ティール組織の形成などの課題を解決します。
ポイントを添えることができる投稿機能で、従業員同士の良い行動を共有することが可能です。また、組織内の行動の変化をグラフとして捉えることもできるため、どの部署でポジティブな行動の変化があったのかを把握するのに役立ちます。
メンバー同士の関係性やバリューの浸透度、さらには管理職育成の知見など、細かいデータを可視化することで組織としての課題を浮かび上がらせ、改善に向けた行動が可能です。
組織の課題が不透明である場合や、状態の変化を観察して人事戦略を実行したい経営者などにおすすめのツールとなります。
機能|人と組織の行動力を引き出し、カルチャーを変えるUnipos
RECOGは、利用社数1,500社以上の「株式会社シンクスマイル」が提供する組織活性化のためのツールです。
コミュニケーションの起点に、メンバー同士の「感謝」「称賛」を送り合う文化を置いています。
日常の小さな行動や貢献が見える化され、職場やチームメンバーへの愛着が深まり、チーム全体がポジティブな雰囲気に包まれます。
さらに、このアプリのユニークな特徴として、メンバーが「レター」を月10通以上贈ると、世界中の子どもたちに給食1食分相当の寄付が行われる仕組みがあります。
従業員のモチベーションをさらに高めると同時に、会社全体としての社会的責任を果たすきっかけになるとともに、対外的なブランディングとしても効果的です。
最後は、社内ポイント機能に特化したツールを紹介します。社内ポイントツールの導入を施策として考えている企業におすすめです。
TeamSticker(チームステッカー)は、株式会社コミュニティオが提供している社内ポイントツールです。Microsoft Teamsとの連携ができる点が特徴として挙げられます。
特徴としては、企業カラーに合わせたオリジナルステッカーの作成が可能な点が挙げられます。また、PeerGift機能を活用すれば、サンクスカードにコーヒーチケットやノベルティを添えられるため、特別な感謝を伝えることが可能です。
経営メッセージや全社キャンペーンを効果的に配信できるVisionCast機能を搭載している点も特徴です。専任カスタマーサクセスチームの手厚いサポートもあり、Microsoft Teamsを使っているのなら、おすすめです。
インセンティブ・ポイントは、「株式会社ベネフィット・ワン」が提供している総合アウトソーシングサービスです。
「インセンティブ・ポイント」は、企業独自のポイント付与基準や名称を設定することで、組織の文化や価値観を反映したロイヤリティの高いポイント制度を実現できるサービスです。
現金や商品券では難しい少額からの付与が可能で、柔軟性の高いインセンティブ設計をサポートします。
付与されたポイントは、日常生活で利用できるアイテムだけでなく、グルメ・レジャー・ショッピング、学習コンテンツやライフイベントなど、140万件以上のサービスを利用可能です。企業課題に合わせた福利厚生プランの設計もでき、企業が求める従業員の育成にも役立ちます。
GrazieCoin(グラッチェコイン)は「株式会社バリューソフトウエア」が提供するクラウドサービスです。グラッチェとは、イタリア語で感謝を伝える言葉を指します。
従業員はグラッチェ(感謝の気持ち)を送ることが可能です。MVP(オプション)を決定する選挙を実施したり、ランキングや送信履歴を表示できるなど、感謝を可視化しやすい特徴があります。
また、グラッチェコインは商品と交換も可能です。また企業側は、グラッチェコインの利用状況をグラフで見ることもでき、用途やどんな従業員にコインが送られているのかを簡単に把握することができます。
社内ポイント制度を導入する際に、最も課題となるのが「形骸化」です。導入したはいいものの、結局数か月後には利用されなくなってしまい、導入・運用コストだけがかかってしまうことはよくあります。
そうならないためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。
社内ポイント制度が「贔屓(ひいき)されている人ばかりが評価されている」と感じられると、不公平感が広がり、制度への信頼が失われます。例えば、上司やチームリーダーが特定の従業員ばかりを評価している状況では、他のメンバーのやる気は損なわれるでしょう。
このような事態を防ぐには、ポイント付与の基準を明確に定め、「どんな行動が評価対象になるのか」を従業員全員が理解できる形で共有することが大切です。そして誰が誰にポイントを送ったかが見えるようにすることで透明性を高め、不信感を抑えることも重要になります。
また、目立つ成果だけでなく、普段の小さな努力やチームワークといった行動も評価することで、全ての従業員が「自分も見てもらえている」と感じられるようになります。
公平性を重視した制度運用は、従業員のモチベーションを高め、制度の持続的な成功につながるのです。
社内ポイント制度が形骸化する主な原因は、従業員が制度に対して「使うメリットがない」と感じてしまうことにあります。
制度を導入するだけでは不十分であり、「使いたくなる理由」を従業員に提供することが重要です。そのためには、ポイントの使い道を多様化し、従業員にとって価値のある交換先を用意する必要があります。
例えば、ポイントを特別休暇、スキルアップ研修、さらには趣味や家族との時間に活用できる商品や体験型リワードに交換できる仕組みを整えることが効果的です。特別感のある体験や、自分自身の成長につながるオプションを提供することで、ポイントの魅力を高めることができます。
特に、ポイントがたまるだけで、評価やギフトなどに変換もできないケースでは、形だけの制度になりがちです。何のための制度か、そして制度を活用することのメリットを明確化しましょう。
また、制度の活用状況を定期的に分析し、利用が停滞している場合は従業員の声を聞くことも大切です。
フィードバックを基に制度を柔軟に改善することで、従業員の興味を引き続けることができます。全社的にポイント制度の活用事例を共有し、成功体験を積極的に紹介することで、他の従業員の利用意欲を高めることも効果的です。
社内ポイント制度がうまく機能しない背景には、「導入の目的が曖昧である」または「目的が現場に共有されていない」という問題があります。
単に制度を導入しただけでは、従業員の心に響かず、日常の業務に埋もれてしまいます。導入前に、「何を実現したいのか」「どのような効果を期待しているのか」を明確化し、その意図を従業員全体に共有することが重要です。
例えば、「感謝を可視化し、ポジティブな組織文化を醸成する」や「小さな貢献を認め合い、働きがいを向上させる」など、具体的な目的を掲げることで、従業員が制度の意義を理解しやすくなります。
また、この目的をブレさせないために、経営者がメッセージを発信し続けることも重要な施策です。特に、ギフトや評価などの「報酬が先に来る」ような意識が根付いてしまうと、特定の人物に評価が偏ったり、ギフト目当てに仲の良い従業員同士賞賛でポイントを送りあったりなどが発生して、本来の目的とはかけ離れてしまいます。
社内ポイント制度は、単なる評価や報酬の仕組みにとどまらず、感謝や称賛の文化を醸成する強力なツールです。
この文化が組織内に根付くことで、従業員同士の信頼関係が深まり、コミュニケーションが活性化します。結果として、従業員一人一人が自己肯定感を高め、モチベーションやエンゲージメントの向上につながるでしょう。
形骸化や不公平感による失敗を避けるためには、制度設計と運用が重要です。導入目的を明確にし、日々の運用で透明性と公平性を確保することで、従業員全体が制度の意義を理解し、積極的に参加するようになります。そのためにも、企業課題や目的に合ったツール選びが重要になります。